ラグビー部
2017.05.15
関東大学春季大会 対流通経大 5月14日 茨城・たつのこフィールド
待望の一勝。強みを出し切ったワセダが今季初白星
ここまで関東大学春季大会(春季大会)2連敗中の早大。春季大会3試合目は茨城・たつのこフィールドで、流通経大と対戦した。攻守にわたり自分たちの強みを発揮した早大が、15-10で今季初勝利を挙げた。
ひときわ目立ったのはCTB中野将伍(スポ2=福岡・東筑)の突破だった。14分、相手のペナルティーの後SO岸岡智樹(教2=大阪・東海大仰星)のキックで敵陣深くまで攻め込むと、ゴール前ラインアウトから中野将が中央を突き破り先制トライ。課題であったセットプレーもこの試合では改善され、BKに安定して球を供給する。直後に相手に追いつかれたものの、29分にはスクラムからの一次攻撃でまたも中野将がラインブレイク。最後は古賀が抜け出してグラウンディングし、12-5で前半を終えた。
中野将の突破が何度もチャンスを生み出した
後半、何度も敵陣深くまで攻め込むが、自らのペナルティーによってなかなか得点に結びつけることができない。そのような中、FWが近場近場で連続攻撃を仕掛けると、相手がノットロールアウェイを犯す。早大はショットを選択。これをSH齋藤直人(スポ2=神奈川・桐蔭学園)がきっちり沈め、手堅く勝利へ近づけた。その後、早大のペナルティーから中央突破で大きくゲインを切られると右に振られ、そのまま右大外へのトライを許し5点差に。そしてラスト10分、流通経大のアタックの時間が続く。メンバー交代の影響もあってか、スクラムは押され気味になってしまったものの、ディフェンスで一人一人が低くタックルに入り、相手のペナルティーを誘う。最後は古賀のタックルで相手がノックオンを犯し、ノーサイド。流通経大に逆転を許さず、逃げ切った。
サイズが武器の松井。ラインアウトや接点での活躍が光った
「やってきた成果を出せた」(山下大悟監督、平15人卒=神奈川・桐蔭学園)との言葉通り、この試合ではチームディフェンスが機能し、ブレイクダウンでも激しくプレッシャーをかけ続けた。スクラムもマイボールはキープできており、及第点と言ったところだろう。しかし、ラックでのペナルティーが多く、その点に関しては修正が必要だ。とはいえ、勝利にこだわってきた春、ここで一勝することができたのはチームにとっての大きな一歩だ。やってきたことを出し切ることができれば勝てる。課題を修正し、来週の同大戦でも強みを発揮した試合運びに期待したい。
(記事 本田理奈、写真 新開滉倫、浅野純輝)
関東大学春季大会 | ||||
---|---|---|---|---|
早大 | スコア | 流通経大 | ||
前半 | 後半 | 得点 | 前半 | 後半 |
2 | 0 | T | 1 | 1 |
1 | 0 | G | 0 | 0 |
0 | 1 | P | 0 | 0 |
0 | 0 | D | 0 | 0 |
12 | 3 | 計 | 5 | 5 |
15 | 合計 | 10 | ||
【得点】▽トライ 中野将、古賀 ▽ゴール 齋藤(1G、1PG) | ||||
※得点者は早大のみ記載 |
早大メンバー | |||
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背番号 | 名前 | 学部学年 | 出身校 |
1 | 井上 大二郎 | スポ3 | 愛知・千種 |
後半38分交代→16久保 | |||
2 | 宮里 侑樹 | スポ3 | 沖縄・名護商工 |
後半24分交代→17三隅 | |||
3 | 鶴川 達彦 | 文構4 | 神奈川・桐蔭学園中教校 |
4 | 三浦 駿平 | スポ2 | 秋田中央 |
5 | 松井 丈典 | スポ3 | 愛知・旭野 |
6 | 沖野 玄 | 商2 | 北海道・函館ラサール |
後半28分交代→20増原 | |||
7 | 丸尾 崇真 | 文構1 | 東京・早実 |
8 | 下川 甲嗣 | スポ1 | 福岡・修猷館 |
9 | 齋藤 直人 | スポ2 | 神奈川・桐蔭学園 |
10 | 岸岡 智樹 | 教2 | 大阪・東海大仰星 |
11 | 古賀 由教 | スポ1 | 東福岡 |
12 | 中野 将伍 | スポ2 | 福岡・東筑 |
13 | ◎黒木 健人 | 教4 | 宮崎・高鍋 |
14 | 緒形 岳 | スポ3 | 新潟・新発田 |
後半38分交代→23桑山聖 | |||
15 | 横山 陽介 | スポ4 | 神奈川・桐蔭学園 |
リザーブ | |||
16 | 久保 優 | スポ1 | 福岡・筑紫 |
17 | 三隅 寛己 | 法3 | 東京・早実 |
18 | 柴田 雄基 | 文4 | 愛知・千種 |
19 | 中野 幸英 | 文構2 | 東京・本郷 |
20 | 増原 龍之介 | 教2 | 広島・崇徳 |
21 | 杉本 頼亮 | スポ4 | 京都・桂 |
22 | 野口 祐樹 | 人4 | 群馬・太田 |
23 | 桑山 聖生 | スポ3 | 鹿児島実 |
