野球部
2015.11.01
秋季リーグ戦 10月31日 神宮球場
決勝打は川原!春秋連覇まであと一勝/慶大1回戦
慶大1回戦 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | 早大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 |
慶大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | |||||
(早)○小島、吉野和-道端 |
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勝てば春秋連覇に王手となる早大、負ければ3季ぶりの優勝が消滅する慶大。今季の早慶1回戦は伝統の一戦にふさわしい手に汗握る展開となった。両校ともに好機をつくるも、先制点を奪えず試合は流れる。展開が動いたのは6回表。2死満塁から8番・川原孝太(文構4=静岡・掛川西)が中前に2点適時打を放ち、序盤からの重い雰囲気を一掃した。投げては小島和哉(スポ1=埼玉・浦和学院)がたびたび走者を背負う苦しい投球となったが、8回まで無失点に抑える。9回こそ本塁打を浴びるも、吉野和也(社3=新潟・日本文理)とのリレーで慶大の強力打線を1点に封じた。大事な初戦をものにした早大。逆転優勝まであと1勝となった。
先発のマウンドを託されたのは小島。今季すでに2勝を挙げているが、この日の投球は本調子とは言い難かった。重圧のかかる一戦からか、序盤は特にボールが高めに浮き3回までにすでに4四死球。「立ち上がりが悪かった」と振り返ったように中盤までは制球に苦しんだが、徐々に安定していった。得点圏の場面となっても要所を締め、7回まで無失点。試合を十分に作った。球数が100球を超えた8回裏、大きなピンチを迎える。2本の安打を浴び、1死一、二塁で対するは8番・小笠原知弘。この打席まですべて出塁を許していた嫌な打者との対戦だったが、見事三ゴロ併殺に打ち取る。グラブをぽんと叩き、マウンドを降りた。しかし、完封勝利目前の9回に一発を許しここで降板。あとを受けた吉野が何とか無失点で切り抜け、最少失点で慶大を封じた。
ピンチを切り抜け、ガッツポーズを見せる小島
前節の法大戦から復調の気配を見せていた早大打線。早くに投手を援護したいところだったが、なかなか得点を奪えない。試合が動いたのは、グラウンドに日差しが立ち込め始めた6回表だった。1死から丸子達也(スポ4=広島・広陵)が四球で出塁。続く石井一成(スポ3=栃木・作新学院)が犠打を投前に転がすも、慶大先発・三宮舜がここでまさかの悪送球。丸子は三塁まで進む。好機は拡大し、2死満塁と先制点を奪う絶好の場面を迎えた。ここで打席には川原。「1打席目も2打席目も初球真っすぐを見逃して打ち取られていた」と、ここまで好機の前に2度凡退していた。狙いすましていた初球。強くたたいた打球が中前に落ち、早大の勝利を大きく近づける2点適時打となる。一塁を回ったところで、川原はガッツポーズ。髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)も「2死からよく打ってくれた」とここぞの一打を称賛した。
殊勲打を放ち、川原は大きなガッツポーズを見せた
僅差の勝負となった第1戦は早大に軍配が上がり、あすの第2戦は優勝への大一番となる。「とにかく目の前の一戦、目の前の1プレー、目の前の1点に集中して戦っていこうという意識がチームの中である」(川原)。髙橋監督も「まだまだわかりません。やってみないと」と冷静さを保っていた。8年ぶりの春秋連覇まであと一勝。神宮に再び歓喜の渦を巻き起こせるか。舞台は整った。
(記事 井口裕太、写真 谷田部友香、菖蒲貴司)
早大打者成績 | |||||||||||||||||
打順 | 守備 | 名前 | 打 | 安 | 点 | 率 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | ||
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1 | (右) | 重信慎之介 | 4 | 2 | 0 | .424 | 二安 | 四球 | 空振 | 左安 | 中飛 | ||||||
2 | (二) | 河原右京 | 3 | 0 | 0 | .235 | 投ギ | 三ギ | 遊ゴ | 遊ゴ | 遊ゴ | ||||||
3 | (三) | 茂木栄五郎 | 4 | 0 | 0 | .212 | 投邪 | 見振 | 二ゴ | 四球 | 遊ゴ | ||||||
