野球部
2015.06.14
第64回全日本大学選手権 6月14日 神宮球場
ついに手にした栄光!逆転勝利で大学日本一に
TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |||||
早 大 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 | 0 | 2 | 8 | |||||
流通経大 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 5 | |||||
(早)小島、吉野和、○大竹-道端 ◇(本塁打)石井2号2ラン(二塁打)道端 |
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春季リーグ戦、そして全日本大学選手権。『一戦必勝』を掲げ、長きに渡る死闘をこれまで乗り越えてきたエンジの戦士たち。その先に見えたものは、この上ないほど輝かしき栄光であった――。ついに迎えた全日本大学選手権決勝。準決勝で上武大を破った早大の前に、東京新大学リーグの王者・流通経大が立ちはだかる。最速155キロの速球が自慢の剛腕・生田目翼の前に、打撃陣は苦戦。しかし7回、石井一成(スポ3=栃木・作新学院)の2点適時打などにより5点を挙げ逆転に成功。投げては小島和哉(スポ1=埼玉・浦和学院)、吉野和也(社3=新潟・日本文理)、そして大竹耕太郎(スポ2=熊本・済々黌)の継投で、強力打線相手になんとか5失点で踏みとどまる。最終的に8-5と流通経大を下し、3年ぶり5度目となる大学日本一の座を手にした。
先に仕掛けたのは早大だった。初回、走者を二塁に置く好機で丸子達也(スポ4=広島・広陵)が右翼へ適時打を放ち、先制点を得る。このまま一気に畳み掛けたいところだが、徐々に本来の投球を取り戻し始めた相手先発を崩すことはできず。結局、6回まで追加点を挙げることはかなわない。一方の投手陣は、先発を任せられた小島が立ち上がりにつかまる。クリーンナップに連打を浴びるなど、要所を締められずいきなり2点を奪われた。3回にも2死一、二塁のピンチを招くが、救援として登板した吉野和が後続を打ち取りこの窮地から脱する。その吉野和も4回に失点を許してしまい、悪い雰囲気が早大ベンチを漂い始める。流れを変えるべく、5回途中からはエース大竹がマウンドに登った。前日からの連投で本調子とは言えなかったが、持ち前の緩急織り交ぜた投球で流通経大打線を翻弄(ほんろう)。相手の追撃ムードを断ち切ることに成功する。
2点ビハインドで迎えた7回。ここまで抑えられてきた稲穂打線が、とうとう火を噴いた。代打・渡辺琢也(教4=東京・早実)の安打を皮切りに好機をつくると、茂木栄五郎(文構4=神奈川・桐蔭学園)が速球を右前へはじき返し1点差に迫る。続く丸子が四球を選び、2死満塁。この絶好の場面で石井が放った打球は、一塁手の正面へ。万事休すかと思われた、その矢先。途中でバウンドが大きく変化し、そのまま打球は右翼に抜ける。「チームのみんなと応援してくださる皆さんの思いがあの結果を生んだ」(石井)。執念による2点適時打で逆転に成功した。さらには道端俊輔(スポ4=智弁和歌山)にも左中間を割る2点適時二塁打が飛び出し、この回大量5得点を挙げる。締めくくりは再び石井。9回に打席が回ってくると、甘く入ってきた初球を見逃さず振り抜く。右翼スタンドへ2点本塁打をたたき込み、流通経大を大きく突き放した。
逆転打を放ち、大きなガッツポーズを見せる石井
ここまで粘りの投球を続ける大竹。だが7回、走者を一人置いた場面で痛恨の2点本塁打を浴びる。これで早大のリードはわずかに1点に。しかしながら、これまで幾度も正念場を切り抜けてきた左腕は「安打でつながれるよりは、本塁打を打たれた方が切り替えしやすい」と動じなかった。その後の打者に対し1本の安打も許さず、圧巻の投球を見せつける。そして最終回、2死。最終打者の打球は一塁手・丸子のグラブへと吸い込まれ、そのまま丸子が一塁ベースをしっかりと踏みつける。ゲームセット。紛れもなく、早大が頂点に立った瞬間だった。
優勝の瞬間、選手たちは喜びを爆発させた
新体制発足当初、早大の下馬評は決して高くはなかった。しかし、「一人一人が絶対に勝つという気持ちを持っている」という河原右京主将(スポ4=大阪桐蔭)の言葉通り、どのチームよりも貪欲に勝利を追い求め、鍛錬に励む姿勢が外野からの声をはねのける。勝負を諦めないからこそ生まれる終盤の粘り強さはいつしかチームカラーとなり、きょうのゲームのような数々の逆転劇を演じてきた。名実共に大学球界日本一となった早大だが、髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)はあくまでも挑戦者としての立場を忘れない。「受けて立つのではなくて、優勝したら何もなかったと考えて次のリーグ戦を迎える」。これまで以上にマークが厳しくなることが予想される秋季、早大はどのような戦いを繰り広げることができるか。覇者の目は既に次なる舞台を見据えている。
(記事 落合修平、写真 藤川友実子、角田望)
★茂木、最高殊勲選手賞、首位打者賞を獲得!
