ア式蹴球部

2017.04.04

【ワセダ×湘南ベルマーレ】平成29年卒業生特別インタビュー③ |後藤雅明

 

 すでに開幕したJリーグ2017シーズン。今季より新たに湘南ベルマーレ(J2)の一員となった後藤雅明(平29スポ卒=東京・国学院久我山)の挑戦も始まっている。長い手足を生かしたシュートストップを最大の武器に、守護神として最後方からア式の堅守を支えた男の次なる目標とは。

※この取材は3月16日に行われたものです

 

 

――新シーズンがすでに開幕していますが、ご自身のコンディションはいかがですか

後藤 プロになってから良かったり悪かったり、自分のコンディションに波ができてしまっていると感じています。ブレずに常にいい状態を保てるように、これから色々取り組んでいきたいです。

――Jリーガーとしての新生活はいかがですか

後藤 新しく一人暮らしも始めて、すごく新鮮な気持ちです。一日一日、サッカーに集中できていると思います。

――日々の練習に関してはいかがですか

後藤 練習に参加し始めてから最初の一ヶ月は、ただひたすらプロの環境に慣れようという感じで、ついていくのに必死でした。今は徐々に気持ちの面で余裕ができてきて、自分の色を出していこうという意識をより強く持って取り組めていると感じます。

――オフはスペインでのトレーニングキャンプにも帯同されましたが、これに関してはいかがでしたか

後藤 海外の選手は体も大きくてパワーもありますし、そういった選手たちと対峙できる機会は滅多にないことなので、すごく貴重な経験ができたと思います。

――大学とプロの違いはどういったところにあると感じますか

後藤 求められている判断のスピードが、大きく違うと思います。大学の時はもっと余裕をもってプレーできていたような場面、例えばクロスに対して出るか出ないかだとか、DFラインの裏のケアで飛び出すか飛び出さないかだとか、そういう一つ一つのプレーでより早い判断が求められると感じています。

し烈を極めるスタメン争いに向けて、練習から全力プレーを見せる

――湘南ベルマーレの印象を教えてください

後藤 明るくて真面目な選手が多くて、本当にいいチームだなと感じています。

――加入の決め手は

後藤 そういった印象に加えて、このチームで自分を見つめ直して、しっかりと成長していきたいと思えたこと、それが決め手です。

――監督はア式の大先輩でもある曺貴裁監督(平3商卒=京都・洛北)です。どういった印象をお持ちですか

後藤 本当に熱い監督です。一度キャンプ中に対面で叱られてからは、怖いという印象もあります(笑)。

――そのときはどんなことを言われたのですか

後藤 その日は練習試合で、交代してベンチに下がったときに「お前サッカー好きじゃないだろ。もっとサッカー好きになれよ」と言われました。すごく悔しかったですし、その言葉は強烈でしたね。でもだからこそ、この悔しさをバネにもっと成長していきたいと、より強く思えるようになりました。

――後藤選手も含め4人のGKが所属しています。同じポジションどうしだとコミュニケーションを取る機会も自然と増えるのでしょうか

後藤 そうですね。キーパーは練習を始める時間も早かったりしますし、フィールドプレーヤーとは別メニューでトレーニングをするので、自ずとコミュニケーションを取る機会は増えますね。

――他にチーム内でよく話す選手はどなたですか

後藤 最近ご飯に連れて行っていただいたのは、下田さん(下田北斗選手)と岡﨑さん(岡﨑亮平選手)です。ア式の先輩でもある島村さん(島村毅選手)もいつも話しかけてくださいます。サッカー以外のことでも、色々な経験を教えてもらっていて、すごくありがたく思っています。

かつての戦友との再会を心待ちにする後藤

 

――横浜FCに加入した中山雄希選手(平29スポ卒=大宮アルディージャユース)と新井純平選手(平29スポ卒=浦和レッズユース)を始め、ア式時代のチームメイトと対戦する機会も今後出てくるかと思いますが、それに関してはいかがですか

後藤 早く同じピッチに立って対戦したいという気持ちが強いです。なかなか想像できないですけどね(笑)。対戦するときは、「ワセダから入った選手頑張ってるな」と思ってもらえるようなプレーがお互い披露できればと思います。

――中山選手は第2節でいち早くJリーグデビューされました

後藤 先を越されましたね(笑)。自分も早くデビューできるように頑張ります。

――かつてのチームメイトと連絡を取り合ったりはしていますか

後藤 しますね。純平とは、別々のチームになってからも2回ぐらい会いました。敵にはなりましたけど、今までと話すこととかは変わらないです(笑)。

――ア式蹴球部での4年間を振り返っていかがですか

後藤 入部するまで感じることができなかったことをたくさん感じ取ることができましたし、本当に濃い4年間だったなと思います。

――特に記憶に残っている試合は

後藤 降格が決まった試合(2016年11月5日、関東大学リーグ戦後期第10節、対桐蔭横浜大●2−3)です。自分がもっと止めていれば勝てた試合でしたし、自分の力のなさを感じました。何も残せなかったという気持ちですし、この悔しさは一生忘れられないです。

――4年間を通じて古賀聡監督(平4教卒=東京・早実)に教わったことの中で、これからも大事にしていきたいと思っていることは何ですか

後藤 「全ては一瞬一瞬の積み重ねで、それが結果を生み出していく」ということです。全ての瞬間に全力を注げなければ、いつか後悔しますし、それ以上の成長もないと思うので、これからもそこにこだわっていきたいです。

