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ラグビー部

2017.06.19

関東大学春季大会 対明大 6月18日 宮崎・KIRISHIMAハイビスカス陸上競技場

明大に敗北するが、スクラムでは収穫を得る

 ことしは宮崎の地で行われた伝統の一戦。早大は試合開始直後、安定しないスクラムを攻められ、立て続けに4トライを奪われてしまう。しかし、前半途中のメンバー交代からスクラムの安定感が増し、マイボールの時間帯も増加。それでも、流れをつかみ切れず、26−55で敗戦。春シーズンを勝利で終えることはできなかった。

 今年度スクラム強化に重点を置いている両校が、どのようなプレーを見せるのか注目が集まった。試合開始早々、早大はそのスクラムをターンオーバーされてしまう。するとそのまま、振り子のようなアタックで自陣に攻め込まれ、そこに生まれたギャップを突かれてトライを献上。スクラムからの失点し、相手に流れを渡してしまった。その後も立て続けに3トライを奪われ、さらにスクラムでの連続ペナルティーからシンビンとなってしまうなど、苦しい時間が続く。しかし前半24分、15人に戻った早大は、プロップ鶴川達彦(文構4=神奈川・桐蔭学園中教校)が1番、プロップ柴田雄基(文4=愛知・千種)が3番に入り、徐々にマイボールの時間を増やしていく。すると前半33分には、敵陣10メートル付近でのマイボールスクラムからチャンスをつくり、最後はCTB中野将伍(スポ2=福岡・東筑)が突破し、トライを決めた。さらに前半44分にも、FB桑山聖生(スポ3=鹿児島実)が手薄になったサイドから大きくゲイン。最後はWTB古賀由教(スポ1=東福岡)がインゴールに飛び込み、前半を14−26で折り返した。

試合の入りでは圧倒されてしまっていたスクラム。前半の4失トライが痛かった

 勢いそのままに追加点を挙げたい早大であったが、細かいミスなどから流れをつかみ切ることができない。後半の立ち上がり、粘りのディフェンスからブレイクダウンし、大外へ展開するものの、FB山沢京平(1年)にインターセプトを許して、独走トライを決められてしまう。また、「自分と吾郎さん(SO高橋吾郎、スポ4=福岡・修猷館)が連続してチャージされて失点につながってしまった」とSH齋藤直人(スポ2=神奈川・桐蔭学園)が言うように、キックから失点する場面も見受けられた。反撃を狙う早大は、近場で細かくパスをつなぐことで、相手のミスを誘う。後半38分には、クイックスタートから高橋が抜け出し、敵陣10メートル付近まで侵攻。その後パスを受けた鶴川がうまく時間を稼ぎ、フォローに来た齋藤直へ見事なバックパスをつないだ。最後は齋藤直がトライを決め、試合終了間際にも追加点を挙げるが反撃もここまで。前半での失点が響き、26−55でノーサイドを迎えた。

中野将のタテへの突破が好機を作った

 「メンバーが変わって、やろうとしていることが前面に出せた」とフランカー加藤広人主将(スポ4=秋田工)が振り返るように、メンバー交代後のスクラムからリズムをつくった早大。明大と互角にスクラムを組む場面も見られた。しかし、試合の立ち上がりや細かいボール処理などに不安を残しており、秋に向け修正が必要だろう。加藤広主将は「7月、夏合宿とトレーニングできる期間があるので、そこでしっかり修正して、これからどんどん強化していきたい」とさらなるレベルアップを誓った。試合のたびに課題を見つけ、それを修正してきたものの、なかなか勝ち切ることができなかった春シーズン。勝負の夏を乗り越え、秋にはしっかりと『勝ち切る』ワセダに期待したい。

(記事 大島悠輔、写真 矢野聖太郎、橋本望)

