ハンドボール部
2017.04.30
関東学生春季リーグ 4月30日 東京・東京女子体育大学体育館
足りないものを痛感。真価が問われるのはここからだ
関東学生春季リーグ(春季リーグ)は第4戦目を迎え、上位リーグ入りを目指す早大は東女体大と対戦した。前半は王者相手に粘りの戦いを繰り広げたが、後半に入ると体力とフィジカルの差が明暗を分け、17−26で完敗。これで早大の戦績は1勝1分2敗となった。
立ち上がりから1−2−3ディフェンスを敷き、ラインを高く設定した早大。打点の高い東女体大のバックス陣相手に積極的にプレスをかけ、はめにいく狙いを持って試合に入った。しかし、開始10分時点で2−6と、いきなり我慢の展開を強いられる。それでも「とにかく守って自分たちの得点につなげる」(川上智菜美副将、スポ4=東京・佼成学園女)という粘り強さが功を奏し、ここから戦局は大きな変化をみせた。期待の新星・吉田瑞萌(スポ1=東京・佼成学園女)の強烈なミドルシュートや、守護神・大沢アビ直美(スポ2=東京・佼成学園女)のファインセーブ、そしてきのうの試合で5得点を挙げた富永穂香(スポ3=東京・佼成学園女)のカットインなどで同点に追い付いた。その後も安藤万衣子主将(教4=東京・文化学園大杉並)のパスから、サイドスルーで相手の裏に入り込んできた川上が決めるなど、昨季の王者相手に堂々と渡り合う。残り3分からの3連続失点は痛かったが、それでも9−13と、逆転を射程圏内に入れて折り返した。
1年生の吉田は強烈なミドルシュートで存在感を放つ
課題があらわになったのは後半だった。スピードとパワー、そしてスタミナを兼ね備える東女体大に対し、早大は後手に回ってしまった。「体力がなくなり、自分たちからキーパーに当ててしまった」(川上)と振り返るように、次々にノーマークのチャンスを逸し、じわじわとその差を広げられてしまう。残り10分からは、パスミスも多くなり、流れは完全に東女体大へ。リーグ優勝、そして全日本大学選手権(インカレ)でのメダル獲得を目指すチームにとっては、今後への重要な試金石ともいえる試合になった。
コート内外でチームをまとめる安藤主将
さて、1次リーグも残り3試合となった。対戦相手は日程順に国士舘大、日女体大、東海大。上位リーグ進出圏内の4位以内に食い込むためには、どれも落とすわけにはいかないカードである。ここまでを振り返ると、苦手の日体大を開幕戦で退け、昨年度インカレベスト4の桐蔭横浜大と筑波大とも善戦した。きょうの試合も、敵わないほど力の差があったとは思えない。主力級の4年生が不在の中、チームは及第点以上の戦いを見せていると言っていいだろう。何よりの強みは、チームが一丸となって戦えていることだ。4年生がチームを引っ張り、後輩たちがそれを支える。理想的なチームワークが、今の早大にはある。「後輩たちの力が大きい。特に3年生。主体的にいい雰囲気をつくってくれている」(安藤)。チームをまとめる安藤自身も、今は試行錯誤を重ねている段階だ。戸惑いや不安もある中で、必死にサポートしてくれる後輩たちの存在は心強いに違いない。連携をさらに強固なものにし、課題を一つずつクリアしていければ、このチームはまだまだ強くなれる。春季リーグの残された戦いを通じて、その可能性の大きさを証明してくれると信じている。
(記事 栗村智弘、写真 佐々木一款)
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関東学生春季リーグ | ||||
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早大 | 17 | 9−13 8−13 |
26 | 東女体大 |
GK 大沢アビ直美(スポ2=東京・佼成学園女) LW 内海菜保(スポ4=香川・高松商) LB 金庭亜季(社3=群馬・富岡東) CB 安藤万衣子(教4=東京・文化学園大杉並) PV 楯如美(スポ2=岐阜・飛騨高山) RB 富永穂香(スポ3=東京・佼成学園女) RW 川上智菜美(スポ4=東京・佼成学園女) |
コメント
CB安藤万衣子主将(教4=東京・文化学園大杉並)
――全力でチャレンジということはできましたか
