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ハンドボール部

2016.05.01

関東学生春季リーグ 4月30日 神奈川・日体大健志台体育館

神の左手!劇的な結末で待望の初白星!

 開幕2連敗を喫した早大は強豪・筑波大との一戦を迎えた。開始直後から5点のビハインドを背負ったが、徐々に流れを引き寄せ2点リードで前半を折り返す。後半はリードを保ちながらも突き放せず、試合終盤には同点に追い付かれてしまう。残された時間は7秒。ボールは芳村優花(教3=愛知・星城)の元へ。利き手とは逆の左手から放たれたシュートがゴールに吸い込まれた瞬間、選手たちは喜びを爆発させた。27ー26で接戦を制し、3戦目にして大きな初白星を手にした。

重要な局面で得点を重ねた安藤万衣子(教3=東京・文化学園大杉並)

 序盤は完全に筑波大のペースだった。5連続得点を許し、重苦しい雰囲気が漂う。そんな中、前半7分にようやく1点を返す。「1点目を取ってからは吹っ切れた」(佐藤未来主将、スポ4=東京・文化学園大杉並)。早大は本来の姿を取り戻し、粘り強い守備から速攻につなげる理想のかたちで点差を縮めていく。13分過ぎに追い付くと、その後はシーソーゲームに。だが勢いでは早大が勝っていた。連続得点で競り合いから抜け出し、15−13で前半を終えた。

ポストシュートを冷静に決め、勝利に貢献した今井季穂里(教3=千葉・昭和学院)

 迎えた後半、序盤は順調に得点を重ねリードを広げたが、芳村が厳しいマークに合うなど、筑波大の堅い守りの前に苦戦し、試合は拮抗(きっこう)した展開となる。声を掛け合いながら、GK大沢アビ直美(スポ1=東京・佼成学園女)を中心とした決死の守りで逃げ切りを狙った。1点リードで迎えた後半29分、早大はタイムアウトをとる。タイムアウト明けの攻撃で得点すれば勝利をほぼ手中に収めることができる。しかし相手の懸命な守りを崩せず、決め切ることができない。さらにそこからボールを奪われ失点し、土壇場で同点に追い付かれてしまった。それでも諦めない早大は、速攻からファウルを受け好機を得る。時計が止まり、残された時間は残り7秒。選手たちは集まり話し合う。「みんなパニックというか、どうするか決められなかった」(内海菜保、スポ3=香川・高松商)。考えがまとまらないまま試合が再開。瞬時にプレーすることが求められた選手たち。最後は芳村の元へとボールが渡った。「何かやってくれるのではないかと思っていた」(佐藤主将)。右利きの芳村がとっさに選択したプレーは左手でのシュートだった。不意を突かれた相手にできたことは、揺れるゴールネットをただ呆然と見つめることのみ。会場に大歓声が沸き起こったその瞬間、試合終了を告げるブザーが鳴り響いた。喜びをあらわにし、歓喜の輪をつくる選手たち。勝利の女神は早大に微笑んだ。

決勝ゴールを決めた芳村に駆け寄り、抱き合う選手たち

 苦しんだ末に手にした待望の今季初白星に、劇的な結末も相まってか試合後には涙する選手も。だが勝負を決めた芳村は「自分も含めてたくさんミスをして、最後に私が決めただけ。もっと最初から集中してやっていればこういう展開にはならなかった」と、この勝利に満足する様子は微塵(みじん)もない。次戦の相手は創部以来一度も勝ったことがない東女体大。「絶対に勝ちたい」(佐藤主将)。選手たちは前だけを見据え、次なる戦いへと闘志を燃やす。

(記事 新津利征、写真 栗村智弘、田中一光)

★劇的勝利は、まるで一年前の再現!?

笑顔あり涙あり。激闘をものにした選手たちは胸をなでおろした

 終了間際の決勝ゴールで初勝利を手にした早大。実は昨年も、同じような結末を迎えた一戦があった。それは約一年前に行われた春季リーグ開幕2戦目のこと。相手はきょうと同じ筑波大。会場もきょうと同じ日体大健志台体育館であった。それだけではない。この一年前の試合でも、終了直前に決勝点を奪った早大が劇的な勝利を収めたのだが、その決勝点を決めたのが、芳村だったのだ。不思議な因縁を感じずにはいられないが、この二度にわたるミラクルを引き寄せたのは、芳村の驚異的な勝負強さはもとより、チーム全員の諦めない気持ち、そして強い団結力であることは想像に難くない。(栗村)

