野球部

2017.05.28

東京六大学春季リーグ 5月27日 神宮球場

‪波乱のシーソーゲーム、軍配は慶大に――2本の満塁弾で決す/早慶1回戦‬

早慶1回戦
早 大
慶 大 ×
(早)小島、柳澤、●早川、北濱、二山-岸本
(本塁打)佐藤晋2号ソロ

 エンジに染まる右翼席がふたつの満塁弾に撃ち抜かれた。ついに東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)は最終週を迎え、慶大と雌雄を決する時。試合は5回まで0-0とこう着状態が続いたが、後半は打って変わって激しく展開する。6回裏に満塁弾を浴びて0-4。7回表に早大が打者9人の猛攻を見せて5-4。そして7回裏、再び致命的な満塁弾を浴びて5-8。早大も一時は意地を見せたが、『二振り』で試合を決められた。

 最高気温27度。日差しを浴びた神宮球場で、ことしも『早慶戦』が春の終わり、夏の始まりを告げる。熱気に満ちたそのグラウンドで、早慶両校が火花を散らした。大歓声と共に始まった試合は序盤、投手戦の様相を呈する。早大・小島和哉(スポ3=埼玉・浦和学院)と慶大・髙橋佑樹(2年)の力投を前に互いに得点の気配がしない。特に小島は5回まで無安打投球。付け入る隙を与えていなかった。この試合は1点勝負。誰もがそう思っていた。しかし6回裏、試合が動く。小島が1死から初めての安打を二塁打で許すと、1死二塁の場面で慶大のクリーンナップ、3番・柳町達(2年)、4番・岩見雅紀(4年)、5番・郡司裕也(2年)を迎える。ここで早大バッテリーが選んだのは柳町の敬遠。柳町よりも確実性に劣る岩見と勝負することで、「1点も与えない」選択を取った。そして迎え入れた岩見を首尾よく詰まらせ、サードへのゴロに打ち取る。しかし三塁手・織原葵(社4=東京・早実)が前に出られず下がって捕球。二塁へ送球するも間に合わず、一死満塁とピンチを広げてしまう。続く郡司は捕邪飛に打ち取り一旦胸をなで下ろしたが、やはり野球はそう甘くはなかった。続く清水翔太(4年)を2球で追い込んでから投じた3球目、外を狙った直球が真ん中高めへ抜けた。失投を捉えた打球は右翼席へ一直線。よもやの満塁弾で慶大に大きな4点が刻まれた。

7回に先頭で打席に立ち追撃のソロ本塁打を放った佐藤晋

 早大には優勝の可能性がない。だが、誇りに賭けて、このまま終わるわけにはいかなかった。続く7回表、先頭の佐藤晋甫主将(教4=広島・瀬戸内)が初球を「何も考えず」振り抜くと、打球はそのまま左翼席へ。今季不振に苦しんだ主将の一発で反撃ののろしを上げる。さらに四球で1死満塁の好機を得たところで、代打に熊田睦(教4=東京・早実)が送られた。すると立大3回戦で代打2ラン本塁打を放った切り札がここでも中前打を放ち1点差とする。熊田は送球の間に2塁へ進み、1死二、三塁。さらに続けて代打・三倉進(スポ4=愛知・東邦)が遊撃へゴロを放つ。遊撃手は本塁へ送球したが、三塁走者・岸本の足が先にホームへ触れた。同点。そして代打・福岡高輝(スポ2=埼玉・川越東)の内野ゴロの間に1点を加え、ついに勝ち越しに成功する。湧き立つ早大応援団。彼らは早大の大逆転勝利という筋書きで決着することを想像した。しかし、早慶戦が用意したドラマはまだ終わっていない。その裏、この回から登板したルーキー早川隆久(スポ1=千葉・木更津総合)が安打と四球で1死満塁のピンチを招き、打席には柳町。その初球のスライダーをはじき返した打球が悲鳴と歓声を浴びて右翼席へ突き刺さる。その2本目の満塁弾は、雌雄を決するのに十分すぎる威力を持っていた。5-8。それがこのドラマの結末だ。

小島に続き二本目の満塁弾を浴びた早川

 互いの意地と意地がぶつかり合う。使い古された言い回しだが、そう表現するのが一番適当な『早慶戦」を凝縮したような一戦となったこの試合。その中でも小島、早川ともに四死球で走者を溜めた後に本塁打を浴びたことが悔やまれる。どこかひとつストライクで勝負できていれば、5-8というスコアはきっと変わっていた。一方で打線の粘り強さはこの大舞台でも健在。4-0の劣勢から一挙追いついた猛攻は見事の一言だった。先勝こそ許したが、明日こそは投打かみ合わせ白星を奪いたい。この際、慶大の優勝争いなどどうだっていい。ただ、早大の誇りのために。