きょうはずっと追いかける展開だったんですけど、そこになんとか追いつこうという気持ちはずっと切れることなくあったと思います。
――前半調子が良かった印象でしたがいかがですか
自分が中に立ってやっているからわからないんですけど、前半も後半もそこまでダメだなというときはなかったですね。大きく離されたらまずいなと思っていたんですけど、自分たちのやることをやればいいゲームはできると思っていました。
――きょうはサイドシュートもしっかり打てていました
昨日は完全に足が止まってさばききれなかったところを、さっき言っていたように『全力』で全員が最後までシュートいけて、サイドシュートを増やそうということを言っていたので、そこはできていたと思います。
――立ち上がり10分の状態はいかがでしたか
シュートを外してたんですよね。いけるけど外したり、守り切ったけど決められてしまうとか、まだいけるという気持ちでずるずる行ってしまったなと思います。守り切ったり攻め切ることはできたんですけど、そこは良くなかったなと少し思います。でも想定内といえば想定内ですね。
――安藤選手個人のオフェンスの調子はいかがですか
私は得点を決めるのが仕事じゃないので、1試合で2,3点決めてあとはサイドとかを生かせればいいかなと思っています。穂香があの背で5点とか取っていたり、サイドがシュートを決められるのは私からさばいたパスだったりするので、私のパスから周りで点を取れれば満足です。きょうはポストは出せなかったんですけど、智菜美には出せたので良かったです。
――安藤選手のプレーが周囲の得点につながっている
穂香が走りこみやすいようにパスを出したり、瑞萌に打たせたり、サイドにパスを落としたりして個人能力の高い子たちを活かせればいいなと思います。誰よりも早くサイドパスを出したり、というところは私が一番うまいと思ってやっているので。得点も欲しいですけど、そこはあまり欲張らずにやっています。
――今季は柔軟なディフェンスシステムを敷いていますね
このチームにはこのディフェンスが効くというのはまだなくて、こっちも手探りの状態ですね。きょうの東女体大は個人の1対1が強いチームだったので、もっと個々のディフェンス能力が無いとどんなディフェンスでもやられるのかなと思います。まだきょうは1-2-3だと相手もミスをしてくれたところを前に持って行けたり、そこが持っていけなくて失点につながった場面もあったんですけど、1-2-3は一線より計算が立つのかなと思います。
――今季、チームとして戦えているという印象を受けます
そういってもらえるのは嬉しいです。優花(芳村副将、教4=愛知・星城)とか得点力がある子がいなくなっちゃって。私も決まらなくても積極的に打っていかなきゃという気持ちがあるので、そこは優花たちが戻ってきてもプラスになるのかなと思います。
RW川上智菜美副将(スポ4=東京・佼成学園女)
――きょうの試合はいかがでしたか
前半の終わりのところで、自分たちがバテてしまって離されてしまったことと、後半も自分たちの体力不足で相手に走られてミスを多くしてしまったことが敗因だと思います。ミスが相手の得点に直結してしまいましたし、体力不足とフィジカルの弱さが出た試合だったと思います。
――前半の終わりにはすでに消耗も激しかったということですか
バテたというよりは、走り負けていたということですね。
――最初の10分間は得点も奪えず苦しい展開でしたが、そこから一気に波に乗った印象です
他の試合でもそうですけど、点の取れない時間帯はとにかく守って自分たちの得点につなげていこうという話はしていますし、これまでの相手に対してはそういう戦い方ができていたと思います。ただ、きょうの場合は東女の走る力に負けてしまったという感じです。
――相手の高さのあるDFに対してどういった狙いを持って試合に入りましたか
(相手DFの)真ん中二枚のところで、もちろんあの二枚の上から打つのは厳しいと思いますけど、間を割ることならできると思っていました。そのためにポストを止めずに動かして、その逆をセンターが強く割っていくという狙いはありました。
――相手は早大の速攻を潰すために、GKからのパスカットを徹底して狙っていました