関東学生春季リーグ
早大 27 15−13
12−13
26 筑波大
GK 大沢アビ直美(スポ1=東京・佼成学園女)
LW 内海菜保(スポ3=香川・高松商)
LB 橋本澪(スポ3=東京・佼成学園女)
CB 正木優唯(スポ4=京都・洛北)
PB 佐藤未来(スポ4=東京・文化学園大杉並)
RB 芳村優花(教3=愛知・星城)
RW 川上智菜美(スポ3=東京・佼成学園女)
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PB佐藤未来主将(スポ4=東京・文化学園大杉並)

――おめでとうございます!いまの率直なお気持ちは

勝てて本当にほっとしてます。

――この試合にはどういった気持ちで臨みましたか

(筑波大と)3月に一度練習試合をしたことがあって、その時にある程度やれるという手応えがあったので、きょうは自分たちのミスがなければ絶対勝てるという強い気持ちで臨みました。

――試合を通じて手に汗握る展開となりましたが、試合中はどういった心境でしたか

前半の出だしでいきなり点差を広げられてしまって、こっちもなかなか攻めることができませんでしたし、自分たちのペースをつかめなくて、少し厳しいなと思いました。ただ、1点目を取ってからは吹っ切れたというか、盛り上げようという声をみんなで出すことができて、そこからは全員強気でいけたと思います。

――先週の試合から得たものを生かすことができたのではないですか

先週は自分たちは勝てると思い過ぎたせいで、逆に自分たちのプレーができなかったというか、単発のプレーが多くなって、それで自滅してしまっていました。この一週間、粘って攻めれば必ず相手のどこかに隙が出るという話をしていましたし、自分たちの課題をしっかり詰めて、コミュニケーションも積極的に取るようにしました。その結果として、きょうはいいプレーができたと思います。

――先週今後の課題として挙げていた『決定力』というところに関してはいかがですか

オフェンスでミスをしてもすぐに戻れば大丈夫という話をしていて、きょうは受け身になるのではなく、強気で攻めることができたのでよかったと思います。

――試合終了間際に劇的な決勝ゴールが決まりましたが、決まった瞬間どういった気持ちでしたか

心臓が止まるんじゃないかってぐらい、もうハラハラしていて(笑)。ただ去年も優花(芳村、教3=愛知・星城)がラスト1秒くらいで決めて勝ったという試合があって、それで何かやってくれるのではないかと思ってました。

――試合後は全員で抱き合って喜ばれていました。チームの団結力を感じる試合にもなったのではないですか

そうですね。私たちは同期が3人しかいなくて、試合に出ている人数としても後輩の方が多いので、後輩たちの力を借りながら練習も進めていこうと、いつもその3人で話し合っていますし、例年に比べてみんなの意見を取り入れながら戦っていこうというところは意識しています。

――最後にあすの東女体大戦に向けての意気込みをお願いします

東女体大には創部以来一度も勝ったことがないので、絶対に勝ちたいと思います。

PB今井季穂里(教3=千葉・昭和学院)

――初勝利の感想をお願いします

いや、本当に、超うれしかったです。

――ポストシュートを何本も決めましたね

きょうは未来さん(佐藤主将、スポ4=東京・文化学園大杉並)が怪我で出られなかったので、「未来さんじゃないから負けた」と絶対に言われないようにしようと思って臨みました。あとは仲間を信じてボールに食らいつきました。心の準備はできていたんですけどいざ出ると緊張しましたね。

――速攻の多いゲーム展開となりました

自分の持ち味も守って速攻なので、とりあえず走りまくりました。相手の方が体も大きいし技術もあったんですけど、気持ちと走りだけは絶対に負けないと思って臨んだのでよかったです。

――ディフェンスはいかがでしたか

自分のミスで前半ぽんぽんと決められて主導権を握られてしまったので、周りとのコミュニケーションをもっとしっかりするように修正して、あす以降に臨みたいです。

――前半点差を離されたときはどんな心境でしたか

みんな全然点数は気にしていなくて、自分たちのやるべきことをやれば大丈夫と思っていました。

――ことしのチームの強さはどういったところですか

上級生が少ないんですけど、そのぶんみんな仲が良くて、一人一人信頼してパスもシュートも全部できています。

――きょうはまさに全員でもぎ取った勝利という感じでした

はい、本当にうれしかったです!

