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ラグビー部

2017.04.23

関東大学春季大会 対大東大 4月23日 早大上井草グラウンド

セットプレーが崩壊、無念の完封負け

 早大上井草グラウンドに大東大を招いて行われた、関東大学春季大会の初戦。「結果にこだわっていく」と山下大悟監督(平15人卒=神奈川・桐蔭学園)が語ったように気合十分で臨んだ一戦であったが、FW陣とBK陣が嚙み合わず、0-27と完封負けを喫した。

 ゲームの序盤、早大は攻勢に出る。前半3分、早大は相手の立ち上がりの隙を突き、敵陣5mでマイボールラインアウトの好機を得るがモールで押し切れず。5分には再びラインアウトを起点に敵陣深くに進攻。サイドアタックでフェーズを重ね得点機をうかがうが、相手の粘りのディフェンスをこじ開けることができない。早大は攻め続けるものの決定打を欠き、試合の主導権を徐々に大東大に握られてしまう。12分にキックチェイスのギャップを突かれ、先制トライを許すと21分、28分にもサイドからのラインブレイクを起点に追加点を奪われてしまう。早大も前半終盤からBK陣を中心に反撃に転じるも得点には至らず。0-17で前半を終えた

セットプレーの安定感を欠いた

 迎えた後半、早大はSO岸岡智樹(教2=大阪・東海大仰星)やFB横山陽介(スポ4=神奈川・桐蔭学園)を中心にキックゲームを展開。効果的にエリアを獲得することに成功するも、セットプレーが崩壊。再三の好機を潰してしまう。以降もBK陣がピッチを広く使った展開ラグビーでアタックするが、ハーフタイムで早大に対応してきた相手のディフェンスに弾かれてしまう。得点を奪えない焦りは、機能していたチームディフェンスを鈍らせていく。「FWとBKのポジショニングで間を抜かれた場面があった」とCTB黒木健人副将(教4=宮崎・高鍋)が語るように前のめりになった早大FWとBKの間にできたギャップを起点に相手に追加点を奪われてしまう。結局、早大は相手から得点を奪うことができず、0-27でノーサイドとなった。

豊富な運動量が光った齋藤直

 昨季同様、「スクラム・ディフェンス・ブレイクダウン」の3本の矢を戦略の軸に据えた早大。しかし、この試合ではFW陣のメンバーが昨季から大きく入れ替わり、スクラムやラインアウトといったセットプレーでの精彩を欠いていた。「スクラムとラインアウトが崩壊していて、これでは試合にならないので、しっかり修正して精度高いものにしていかなければいけない」とNO・8加藤広人主将(スポ4=秋田工)が語るように終始セットプレーの主導権を握られ、チーム戦略の軸を失ってしまった。後に控える強豪校との連戦を勝利で飾るためにも、セットプレーを安定させることが急務だ。

(記事 浅野純輝、写真 曽祢真衣、矢野聖太郎)

関東大学春季大会
早大 スコア 大東大
前半 後半 得点 前半 後半
17 10
合計 27
早大メンバー
背番号 名前 学部学年 出身校
鶴川 達彦 文構4 神奈川・桐蔭学園中教校
  前半28分交代→16井上    
鷲野 孝成 基理3 神奈川・桐蔭学園
  後半0分交代→17宮里    
丸尾 隆大郎 社3 東京・早実
沖野 玄 商2 北海道・函館ラサール
松井 丈典 スポ3 愛知・旭野
増原 龍之介 教2 広島・崇徳
  後半31分交代→20幸重    
柴田 徹 社2 神奈川・桐蔭学園
◎加藤 広人 スポ4 秋田工
齋藤 直人 スポ2 神奈川・桐蔭学園
10 岸岡 智樹 教2 大阪・東海大仰星
11 桑山 聖生 スポ3 鹿児島実
12 中野 将伍 スポ2 福岡・東筑
  後半23分交代→22フリン    
13 黒木 健人 教4 宮崎・高鍋
14 佐々木 尚 社3 神奈川・桐蔭学園
  後半31分交代→23作田    
15 横山 陽介 スポ4 神奈川・桐蔭学園
リザーブ
16 井上 大二郎 スポ3 愛知・千種
17 宮里 侑樹 スポ3 沖縄・名護商工
18 入谷 怜 スポ3 愛知・南山
19 中山 匠 教2 東京・成城学園
20 幸重 天 文構2 大分舞鶴
21 吉岡 航太郎 スポ4 国学院栃木
22 フリン 勝音 スポ3 福岡・筑紫丘
23 作田 蓮太郎 教4 東京・早実
※◎は主将、監督は山下大悟(平15人卒=神奈川・桐蔭学園)
コメント