今大会の首位打者となり、MVPに選ばれた茂木
多くの選手が喜びを爆発させるマウンド。背番号『1』はゆっくりと、その一歩一歩をかみ締める様に歓喜の輪へ歩み寄っていった。コールド勝利を引き寄せた初戦の特大弾に、試合開始早々の先制パンチとなった前日の本塁打。ここまでワセダ打線をけん引してきた茂木は、この日も圧倒的な存在感を示す。2点のリードを許して迎えた終盤戦。行き詰った試合を再び動かしたのはやはり茂木だった。実に3回以来となる安打が生まれ、二死ながら2人の走者を置いてこの日4度目の打席は巡ってくる。追い込まれてからの4球目、疲れの見え始めた相手の速球を狙い打つ。打球は見事一、二塁間を破り、二塁走者の重信慎之介副将(教4=東京・早実)が生還。後続の選手も続いてこの回一挙に5得点と、茂木の一打が反撃の呼び水となった。
打率6割1分5厘、2本の本塁打、打点は8。まさに圧巻の成績を挙げた茂木は最高殊勲選手賞、首位打者賞を獲得し、1大会における個人最多得点をこれまでの7から10へと大幅に更新した。5本の本塁打を放った春のリーグ戦に、MVPも獲得した今大会。この春、茂木は大輪の花を咲かせその名を全国の野球ファンに知らしめた。
(記事 三井田雄一)
早大打者成績 | |||||||||||||||||
打順 | 守備 | 名前 | 打 | 安 | 点 | 率 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | ||
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1 | (右) | 重信慎之介 | 5 | 2 | 0 | .357 | 三安 | 左安 | 空振 | 遊ゴ | 中飛 | ||||||
2 | (二) | 河原右京 | 3 | 1 | 0 | .400 | 一ギ | 四球 | 二ゴ | 中安 | 見振 | ||||||
3 | (三) | 茂木栄五郎 | 3 | 2 | 1 | .615 | 四球 | 左安 | 遊ゴ | 右安 | 四球 | ||||||
4 | (一) | 丸子達也 | 3 | 1 | 1 | .571 | 右安 | 空振 | 四球 | 四球 | 一ゴ | ||||||
5 | (遊) | 石井一成 | 4 | 3 | 4 | .400 | 見振 | 一安 | 一ギ | 右安 | 右本 | ||||||
6 | (捕) | 道端俊輔 | 5 | 1 | 2 | .267 | 遊ゴ | 中飛 | 遊ゴ | 中2 | 右邪 | ||||||
7 | (中) | 中澤彰太 | 5 | 0 | 0 | .125 | 二ゴ | 空振 | 二ゴ | 空振 | 左飛 | ||||||
8 | (左) | 川原孝太 | 4 | 0 | 0 | .214 | 投ゴ | 空振 | 見振 | 空振 | |||||||
9 | (指) | 藤田恭輔 | 2 | 0 | 0 | .444 | 中飛 | 空振 | |||||||||
打 | 渡辺琢也 | 1 | 1 | 0 | 1.000 | 右安 | |||||||||||
走指 | 武居直宏 | 0 | 0 | 0 | .— | ||||||||||||
打指 | 佐藤晋甫 | 0 | 0 | 0 | .— | 四球 |
早大投手成績 | ||||||||||
名前 | 試 | 勝 | 敗 | 回 | 安 | 振 | 球 | 失 | 責 | 防 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
小島和哉 | 2 | 0 | 0 | 2 2/3 | 4 | 1 | 3 | 2 | 2 | 3.72 |
吉野和也 | 2 | 1 | 0 | 1 2/3 | 4 | 1 | 0 | 1 | 1 | 4.91 |
大竹耕太郎 | 3 | 3 | 0 | 4 2/3 | 4 | 3 | 0 | 2 | 2 | 2.30 |
コメント
髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)
――きょうの試合は総力戦でした
本当に苦しい展開でしたが、序盤を辛抱してくれて2点差なら後半チャンスがあるかなと思っていましたが、本当に選手がよく粘ってくれたと思います。
――厳しい展開でしたが、持ち味のつながる野球が7回に出ましたね