※◎はゲームキャプテン、監督は山下大悟(平15人卒=神奈川・桐蔭学園) |
コメント
山下大悟監督(平15人卒=神奈川・桐蔭学園)
――関東大学春季大会初勝利となりました
やってきた成果を出せたと思います。前半の序盤にディフェンスの部分でよかった場面もありましたし、まだまだ足りない部分もあります。ただ、後半はよりアグレッシブにいってほしかったと思います。
――前回と比べてセンタークラッシュで攻撃をしかける場面が多くありました
東海大戦はアタックの回数自体が少なかったこともありますね。きょうはオーソドックスにセンタークラッシュしてからワイドに展開しようと話していました。中野将伍はアップの時から調子がいいと感じていました。先週の練習から指摘していたことを実践してくれたと思います。
――ブレイクダウンに激しくプレッシャーをかけていました
チームディフェンスからブレイクダウンまでで一貫したストーリーがあります。チームディフェンスにおけるシステム、ルールのもと、相手を追い込みます。そして最後のブレイクダウンの部分で倒しきって相手を越えていきます。こうした一連の流れ、武器にしていくプレーを選手たちを理解していると思います。継続していきたいですね。しかしラックで倒れて、ペナルティーをとられてしまった場面もありました。
――試合中のペナルティーが多かったと思います
ブレイクダウンで越えていくところで3人目の選手が相手をつかんでいなくてペナルティーをとられてしまうことが多かったですね。
CTB黒木健人副将(教4=宮崎・高鍋)
――勝ちました。今の気持ちを教えてください
勝ったことはよかったですね。ですが、得点できる場面で得点しきれなかったことは反省点だと思っています。
――それはペナルティーが多かったことですか
そうですね。敵陣まで行けていてもペナルティーしてしまうことが多かったですね。
――前回おっしゃっていたハードワークはできましたか
相手は外国人選手も多いことは分かっていたので、しっかり内、外を固め、ディフェンスではハードワークしようということでオフロードの対策はやっていました。そこはしっかりできたかなと思います。
――セットプレーからの攻撃は大東大戦、東海大戦に比べるとよかったと言えますか
球も何回か出ていて、アタックはしっかり自分たちがやろうとしていることやればゲインできていました。そこで相手に絡まれたりボールの出るタイミングが悪いと、相手のディフェンスのいい部分に引っかかっていたので、そこはもう一回改善していきたいと思います。
――ご自身のプレーはいかがでしたか
タックルは何回か行ったんですけど、精度が悪かったのでしっかり倒しきるという部分を意識していきたいです。
――同じCTBの中野将伍選手がいいタックルをしていました
頼もしいです。当たったら痛いだろうなと。冗談ですが(笑)。
――ゲームキャプテンから見てよかった選手はいますか
きょうは将伍(中野)がよかったですね。
――近くにいる選手へのパスが多かったです
風が強かったのでそれは意識していました。
――ブレイクダウンが激しかったと見受けました
相手には(プレシッシャーを)かけれる部分だと思ったので意識してやりました。そこでペナルティーが起きたのが良くなかったですね。
――ペナルティーの後キックを選択しました
外から指示がありました。そこのオプションをあまり用意していなかった部分もありますが、しっかり確実にスコアすることを選びました。
――次戦はどのように臨みますか
個人としてはタックル数とタックル精度を上げることにこだわっていきたいですし、U20日本代表組がいないので一人一人がハードワークしていきたいと思います。
フッカー宮里侑樹(スポ3=沖縄・名護商工)
――きょうの試合で何か意識したことはありますか
前回の東海大戦でセットプレーが崩壊していて、スクラムで球出しをちゃんとしてドミネートするというのを決めていたのですが、出せた部分と出せなかった部分があるので、しっかりと反省点を持ち帰って練習につなげていきます。
――きょうはペナルティーの多い試合でしたが、いかがでしたか
自分もペナルティーを何回かしてしまって、ハイタックルなど色々とあったので、低いプレーを次からはしっかりと心掛けていきたいです。
――宮里選手はフッカーとして試合に出場されるようになってまだ日が浅いですが、難しさなどを感じる点はありますか
バックローと違ってセットプレーが大切になってくると思うので、すごく集中してセットプレーを意識しています。
――ラインアウトの成功率が高かったように思いますが、その点についてはいかがでしたか
練習でもしっかりと合わせていたので、コールする人たちも相手の場所を選んでくれていました。後半は自分のミスが多かったので、そこはしっかり集中して後半でもいい精度で投げられるようにやっていきたいです。
――きょうは風が強く吹いていましたが、ボールを投げる際には風向きなどにも注意したのでしょうか
風が吹いている方向と逆方向に投げるようにして意識しました。
