漕艇部

2017.04.16

第86回早慶レガッタ 4月16日 東京・隅田川

成し遂げた完全優勝!隅田川を制し王座奪還

 覇者の名を告げる『紺碧の空』が3度、隅田川に響いた。女子、第二、対校。三つのエイト種目を制した早大が、長年の悪夢を振り払い、早慶レガッタでの完全優勝を達成した。ここ5年、慶大に悔しい敗戦を喫してきた対校エイトが勝利を決め完全優勝が決まった瞬間、早大陣営は歓喜に沸いた。

★まさかの展開も終盤で逆転、28連覇を達成(女子エイト)

 10時45分、雲一つない空模様の下、女子エイトのレースが発艇した。しかし、序盤から予想外の展開となる。絶対的な強さを持つ早大だが、スタートから出遅れると安定したコンスタントに移行することができず、1艇身のリードを献上、中盤に入っても思うように差を詰められない。そこから徐々に追いすがるものの、残された距離は短く優勝が危ぶまれる展開となった。しかし、ここでラストスパートに差し掛かった慶大がまさかの腹切りで失速。スピードに乗っていた早大は、慶大艇が止まる間に一気に逆転し先に桜橋を通過する。最終的に2艇身以上の差をつけゴール。ひやりとするレース模様となったが、女子種目28連覇を達成し、まず早大に1勝をもたらした。

厳しい戦いとなったが、勝利をもぎとった女子エイト

★スタートで飛び出しリードを譲らず、隅田川で久々の勝利(第二エイト)

 徐々に風が強くなり始めた正午、2勝目をつかむべく第二エイトがレースに臨んだ。最初のポイントとなるスタートスパートを決め、序盤から1艇身のリードを奪う。大柄な選手を多くそろえる慶大に対し早大は、終始2枚以上高いレートで隅田川を漕ぎ進めた。中盤に差し掛かる蔵前橋で慶大が追いすがるものの、動じない早大は相手を見て冷静に出力を上げ、逆に突き放す。

 3750メートルの長距離も半ばを過ぎ、2艇身の差がついたところで慶大が再びペースを上げ、わずかに接近。しかしそれでも安定感を失わない早大は、質の高いハイレートの漕ぎを貫く。終盤が近づく駒形橋付近でさらにペースを上げ、再度相手を突き放しにかかった。ラストスパートまでミスなく移行すると差は大きく広がり、3艇身を越えるリードを奪いゴールに飛び込んだ。昨年はレース中止の憂き目に遭い戸田ボートコースで行われた再レースで勝利を得たが、ことしはきっちりと隅田川での勝利をつかむ。これで2勝、完全優勝へのお膳立ては整った。

完璧な勝利を喜ぶ第二エイト

★宿敵を6年ぶりに撃破!完全優勝を達成(対校エイト)

 メインレースに挑む対校エイトは、例年通り春の強風が吹く中で発艇した。昨年は高波の影響を強く受ける試合となったが、ことしは両チーム共に順調なスタートを切る。両者が最初のカーブを切った時点で、慶大がやや先行する展開。わずかに差の増減を繰り返しながら、レースは序盤から中盤に移行する。ここで、早大がターニングポイントに設定していた地点が訪れた。「総武線鉄橋(1500メートル付近)で慶大に出られていたら、コンスタントのレートをもう2枚上げて漕ぎ切るということを意識していた」(内田達大主将、スポ4=山梨・吉田)と、事前に練ったレースプラン通り、ピッチを上げ慶大を追い上げる。

 わずかにあった差は詰まり、中盤から二艇が完全に並んだ状態で激しいつばぜり合いが繰り広げられた。高過ぎないレートで丁寧に漕ぎ進める慶大に対し、早大は全てのオールが水を叩くほどの勢いで、ハイペースの漕ぎを続ける。一つのミスも許されない状況の中、両艇は互いに先行を許さず、横一線のままレースは終盤へと突入した。駒形橋を過ぎ、残る距離が1000メートルに近づいた地点で、均衡した展開の中から抜け出したのは早大だった。ストロークペア(船尾側の2人)が刻む高いレートを後ろの6人が支え続け、高速のピッチを崩さなかった早大は、ついに半艇身のリードを奪う。ラスト500メートル付近で慶大が食い下がるものの、優位を譲ることはなかった。大観衆が待つ桜橋を一瞬早く越え、早大の船首が先にゴールラインを通過。1艇身差、2秒にも満たないその差ながら、6年ぶりの対校エイト優勝を決めた瞬間だった。待望の、かつ会心の勝利。そして悲願の完全優勝達成に、選手は喜びを爆発させた。

桜橋を凱旋(がいせん)する対校エイト

 隙のない準備が勝利を呼んだ。今回のレースに向け、対校エイトは新艇『稲冠』を新調。さらに、ターニングポイントの設定や失格にならないコース取りの認識をクルー全体で徹底してきた。そして、『キャッチで水をつかむ』という共通意識。中盤何度もオールが水を叩きながら、決してぶれない漕ぎを継続できた理由は、オールの入水をしっかりとそろえ水を押し続けるというこの意識の統一に他ならない。慶大・小澤祐資監督の「(慶大の)選手たちは、レースプランを全てやってくれた。それでも負けてしまった」という言葉の通り、隅田川で悔しい敗戦を喫し続けてきた早大の、これ以上ないほど緻密な準備とそれを遂行する技術力が、完全優勝をもたらしたことは間違いない。これ以上ないスタートを切った早大にとって、最高のシーズン到来の予感がする。

