野球部
2016.05.16
東京六大学春季リーグ戦 5月15日 神宮球場
優勝の夢途絶えるも宿敵・明大に意地の勝利/明大2回戦
明大2回戦 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |||||
明 大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 4 | |||||
早 大 | 1 | 0 | 3 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | × | 5 | |||||
(早)○大竹、北濱-吉見 ◇(三塁打)石井3(二塁打)木田 |
---|
慶大の敗戦により、目指してきた四冠の夢ははかなくも散った。しかし、昨年の雄として、宿敵・明大には絶対に負けるわけにはいかない。明大2回戦はまさに早大が意地を見せた試合だった。先発の大竹耕太郎(スポ3=熊本・済々黌)がテンポよく凡打の山を築くと、打線もそれに応え、初回から得点を重ねる。最終回にピンチを迎えたものの、後を受けた北濱竣介(人3=石川・金沢桜丘)がきっちり抑え、接戦を制した。
復活を印象付ける投球を見せた大竹
稲穂打線がようやく息を吹き返し始めた。初回から打撃の要である真鍋健太(スポ4=東京・早実)が左前打で出塁すると、中澤彰太副将(スポ4=静岡)も四球を選び、好機を演出。主導権を握りたいチームの期待を背に石井一成主将(スポ4=栃木・作新学院)が打席に立つ。しっかりと中堅へ打球を運び、先制点を手にした。3回には2死一、二塁から再び石井。右中間へきれいに弾き返して2点を追加し、リードを広げた。石井は今試合だけで三塁打を3本放つ好調ぶり。長いトンネルを抜けた主将の一打が勝利を呼び込むきっかけとなった。「なんとか先制点を取って自分たちのペースでやらせてあげたい」。主将の強い思いは投手陣、また、打撃陣にも伝わったに違いない。
この日は下位打線も活躍。写真は2安打の八木健太郎(スポ3=東京・早実)
早大の勝利にはやはりこの男の力が不可欠だ。昨年は春秋リーグ優勝の立役者となったものの、今季は制球に苦しみ、思うような結果が残せなかった大竹。しかし、この日は明大打線を5回まで完璧に抑え込む好投を披露。「結果で恩返ししたい」とエースにふさわしいプレーで応えた。しかし、迎えた最終回。1点を返されたものの、アウトカウントを2とし、誰もが早大の勝利を確信し始めた時だった。次に打席に立ったのは明大1回戦でサヨナラ弾を放った牛島将太(4年)。甘く入った球を捉えられ、打球はスタンドへと消える。まさかの3点本塁打だった。勝利ムードは一変。1点差に詰め寄られる緊迫した息をのむ展開に。ここでマウンドに登ったのは、救援として実績を積み重ねてきた北濱。冷静な投球できっちりと抑えてみせると、応援スタンドは歓声に包まれた。猛追を振り切り、念願の白星を手にした瞬間だった。
近年、負け越していた相手から得たこの勝利は大きい。しかし、終盤になり1点差に詰め寄られ、薄氷の勝利になってしまったことが悔やまれる。東京六大学春季リーグ戦優勝が消滅したいま、早大が成すべきことは、目の前の試合に全力で挑むのみ。まずは次の対明大3回戦で勝ち点を奪いたい。早慶戦を最高の舞台にするために――。プライドを懸けた戦いになりそうだ。
(記事 八木美織、写真 中丸卓己、中村朋子)
☆石井が固め打ち!3三塁打3打点
石井は打つだけでなく、積極的な走塁で三塁を落とした
試合直前、慶大の敗戦により今季の優勝がなくなった早大。新チーム発足当初から設定していた大きな目標は失われたが、チームは強力・明大投手陣を前に意地の12安打を放った。その中でも、最も顕著な活躍を見せたのが石井一成主将(スポ4=栃木・作新学院)だ。人生初となる1試合で3本の三塁打を放つなど大暴れ。「最後までやり通すことに意味がある」と、低迷するチームを鼓舞し、自らあるべき姿を体現してみせた。ここから一つでも多く勝利を重ね、5位から順位を押し上げていく。
