体操部

2016.11.30

第69回全日本選手権 11月25~27日 東京・代々木第一体育館

魂のリボンで逆転!河崎、全日本V3

 ワセダの妖精がJAPANの頂点に輝いた。河崎羽珠愛(スポ1=千葉・植草学園大付)が挑んだのは今季最後にして最大の試合・全日本選手権(全日本)。今大会2連覇中の河崎は、いきなり最初のフープで手具をつかみ損ねてしまう。3連覇に黄色信号か――。しかし、そこで調子を崩すことなく好演技を重ね、最後種目リボンを残して暫定2位。ここで、河崎はディフェンディングチャンピオンの強さを見せつけた。優勝するためにはもう後がない緊迫した場面で完璧な演技を披露し、今季自身初の17点超えをマーク。最後の最後に逆転し、見事3連覇を果たした。

 3連覇への道は波乱から始まった。フープの開始早々、手具を取り損ねる痛恨のミス。しかし後半は軸がしっかりととれたターンやバランスで演技を立て直す。減点を最小限にとどめ、優勝するには必要不可欠の16点台に乗せた。続く種目はボール。河崎にとって挑戦的であり、今シーズン高評価を得ているプログラムだ。曲はピアソラの『タンティ・アンニ・プリマ』。切なくも美しい音色に乗ってしっとりと踊り上げる。指先まで神経の行き届いた繊細な動きは、曲が盛り上がるにつれてダイナミックに。曲調に合った動きの緩急は、河崎がもっている表現の幅を十二分に示していた。17点に迫る好演技で、前半種目を終えて暫定2位。1位から4位までの差はわずか0.35と拮抗(きっこう)していた。そのため、小さなミスが順位を大きく落とすことになる。誰が優勝してもおかしくない接戦の行方は後半種目に委ねられた。

落ち着いて演技をこなしたフープ

 3種目目はクラブ。多彩な手具操作によってスピード感を演出する、河崎の長所が遺憾なく発揮される得意種目だ。手具を投げている間に回転するDERも確実に成功させ、怒涛(どとう)の追い上げを見せた。しかし、ここでも順位を上げることができないまま運命の最終種目リボンを迎える。他の種目と違い、このプログラムを使用するのは2年目。踊り慣れたプログラムは河崎の心に自信と余裕を生んだのだろう。「自信を持って楽しく踊れた」とプレッシャーをはねのけ、女王の貫録を見せつけた。曲のイメージを一挙手一投足に込める。演技中のりりしいまなざしは、このプログラムのテーマである『大人の女性らしさ』そのものだった。ラストは投げたリボンを絶妙なタイミングでキャッチ。渾身(こんしん)の演技を目の当たりにした会場の熱気は最高潮に達していた。得点は今季の自己最高得点である17.200。このハイスコアによって逆転し、3連覇が決まった。高い難度と完成度を兼ね備えた河崎に勝利の女神はほほ笑んだのだ。

リボンでは河崎の強みを存分に発揮した

 手具落下という大きなミスがありながらも、高い修正力と類いまれな表現力でカバーし、河崎はことしも全日本女王となった。そんな女王は「諦めずに練習してきた成果が出た」と今シーズンを振り返る。下の世代の台頭が著しい中、混戦を制することができたのは、常に高みを目指す向上心はもちろん、どんなときでも『新体操を楽しむ』という姿勢を貫いてきたからに違いない。国際試合も経験した今シーズンを経て、来シーズンの河崎はどんな世界観を演出するのだろうか。今から楽しみで仕方がない。

(記事 大浦帆乃佳、写真 久野映、榎本透子)

個人総合の表彰式

☆種目別決勝でも躍動!全種目で表彰台

優勝したクラブ

 全ての種目で決勝に進んだ河崎。フープでは、個人総合で出た序盤のミスをしっかり修正した。ボールでは片足を後ろに上げて回転する、パンシェのローテーションが最後乱れてしまったが冷静に対処し16点台後半をたたき出す。手具操作の素早さが際立つクラブは個人総合の時よりも点数を上げ、種目別で優勝。リボンは前日の出来とまではいかなかったが、観客を河崎の作り上げる独特な世界観に引き込んだ。種目別決勝で「全種目ノーミス」を目指して臨んだ河崎は目標達成。「怖がらずに楽しんで堂々と踊れた」と、すがすがしい表情で今シーズンを終えた。