そうですね。序盤から、1段目(GKから最も近い位置で受ける選手)に完全にふたり付いている状態で、その後ろの選手がもらいにいこうという話し合いはしました。ただ、疲れた状態でのパス交換がうまくいかなかったので、もっと全員がもらいにいく動きをしなければいけなかったと思います。
――チーム全体として、ノーマークのミスがいくつかありました。やはり相手GKのレベルも高かったということでしょうか
というよりは、完全に自分たちの体力不足、気持ちの問題です。事前に分析して沈みやすいキーパーだということはわかっていて、ためて上を狙おうという話もしていたのに、体力がなくて下しか打てないという場面が多くありました。いっぱいいっぱいになってしまって、自分たちからキーパーに当ててしまいましたね。
――試合終了後に話し合ったことについて教えてください
監督やコーチから言われたのは、やっぱり体力不足とフィジカル不足ということです。あとは、後半のミスが原因で負けてしまったということで、速攻のつなぎ方や最後のシュート練習をもっと詰めていこうという話し合いをしました。
――ご自身にとって最後の春季リーグとなりますが、ここまでの4試合を振り返ったうえで、上位リーグに向けてはどういったことが必要になってくると思いますか
キーパーが止めてくれているということもあって、ディフェンスは思っていた以上に機能していると思います。私自身の調子が悪い中で、後輩たちが盛り上げてくれていますし、点も決めてしっかり守ってもくれるので、本当に今はチーム全員で戦っているという感じがしています。ここからはより粘り勝ちできるチームになっていきたいので、細かい課題は4年生で話し合って練習を組んで、とにかく気持ちで負けないようにしていきたいです。
PV楯如美(スポ2=岐阜・飛騨高山)
――きょうの試合はいかがでしたか
前半はいい勝負ができていたと思うんですけど、後半は体力やフィジカルといったところで負けてしまったと思います。
――開始から1-2-3ディフェンスを敷いた理由を教えてください
東女体大は結構上から打ってくるチームですし、こっちからはめにいこうというイメージがありました。ミドルとかをあまり打たれなかった分、守れなかったという感じはしていないですし、それだけ自分たちのディフェンスが機能していたということでもあると思います。ただ、一対一で抜かれたところへのフォローにいくイメージができていなくて、そこでやられてしまったと思います。
――東女体大は一対一の強さもワンランク高いレベルにある印象です
体に接触していてもボールが生きているので、そこでつながれてしまうことが多いですね。そこが違いだと思います。
――ディフェンスでラインを組む内海選手と話し合っている場面がありました
相手のセンターがうまい選手で、その選手が私とトップの亜季さん(金庭、社3=群馬・富岡東)の間を割りにきたときに、私が駆け引きで自分のマークの45のほうにいってしまったことで、その間を割られる場面が何度もあったので、「私が亜季さんのフォローにいくので、45はお願いします」と菜保さん(内海、スポ4=香川・高松商)に伝えました。次はどうするだとか、菜保さんとのそういう話し合いは練習のときからもするようにしています。
――体力面やフィジカル面の課題を克服していくためには何が必要だと思いますか
練習時間は常に限られている中で、中身の濃い練習をしていかなければいけないと思いますし、例えばきょうの集合で村さん(村山絵理奈コーチ、平21スポ卒=埼玉・浦和実)、に言われた「フィジカルを強化するために武蔵関公園の坂をダッシュするメニューを入れたらどうか」ということであったりとか、とにかく使えるものは全て生かして練習していくしかないと思います。
――今季はスタメンで出場する試合が多くなりました。それに関してはいかがですか
試合に出るということは、チームを代表しているということですし、自分はディフェンスが得意なので、ディフェンスで中心になっていって、それでチームに貢献できればと思っています。逆にオフェンスは自分にとっての課題なので……とにかくオフェンスは練習を頑張ります!