4 | (一) | 丸子達也 | 3 | 0 | 0 | .182 | 空振 | 三ゴ | 四球 | 四球 | 空振 | ||||||
5 | (遊) | 石井一成 | 4 | 2 | 0 | .250 | 二安 | 三邪 | 投安 | 空振 | |||||||
6 | (捕) | 道端俊輔 | 2 | 0 | 0 | .281 | 投ギ | 二ゴ | 四球 | 二ゴ | |||||||
7 | (中) | 中澤彰太 | 3 | 0 | 0 | .103 | 空振 | 四球 | 捕邪 | 中飛 | |||||||
8 | (左) | 川原孝太 | 4 | 1 | 2 | .130 | 遊ゴ | 空振 | 中安 | 空振 | |||||||
9 | (投) | 小島和哉 | 2 | 0 | 0 | .143 | 四球 | 投ゴ | 遊飛 | 四球 | |||||||
投 | 吉野和也 | 0 | 0 | 0 | .250 |
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コメント
髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)
――均衡した試合展開の中で先制し、試合をものにしました
よく2点を守り切ったと思います。小島(和哉、スポ1=埼玉・浦和学院)もそんなに調子が良くなくて、高めの球が多くて。最後本塁打打たれましたけど、高めの制球が悪かった状態ですからね。ただ失点はしてませんでしたからね。粘り強い投球をしてくれたので、特に相手の中軸のときは良かったですよね(笑)。それ以外はコントロールが悪いんだけど、まぁ中軸を抑えてくれたら、向こうも勢いが出ませんので、そういう点では良かったと思います。
――両チーム共にチャンスを生かし切れなかった
1死二、三塁、1死満塁で点を取れなかったですからね。お互い死闘で投手が頑張ってくれているから、簡単に点は取れないですけど、2死からよく川原孝太が打ってくれましたね。
――4年生の川原孝太選手(文構4=静岡・掛川西)が決めてくれました
春も6回に犠飛で1点取っていて、めったに打たないけど、印象に残る点は取りますね(笑)。
――記録よりも記憶に残る選手ですか
そうそう(笑)。
――投げては小島投手が試合をつくってくれました
点をやらなかったからね。いつも言うんですけど、いい投手は点をやらないといい打者は点を取る、というのが基本的な考え方でそれからしたら9回に代えるつもりもなかったし。
――完投でいく方針だった
あそこで本塁打はあとを引きずりますからね。そこで切り替えてという気持ちになれないと思うので、次は右打者だったので、吉野(和也、社3=新潟・日本文理)に代えました。
――ボール先行で四球を出しピンチを広げていく投球に思いましたが、どういう印象でしたか
力みではないと思いますが、バランスの問題でしょうね。全体にボールが多かったので、高めのが続いていましたね。
――8回のピンチの場面ではマウンドに上がったあと、道端俊輔選手(スポ4=智弁和歌山)と二人で話されていましたが
次代打が出て来そうで、それが本塁打を打った選手なんですよ。そこへ吉野を持っていくのはリスクがあるから、それだったら小島でいこうということにして。そしたら最終回で出てきて、(本塁打を)打たれたので(笑)、吉野だったら打たれてるかどうかわかりませんが、ああいうときはこわいですね。
――他にも候補がいたと思いますが、吉野投手を起用しましたが
北濱(竣介、人2=石川・金沢桜丘)という選択肢もあるんですけど、北濱は今季確かに勝っているんですけど、負けてたり同点ぐらいの状況なんですよね。こういう勝ってる大一番の試合という経験がないのでね。その点、吉野の調子はまだベストじゃないんですけど、吉野の方がキャリアがあるかなと。
――吉野投手を送り出す際は何と声を掛けましたか
同点までいってもいいからいけ、と。延長もあるし。抑えてくれと言ったらプレッシャーになりますからね。同点までなら許すと(笑)。
――重量打線を相手にロースコアでの試合が進みましたが、投手層が薄い中で、粘り強さが出せたのかなと思いますが
そうだと思います。打ち合いになったらかないませんもん。
――河原右京主将(スポ4=大阪桐蔭)の連続安打記録が途絶えました
最初の2打席は左投手で重信(慎之介副将、教4=東京・早実)が出たときに、右投手なら打たせるんですけどね。ちょっと左なので、難しいのですが、そこは小技チームで頼むときのうから言っていたので。重信も首位打者かかっているけど、場面によっては小技チームのやり方で頼むよとは言ってあります。