山下大悟監督(平15人卒=神奈川・桐蔭学園)

――きょうの試合をふり返っていかがですか

スクラムやラインアウトなどセットプレーがよくなかったですね。最初の我慢比べの部分で負けてしまいました。接点ができるまでに間合いをつめることができていなかったので、これからは積極的にやっていってほしいですね。タックルが外されてしまうことも多かったと思います。

――アタックで相手を攻めきることができませんでした

アタック自体はまだ準備している段階ですので、特に意識はしていないです。ただもう少し積極的にしかけていってほしいですね。

――外国人選手への対応についてお聞かせください

特にやっていないですね。とにかく相手の1人に対して2人でディフェンスするのは外国人に関係なくやれることだと思っているので。きょうの試合では高くタックルに入る選手がいたので残念でした。

――次の試合に向けて取り組みたい課題はありますか

引き続きチームの強みであるスクラム、チームディフェンス、ブレイクダウンの3つを中心に取り組んでいきます。ディフェンスでは、局面ができたらターンオーバーできる場面もあったので、いかにそういった状況を作っていくか意識していきたいと思います。

NO・8加藤広人主将(スポ4=秋田工)

――1試合を通してセットプレーが安定しませんでした。まず、スクラムに関してはいかがでしたか

相手が重いのは分かっていて、8人で低くまとまっていつも通りやってきたことを出そうと思っていました。しかし、思うようにいいスクラムが組めず、崩されてから同じ流れでずるずるいってしまって、こういう結果になってしまいました。

――加藤広主将もジャンパーを務めていましたが、ラインアウトはどのような点を改善しなければいけないと思いますか

僕としては、しっかりいつも通りのいい精度でやれば取れるものばかりだと思っていたのですが、相手の特に高い選手に競られてしまって。いつもの精度が出せずにバタバタしている選手や単純なキャッチミスをする選手もいて、そこは慣れるしかないというか、僕からも呼びかけるのですがやるしかないので、次の試合までに修正していきたいと思います。

――フッカー宮里侑樹選手(スポ3=沖縄・名護商工)はフッカーに転向して間もないですし、プロップ丸尾隆大郎選手(社3=東京・早実)もAチーム初スタメンでした。昨年からFWのメンバーが大きく変わった影響はありましたか

FWのセットプレーの部分が、やはり全然違いますね。シーズンが始まったので、しっかり合わせていっていい精度でできるようにしていきたいと思います。

――アタックは攻め手を欠いた印象でしたが、当初はどのようなプランだったのですか

去年のものをベースに、やることを全員で確認して意思統一してやっていこうと言っていました。結局、ゴール前で僕自身を含めてFWがあまり前に出られなかったので、そこで(トライを)取り切れていたら変わってきたかなと思います。

――大東大のディフェンスが堅かったように見えましたが、実際に戦ってみていかがでしたか

特に後半は、しっかり外に展開して前に出てゴール前まで迫ることができたのですが、結局ラインアウトとスクラムで取れなかったですし、外に展開してゴール前まで行っているのにタッチに出されて、ターンオーバーされてしまいました。相手のディフェンスというよりは、セットプレーと、取り切るという部分が大きかったかなと思います。