本当に粘り切ってくれました。よく打ってくれたと思います。
――中盤にかけては継投でどんどん勝負をかけていったと思います
投手はあまり調子が良くなかったので、どういうつなぎ方でいこうか、非常に悩んでいましたが、きょう延長も18回まであることも考えながらやりました。
――改めて就任最初のシーズンで日本一です
考えてもいなかったことです。本当にチームに恵まれて幸せです。本当に皆さんありがとうございました。
――今大会は監督にとってどのような大会でしたか
大学での指導が初めてでしたが、日本一になれるチャンスがあって、私は高校で2番にしかなれなかった。甲子園でできなかったことを神宮でぜひと思い、1番になりたいと。就任時から選手には早慶戦に勝つこと、リーグ戦で優勝すること、大学日本一になることと3つをかかげてきて、選手たちもその気持ちをよくわかってくれて、優勝できて良かったです。
――就任1年目での制覇。改めていまのお気持ちを
幸せすぎますね。良い選手たちに恵まれましまた。感謝したいと思います。
――きょうの試合、どの選手のどのようなプレーが勝利のカギとなりましたか
勝利のカギと言いますか、選手全員がつないでつないで、投手陣もやりくりして、逆転してもすぐツーランを打たれて、厳しい展開で、もし延長になったらタイブレークでなくなり、18回まであるということだったので、そこまで投手を替えることができなかったです。そういう厳しい試合でした。
――今大会で成長したところはありますか
リーグ戦から序盤をしのいで、中盤から終盤にかけて打線が試合をものにするということが多かったのですが、たまたまコールドゲームもありましたが、きょうのように劣勢に立っていても最後まであきらめずに、1点つめようとする気持ちが試合に出たと普段からそう言っているし実践できたと。その通りチャンスをつないでワンチャンスをものにできた。
――大学日本一になったいま、今後どのようなチームにしていきたいですか
昨年も優勝していないとチャレンジャーでやってきました。秋も受けて立つのではなくて、優勝したら何もなかったと考えて次のリーグ戦を迎える。できたら秋のリーグ戦、明治神宮でまた日本一になれるように磨いていきたい。
――ヒーローインタビューで潤まれてましたが
高校で日本一目指してやってきて、できなかったのでね。大学ですが、日本一になれたのは非常にうれしく思います。
――難しい挑戦だったと思いますが
最初に3つの目標を決めて、それで全て達成できるとは夢にも思っていなかったです。自分の就任中に1つずつできたらいいかなと思ってやってましたので、あとがこわいですね。
――秋はどのようなシーズンに
やはり目標にされますからね。受けて立つのではなく、選手も反省点がわかっていますので、それを踏まえて、よりいっそう力を磨いて、次のリーグ戦に臨みたいと思います。
――序盤は相手先発に苦しめられましたね
変化球も良いし、ストレートも140キロを超えますからね。投げっぷりが良いですよね。非常に良い投手だと思います。ただきのうからの連投で、勝機があるとしたら立ち上がりにきのうの疲れから2、3点連取できれば逃げ切れるかなと思いましたが、1点でしたからね。3点を取られて苦しい展開でしたが、何とか1点をつめて、連投の疲れは必ず出てくるだろうなと。7回でまだ2点差でしたが、1点つめていけばと選手たちを鼓舞していました。
――狙い球の指示をしたりしましたか
いや、低めのスライダーのボール球を振ることが多くて、ベンチからは高さしか見えないので高さを絞らせることを言ってました。低めを振るなと。球種でなく高低で絞らせるようにしています。
――相手の4番がバントする場面もありました
ラッキーとは思いませんでしたね。本塁打を打っている4番にバントさせるという相手ベンチの気迫が伝わってきて、それはプレッシャーでしたね。
――小島和哉選手(スポ1=埼玉・浦和学院)を早めに降板させましたが
2点取られてましたからね。あとは、打者に合ってましたよね。非常に向こうの姿勢とか気構えが徹底してましたね。左打線だったので、小島でいけるかなと思いましたが、早大の投手全体がリーグ戦のようなベストピッチではないですね。
――リーグ戦優勝、早慶戦と来て、日本一へのモチベーションはどのように保ちましたか
選手たちには四年間で2回日本一になれるチャンスだぞと言って。日本一にしてくださいと頼みました(笑)。