――ただチームのために2回とも犠打を決めてくれましたね
それは本当に大きいです。また得点した場面でも石井(一成、スポ3=栃木・作新学院)の犠打を相手が暴投して、チャンスが広がったわけですから、犠打も、打つだけじゃなくて効きますよね。
――優勝まであと1勝です
まぁ明大もこの状況で落としたわけですから、まだまだわかりません。あしたやってみないとね。
川原孝太(文構4=静岡・掛川西)※囲み取材より抜粋
――2点適時打の場面、初球を狙っていましたか
1打席目も2打席目も好機で回ってきていて、初球真っすぐを見逃して打ち取られていて。その後ということもあって初球に甘い高さにきたら思い切っていこうということだけ考えていました。
――早慶戦は緊張しましたか
打席に立っている時は緊張していましたが、ここまできたらシーズンでやってきたことをやるだけだなと思って、自分のいまできるスイングをしっかり打席の中でしていこうという思いでした。
――いつもと変わらずプレーすることができましたか
普段と変わりなく、変に意識することなく、いままで通りのプレーができたと思います。
――優勝の意識はありましたが
勝ち点を取ればということではあるのですが、とにかく目の前の一戦、目の前の1プレー、目の前の1点に集中して戦っていこうという意識がチームの中であるので、そっちの意識の方が強かったです。
――中盤まで慶大の三宮舜投手を打ちあぐねていましたが、作戦は変えていったのでしょうか
好機は作れていて、最後の1本が出ずに点が取れていなかっただけなので。そこまでチームの雰囲気として焦りはなかったですし、しっかり好機をものにできるように、という意識でした。
――三宮投手の球はきていましたか
そうですね。真っすぐも思った以上にきていて、左打者にもスライダーが決まっていました。
――髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)も、「川原はあまり打たないけれど印象に残る一打を打つ」とおっしゃっていました
これだけ打っていなくても使っていただいているので、ああいうところで何とかタイミングを取って何かしら残したいという気持ちでした。
――コンパクトなスイングを心掛けていましたか
そうですね。風もありましたし、そんなに飛ぶような打者ではないので、なるべく低い打球を狙っていました。
小島和哉(スポ1=埼玉・浦和学院)※囲み取材より抜粋
――きょうは好調と言えない投球だったかと思いますが、その中でも慶大を抑えられたことをご自分ではどう評価していますか
ばてても良いと思って最初から飛ばしていって、立ち上がりは悪かったのですが、自分で試合中に修正できたので、きょうの試合の中ではそれだけ良かったかなと思います。
――修正はどのようなものでしたか
球自体は走っていたのですが浮いていたので、それを修正しました。
――破壊力のある慶大打線をこの大事な試合で抑えられたことは自信やチームにとってもプラスになりましたか
そうですね。でもまだまだです。
――横尾俊建主将(慶大)を一番警戒していましたか
3、4番という感じです。横尾さんと谷田さん(成吾、慶大)が打つのはわかっていたので、その前にできるだけランナーを溜めないようにしようと思っていました。最悪一発打たれても一人で終わらせられるようにと意識していました。
――谷田選手を三振に取る場面もありました
谷田さんは1打席目でおそらくチェンジアップを張っていなくて三振を取れたので、谷田さんはこの試合では大丈夫かなと思っていました。その前に横尾さんには良い当たりを2本されていたので、この試合では回してはいけないのは横尾さんと小笠原さん(知弘、慶大)だなと思いました。
――法大戦でも9回で打たれましたが、最後の1回は違いますか
そうですね。特に秋だと4年生とできる最後のゲームというのがあって、その圧に自分が負けているので。
――最後は疲れが出ましたか
疲れたというか、9回にも140キロは出ていたので球自体は良かったのですが、(甘く入った)その1球を打ち損じないところはさすがだなと思いました。
――打たれた球は何でしたか
チェンジアップです。どうしてあそこで投げてしまったのかと思います。
――早慶戦の第一先発を任されて、その試合で勝った気分はいかがですか
勝つに越したことはないので、一番は勝つことなのですが、自分としては何とも言えないです。
――入学してからまだ負けが付いていません
それでもいつかは付くと思うので。そこはあまり気にしないでいきたいです。
――あすの試合への思いは
できるだけ4年生と長く試合ができるようにしたいと思います。