(記事 喜田村廉人、写真 加藤佑紀乃、久野映)

結果

【女子エイト】

C:澤田夏実(スポ3=東京・小松川)

S:田口えり花(商4=埼玉・浦和一女)

7:北村綾香(スポ3=滋賀・膳所)

6:青木華弥(教3=東京・本所)

5:木野田沙帆子(スポ4=青森)

4:木下弥桜(スポ2=和歌山北)

3:石上璃奈(スポ4=長野・下諏訪向陽)

2:木下美奈(スポ4=山梨・富士河口湖)

B:南菜月(教2=新潟南)

3分53秒31 【優勝 2・1/2艇身差】


【第二エイト】

C:徐銘辰(政経2=カナダ・St.Andrew‘s highschool)

S:井踏直隆(文構3=東京・早大学院)

7:有田雄太郎(法4=東京・早大学院)

6:金子怜生(社3=東京・早大学院)

5:飯尾健太郎(教3=愛媛・今治西)

4:高山格(スポ2=神奈川・横浜商)

3:土屋夏彦(スポ2=山梨・吉田)

2:藤井拓弥(社2=山梨・吉田)

B:尾崎光(スポ3=愛媛・今治西)

14分01秒30 【優勝 3・1/2艇身差】


【対校エイト】

C:佐藤修平(文4=秋田)

S:東駿佑(政経4=東京・早大学院)

7:石橋広陸(スポ4=愛知・豊田北)

6:石田良知(スポ4=滋賀・彦根東)

5:堀内一輝(スポ2=山梨・富士河口湖)

4:内田達大(スポ4=山梨・吉田)

3:伊藤大生(スポ3=埼玉・南稜)

2:鈴木大雅(スポ3=埼玉・県浦和)

B:得居亮太(法4=東京・早大学院)

11分05秒04 【優勝 1艇身差】

コメント

内田大介監督(昭54教卒=長野・岡谷南)※記者会見より抜粋

――きょうのレースの感想をお願いします

ご覧になった通り、どちらの大学が勝ってもおかしくないレースでした。たまたま私共が少し前に出させてもらいましたけど、逆のレースもあったかもしれないと思います。今回の慶大のクルーが昨年のインカレ(全日本大学選手権)で4位、全日本選手権で5位を成し遂げたメンバーが多く残っていたので、それに勝てたということが非常に大きな価値があったと思います。レースは終わりましたが、両校の選手共々これからも競い合って、大学日本一を目指して切磋琢磨(せっさたくま)していきたいと思っております。

――対校エイト5連敗中ということでプレッシャーなどはありましたか

5連敗というかたちではありましたが、出場する選手は毎年変わっておりますので、5連敗中のプレッシャーというよりはまずは彼らのレースをしよう、隅田川で楽しんできっちり勝負をしようということを最初から話していました。

内田達大主将(スポ4=山梨・吉田)※一部記者会見より抜粋

――きょうのレースの感想をお願いします

まずは大会の運営にご尽力してくださった皆様、本当にありがとうございました。レースの感想としては素直に嬉しく思っております。このような環境で慶大さんと競り合えたことを本当に誇りに思います。

――今回のレースはどのような戦略で臨まれて、何が勝因になったと思われますか

僕らとしては、スタートしてから総武線鉄橋までが1つのターニングポイントでした。もしそこで慶大に出られていたら、そこでコンスタントのレートをもう2枚上げて漕ぎ切るというのを想定していました。それは1週間前からずっと選手たちでイメージトレーニングを行い、何度もそのイメージを持ってきょうまでやってきました。実際、きょうのレースではスタートから慶大がいいスタートを切り、総武線鉄橋で出られてしまい、我々としてはピンチを迎えました。そこでストロークペアを信じ切ってバウシックス(船首側の6人)が2枚上げて、その後のコースを乗り切ったことが勝因だと思います。

――コンディションや水の入り方はいかがでしたか

今回対校エイトでは新艇を使用しまして、名前は『稲冠』といいまして4月からその艇で練習をしていました。その船は水に浮きやすい構造となっており、水の入り方としては昨年ほどではなかったと思います。また波よけに関してもうまく働いてくれたと思っています。

――リードを奪った地点で慶大とオールが接触するほど近い位置にいましたが、おととしの失格判定はちらつきませんでしたか

いや、もう全然です。僕らは審判説明会で、何が反則で何が反則じゃないかを明確に質問して、その許す限りのコース取りをしてきました。たまたま接触しそうになるほど近づいただけで、2年前がちらついたとかそういうことはなく、何があってもいいように準備してきたということです。

――かなり水を叩きながらハイレートの漕ぎを続けていました

クルーの意識として、何があってもキャッチで水を捉えて横に(水を)押して加速していく、ストロークペアのリズムに合わせて加速させていくということがあり、そこがしっかり表現できました。

――そこを統一してレートを落とさないようにという意識でしたか

はい。絶対レートは落とさないようにと。

――ゴールした瞬間のお気持ちは

もう、感情が爆発しましたね。一瞬、勝ったのが信じられないというか、ゴールラインを切った瞬間我を忘れてしまいましたね(笑)。本当にうれしかったです。