(記事 安本捷人 、写真 大谷望桜、熊木玲佳)

黄字は打点付き

早大打者成績
打順 守備 名前
(右) 八木健太郎 .231 三ゴ       左飛    三振         
  福岡高輝 .250                   二ゴ      
  吉澤一翔 .000                           
(遊) 檜村篤史 .216 三振       二直    遊ゴ 遊ゴ      
(一) 佐藤晋甫 .270 三振       遊ゴ       左本 三振   
(左) 加藤雅樹 .406    投ゴ       三振    四球 遊飛   
(二) 宇都口滉 .310    右飛       左安    四球 右飛   
(中) 長谷川寛 .250    三振       三振    投ゴ    右飛
(捕) 岸本朋也 .276       三ゴ    四球    四球    二ゴ
(三) 織原葵 .222       三振    一邪            
  熊田睦 .600                   中安      
  小野寺旭 1.000                           
  早川隆久 .000                           
  北濱竣介                           
  二山陽平                           
  尾崎資樹 .333                         投ゴ
(投) 小島和哉 .000       三振       三振         
  柳澤一輝 .333                           
  打右 三倉進 .250                   遊野      
早大投手成績
名前
小島和哉 5 2/3 3.82
柳澤一輝 1/3 2.63
早川隆久 1/3 4.58
北濱竣介 2/3 5.40
二山陽平 0.00
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早慶戦展望(05/25)

コメント
髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)

――前半、後半で全く違う試合になりました

もう満塁ホームラン二本打たれたら仕方ないですね。ただ、打線がよくホームラン打たれた後につないで5点、逆転してくれましたからね。あそこで流れ来てるんですけど、その後のピッチャーに力がないから仕方ないですね。

――立大戦と同じように、打線は代打の選手を含め素晴らしい攻撃を見せました

そうそう。打線はすごく頑張ってくれているんですけど。きょうもラッキーなとこありましたけど、それも実力ですから。クリーンヒットばかりじゃなくても、ラッキーが重なってミスを誘うこともできるしね。5点取ってるわけですから、それで勝てなかったら仕方ないですね。投手陣に力がないです。

――投手陣はコンディションの問題なのでしょうか

うーん・・・。コンディションの問題ではないと思いますけどね。

――先発の小島和哉投手(スポ3=埼玉・浦和学院)は前半無安打に抑えました

そんなに絶好調ではなかったけどね。やっぱり持ち前の緩急をつけてうまいピッチングしてたんですけど、満塁ホームラン打たれたらダメです。1死満塁でせっかく郡司(裕也、2年)を打ち取ってるわけですから。まあ、きょう左対左は良くないというのはバッテリーも言ってたんで、だったらもっと慎重に入るべきじゃないかというところもあったしね。結局きょう小島は最初の満塁ホームランは変化球から入るべきだし、逆に早川(隆久、スポ1=千葉・木更津総合)は柳町にはインコースで強く攻めるべきなんですよね。逆でしたね。

――6回1死二塁では柳町選手を敬遠しました

あれはこの間の反省からこういうケースもあると。あそこで柳町で勝負するのか、塁を詰めて岩見(雅紀、4年)と勝負するのか。塁を詰めるというのが常識だけど、詰めたら岩見には一発もある。そのときはその日のピッチャーとバッターの相性を見て、打ち取れる確率が高い方で勝負しろとは言ってありました。

――結果的にはピンチを広げてしまいました

打ち取ってるんですけどね。力はあるから、近めに投げたら当たるんでね。バッテリーは強気で攻めたわけですから、仕方ないです。その後にせっかくツーアウト取ったわけですから。

――ニ本目の満塁本塁打を浴びた早川投手は制球に苦しみ、四球で走者を溜めてしまいました。雰囲気にのまれたのでしょうか

1年生だからね。多くは臨めないです。責められないです。

――あすも早慶戦はあります

目の前で優勝されるのだけは。絶対に勝ちます。

佐藤晋甫主将(教4=広島・瀬戸内)

――試合を全体的に振り返っていかがですか

4点取られた後の攻撃は、自分から打順だったのですが、何とかしようと思って、何とか流れをきっかけをつくれたかなと思っています。みんなその後、しっかりつないでつないでチャンスをものにしてくれたので、あの攻撃はすごく良かったかなと思います。ただその一方で、その直後の回にピッチャーが変わってすぐのところで、フォアボールが絡んで守り切れなかったのはちょっと反省すべき点かなと感じています。