「ここから勢いに乗ってくれれば」(石井)。いまは後ろを振り返っていても仕方がない。前を向いて目の前の一戦に全力でぶつかっていくのみだ。季節は夏に向かうが、チームはまだ年間に行われる公式戦の半分も消化していない。やり直す時間は十分に残されているはずだ。この試合の勝利をそのための大きな一歩としたい。『負けない野球』を目指し、石井率いる早大はここから再スタートを切る。
早大打者成績 | |||||||||||||||||
打順 | 守備 | 名前 | 打 | 安 | 点 | 率 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | (二) | 真鍋健太 | 3 | 2 | 0 | .357 | 左安 | 一ギ | 投ゴ | 一安 | |||||||
2 | (中) | 中澤彰太 | 3 | 0 | 0 | .029 | 四球 | 空振 | 見振 | 中飛 | |||||||
3 | (右) | 三倉進 | 3 | 0 | 0 | .229 | 遊併 | 四球 | 二ゴ | 見振 | |||||||
4 | (遊) | 石井一成 | 4 | 4 | 3 | .286 | 中安 | 中3 | 中3 | 中3 | |||||||
5 | (一) | 立花玲央 | 4 | 1 | 1 | .200 | 左飛 | 左安 | 一ゴ | 遊直 | |||||||
6 | (左) | 八木健太郎 | 4 | 2 | 0 | .242 | 空振 | 右安 | 中飛 | 中安 | |||||||
7 | (三) | 木田大貴 | 3 | 2 | 0 | .276 | 遊ゴ | 遊安 | 中2 | 投ギ | |||||||
8 | (捕) | 吉見健太郎 | 2 | 0 | 0 | .129 | 三ゴ | 中飛 | 投ギ | 四球 | |||||||
9 | (投) | 大竹耕太郎 | 3 | 1 | 1 | .444 | 中安 | 三ゴ | 左犠 | 遊併 | |||||||
投 | 北濱竣介 | 0 | 0 | 0 | .000 |
東京六大学春季リーグ戦星取表 | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
順位 | 立 大 | 明 大 | 慶 大 | 法 大 | 早 大 | 東 大 | 勝ち点 | 勝 | 負 | 勝率 | |
1 | 立 大 | ※ | 5/21 5/22 |
○1-0 ○6-4 |
○5-4 ●1-5 ●6-8 |
○4―1 ○1-0 |
●0-4 ○15-0 ○8-2 |
3 | 7 | 3 | .700 |
2 | 明 大 | 5/21 5/22 |
※ | △1-1 ○10-0 ●0-1 ○18-0 |
○3-1 ●5-6 ○3-2 |
○3-2 ●4-5 5/16 |
○1-0 ●2-3 ○12-3 |
3 | 7 | 4 | .636 |
3 | 慶 大 | ●0-1 ●4-6 |
△1-1 ●0-10 ○1-0 ●0-18 |
※ | ○11-1 ○8-2 |
5/28 5/29 |
○6-1 ○9-4 |
2 | 5 | 4 | .556 |
4 | 法 大 | ●4-5 ○5-1 ○8-6 |
●1-3 ○6-5 ●2-3 |
●1-11 ●2-8 |
※ | ●4-5 ○7-2 ○5-0 |
5/21 5/22 |
2 | 5 | 6 | .455 |
5 | 早 大 | ●1-4 ●0-1 |
●2-3 ○5-4 5/16 |
5/28 5/29 |
○5-4 ●2-7 ●0-5 |
※ | ○1-0 ○8-0 |
1 | 4 | 5 | .444 |
6 | 東 大 | ○4-0 ●0-15 ●2-8 |
●0-1 ○3-2 ●3-12 |
●1-6 ●4-9 |
5/21 5/22 |
●0-1 ●0-8 |
※ | 0 | 2 | 8 | .200 |
関連記事
接戦勝ち切れず、紫紺相手に痛恨のサヨナラ負け/明大1回戦(05/15)
明大戦展望(05/11)
投打ともに振るわず、3連覇へ黄色信号/法大3回戦(05/03)
コメント
髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)
――早大の意地を見せられた試合でしたね
そうですね、ようやくワセダらしい試合ができましたね。
――先発の大竹耕太郎選手(スポ3=熊本・済々黌)はこれまで状態が良くなかったですが、きょうはいい投球を見せてくれました
これまで悪かったですよね。悪くて、先週の空き週の時にオープン戦を入れたんですよね。それが良かったですよね。オープン戦で状態を見て修正できたので。その修正できょうはうまくいきましたからね。
――監督からご覧になって、具体的にどういった点がこれまで悪かったのでしょうか
私がベンチから見ていた限りでは、投げ急いでいたというか。以前はもっと後ろにためて、前にヒュッと体重が乗っていたんですけどね。でもボールもそこまで悪くはないから、投げ急いでいたのはなぜかという理由は分からないんですよね。いままではやってなかったんですけど、先週の空き週で亜大とオープン戦をして、その時にいろいろ技術的な指摘をして。こういうところじゃないかなというのを指摘したら、本人もバランスとかに気が付いたんじゃないですかね。
――最後は1点差まで追い上げられて少しヒヤッとしましたが
まあ、おまけでしょうね。
――すぐ北濱竣介選手(人3=石川・金沢桜丘)にスイッチされましたが、あまり準備されていなかったようですが
いや、一応準備はみんなしているのでね。何ら問題なかったとは思います。点差があったので、みんな帰る準備をしていたかも分かりませんけど(笑)。まあ試合は最後の最後まで分からないですからね。
――きのうの話になってしまいますが、第1先発として竹内諒選手(スポ4=三重・松阪)が登板されていました
竹内も良く抑えていたのでね。逆にきのうは柳くん(裕也主将、明大4年)ですよね。一番いい投手から勝ち越しただけに、きのうは勝ちたかったですよね。私が吉野(和也、社4=新潟・日本文理)と小島(和哉、スポ2=埼玉・浦和学院)の順番を間違ったという感じに結果的にはなりましたね。継投のミスかなあと。小島を(回の)頭から入れておけば勝って終わっていたかなという試合展開だったですけどね。
――一方、打線は12安打と爆発しましたね
そうですね。石井(一成主将、スポ4=栃木・作新学院)など打つべき人が打ってね。リラックスして打てたんじゃないですかね、吹っ切れて。
――立花玲央選手(人4=千葉英和)はスタメンで出場されていましたが、法大戦での故障は大丈夫だったということでしょうか
そうですね。むち打ちじゃないけど打撲ということで、1週間くらい様子を見ていたんですよね。そんなに大きい影響はないと思います。
――慶大が立大に敗れ、すでに優勝の可能性はなくなっていましたがそれについては
まあ(優勝の可能性は)かなり薄くはなっていたのでね。一応は対校戦ですから、明大と慶大から勝ち点を取ることが残された最大の目標だと思いますね。
――残る試合はまずあすの明大戦ですが、やはり意地を見せにいくと
もちろんです。対校戦ですから、リーグ優勝はなくなったにしても明大に対して意地を見せたいですよね。
――そして、いよいよ最後は早慶戦です
はい、これはもうメインですからね。勝つ気でいきます。加藤くん(拓也、慶大4年)が調子いいですからね。でもきょう大竹もだいぶ調子が上がってきましたから、いい投球をしてくれると思います。
――常々おっしゃっているように、最後まで『負けない野球』を貫くということですね
そうですね。本来は専守防衛の中心は投手ですからね。投手が崩れると専守にはならないのでね。野球は投手が抑えないことには勝てないので。打撃はもともと期待していないので、打てないのは別にどうってことはないです。きょうはよく打ってくれましたね。
石井一成主将(スポ4=栃木・作新学院)
――やっと勝利をすることができました
やっと過ぎていいのか悪いのか分からないんですけど、きのうサヨナラ負けをしてチームとしても士気が下がってしまったのですが、最後までやり切ることに意味があるということを再確認しました。それで試合に臨んでこういう結果になったので、チームとしてもプラスになったので良かったと思います。
