スケート部

2016.11.02

第42回西日本選手権 10月28~30日 京都アクアリーナ

中塩、全日本へ!不完全燃焼も切符をつかむ

 大会の1週間前、誕生日を迎えた中塩美悠(人通2=広島・ノートルダム清心)。20歳になって臨む初めての舞台は、本人が「自分の中では相当大きい大会」と位置付けた西日本選手権(西日本)。全日本選手権(全日本)への10枠をめぐり、近年まれに見る大混戦が繰り広げられた。ショートプログラム(SP)は6位につけたが、フリースケ―ティング(FS)で順位を落とす。納得のいく点数は残せなかったものの、9位に入りなんとか全日本進出を決めた。

 西日本独特の静かな雰囲気に包まれた初日のSP。6分間練習ではジャンプが決まらなかった。不安を残したままスタートした『ゴファーマンボ』。冒頭のコンビネーションジャンプは見事に成功させる。しかし、続く課題のフリップは空中で軸がずれ着氷が乱れた。「慎重になりすぎた」という後半。最後のジャンプは決めたが、発熱の影響もあり普段に比べると表情が硬く、スピンのレベルも落としてしまう。それでも、体調が万全ではない中で演技をまとめ、50点台はキープした。昨季は、グランプリシリーズアメリカ大会に出場したため免除された西日本。緊張のスタートとなった2年ぶりの大舞台は、50点以上が10名というハイレベルな展開で初日を終えた。

真剣な表情でジャンプに挑む中塩

 2日後に行われたFSの会場には、さらに緊迫した空気が漂っていた。『西日本の魔物』にのまれ、実力通りの滑りをできない選手が続出。しかし、第3グループの4番滑走、細田采花(関大)が難しい構成を滑り切り高得点を出すと、ここから好演を見せる選手が次々と現れた。そんな中、最後から5番目の滑走となった中塩が登場。運命のFSが始まった。ブロックまでは冒頭にルッツを入れていたが、原点回帰として入れ直したトリプルトーループ―トリプルトーループを完璧に降りる。フリップはまたも決まらなかったが、この日は気持ちを切らさなかった。最大の見せ場であるステップでは、はじけるような笑顔を振りまき観客をとりこに。後半のジャンプでは、回転不足や3連続ジャンプがジャンプシークエンスになるなどのミスがあったものの確実にリカバリーし、勝負の4分間を終えた。95.12点で暫定6位。生き残った。

個性的な振り付けで視線を一点に集める

 全日本を懸けた戦いは、時に残酷だ。瀬戸際で通過を決め感極まる者もいれば、数点足りずに涙を流す者もいる。今大会も男女問わず、例外ではなかった。一方、同時開催された西日本ジュニア選手権では、女子で優勝した坂本花織(神戸FSC)をはじめ、若い世代の衝撃的な強さが目立った。特に黄金時代に入りつつある女子の全日本では、例年以上のし烈な争いが予想される。もちろん、中塩はまだ満足していない。演技構成点では今季最高点をマークしただけに、課題がジャンプであることは明確だ。次戦はISUチャレンジャーシリーズのワルシャワ杯。連戦を乗り越え、クリスマス、大阪で最高の笑顔を見せてほしい。

(記事、写真 川浪康太郎)

結果

▽選手権女子

中塩美悠 9位 147.51点(SP 6位 52.39点、FS 9位 95.12点)

コメント

中塩美悠(人通2=広島・ノートルダム清心)

SP

――ショートプログラム(SP)の演技を振り返って

練習でなかなか1本入らなくて焦ってしまって、そのことばかり考えてしまいました。ジャンプを失敗した後は少し慎重になりすぎたかなと思います。

――やはり課題はフリップですか

朝の公式練習ではすごく良くて、きれいに入っていたので大丈夫かなと思ったのですが、6分間練習で入らなくて焦ってしまいました。

――夏頃に比べて最近の調子はいかがですか

今体調が悪くて、1週間前くらいからずっと微熱が出ていてまだ治まっていないので、まずはそれを治したいです。ワルシャワ杯の前に靴も変える予定なので、それも調整しなきゃいけないし、やることはいっぱいあります。

――練習環境の変化は影響しているのでしょうか

環境が変わって練習時間が増えて、年齢のわりに今まで以上に練習の量を増やしすぎてしまったのですが、セーブしたりコンディションを整えることも大事なので、やればいいというものではないんだなと思いました。