(記事 大浦帆乃佳)

関連記事

【連載】インカレ直前特集『SOARING』(8/24)

結果


個人総合決勝
選手名 フープ ボール クラブ リボン 合計点 順位
河崎羽珠愛(スポ1) 16.350 16.900 16.500 17.200 66.950 1位
種目別決勝フープ
選手名 結果(順位)
河崎羽珠愛(スポ1) 16.750(2位)
種目別決勝ボール
選手名 結果
河崎羽珠愛(スポ1) 16.700(2位)
種目別決勝クラブ
選手名 結果
河崎羽珠愛(スポ1) 16.750(1位)
種目別決勝リボン
選手名 結果
河崎羽珠愛(スポ1) 16.800(2位)
コメント

※11月26日終了時

河崎羽珠愛(スポ1=千葉・植草学園大付)

――個人総合を終えた感想をお聞かせください

きょうは自分らしい伸び伸びとした演技ができたので、2種目とも満足しているし、結果もついてきたのでうれしいです。

――特に良かったところや、反省点が見つかったところは

フープの序盤でミスをしてしまったけどその後は切り替えられたというのと、今回クラブでもぽろっとしてしまったんですけど、リボンでノーミスの演技ができたし、自分で満足できる出来だったのでよかったです。でもまだミスが出てしまうので、そこはまた明日の種目別決勝に向けて頑張りたいです。

――全日本選手権3連覇を達成したということに関して

目指していたことなのでうれしいです。

――来年、再来年への自信は

4連覇したいですけど、結果は後からついてくるので、自分らしい演技を来シーズンもできればな、と思います。

――初日は2位でしたが後半で巻き返しました。最終種目のリボンにいたるまでの心境はいかがでしたか

リボンのプログラムは2年目なので自信もあったし、楽しんで踊れたことが良かったのかなと思います。リボンは自分の個性が出る種目なので去年から曲を変えませんでした。

――河崎選手の個性とは、どんなところにありますか

他の選手には出せない不思議な雰囲気、感情を表現するところだと思います。



※11月27日終了時

河崎羽珠愛(スポ1=千葉・植草学園大付)

――きょうの種目別決勝を振り返っていかがですか

予選でミスを2種目でしてしまったので、そこをリベンジするっていうのがきょうの種目別の目標で、全種目ノーミスですることができたので、良かったと思っています。

――この大会全体を振り返っていかがですか

気持ち的に弱くなってしまったり自信に波があったりしたんですけど、種目別決勝ではその波を抑えることができたし、怖がらずに楽しんで堂々と踊れたのでよかったです。

――この大会に向けて何か特別に力を入れて取り組んできたことはありますか

ピルエットの回転数を上げることと、ジャンプの開脚度を出すということを練習してきました。

――個人総合で優勝されましたが、きょうの種目別決勝に対するモチベーションはいかがでしたか

きのうはきのうで優勝してうれしかったんですけど、そこは切り捨てて、種目別決勝に向けて新たな気持ちで臨めたと思います。

――今シーズン振り返ってどんな1年でしたか

海外に行ったり日本で試合をしたりしたんですけど、前半はなかなかいい演技ができずに少し悩んだんです。でも、後半から徐々に(調子を)上げていくことができて、そして全日本でピタリと合わせることができたので、良かったなと思っています。

――今シーズン一番成長できたなと思うところはどこですか

リボン以外の3種目の演技を変えたんですけど、コツコツと諦めずに練習してきた成果が出てきたと思うし、技の精度を上げるというのもしっかり取り組んできたので、また来年に向けてそれを続けていけるようにしたいと思います。

――来シーズンに向けてもっと伸ばしたいところはありますか

ことしとは違う曲にも挑戦したいですし、難しい技とかを取り入れられるように挑戦していきたいです。

――今後の夢や目標は

2020年の東京五輪に出ることです。