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ボクシング部

2016.07.21

第6回元持杯女子ボクシング大会 7月9・10日 岩手・釜石高校第一体育館

ワセダから世界へ 女子選手・富山の挑戦

 早大ボクシング部が後楽園ホールで関東大学トーナメント決勝を戦っていたのと同じ頃、一人の女子選手が遠く岩手の地でリングに上がっていた。富山美桜(社2=埼玉・早大本庄)。ボクシングが盛んな岩手県で開催された元持杯女子ボクシング大会(元持杯)は、東日本から強豪選手が集まる女子ボクシング界屈指の大会だ。富山にとっては、この大会がデビュー2戦目。それでも、初勝利を目指した今大会で見事優勝を飾ってみせた。「努力してよかった」(富山)。早大から女子ボクシング界に新星が現れた。

 ボクシングを始めたのは大学に入学してから。富山は「目標もなく怠惰な人間だった」と笑いながら当時のことを振り返る。夢中になれるものを探して出会ったボクシング。これといった運動経験のない普通の女子大生が始めるにはハードルが高いように感じる。しかしアクション映画が好きで格闘技に憧れていた富山に抵抗感はなかった。一旦やると決めたらブレない性格で、家族には事後報告だったという。そんな富山でも最初は男子選手に合わせた練習についていけなかった。初心者のため構えすらままならず、ガードができない。パンチを一方的に当てられ、自分は当てることができない。3、4ヶ月ほどそんな苦しい日々が続いた。しかし、「半年くらいで実戦に慣れて、まともに戦えるようになった」と、努力を重ね、心身ともに一歩ずつ成長していった。

自らとボクシングについて語る富山

 ことし4月、富山はついに初めての試合を迎えた。実力の3割も出ないと言われるデビュー戦。相手はなんと2階級上の全日本王者だった。増量して臨んだもののコンディションは万全とは言えない状況。「緊張で視界が狭くなった」。結果は3ラウンド(R)TKO負け。何もできないまま敗れてしまった。富山は練習で培ってきた自信を失いかけた。だが悔しさを糧に前を向いた。基本を見直す練習と同時並行で、増やした体重を元に戻す減量を敢行。7月の元持杯を目指して調整を進めた。

日々ハードなトレーニングを積んでいる

 そして迎えたデビュー2戦目。減量に成功し安堵したのもつかの間、いつもと違う高さの慣れないリングが緊張感を増幅させる。しかし、ひとたび試合が始まってしまえば富山に怖いものはなかった。力を出し切れなかったデビュー戦の反省を生かし、1Rから手数をかけ攻め続けた。「4R戦うつもりだった」と長期戦も覚悟で、自分のボクシングを貫いた。すると試合は一方的な展開となり、審判がたまらず試合を止めた。3RTKO勝ち。富山は初白星を手にした。勢いに乗り、翌日の決勝でも強さを見せた。理想通りの試合展開で相手を圧倒。最後は得意の右ストレートでダウンを奪い1Rで試合を決めた。ボクシングを始めて1年と3ヶ月。日々の努力が報われた瞬間だった。

 「友人が喜んでくれたのが嬉しかった。いつも支えてくれて、優勝を喜んでくれた周囲の人に感謝したい」と初優勝の喜びを語った富山。だが元持杯は通過点に過ぎない。次の目標は冬に開催される全日本女子選手権、そして『世界』だ。「国内で優勝してワセダの富山の存在を知ってもらいたい。そしていずれは海外で試合をしたい」と夢を語る。4年後の東京五輪も目標のひとつだ。「ボクシングが自分を救ってくれた」。大学で果たした運命の出会い。その出会いは富山の人生を変え、そして女子ボクシング界に革命を起こすのかもしれない。

(記事 新津利征、写真 金澤豪)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

今後のさらなる活躍に期待だ

結果

ライト級 富山美桜 優勝