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2016.03.02
早大とアシックスの組織的連携に関する記者発表 3月2日 早大大隈会館
早大がアシックスとの組織的連携を発表
早大はこの日、株式会社アシックスと今後組織的連携を取っていくことで合意したと発表。記者会見には鎌田薫総長(昭45法卒=東京教育大付駒場)、アシックスの尾山基代表取締役社長CEOをはじめとする多くの関係者が出席し、取り組みについての説明や質疑応答が行われた。大学スポーツの発展がスポーツ界全体の発展につながるとし、研究開発だけにとどまらず人材交流、社会貢献なども積極的に行っていく予定だ。アシックスが大学単位で連携を行うことは初である。
会見第1部では鎌田総長、尾山社長によるあいさつや契約書への調印などが行われた。「日本のスポーツ全体を発展させていくという重い責任を早稲田大学の体育部は背負っていると思います」(鎌田総長)と、この連携が体育各部のさらなる発展を期待したものであることを強調。このタイミングでの連携に至った経緯について早大は、国際的企業であるアシックスと連携を図り、2019年のラグビーW杯、そして2020年の東京五輪・パラリンピックに向け尽力していくためだと説明した。また尾山社長は「大学スポーツの産業化にチャレンジしたい」と宣言。一方的な協力ではなく、研究開発における相互の連携、スポーツを通じた人材育成、社会貢献を大きな柱として、スポーツを盛り上げるため共に歩んでいくとした。
連携の証しに握手を交わす尾山社長(左)と鎌田総長
また第2部では体育各部監督によるトークセッションが行われた。競走部・相楽豊駅伝監督(平15人卒=福島・安積)、庭球部・土橋登志久監督(平元教卒=福岡・柳川)、ア式蹴球部・古賀聡監督(平4教卒=東京・早実)、ア式蹴球部女子・福島廣樹監督(昭45教卒=東京・独協)、ラグビー蹴球部・山下大悟監督(平15人卒=神奈川・桐蔭学園)が今回の連携の利点、今後期待することなどについて話した。先日就任した山下監督は、2018年の創部100周年、そして2019年のW杯などさまざまなイベントが控えるラグビー部にも連携の効果を期待。一流選手との交流や、上井草グラウンドのボールパーク化などにも言及した。
鎌田総長、尾山社長、体育各部監督による集合写真
今回の連携がどのような成果をもたらすのかは、両者のこれからの取り組み次第によって大きく変わりうる。具体的な内容などについては協議中とのことだ。「未来に継承される新たな価値を生み出していけると確信しております」(尾山社長)。この連携が物品面、資金面のみにとどまらず、最終的にスポーツ界全体の発展に寄与するものとなることを願いたい。
(記事 中丸卓己、写真 桝田大暉)
鎌田薫総長(昭45法卒=東京教育大付駒場)あいさつ
株式会社アシックス様との組織的連携に関する基本協定を締結させていただきますことは、早稲田大学におきましても大変うれしいことであり、光栄であると存じております。この協定をバネに本学のスポーツ分野における教育・研究活動がさらに発展していくことを確信いたしております。(中略)19世紀から早稲田大学はスポーツを本格的に展開してきたわけでありますけど、日本のスポーツの発展の歴史を振り返ってみますと早稲田大学、そして(旧制)一高・東大、慶應義塾といった大学が日本での近代スポーツの導入と発展を支えてきました。こうした役割は今日もなお早稲田大学のスポーツに期待されているところでありまして、日本のスポーツ全体を発展させていくという重い責任を早稲田大学の体育部は負っていると考えております。早稲田大学はこうした古い歴史を踏まえまして、今日では体育各部が44部、2500名が所属する大きな組織となっておりまして、日夜研さんに励んでいるところでございます。また、スポーツ科学部とスポーツ科学研究科を擁し、スポーツに関する実技のみならず、スポーツビジネスやスポーツ医学等々、幅広い分野での研究・教育活動を行っているところであります。(中略)大学におけるスポーツの発展は、日本のスポーツの発展の原動力であるという側面のほかに、言うまでもなく一人一人のアスリートの人格、肉体、精神力、人間力といったものの発展の大きな原動力でもあります。彼らが良き社会人として、そしてまた次の世代を育てる良きスポーツ指導者として成長していくということが大学スポーツにとってのもう一つ大きな役割だと思います。(中略)本日、世界的なスポーツメーカーでありますアシックス様と共同することができました。これにより大学スポーツの一層の発展を期待することが可能となります。競技水準の向上、地域交流・社会貢献活動、国際交流・文化発信の促進を主とする両者間での組織的な連携を行うことで、地域社会、国、産業界および国際社会の発展に寄与することができるものと確信しております。また、2020年に控えた東京五輪・パラリンピックに向けて五輪・パラリンピックレガシーの創出と継承に大きな弾みをつけることが期待されているところでもあります。
尾山基代表取締役社長CEOあいさつ
本日は大変お忙しい中、早稲田大学とアシックスとの組織的連携に関わる取り組みについての記者会見においでいただきまして誠にありがとうございます。この度、長い歴史のある早稲田大学との組織的連携に関してここに発表できることを大変光栄に思い、またうれしく思っております。今後早稲田大学と共に、日本の大学スポーツのさらなる発展、大学スポーツの産業化を目指して活動してまいりたいと思います。(中略)高い知名度と組織力のある早稲田大学とタッグを組むことによって、ブランド価値向上にとどまらず、未来に継承される新たな価値を生み出していけると確信しております。今回の提携の大きな目的の一つとしてはスポーツ振興を通じた地域、社会貢献、そして教育面で社会人の育成がありますが、今後を見据えたときに、大学スポーツの産業化にチャレンジしたいと思っている次第でございます。日本の大学スポーツには大きな可能性があると感じております。例えば、アメリカのカレッジスポーツは学生やOBのみならず多くの地域住民が観戦に訪れるなど、プロチームに匹敵するほどの人気と収入を誇っております。スポーツが人々の生活の身近にある社会を実現する上で大きな役割を担っており、このような環境がアメリカというスポーツ大国の土台になっていると思います。そういった意味でも、スポーツを通じた地域社会への貢献は人材育成だけに留まらず大学スポーツのプレゼンスを高めるものであり、ひいてはスポーツ界全体の発展をけん引するものと考えます。今後は早稲田大学の体育会との取り組みを強化してまいりたいと思います。当社の開発部やスポーツ工学研究所を活用し、製品やトレーニング方法の共同研究、商品開発を通じまして競技水準の向上を図ってまいります。また、ボランティア活動の推進やスポーツによる地域社会への貢献を行ってまいりたいと思います。そして大学スポーツが一大産業となるよう早稲田大学とやっていきたいと思っております。