――スクラムであまりフッキングをされていないようですが、なぜですか
去年からスクラムにはこだわっているので、フッキングしないで相手を支配するということでしっかり前に押し切るように意識しました。フッキングはしないように、そして押し切ってペナルティーを取るというのが目標でした。
――次戦はどういったプレーがしたいですか
ディフェンスとセットプレーが課題だと思っています。ディフェンスで前に出て倒すというところと、セットプレーが安定しないとBKも前に出られないと思うので、セットプレーをしっかりと意識していきたいと思います。
ロック松井丈典(スポ3=愛知・旭野)
――今季初勝利ですが、いまのお気持ちを聞かせてください
勝つことにこだわってきて、勝てたので、ほっとしています。
――きょうはラインアウトのミスが少なかったですが、出来はどうでしたか
出来は8割くらいですね。どこで取るかなどを練習していて、そこでしっかり取れましたし、みんなの意思疏通もできたのでよかったです。
――スクラムは先週に比べて改善されていましたが、ご自身で振り返っていかがですか
低いところで組んで我慢してというのがワセダのスクラムなので、今週1週間それをもう一度見直して組んできました。押されることもあったのですが、しっかりワセダのスクラムが組めることもあったのでよかったです。
――FWが近場で攻めることも多かったように感じましたが、アタックではどのようなことを意識していましたか
FWは、SHからSOからボールもらった後にしっかりレッグドライブをして、1メートルでも2メートルでも少しでも前に出るということを意識していました。その点が自分はしっかりできたので、継続してやっていきたいと思います。
――ブレイクダウンが激しかったと思います
相手よりも早く頭を差し込んで越えていくということが大事なのですが、均衡したところでオーバーザトップや倒れてしまうこともありました。そこは足を自立して、足をつかんでオーバーしていくということを意識したいと思います。
――両チームともペナルティーが多い試合となりましたが、その点に関して反省などはありますか
前半にハイタックルで注意を受けてしまったので、低く入らないといけないなということを意識しました。
――来週から遠征が続きますが、今後への意気込みをお願いします
地元が愛知なので、試合に出ることができたらしっかりと頑張りたいと思います。
CTB中野将伍(スポ2=福岡・東筑)
――敗戦が続いた中で迎えたきょうの試合ですが、意識した部分はどこでしょうか
チーム全体としてハードワークし続けること、個人としてもハードワークをし続けることを意識しました。
―先制トライを挙げましたが、3人に囲まれながらのトライでした
あれはサインプレーで、狙われるのは分かっていたのでのですが、あそこでしっかりと取り切ることが仕事なので。何本がサインがあったのですが、1本決まったので今後は決められる本数を増やしていきたいと思います。
――一次攻撃でゲインする場面がここ2試合よりも多く見られましたが、振り返っていかがですか
前半は前に出ることができていたのですが、後半はマークも厳しくなって狙われだしてあまりゲインできなかったので、マークされた中でも工夫していつもゲインできるように反省して、今後に生かしていきたいです。
――ディフェンス面では、タックルが低めに決まった印象でした
前の2試合で反省点で出たので、そこは意識して取り組みました。
――ここ最近多くの選手が『際の部分』にこだわりたいと仰っていますが、そのあたりも影響はありましたか
そこ(際の部分)も反省点として出ていたので、まだ足りない部分はありますがそこを意識をして臨みました。
――また、ハイパントからの競り合いの部分で競り勝つ場面が多く見受けられましたが、ここは練習してきた部分なのでしょうか
ハイパントを蹴るサインはあって、試合の中で競られる位置にいたので競りにいきました。そこでボールを取ってマイボールにしないと意味が無いので、今後は競るだけではなくてマイボールを獲得できるようにしたいと思います。
――今後も同大、天理大と厳しい戦いが続きますが一言お願いします
いい試合だったり悪い試合を続けるのではなくて、常にレベルが下がることなく試合ごとに毎回成長したいなと思います。
WTB古賀由教(スポ1=東福岡)
――この試合を振り返っていかがでしたか
勝てたことは良かったですが、個人的には自分のサイドが突かれて、大外からトライを取られてしまったことと、トライを取りきれないことがあったことは反省すべき点だと思います。
――後半からアタックではキックを多用していました。ハーフタイムでの指示などはありましたか
状況に応じて臨機応変にハーフ団が決めていて、結果としてキックが多くなりました。
――ショットを選択した意図は何ですか
12-5でリードしていて、3点を追加すれば1トライ1ゴールでも追い付けない点差になるので選択したと思います。
――次戦に向けた意気込みをお願いします
チームが勝てるように精一杯自分ができることをやろうと思います。