関東大学春季大会
早大 スコア 明大
前半 後半 得点 前半 後半
14 12 26 29
26 合計 55
【得点】▽トライ 中野将2、齋藤直、古賀 ▽ゴール 齋藤直(3G)
※得点者は早大のみ記載
早大メンバー
背番号 名前 学部学年 出身校
井上 大二郎 スポ3 愛知・千種
  前半25分交代→18柴田    
  後半36分交代→16久保    
鷲野 孝成 基理3 神奈川・桐蔭学園
  後半20分交代→17宮里    
鶴川 達彦 文構4 神奈川・桐蔭学園中教校
三浦 駿平 スポ2 秋田中央
松井 丈典 スポ3 愛知・旭野
◎加藤 広人 スポ4 秋田工
幸重 天 文構2 大分舞鶴
  後半14分交代→20丸尾崇    
下川 甲嗣 スポ1 福岡・修猷館
齋藤 直人 スポ2 神奈川・桐蔭学園
10 高橋 吾郎 スポ4 福岡・修猷館
11 古賀 由教 スポ1 東福岡
12 中野 将伍 スポ2 福岡・東筑
13 黒木 健人 教4 宮崎・高鍋
14 中野 厳 社4 東京・早大学院
  後半23分交代→21吉岡    
15 桑山 聖生 スポ3 鹿児島実
リザーブ
16 久保 優 スポ1 福岡・筑紫
17 宮里 侑樹 スポ3 沖縄・名護商工
18 柴田 雄基 文4 愛知・千種
19 中野 幸英 文構2 東京・本郷
20 丸尾 崇真 文構1 東京・早実
21 吉岡 航太郎 スポ4 国学院栃木
22 野口 祐樹 人4 群馬・太田
23 増原 龍之介 教2 広島・崇徳
※◎は主将、監督は山下大悟(平15人卒=神奈川・桐蔭学園)
コメント

山下大悟監督(平15人卒=神奈川・桐蔭学園)

――前半で明大のスクラムを押し返してから、攻撃のテンポが速くなった印象を受けます

前半の最初はスクラムを受けてしまって、それを引きずってペースをとられてしまいました。しかしスクラムが安定してからはブレイクダウンの部分で差し込めるようになりました。

――柴田雄基選手(文4=愛知・千種)が入ってからスクラムの安定感が増しました

今週はいろいろと試してみた結果、井上(大二郎、スポ3=愛知・千種)、鷲野(孝成、基理3=神奈川・桐蔭学園)、鶴川(達彦、文構4=神奈川・桐蔭学園中教校)の3人で、まず最初に戦いました。当然、スクラムということを考えているので、柴田をリザーブとして決めていました。井上が相手の重さに押しつぶされてしまう場面がありましたが、鶴川が1番、柴田が3番で入ってスクラムをうまく立て直してくれたと思いますね

――鶴川選手を1番のポジションに変えて、3番のポジションに柴田選手を起用した意図を教えてください

鶴川は本来1番の選手ですし、相手の大きな選手に対して押しつぶされないからです。

――今季の明大はスクラムに力を入れていますが、特別に意識したことなどはありますか

特別に意識したことはないです。早大もスクラムを強みにしようとしているので。明大がスクラムを強化していることはわかっていますから、それに対してしっかり戦っていくだけですね

フランカー加藤広人主将(スポ4=秋田工)

――序盤はスクラムで押し込まれていましたが、前半の中盤から持ち直しました。スクラムの手応えというのはいかがですか

(前半の中盤で)メンバーが変わって、やろうとしていることが前面に出せたと思います。でも、それを最初の8人で出せるように修正していかなければいけないなと改めて思いました。

――制圧するスクラムを目指していると思いますが、いまの時点で足りない部分はどういったところですか

足りないところだらけですね。まだまだ制圧どころか、強みと言えるかも分からないレベルなので。7月、夏合宿とトレーニングできる期間があるので、そこでしっかり修正して、これからどんどん強化していきたいと思います。

――帝京戦ではアンストラクチャーな場面でのディフェンスが課題とおっしゃっていましたが、きょうのディフェンスを振り返っていかがでしたか

きょうもアンストラクチャーなところでたくさん取られてしまいました。2週連続で同じ課題が出ているようでは進歩がないので、夏合宿までの期間と夏合宿で修正して、ディフェンスも強みと言えるようにこれからも頑張っていきたいと思います。

――ブレイクダウンに関してはいかがでしたか

いいタックルをすればしっかり戦える部分もあったのですが、ペナルティーを取られてしまったりすることがありました。でも、しっかり取り切れる部分もたくさんあったので、戦える部分が多かったというのは収穫だったと思います。

――敗北という結果になりましたが、明大との差というのは具体的にどのような部分だったと思いますか

入りのスクラムなど、僕らはミスばかりだったので、やはり入りの部分だと思います。明大の方がきついプレーや痛いプレー、強いプレーなど、そういったことをしっかりやって僕らのミスを誘ったり、しっかり前に出てきたりしていて、そこで受けに回ってしまいました。特にスクラムから受けに回ってしまったので、スクラムを強みにしている以上、逆に僕らが最初の10分で勝負を決められるくらいにしなければならないと思いました。

――春シーズンを終えて、夏にどのようなところを練習しなければならないと思いましたか

FWに関してはやはりセットプレーで、チームとしてはアンストラクチャーの部分やディフェンのところだと思います。まだまだ日本一を取るには程遠い部分がたくさんあるので、しっかり全体的に成長していきたいと思います。