――ハーフタイムにチームに対してどんな声をかけましたか

僕らがことしやろうとしていることはシンプルなので、2月から今まで積み上げてきたことをしっかり出すことができれば、結果は付いてくるからということだけは伝えました。

――東海大戦に向けて修正していかなければいけない点はどこでしょうか

FWはスクラムとラインアウトが崩壊していて、これでは試合にならないので、しっかり修正して精度高いものにしていかなければいけないと思います。特にスクラムはノミネートして相手を圧倒できるようにしていかなければいけないと思います。アタックは取り切なければいけないですし、ルーズボールの反応もあまりよくなかったですね。僕らは強くないのでハングリーに行こうということを、僕自身も含めて意識していこうと思います。

CTB黒木健人副将(教4=宮崎・高鍋)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

ディフェンスでやろうとしていたことのできた部分とできなかった部分がありました。僕自身はけっこういい手応えをつかめたのですが、FWとBKのポジショニングで間を抜かれた場面があったのでそこを修正していきたいです。アタックは深さを意識しようとしたんですけど、浅くなって相手の詰めるディフェンスに引っ掛かってしまいうまく回せなかったので、しっかりビデオを見て確認したいと思っています。

――BK全体についてはいかがですか

ミスが多くあるのは想定していたんですけど、ミスを相手にうまく拾われてそこでつながれて失点してしまったので、ミスボールの反応に対してまだまだ意識が足りなかったと思います。

――大東大の印象はいかがでしたか

外国人選手がたくさんいて力強いプレーをしてくるのは分かっていたので、そこをしっかり抑えようとはしていたんですけど、ゲインされてうまくつなぎ切れなくなってしまいました。1人目がしっかりテイクダウン取ろうと言っていたんですけど、そこができなかったのがよくなかったです。

――大東大のハーフバックがうまかったと見受けました

動きが良かったんですけど、僕らが逆に自由にやらせすぎたと思います。もう少しプレッシャーを与えられたらと思います。

――自身のプレーについてはいかがでしたか

ディフェンスはできたんですけどアタックがまだまだでした。レックドライブして前に出たかったんですけど、ミスで終わってしまった場面があったのでしっかり修正したいと思います。

――ゲインする場面もありました

そうですね。早くからストレングスを始めてウエイトアップしたのでそこが生きたかなと。当たって力負けした感じがなかったのでそこはよかったと思います。

――初戦でしたが緊張はありましたか

緊張はなかったんですけど、勝つことにこだわっていたのでそこで結果を出せなかったのは本当によくないことで修正したいと思います。

――次戦の東海大戦に向けて一言お願いします

ディフェンスはターンオーバーまでしっかりやりきること、アタックはまずはしっかり点を取り切るようにやっていたいです。

プロップ鶴川達彦(文構4=神奈川・桐蔭学園中教校)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

2月からずっと力を入れているスクラムのところでやられたので、そこは悔しかったですね。

――ラインアウトはいかがでしたか

相手は身長が高かったのですが、しっかりスローイングをしたり、リフトをマックスまで上げたりといったことをしっかりできれば、取れたとは思います。そこで相手のサイズに圧倒されて消極的になってしまったのがミスですね。

――セットプレーが不安定だったことをどう分析しますか

ラインアウト、スクラムをしっかり安定させるのはFWの1番の役目なのですが、サイズがある相手の高さに付き合って浮いてしまったのが原因だと思います。

――自身が3番をやることについてはどう思いますか

両方とも経験は浅いのですが、今のチームでは3番も組めないといけないと思います。本当は1年間やって慣れている1番がいいですが。

――BKのパスミスなどについてはどう思いますか

その前のポイントやセットプレーでFWがきちんとボールを出せず、ゲインしていいかたちで渡せなかったのがミスの原因なのかなと思います。

――次回への意気込みをお願いします

次回しっかり切り替えて、やはり自分たちの課題を見直して特にセットプレーに力を入れてやっていきたいと思います。

WTB桑山聖生(スポ3=鹿児島実)