――2連敗で迎えましたがチームの雰囲気はいかがでしたか

やっぱり平日の練習は盛り下がったりもしたんですけど、もうやるしかないし、逆に強い相手、筑波だからこそ思い切りいけました。きょねんも春は勝っているので、挑戦者として向かっていけました。

――最後のラスト7秒のプレーはいかがでしたか

最初7メートルスローだと思っていたので、絶対に入るって信じていたんですけど、フリースローになって。ただまだ7秒あったので絶対に決めるって思っていましたし大丈夫でした(笑)。

――芳村選手(優花、教3=愛知・星城)の左手のシュートに関しては

もう、さすがですね(笑)。

――次戦の相手は早大が創部以来まだ一度も勝ったことのない東女体大です

そうですね、一人一人が強いので、ディフェンスから固めていって最少失点で。ルーズボールとかは全部体張ってチーム全員で戦い抜きたいです。

CB安藤万衣子(教3=東京・文化学園大杉並)

――初勝利の感想をお願いします

一勝できてすごいよかったなと思います。

――ご自身のプレーを振り返っていかがですか

自分で前を狙って得点というかたちにはあまり結び付かなかったですし、相手の大きいディフェンスの間を狙えませんでした。ここ二戦、自分のフィジカル負けっていうのを強く感じていて、そこはすごい詰めていかなきゃいけないなと思います。個人的には課題の残る一戦でした。

――ポストへのパスがよく通って得点につながりました

そうですね、思ったよりもポストが空いていたので。空きすぎてちょっとビックリしたくらいなんですけど(笑)。そこをちゃんと自分でいけたらいいなと思っていました。

――全体的に速攻の多いゲーム展開となりました

ディフェンスから速攻というのは練習からずっと詰めていて、その練習通りにいきましたし、みんなが前に走ろうっていう意思統一ができていたので、セットでミスするよりは前にボールを持っていこうという意識があって、すごいやりやすかったです。

――ことしのチームの強さはどういったところですか

チーム力はあると思うし、コミュニケーションは例年と比べても取っているなと思います。でもまだ甘くて、怒ったり厳しいことが言えないので、厳しい指摘の声と盛り上げの声を重ねていけばもっといいチームになると思います。

――2連敗できょうの試合を迎えましたがチームの雰囲気はいかがでしたか

これまでの2試合は思うようにプレーができなくて、個々になってしまって、こんなはずじゃないと思うくらいに。まあ、過信してた部分もあって。でもきょうは何も考えずにチャレンジャーとしてとにかく当たっていこうという姿勢がよかったのかなと思います。前の2試合は負けてしまったんですけど課題が見つかったという部分が大きくて、春季戦っていく上でも、秋季・インカレに向けてという意味でもいい課題が見つかったと思います。

――最後のワンプレーに関しては

一応決めていたんですけど(笑)。最後7メートルスローかなどうかなって言って集まって、でも私はセンターだから本当ははっきり指示を出さないといけなかったんですけど、きちんと出せなくて、優花(芳村、教3=愛知・星城)の個人技に頼ってしまいました。きょうも優花はマンツーつかれていましたし、あそこで頼っちゃうチームじゃまだまだいけないですね。私が司令塔として指示して取らせるところは取らせないといけないなと思います。でもああいう予想外のプレーとかしてくれるのは盛り上がるし、本当にうれしかったです(笑)。

――あすの相手は創部以来一度も勝ったことのない東女体大ですが、きょう勝ったことでのっていけるのではないでしょうか

気持ちはのっていても今まで勝ったことないというのもありますし、多少苦手意識とかもあるんで。もちろん勝ちにいくんですけど、いい試合をしていい課題を得られるようにチームで持っていけたらと思います。でもイメージはきょうと同じだと思うので、それは大事にして。このあと、あしただけじゃなく今後の試合でのっていける雰囲気はできていると思うので、大事にしていきたいと思います。

LW内海菜保(スポ3=香川・高松商)

――おめでとうございます!いまの率直なお気持ちは

先週勝てていなかったですし、とりあえず一つ勝てて本当に良かったです。

――この試合にはどういった気持ちで臨みましたか

ここまで勝てていなかったのですが、チームの雰囲気自体は悪くなかったですし、そのいい雰囲気のまましっかり結果を出せるようにという気持ちで試合に入りました。

――チームのオフェンスを振り返っていかがですか

序盤は攻めあぐねて、自分たちのミスから逆速攻されてしまったりしたのですが、みんな足は動いていましたし、これまで止められてしまっていたようなフォーメーションでもしっかり攻めれていたので、その点は良かったと思います。