CTB黒木健人副将(教4=宮崎・高鍋)

――地元・宮崎県での開催でした

応援もたくさん来ていて気持ちを入れて臨んだのですが、空回りしてしまい良くないプレーも多々あり、反省点の多い試合でした。

――アナウンスでも何度も名前を呼ばれていましたね

試合中はそんなに気にならなかったです。

――試合後は話しかけられましたか

(高校の)同期や同期の父兄が来てくれました。

――前半、黒木選手のパスが桑山聖生選手(スポ3=鹿児島実)に当たっていました

サインプレーが出ていました。桑山の外側の選手にパスを放るサインだったんですけど、桑山が前に出ていて通せなくて当たってしまったという連携ミスです。

――ワセダのターンオーバーの後、インターセプトされる場面がありました

ターンオーバーして外から声がとても聞こえて、外に放ればトライというところでした。最初外を見たときは誰もいなくて、そのまま放ればいいと思っていて放ったら、相手が入ってきてしまって。精度も準備もまだまだです。最初に僕が深くもらっていれば、もっと余裕もってプレーできていたと思うので、1個1個のプレーを大事にしてもう一回反省してやっていきたいです。

――明大は主将、副将が欠場という中で敗れてしまいました

自分たちがやるべきことをできていれば攻められる時間もありました。自分たちのやってはいけないプレーをしてしまうと、相手のやりたいことをやらせてしまって得点につなげられてしまいました。相手というよりは自分たち次第だと思っています。

――前日のBチーム戦、新人戦の結果を踏まえ、どのように戦おうとチームでは話したのですか

ディフェンスで戦えている時間はBチームもあったと聞いていたので、自分たちのやるべきことをやればいいと言っていました。

――春季大会を1勝4敗で終えましたが、結果についてどう受け止めていますか

春、なかなかうまく行かないことは多くあったんですけど自分たちが強みにしていたこと部分を出せれば上の強いチームとも戦えている部分は試合を通して感じられたので、その部分を突き詰めて行って夏にもっと精度を上げて戦っていきたいです。

プロップ鶴川達彦(文構4=神奈川・桐蔭学園中教校)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

試合の序盤でスクラムで受けてしまっとのと、それだけではなくディフェンスでも相手の勢いを受けてしまったのが悪かったです。

――序盤スクラムに苦戦していましたが、どのような状況でしたか

自分の右肩が入られて、押されてしまいました。

――前半の終盤からスクラムが改善されましたが、その改善点は何ですか

柴田雄基が入って自分が1番に入って、練習でもその組み合わせが最もうまくいったので、メンバーの組み合わせですね。

――スクラムで1番に入るのと3番に入るのでは、ご自身の中で感覚の差はどのようなものですか

どっちがいいというよりは言われたようにやるのですが、まだまだ3番の時はいい形でスクラムを組む回数は少なく、1番の時が組めていると思います。

――どちらで組むというのは決めていないのですか

練習で試行錯誤しながら、両方に入ってやっています。

――相手がタックルされた際のレッグドライブなどの相手の意識に関してはどのように思いますか

レッグドライブの意識は高かったと思います。でも、ディフェンスは身体は強いのですが、タックルの精度はそこまで高くなかったです。

――FWが孤立したり固まったりというような状況が見受けられましたがいかがですか

基本的には人がいなくなるということはないのですが、例えば停滞してしまったりしてリズムを変えなければいけない時にポッドを崩すことはあるのですが、その時もコミュニケーションがとれてなくて1人で行ってしまうことがあるのだと思います。

――春シーズンの総括をお願いします

やはり全体として、ラインアウトは改善されたと思うのですが、スクラムは成長しているとはいえまだまだ自分たちが目指すところには届かなかったかなという印象なのでこれからまだまだレベルアップが必要だということと、あとはチーム全体としては天理大戦からファンダメンタルのスキルを意識してやってうまくいくと自分たちのプレーができるといのが分かったのでこれからも引き続きファンダメンタルのスキルを上げて行きたいと思います。

プロップ柴田雄基(文4=愛知・千種)