――自分の一番の長所はどこだと思いますか

後藤 シュートストップです。

――逆にこれから改善していきたい部分は

後藤 もっと思い切ったプレーができるようになるということと、チームの勝利に直結するプレーができるようになるということです。より気持ちを前面に押し出してプレーすることを意識していきたいと思います。

――1年目の目標を教えてください

後藤 まずは、Jリーグで試合に出ること。それが目標です。練習から先輩たちのいいところを盗んで、どんどん吸収して、もっといい選手になれるよう頑張りたいです。

――プロとしての目標を教えてください

後藤 誰からも信頼される選手になることです。自分が子供の頃にJリーガーを見て憧れていたように、今度は自分が子供たちの憧れとなれるような、そういう選手になりたいです。

――最後に応援してくださる方々に向けてメッセージをお願いします

後藤 日々の練習から努力を重ねて、いち早くチームの戦力となれるように頑張っていきますので、応援よろしくお願いします。

 

――ありがとうございました!

 

 

◆後藤雅明(ごとう・まさあき)

1994(平6)年5月24日生まれ。190センチ、83キロ。埼玉県出身。平成29年スポーツ科学部卒。小手指SSS→プレジールSC入間→国学院久我山高校→早大ア式蹴球部→湘南ベルマーレ

 

 

 

★早大ア式蹴球部OBの曺貴裁(チョウ・キジェ)監督を直撃!

後輩にエールを送る曺監督

 

 ことしで監督就任6シーズン目となる曺貴裁監督(平3商卒=京都・洛北)は、後藤にとってア式の大先輩でもある。曺監督は、加入からこれまでの後藤をどう見ているのだろうか。そして、自らが率いる湘南ベルマーレと同じく2部からの再起を誓う後輩たちに、どんな言葉を送るのだろうか。練習終了後の曺監督を直撃した。

――今季加入した後藤選手の印象を教えてください

 去年降格が決まった試合は、僕も実際にスタジアム(Shonan BMWスタジアム平塚)まで見に行きましたけど、後藤は当然2部に落ちたことに対する屈辱感を持ってチームに加入したと思います。その中で、最初は少し甘く考えてた部分があったと思いますけど、ようやく最近になってプロとして毎日を大切にしようとか、キーパーとして技術や経験の面を磨いていこうとか、そういった意識を感じ取ることができるようになってきました。これからもっと頑張ってもらいたいと思っています。

――高校やユースではなく、大学から加入する新人選手の特徴はどういったところにあるとお考えですか

 大学4年間というのは、いろんな人たちと出会って、いろんな価値観が自分の中に生まれてくる中で、自分にとって何が本当に大切なのかを整理する時間だと思います。いいところも悪いところもみんなで話し合って、人間性が形成されていくと思いますし、そういった社会に出るうえで必要な経験値であったり、物事を冷静に見る力であったりというところは、やはり高校から来る選手よりも高いと思います。ただ、サッカー選手でいえば、22歳というのは主力として試合に出なければいけない年齢でもあるので、そういうところのギャップを早く埋めてほしいと思いますし、今までもその壁を乗り越えてきた選手はいるので、後藤も頑張ってほしいと思います。

――監督ご自身も早大ア式蹴球部のOBですが、改めてア式で4年間を過ごした選手の強みはどういったところにあると思いますか

 ア式の一番の良さは、技術が非常に高かろうとそうでなかろうと、選手どうしがお互いにリスペクトしあって一つの目標に向かって進むことができる、その中で、強くなっていくのを実感できるというところだと思います。とかく少し頭がいいからといって天狗になって努力することをやめてしまいがちな年代の中で、どこか野蛮で朴訥(ぼくとつ)しながらも、全員で努力し続けるというところが、一番の良さだと思いますし、それをこれからも大事にしていってほしいなと思います。

――ア式も湘南ベルマーレ同様、2部という新たなスタートラインからの挑戦となります。後輩の皆さんに向けてメッセージをお願いします

 監督(古賀聡監督、平4教卒=東京・早実)は学生に負けないくらいの気持ちを持ってやっていると思いますし、だからこそ選手のみんなには、サッカーあるいは人生を楽しんで、ことし一年プレーしてもらいたいです。4年生にとっては2部から昇格を目指すというのも一生で一回しかない経験ですし、下級生にとってもかけがえのない時間になると思うので、チャレンジ精神を持って、日々を大事にしてほしいです。僕もOBとして、少しでも後輩の助けになれればと思っています。

――ありがとうございました!

◆曺貴裁(チョウ・キジェ)

1969(昭44)年1月16日生まれ。京都府出身。平成3年商学部卒。

 

〈選手歴〉洛北高校→早大ア式蹴球部→日立製作所サッカー部(柏レイソル)→浦和レッズ→ヴィッセル神戸

 

〈指導者歴〉川崎フロンターレ トップチームアシスタントコーチ→川崎フロンターレ Jr.ユース監督→セレッソ大阪 トップチームヘッドコーチ→湘南ベルマーレ Jr.ユース監督→湘南ベルマーレ ユース監督→湘南ベルマーレ トップチームヘッドコーチ→湘南ベルマーレ トップチーム監督

 

 

(文=栗村智弘 写真=榎本透子)