スケート部

2017.01.31

第72回国民体育大会冬季大会 1月29、30日 長野市若里多目的スポーツアリーナ

個人3位!中塩、ショート、フリー共に出し切り初の170点台

 昨年12月、全日本選手権を直前に控える中、中塩美悠(人通2=広島・ノートルダム清心)は群馬県で開催された国民体育大会(国体)予選に参加した。ケガの状態を考慮して回避することも考えられたが、通年リンクがなく競技人口の少ない広島県において中塩は希望の星。幼馴染である城代花佳(広島スケートクラブ)と共に、再び故郷を背負うことを決めた。その舞台で自己ベストを大きく上回る171.37点をマーク。激動のシーズンを最高のかたちで締めくくった。

 2年間演じてきたショートプログラム『ゴファー・マンボ』もこれが見納め。2つ目のジャンプを、苦戦していたフリップからループに変更して臨んだ。冒頭のトリプルトーループ―トリプルトーループは加点のつく大きなジャンプに。新しく入れたトリプルループを降りると、その勢いのまま完璧なパフォーマンスが続く。最後のジャンプも着氷、スピンはオールレベル4を獲得し、シーズンベストに迫る高得点につなげた。「これを聞いて『美悠ちゃんだ』と思ってもらえるくらい滑れた」。楽しく滑れた昨季から一転、様々な変化のあった今季はこのプログラムの難しい振り付けと格闘することもあった。その苦悩を乗り越え、ファンの記憶に残る一つの作品を完成させた。

中塩らしさを存分に発揮したSP

 まさにシーズンの集大成となったフリースケーティング(FS)。転倒したサルコー以外のジャンプは全てきれいに降り、スピンも取りこぼしはなかった。持ち前の表現力も光り、演技構成点は今季最高の55.52点。FSの得点は110点を超え、合計では2014(平25)年のタリン杯で記録した自己ベストを10点以上上回った。「跳べなくなるのはつらいけど、その分跳べた時の喜びが大きかった」。以前、引退がよぎりながらもケガからの復帰を決めた理由を問われ、中塩はこんな言葉を残した。このFS、ブロックまではとにかくジャンプに苦しんだ。それでも、振り付けや構成を変えた10月以降、本来の滑りを取り戻すきっかけをつかむ。それと共にジャンプの調子も上がり、この日、今季最後にして一番の『喜び』を噛みしめた。“普通の女の子”を目指した『ラプソディー・イン・ブルー』。氷上で楽しく舞うその女の子の姿が、いつでも観客を笑顔にした。

キレのあるステップでもファンを楽しませた

 今大会は法大の元主将・服部瑛貴(ゴディバジャパン)が復帰するなど、現役を退いた選手や6級以下の選手が故郷のために戦うのも国体の醍醐味の一つ。ペアを組んだ城代も国体のためにカナダから帰国し、広島県は見事シード権を獲得した。広島県代表として、西日本の選手として、早大の一員として。あらゆる立場で滑ってきた中塩の今季は、決断と挑戦の連続だった。林祐輔コーチに師事したこと、クラシックを取り入れたこと、体型の変化と向き合ったこと。何度もカベにぶつかったが、「この決断は合っていたんだなと今は思います」と、穏やかな表情で1年を振り返った。今大会でつかんだ自信を胸に、これからも中塩にしかできないスケートを追求していく。

(記事、写真 川浪康太郎)

団体で6位に入った中塩(左)と城代

結果

▽成年女子

中塩美悠 3位 171.37点(SP 4位 59.53点、FS 4位 111.84点)

コメント

中塩美悠(人通2=広島・ノートルダム清心)

SP

――ジャンプは全て決まりましたが、振り返って

6分間練習で全然入らなかったのですが、インカレ(日本学生氷上競技選手権)も同じ状況で跳べたので、「跳べる跳べる!」と思って跳びました。

――2つ目のジャンプはループに変更しましたが

フリップはことしずっと苦戦していて、ループは嫌いなのですが、先生に「ループでやってみたら」と言われて、ループで練習してきました。

――国民体育大会(国体)の雰囲気はいかがですか

やっぱり相手がいる競技で、どこ行くにも一緒なのですごく楽しいですし、花ちゃん(城代花佳)は幼馴染でわざわざカナダから帰ってきて出てくれたのでうれしかったです。去年は復帰戦で思い入れのある試合だったし、ことしもこれが最後の試合なので、それを思って滑りました。

――2年間滑った『ゴファー・マンボ』はどんなプログラムでしたか

最初の年は楽しくてノリノリで滑れたのですが、次の年は曲に追われる感じで練習の時からつらくて…。でもみんな耳に残る曲みたいで、楽しそうに口ずさんでいるのを聞いていい曲だなと思いました。これを聞いて「美悠ちゃんだ」と思ってもらえるくらい滑れたかなと思います。

――きょうは表現面ではいかがでしたか

ステップではスピードがなかったかなと思うのですが、(宮本)賢二先生に言われた注意点とかを思い出しながらやったので、悔いはないです。

――具体的にどんなことに注意するよう言われたのですか

上半身の動きを取ってもらえることが難しいので、脚を明確にしつつ、上半身を大げさに動かしなさいと言われました。

――フリーに向けた意気込みをお願いします

フリーで今季最後なので、ショート同様、フリーもいいかたちで終えられるようにしたいです。先生(林祐輔コーチ)が今回いないので、先生にいい結果を報告できるように頑張りたいです。

FS

――フリーの演技を終えて

素直に点が出たことがすごくうれしくて、あと一本跳べなかったのが悔しいです。

――ジャンプの出来はいかがでしたか

最近体幹を集中的にトレーニングしていて、その成果が出たかなと思います。

――ショートでは回避したフリップについて

フリップは最近跳べるようになっていて、ショートに入れないと決めた時から気持ちが楽になって跳びやすくなっていたので、ちょっと成長したかなと思います。

――ジャンプ以外の面はどんな感触でしたか

スピンとかは正直疲れていて数えていないのですが、最近取れるようになってきたから詰めが甘かったかなという部分はあります。最後アクセルを降りたあと、手拍子してくださっていた方がいたのですが、スピンの回転が遅すぎて手拍子が消えたなと思って(笑)。スピン練習しなきゃいけないなと思いました。

――今季1年間滑ってきた『ラプソディー・イン・ブルー』はいかがでしたか

最初のサマーカップと比べてものすごくいいプログラムになっていると思うし、自分の色が出せるようになってきたので、クラシックに挑戦してよかったです。

――東日本学生選手権から振り付けや構成を変えましたが、そこが変わるきっかけになりましたか

振り付けを変えてから、どのようなコンセプトで振り付けしてくださったのかということを話していただいて理解して、そのように演じようと心掛けるようになったので、手直ししたことが一番大きかったです。

――来季のプログラムの構想はありますか

とりあえずショートを変えようと思っていて、フリーはもう1年使おうかなと思っています。

――最後に、ケガから復帰のシーズンを振り返っていかがですか

今季は先生を変えて、いきなり成果が出るかと言われたらそうではないということは分かっていたのですが、なかなかいい点数が出なくて、焦る気持ちがすごくありました。でも林先生に付いてからスケーティングやジャンプの跳び方も全然変わってきて、体型も変わってきて、今思うと変わって本当によかったです。正直シーズン中は焦る部分があったのですが、この決断は合っていたんだなと今は思います。