――スクラムに苦しんでいた時間帯での投入でしたが、どんなことを考えてピッチに入りましたか

僕自身、強みをスクラムとして練習してきたので、気合いを入れて、絶対に押すという気持ちでピッチに入りました。

――途中から鶴川選手が1番、柴田選手が3番のポジションに入りましたが、スクラムに変化は感じましたか

元々鶴川自体、去年から1番やっているので、そっちの方が安定してお互いに自信を持ってやれるかなとは思っています。

――明大と実際にスクラムを組んでみて、感じたことはありますか

東海大を押した明大に対して、こっちもイーブンにやれたというのは、本当は押さなくてはいけないのですが、春の最初よりもレベルが上がっているなという実感はありました。

――シンビンが終わり幸重天選手(文構2=大分舞鶴)がピッチに戻ってからリズムが良くなりました

1人欠けてしまうとどうしても押しの強さで負けてしまうのですが、やはり8人で組むことで、後ろの人も押してくれるので安定はしますね。

――早明戦をやるにあたって、チームとしての目標はありましたか

チームの状況がどうであれ、やはり早明戦は勝たなくてはいけないので、とにかく勝ちにいくということは意識していました。

――夏に向けて強化していきたいところはどこですか

これまでやってきたことが徐々に出てきているので、きょうもあった最初の10分、前半後半ともに最初の10分で流れをつかみきれなかったというツメの甘さから出た失点を修正していきたいです。個人としては、きょうもリザーブからスタートだので、しっかりとスタメンの座をつかみたいなと思っています。

SH齋藤直人(スポ2=神奈川・桐蔭学園)

――この試合のゲームプランはどのようなものだったのですか。また、実際にプレーしてみていかがでしたか

キックをあまり使わずに果敢に攻めようと思っていました。前半はそういう点ではボールを持つ時間が少なく、相手に対して受け身になってしまったことは反省点です。

――岸岡智樹選手(教2=大阪・東海大仰星)が直前で離脱したことについてはどうでしたか

SOが代わってもやることは同じですが、吾郎さん(高橋吾郎、スポ4=福岡・修楢館)と練習で組んだ時間が短かったのでコミュニケーションをよく取ることを意識していました。

――キックゲームではかなり苦労していましたね。いかがでしたか

自分と吾郎さんが連続してチャージされて失点に繋がってしまったので、秋はそういったことがないように修正したいです。

――アタックでは堅実に近場でつないでいた印象でした

いつも通りの攻め方に相手のディフェンスに隙があれば短いパスを使って攻めたのが上手くはまったと思います。

――トライの際のフォローのコース選択は見事でしたね。何か考えはありましたか

直感です。フォロー行くことだけは意識していて、トライは鶴川さん(プロップ鶴川達彦、文構4=神奈川・桐蔭中教校)がうまく走ってくれたおかげでした。

SO高橋吾郎(スポ4=福岡・修猷館)

――急きょ先発出場が決まりましたが、どのようなことを意識しましたか

チームプランを遂行できるようにキックやパスの精度を意識していきました。

―具体的にはどのようなプランを立てていましたか

春シーズンずっとやり続けてきたことで、BKだったら逆目やオーバーラップのところでしっかり取り切るだとか、ポッドが崩れたときのオーガナイズだったりというのを意識しました。ディフェンスやブレイクダウンは春先ずっとやってきたことを継続して出していくことは意識していました。

―ご自身のキックを振り返っていかがでしたか

全然精度が高くなかったので、しっかりとこの夏、秋に向けて常にいいキックを蹴られるように練習を積んでいきたいと思います。

CTB中野将伍(スポ2=福岡・東筑)

――早明戦でしたが、どのような思いで試合に臨みましたか

早明戦は絶対に負けられないという思いで臨んだのですが、最初の入りの部分からの修正をもう少し早くできればよかったかなと思います。

――そんな中最初のトライを決めました

あの場面はチームとして敵陣まで入って、攻める形としては練習通りだったので、自分が取らなければならなかったと思います。

――先週、自分に相手を引き付けて味方をうまく使うプレーをしたいとコメントしていましたが、きょう振り返っていかがでしたか

何度かいい形でつなげて、自分でいったときも悪くはなかったと思います。

――あえてアタックラインに参加していないシーンが見られましたが、その意図は何だったのでしょうか

ポッドアタックという攻め方があって、その位置で攻めていました。

――チームとして、敵陣まで深く攻め込んだもののトライを決め切れない場面が幾度か見られました

チーム全体としても集中力を上げて、取れるときに取っておかないと、大きな試合で痛手になると思うので、そういった場面で取り切れるようにしたいです。

――春シーズンを振り返っていかがでしたか

チームとしてはファンダメンタルのスキルが最初と比べて良くなりましたし、個人としても試合ごとに成長できたと思います。

――秋に向けてご自身の強化したい点を教えてください

アタックではもっと起点になって、マークされていようがいまいが関係なくいけるようにして、ディフェンスでも自分のところで前で止めてターンオーバーを狙えるようにしていきたいです。