――打撃に関して、きょうの試合で気を付けたことなどはありますか
やはり大振りというか、スイングの軌道があまり良くなかったので、ショートの頭の上を狙っていこうと、基本的な考え方で臨みました。
――1試合で三塁打3本は、これまでの人生でありましたか
自分はないですね。飛んだ所が良かったです。
――遊撃手の頭を狙って左中間、右中間に打球を飛ばしました。考え方を改めた成果は出たと思います
そうですね、考え方次第だなと思うところもありますが、弱いところもあるので。意識としては良かったと思います。
――1打席目の適時打では手をたたいてガッツポーズをする場面もありました。苦しい試合が続く中、勝負強さを出すことができたと思います
そうですね。あの時は、大竹(耕太郎、スポ3=熊本・済々黌)がいいピッチングをしてくれるだろうと思っていたので、なんとか先制点を取って自分たちのペースでやらせてあげたいなと思って打席に立ちました。
――きょうの試合ではファールとなった打球にも力がありました。感触としてはいかがですか
捉え切れていなかったので、あれを確実に捉えたいなと思います。
――サイクル安打も狙える状況の中、思い切った走塁もありました
(サイクル安打は)狙ってなかったですけど、行けるなと思って、三塁に走りました。
――優勝がなくなった後にこのような勝ち方となりました。開幕前はみなさん「プレッシャーはない」と言っていましたが、いま振り返ってみていかがですか
もちろん優勝は狙っていましたが、去年優勝したからというわけではなく、新チームとしてもう一度目指していこうということでした。なので、プレッシャーを感じていたということはなかったですが、自分たちができることをあまりできていなかったですね。
――きょうの試合では各選手が持ち味を発揮できたと思います
そうですね、ここから勢いに乗ってくれればなと思います。
――試合後のチームの様子はいかがでしたか
チームの士気も上がって良かったですね。
――次戦に向けて一言お願いします
きのう負けているので、エース柳(裕也主将、明大4年)を打ち崩せるようにやっていきたいです。
大竹耕太郎(スポ3=熊本・済々黌)
――きょうは打たせて取る投球ができていたのではないでしょうか
そうですね。久しぶりに投げていてしっくりきました。
――具体的にしっくりきた部分はどこですか
制球というよりは投げていてためができていたので、キレのある球が思ったところに投げられていたと思います。それは今シーズン初めてできていたので。最後、点を取られるというのはまだ何かが悪いと思います。そこもまた考えて取り組んでいきます。
――緩い球をコントロール良く使えていたと思いますが
自分特有のためといいますか、リリースまでのワンテンポの遅れというのが取り柄だと思っています。きょうはそのためを意識して投げていました。
――不調の間の心境は
四年間、常に好調を維持するのは難しいと思いますし、今後の野球人生ではこういうこともあると思うので立ち直り方の引き出しができたということに関しては良かったと思っています。不調でチームに貢献できてはいませんでしたが、こういう状況を楽しんでやろうという意識をしていました。
――きょうの先発予定は決いつ決まりましたか
今週の水曜です。これだけ打たれていても先発として使っていただいているので、どうしても結果で恩返ししたい気持ちでした。
――スパイクの紐はどの段階で切れてしまったのですか
1人目の四球で。それで投球が乱れていたというのもありました。昨春に紐を変えて打たれたので、どうしようかと思ったのですが。結果、変えて打たれてしまいました。
――熊本地震で思うことこがあった中で結果が出せずに苦しい時期だったと思いますが
震災した方々も同じで、自分と同じ苦しい状況にあると思います。自分も(試合で)体現できたらいいと思っていました。またチャンスをいただけたら頑張りたいですし、早慶戦のテレビ中継は熊本でもあるので、そういうところで活躍できればいいかと思います。