――7回入る前には、初球から打ってこうと狙っていましたか

初球全然振れていなかったので、何も考えずにまず振ろうという気持ちで(打席に)入りました。

――そこから5点を返せたのはチームの粘り強さがあってこそでしょうか

そうですね。みんな諦めずに、集中力保って打席に入ってくれたので。ヒットはそこまで多くないのですが、点を取るという執念はあそこで見えたので、明日あの執念を初回から見せて、まず明日勝つことができればと思っています。

――直後に守り切れなかった原因は

本塁打なので、それまでに無駄なランナーを出してしまったかなというのはあります。

――明日は勝つしかないという状況ですが、意気込みをお願いします

もう勝つしかないので、まず明日勝って勝ち点を取れるようにやっていきます。

熊田睦(教4=東京・早実)

――まず試合を終えて、率直なお気持ちを教えて下さい

ゲームとしては負けていないと思うんですけど、満塁ホームランを2本打たれたらしょうがないって感じですね。でも初戦を落として悔しいですね。

――試合の流れはいかがでしたか

織原(葵、社4=東京・早実)がエラーをして4点を取られたんですけど、そこでもなんとかつないで5点を取って、振り出し以上に戻せたんじゃなかなと。でもその次に野球のセオリーじゃないですけど、点を取った後に取られるというかたちで取られてしまって。一回流れは戻したのに、早川(隆久、スポ1=千葉・木更津総合)が弱気になってしまって変化球が多くなって、ボール先行でいってしまったのが良くなかったのかなという感じですね。

――流れを引き戻した7回に 反撃となる二点タイムリーを放たれました。手応えはいかがでしたか

きょねんの秋に菊地投手(恭志郎、3年)のフォークで三振をとられて、またフォークが来るだろうなと思っていて、それを打てたので良かったですね。

――きょねんの借りを返したといったところでしょうか

そうですね。去年は三振して、ことしは場面も場面だったのであそこで打てて良かったです

――そのあとの走塁では一二塁間で挟まれる場面がありましたが

あれはミスですね。走塁ミスと書いておいてください(笑)。

――それでも立大戦ではホームランを放つなど調子は良いようですね

調子はそこまでなんですけど、悪くはないですね

――熊田選手を筆頭に代打陣の勢いがあるように見えますが

代打陣で何かを話してるわけではないんですけど、チャンスの場面で打席が回ってきて打てているので、良いと思います。

――では最後に明日への意気込みを

目の前で胴上げはさせないように頑張ります!!

三倉進(スポ4=愛知・東邦)

――一時は同点となる一打を放ちました。振り返ってどうですか

あの場面は立教戦と似ていたというか、場面が同じだったので、前の熊田(睦、教4=東京・早実)が繋いでくれたので自分で終わるわけにはいかないなと思っていました。とにかく可能性がある打球を打とうと、外野フライならまだよかったですけど、打球がショートの横ギリギリの所に飛んでくれましたし、ランナーの岸本(朋也、スポ3=大阪・関大北陽)もスタートがすごく良くていい走塁してくれたのでよかったです。

――打席に入った時のイメージ、心境はどうでしたか

いいイメージは常に持っています。どういう軌道できてどういうスイングで打ち返すのかを持ってやってるのでそのことだけを考えていました。空振りにはなったのですが、ファーストストライクからスイングできていたので、最後ボテボテでもいい結果になったのかなと思います。

――外の難しいボールを何とか食らいついていった印象があります

いや、自分の中では悪いボールではなかったです。イメージ通りの球が来たので。ただ自分の技術不足でとらえることができなかったです。やはり代打で期待されているので、あれを一振りで仕留められるような準備をしていきたいですね。

――きょう代打で出場した左打者の3選手の熊田選手、三倉選手、福岡(高輝、スポ2=埼玉・川越東)選手のトリオは期待感があります。自分たちではどうとらえてますか

代打で準備している時も3人で気持ちを高めています。試合中はずっと投手を観察して研究しているので。3人のなかでネガティヴなイメージはないですね。絶対いける、3人ならいけると思ってやっています。

――あしたも試合があります。最後に意気込みをお願いします。

最近ずっと同じ負け方というか、終盤追い上げても勝ちきれてないので、このままで終わってしまったらすごいもったいというか、そこまでのチームで終わってしまうので、明日はそこで勝てるようにやっていきたいです。