――桑山選手の逆サイドを抜かれるシーンがありましたが、チーム全体のディフェンスを振り返っていかがですか

ゲインされたことも多かったのですが、実際にトライにつながるプレーはFWとBKの間がけっこう多かったので、そこのつなぎ目を修正していかないといけないなと思いました。

――アタックでは攻め手を欠いたように見えましたが、チームのアタックのプランはどのようなものだったのですか

一つ一つのポッドで前に出て、最後に外で取り切るというかたちに持っていきたかったのですが、僕を含め中のポッドの選手が全然前に出れなくて、外側もいいポジショニングをしてボールを外に運べていなかったので、そういうところでトライまで持っていけなかったのかなと思います。

――キックゲームが良かったと感じましたが、キックに関してはいかがでしたか

岸岡(SO岸岡智樹)と横山さん(FB横山陽介)が裏を見ていいキックを蹴ったり、外側の選手からイニシアチブを取って裏に蹴ったりしていたので、キックを使うというオプションは良かったと思います。ただ、キックが多くなってしまって、相手にボールを与える時間が多くなってしまったかなと思います。ターンオーバーできなければ相手ボールになってしまうので、それが僕らがアタックする回数が減ったことにつながったかなと思います。

――大東大のディフェンスが堅かったと思いますが、いかがでしたか

前半最初は僕らも外にうまく運べていたのですが、途中から相手に対応されて詰めてこられて、そこに僕ら自身が対応できなくて外に運べませんでした。試合中に修正されたりと、いいディフェンスをされました。

――前半終盤からFWがあまりアタックに参加していないように見えました

チームとしてはFWもしっかり参加して前に出て、BKが外に運ぶというのが理想で、僕らが何か意識したわけではないので、結果的にそうなっていたのであれば修正していかなければいけないと思います。

――東海大戦に向けて修正していかなければいけない点はどこでしょうか

もっと一人一人、一対一の部分で勝っていきたいです。前半いいプレーだったのですが、後半試合中に相手に対応されて僕らがしたいアタックができなかったので、僕らも相手のディフェンスに対応して、トライをどんどん取っていきたいと思います。ディフェンスは修正していきます。

FB横山陽介(スポ4=神奈川・桐蔭学園)

――この試合を振り返って、いかがでしたか

取れるところで取れなくて自分たちの首を絞めて、ミスからトライを取れずに自滅してしまいました。

――FBのディフェンスについて何を意識していますか

相手が突破してきた場合、内側から誰かがカバーに来てくれていたのでオープンサイドに相手がいかないようにコースを切っていました。バックスリーでは相手が抜けてきてもコミュニケーションをしっかり取って守っていました。

――両サイドからの失点が多かった理由はどこにあると思いますか

抜かれた場面としてはサイドですが、結局はその前のセットプレーでのミスであったり、パスミスのこぼれ球を相手に拾われた点が原因にあると思います。

――キックゲームで効果的にエリアを獲得していました

僕と直人(SH齊藤直人、スポ2=神奈川・桐蔭学園)と岸岡が3人とも両足で蹴れるので、キックを中心に後半はエリアを取ろうと思ったのですが、エリアを奪ったあとのディフェンスやミスボールへの反応が相手の方が速かったので修正したいです。

――アタックでは決め手を欠いていたように思えました

アタックでは一人一人、しっかりゲインを切り、その上でキーマンがトライをとりきるというイメージを持っていたのですが、ゲインが切れなかったり、レッグドライブし切れず、いい状態でキーマンに渡すことができなかったので決め手に欠いているように見えてしまったと思います。

――次戦に向けた修正点をお願いします

FW陣にはセットプレーを修正してほしいです。BK陣ではハンドリングを中心に基礎練習で確実性を上げることと、この試合では少ないサインでやっていたサインプレーがこの先増えていくと思うので、その精度を上げたいと思います。