――逆転の口火を切った代打の渡辺琢也選手(教4=東京・早実)はどのような気持ちで送り出しましたか
指名打者の藤田(恭輔、商4=埼玉・早大本庄)が左打者で、きのうまで好調で打ってましたが、きょうは打ててませんでしたからね。流れ変えるためにも代打だなと。左の藤田か、渡辺を右の指名打者でいくかという位の打者なんですよ。左打線なのにきょう打てていなかったので、もしかしたら右なら打つかなと思い、渡辺を起用しました。
――小島投手も吉野和也投手(社3=新潟・日本文理)も道端俊輔選手(スポ4=智弁和歌山)とマウンドで話し合って継投を考えているようでしたが
道端が大丈夫と言ったらそのままいかせます。非常に簡単です(笑)。
岩間貴弘主務(法4=東京都市大付)
――日本一になった感想は
自分はリーグ戦中は野球をやらずに見ているだけなので、その実感はあまりわいていないのですが。同期や後輩がみんな頑張ってくれたな、と。それだけですね。自分が成し遂げたと言うより…あまり実感はなくて(笑)。みんなが頑張ってくれたなというのを感じましたね。
――河原右京主将(スポ4=大阪桐蔭)はスタッフの皆さんに相談をして支えられたとおっしゃっていましたが、支えた実感というのは
そういうことを言ってくれるのはマネジャー、スタッフ冥利に尽きますね。自分の同期はそういうことをよく言ってくれますし、自分の言った事であれば聞いてくれますし。そういう面で考えてくれているのは、とても感謝しています。
――これまでつらかったことは
ワセダのマネジャーは人数が少なく、その上業務はとても多いので、仕事が多くて体力的にきついと思う事はありました。でも、きついから辞めたいと思ったことは全然ありません。そういう部分ではありがたいですね。
河原右京主将(スポ4=大阪桐蔭)
――きょうの試合では
初回に1点取って、すこしホッとしてしまって。そこからは打てない場面が続きました。監督さんには「相手の投手も連投なので途中で疲れてくるから」と言われていたのですが、途中で球威も落ちてきていたので、そこを狙い打てたと思います。逆転した回も、ここで逆転しなかったら打順的にもこのあとは厳しいなと思っていて。あの回は必死に、全員で粘り強く戦いましたね。石井のヒットもラッキーなかたちでしたが、あれもやってきた一つの実力なのかなと思いましたね。
――リーグ戦から終盤の粘り強さが目立ちますが、その理由は
一人一人が絶対に勝つという気持ちを持っている事ですかね。負けていてもそういう気持ちは全員が強く持っているので。それが終盤の逆転劇につながっていると思います。
――監督が変わって、練習量も増えたそうですが
そうですね。最初のうちは驚きましたが、それでも、そこまでしないと自分たちが勝てないであろうことはわかっていたので。結果、それが力になったので、リーグ戦でも勝てるようになったのだと思います。体力もついたのか、いままではリーグ戦の中盤から疲れが見えていたのですが、今季は最後まで疲れも少なく戦う事ができましたね。
――監督への信頼はどのように構築していったのでしょうか
監督さんは口数も多くないのですが、一言に重みがあるというか。突き刺さりますね。高校野球で実績も残していらっしゃる方なので、自分たちよりも知識もありますし、言われる事に従っていれば勝てるだろうと思っていました。
――日本一が決まって、どのように声を掛けられましたか
「ありがとう」、と。
――今季はいままで出場機会がなかった同期の方もたくさんいらっしゃいますが、同期への思いは
4年生は良い意味で真面目で、練習も熱心にしますし。丸子(達也、スポ4=広島・広陵)、道端もしっかりと練習していて、4年生になったら結果が出るだろうと周りも思っていたと思います。他のベンチ入りしている4年生も夜遅くまで練習していますし、その活躍は本当に嬉しいですね。
――スタッフの皆さんへ伝えたい事は
自分たちは選手としてやっているので、見えないところがたくさんあると思うのですが、スタッフがいてこそのチームだと思っています。客観的にチームを見てくれていて、そこで気づいた事を教えてくれるので、とても助かっていますね。相談にも乗ってもらっていましたし。
――インタビュー中に涙も見えましたが、どんなことを思い出されていましたか
勝利の瞬間はあまり実感が沸かなかったのですが…。チームがはじまったばかりの頃のことを思い出すと、先輩も抜けて、監督も代わるということで、やっていけるのだろうかと不安でした。どうしたらよいのだろうか、と。本当にいろいろと考えていて。そういうことを思い出していました。