――ディフェンスに関してはいかがですか

ディフェンスも序盤はうまくいかなかったのですが、試合の中で徐々に改善できましたし、同じようなことを連続でやられたりしなかったことは良かったと思います。

――同点で迎えた残り7秒、プレーが止まってフリースローからの再開となりましたが、あの止まっていた間、コート内の皆さんでどういった話し合いをしていたのでしょうか

あのときコートにいたのが3年生だけで、みんなパニックというか、どうするか決められなくて、最終的には本能というか、みんなとっさにやったプレーでしたね。

――決勝点が決まった瞬間の気持ちはいかがでしたか

去年の春季リーグでも(芳村が)終了間際に決めて勝ったことがあったので、やってくれるんじゃないかなという気持ちはありました。本当にありがとうという感じです。

――試合終了後のチームの雰囲気はいかがでしたか

みんな本当に勝てて良かったという感じでしたね。キャプテンの未来さん(佐藤主将、スポ4=東京・文化学園大杉並)がきのう怪我をしてしまって、きょうも途中から試合に出れていなかったので、みんなキャプテンのためにもという気持ちでやっていましたし、勝てたので思わずみんなうるっときていましたね。

――内海選手はここまでの3試合、かなりの高確率でシュートを決めていますが、ご自身の調子はいかがですか

去年のシーズンに比べると滑り出しはいいと思うので、このまま続けていけるように頑張りたいです。

――あすの東女体大戦に向けての意気込みをお願いします

(創部以来)まだ勝ったことのない相手なので、この勢いのまま勝ちたいですし、周りの評価を覆せるような試合をしたいと思います。

RB芳村優花(教3=愛知・星城)

――劇的な試合でした。振り返っていかがですか

前半は0ー5までいきましたが、こうなるだろうとは思っていたので、そこで集中していけました。それが結果的には良かったですね(笑)。

――2連敗していた中でのきょうの試合はどのうような意識で臨みましたか

筑波大からは点を取れる自信はあったので、ディフェンスで集中して冷静に決めるべきところで決めて守ることができれば、勝てない相手ではないという感じはありました

――序盤流れが悪いように見えましたが、そのときはどのようなことを考えてプレーしていましたか

ディフェンスで守って、セットオフェンスで点は取れていたので、とにかくディフェンスで集中して一本取りにいこうと考えていました。

――後半は厳しいマークに合いましたが

先週の試合でも点を決めていたので、厳しいマークにつかれるだろうと予測していました。一人少ない状況の中でマンツーマンマークにつかれて、時間を使うことはできたのですが、シュートまでいけなかったり、パスをカットされて速攻をされる場面があったので、そこは改善していかなければいけないと感じました。

――終盤に追いつかれて、残り7秒でプレーが一旦止まりましたが、その時はチームメイトとどのような話をしましたか

そのとき出ていたのが3年生だけだったので、同期ということで信頼して、自分のやることに集中してやるしかないという感じでした。

――誰がシュートを打つのかや、狙いについては話しませんでしたか

誰がシュートを打つのかは決まってませんでした。残り7秒の最後の場面ではフォーメーションのきっかけはあったのですが、それができず、打っちゃいました(笑)。

――ボールを持った時に考えたことや頭をよぎったことなどはありましたか

無心です。

――左手で打つという判断については

冷静だったら多分打ってないと思います。いい感じに追い込まれて、自分がボールを持っていたので打ってみました(笑)。

――勝利した瞬間の心境はいかがでしたか

キーパーを見ず、腕の感覚だけで打ったので入ったかどうかが最初は見えず、見えたら入っていたのでビックリしました。

――チームメイトと喜びを分かち合っていましたがそのときの心境は

去年の春季リーグでも筑波大にこういうかたちで、私が決めて1点差で勝ったのですが、そのときのことを思い出して、他の試合でもこのようにがむしゃらにできたらもっといい試合ができるのかなとか、去年の悔しさなども蘇って、今の感情だけではない色々な喜びがありました。

――試合が終わった直後ではありますが、チームの雰囲気に変化などはありますか

みんなにはいろいろ言われますが、自分も含めてたくさんミスをして、最後に私が決めただけなので。もっと最初から集中してやっていればこういう展開にはならなかったと思うので。今後の試合は前半からもっと集中して流れに乗り、それを継続していきたいです。

――最後に今後の抱負をお願いします。

去年から私はフルで出ていたので、エースという自覚を持って最後まで逃げずに勝負していきたいです。