――東日本学生選手権(東インカレ)から間隔が短かったですが、その中でどのようなことに取り組んできましたか

東インカレが終わって1週間くらいは調子が良くて、東インカレの調子のままいけるかなと思っていました。ですが、この大会の1週間前に熱が出て、そこから一般滑走に行けなくて貸切も1時間しか入れなくてという生活が続いていたので、試合だけ跳べればいいという気持ちで来ました。そこの調整は難しかったです。

――西日本選手権(西日本)は2年ぶりでしたが、独特な雰囲気は感じましたか

全日本(全日本選手権)に出られるか出られないかは大きいので、西日本は一番緊張するまではいかないけど、自分の中では相当大きい大会です。

――それでは、あさってのフリーに向けた意気込みをお願いします

あしたはホームリンクに帰って練習して、調整してまたしっかり良い演技ができるように、全日本にいけるように、頑張ります。

FS

――全日本進出を決めましたが、今のお気持ちは

1日では体調が治らなくてだいぶ不振だったのですが、練習でもっとできるのに体調管理のせいで出し切れなかったのはすごく悔しいです。

――ジャンプを振り返って

フリップは今まで得意なジャンプで、好きなジャンプだったので、そのフリップが決まらないのがすごく寂しいのですが、でもSPの反省を生かして次、次と考えてやったので、それは進歩かなとは思います。絶対ノーミスという条件で難易度を下げたのですが、それで失敗してしまったら意味がないので。

――きのうホームリンクに戻って特に確認したことはなんですか

帰った時は全身筋肉痛であまり練習できなかったのですが、とりあえず(淀)粧也香先生に跳べなかったフリップをチェックしてもらって、ステップのエッジとすぐ変えられるところを見てもらいました。

――朝の公式練習では林祐輔コーチから何度もアドバイスを受けていましたが、具体的にはどのようなことをアドバイスされましたか

ここのリンクが西宮と違って柔らかいので、「氷が違うから力の入れ方を変えなければいけないよ」、「氷に合わせて氷と仲良くしておいで」ということを言われました。

――ブロックの後からジャンプの構成を変えましたが、今後変える予定はありますか

ブロックでいろんなコーチと林先生が話をされたみたいなのですが、やっぱり私の一番印象にあるのがどの先生も3T-3Tだったみたいで、それを絶対入れた方がいいと言われました。それを入れることで点数は下がるのですが、でも大きい良いジャンプを冒頭に跳んだ方がいいと言われて、私も納得なので、変えません。

――次戦のワルシャワ杯に向けた意気込みをお願いします

やることがたくさんあるので、一つずつこなして、SPからノーミスでできるようにしたいです。タリン杯で出した点数(パーソナルベストの160.64点)よりも上の点数を出しておいでという意味で選んでいただいたと思うので、それが目標です。

林祐輔コーチ

――今大会の中塩美悠選手(人通2=広島・ノートルダム清心)の演技を振り返っていかがでしょうか

まだ、今持っている力の6割くらいしか出せていないかなと思います。なんとか全日本(全日本選手権)に行けることは決まったのでそこはホッとしているのですが、今回は60点くらいですかね。ブロックの頃に比べるとだいぶ良くなってはいるのですが、まだ課題が多いかなと思います。

――その課題とは具体的には

やっぱりまだジャンプが決まっていなくて、特にフリップがなかなか跳べていないのでそこが課題かなと思います。練習では跳べていてもなかなか本番で決められないので、その要因はいろいろあると思うのですが、彼女はことしから持っているので正直まだよく分かってないんですよね。あと今回は体調が良くなかったみたいで、体調管理はこれからしっかりしてほしいですね。

――朝の公式練習では何度も声を掛けていました

特にジャンプのことなのですが、普段の練習から言っていることを伝えていました。力を入れずに跳ぶということを意識させてはいたのですが、本番で決めきれないのは精神的な部分もあるのかなと。

――今季から林コーチの元に拠点を移しましたが、ここまで中塩選手の印象はいかがですか

やっぱりすごく真面目ですよね。真面目に取り組んでくれているし、こっちの言ったことをすぐにやってくれるので、他の選手の手本にもなってくれているのかなと思います。

――今後のワルシャワ杯、全日本ではどのような演技を期待しますか

ブロックの頃よりは確実に良くなってきているので、これから課題を克服していって、体調管理をしっかりしてもらって、彼女らしい明るい元気な演技を全日本で見せてもらえたらなと思います。