――2度目の日本一です
監督さんにも4年間で2度日本一になった学年はいままでにない、と言われて。決勝へ行くことが決まっても、準優勝だったら意味がないので。絶対に優勝しようと思っていたので、結果、こういう結果が出て本当にうれしいです。
――秋はより厳しい戦いが予想されます
そうですね。今季はマークされていなかったと思うので、挑戦者の気持ちでやりやすい部分もあったのですが。次は相手が挑戦者として向かってくるので、どう戦っていくかはこれから考えていきたいですね。
茂木栄五郎(文構4=神奈川・桐蔭学園)
――7回の安打を振り返って
打球自体はあまりよくなかったのですが、転がったコースがよかったです。
――きれいな安打とはいきませんでしたが、気持ちで打ったという感じですか
右京(河原、スポ4=大阪桐蔭)が追い込まれながらもつないでくれたので、ここは1点取って流れを変えないといけないなと感じていたので、その気持ちで打った結果がいい結果につながってよかったです。
――今シーズンは故障での出遅れもありましたが、振り返ってみていかがでしたか
結果的に日本一になれたのでチームとしてはすごく充実したシーズンだったなと思うのと、個人的には秋よりはいい結果が出たのですが自分の中でもっとできたのかなと思えたシーズンでもあったので、その面では今後につなげられるシーズンであったと思います。
――今大会では首位打者を獲得されましたが、どこがよかったと思いますか
打撃の内容としてはあまりよくはなかったのですが、飛んだコースがよかったりあとは甘い球をしっかり振りにいけたのがいい結果につながったのかなと思います。
――7回の打席に入る際には笑顔が見え、捕手にも何か声をかけていたように見えましたが
(打席に入る際には)常に挨拶するようにしているので。捕手にもよろしくということを言って。笑っていたかは分からないのですが、自分が追い込まれてしまったらやはりいい結果は出ないと思ったので、好機を作っているのは自分たちの方なのでその好機を生かそうというプラス思考の考え方で臨みました。
――大会を通じて打線が好調でしたが、1番変わったなと思うところというのは
やはり打撃練習の時から逆方向の意識というのが徹底されていて、ファーストストライク、セカンドストライクを強く振れているというのがチームとしてあって、追い込まれてからも粘って四球や安打にして簡単に終わらないというの相手の投手の疲労やプレッシャーにつながったのかなというように感じています。
――きょうも終盤に逆転を果たすなど終盤の強さが目立ちますが、その点に関しては
勝っている時も負けている時も攻撃に手を緩めないということは常に監督さんから言われているので、後半になると相手も集中力が切れてくることがあるのでそれも重なって後半の逆転が多かったのかなと思います。
――逆方向の打撃といったお話がありましたが、それによって飛距離が犠牲になるようなことはないのでしょうか
ファーストストライク、セカンドストライクは自分のスイングをしようということは監督さんも言ってくれていたので、追い込まれてからの対応というのは逆方向を意識したのですが、ファーストストライク、セカンドストライクは自分のタイミングでしっかり振ろうと決めていたので。それが長打が出た要因かなと思います。
――監督はチームの練習量は1.5倍くらいになったのではとお話されていたのですが、茂木選手はいかがでしょうか
これといって増やしたつもりはないのですが、1球1球に対する集中力というのはただ漠然と打つのではなくこの場面ではどのように打とうかと考えて打撃練習をすることが多くなったので、量ではなく質で補えるような打撃練習に変わっていったのかなと思いますね。
――実際にどのような設定で練習されていますか
大体二死での好機の場面であったり、負けている場面での先頭打者であったりここは1本狙うというか、1球で流れを変えるというようないろいろなことをしたのですが、やはり好機の場面を想定することが多くなります。
――そんな中きょうはまさに好機での打席となりましたが、それが予行練習になったのでは
正直練習のようにはいかなかったのですが、ただリーグ戦を通じても自分の中でもう1つ好機の場面で打てなかったという思いがあったのできょうは絶対に打ってやろうという気持ちで入れて、その打席でも相手に向かっていけたので結果的に安打につながってよかったですね。
――成績的には素晴らしいものですが、それでもまだ満足ではない
そうですね、内容がいい内容の安打が出ることが少なかったのでそれは今後への課題かなと思っています。
――秋は三冠王くらいが目標になるのでしょうか
タイトルというよりかはより相手のバッテリーが攻めづらい怖さのある打者になっていきたいと思います。
――今週末からは日本代表の合宿も始まりますが、それに向けては
レベルの高い選手ばかりが集まるところなので、何とか喰らいついて試合に出れるように頑張りたいというのと、いいものを持っている選手がたくさんいるので自分のプラスになることをどんどん吸収してもっと秋のシーズンまでに国際大会を通じてもう1ランクも2ランクも上のレベルまで自分を上げていきたいなと思います。
――きょねんの国際大会では思うような成績が残せなかったと思うのですが、ことしのどのようなプレーがしたいですか
自分の成績が残せるに越したことはないのですけれど、大学日本代表はまだ優勝したことがないのでまずはチームを優勝させたいというか、優勝したいという気持ちが強いのでそれに少しでも貢献できたらと思っています。
――より攻めづらい打者になるために克服していきたいところは
全体的に打ち損じが多いですし、ファーストストライクを思い切り振れていないことも多いので相手のバッテリーにこいつには回したくないなと思われるくらいの打者になりたいなと思います。
――ここまでには野球をできない辛い時期もあったと思うのですが、そんな中で今こうして野球ができていることに関しては
今こうやって野球ができているということに感謝の思いしかなくて、出れないシーズンの中でも今後ずっと出れないわけではないので次にもう一段階上でやっていくための試練なのだなと感じてできたので、それがこうして今までよりいい成績を残せたシーズンに役立ったのでその時の出れなかった経験があるから今があるのかなと思えているので全然後悔とかはしていないですね。
――監督や主将さんもお話されていた、ことしのワセダは弱いという評判の中で奮起したといったことはありましたか
本当に前評判では4位、5位と言われていて明大であったり、立大であったり強いと言われているチームには絶対に負けたくないという気持ちはありましたし、その前評判を覆して絶対に優勝するという気持ちを持って常にやってきたのでそういう面からも常に挑戦者の気持ちで練習も試合も臨めたのでよかったですね。
――腰の関係もあって(セカンドをできなかったことも含めて)守備でばたついたのは心残りですか
そうですね、セカンドで安定したかったという気持ちはあるのですが、まずは出ることが第一だと思っていたので途中から出していただいて、それで結果を少しは出せたのでよかったです。
――1点差で迎えた7回の打席の際には相手はけっこう疲れていたと感じますか
前の打席に比べて球に力がないなと感じて変化球主体できていて、でもどこかで1球は直球を投げてくると思っていたので、その球がストライクゾーンに来て結果的に振りにいけていいところに飛んでくれたので相手の投手の隙をつけたことが結果につながってよかったです。
石井一成(スポ3=栃木・作新学院)
――きょうの試合を振り返って
先制できたのですが、自分の打席で三振になってしまい、そのせいで悪い流れを作ってしまいました。その後、裏で点数を取られたり、追加点を取られ苦しい展開になりましたが、なんとかつないでつないで、勝つことができ良かったです。
――9回にはホームランも出ましたが、どのような打席でしたか
丸子さんが倒れて、なんとか進塁打を出して、後ろにつなげようという気持ちで打席に立ちました。そして、甘く入った球を思いっ切り振りました。
――逆方向を意識した結果ですか
それも少なからずあると思います。逆方向を意識しなかったら、ファールになっていたと思います。
――7回の打撃は決めようという意識でしたか
決めようというよりは、つなごうという気持ちでした。監督さんにも初球から振っていけと言われていましたし、待っていても良い打撃はできないと思っていたので攻めていきました。
――打った瞬間は
打ち損じたな、と思いました。ですが右京さん(河原主将)が以前に似た打球で球が跳ねたことがあったので、それを祈りながら走っていました。
――粘って粘って、石井選手の打席での安打でした
茂木さんが打ってくれて、丸子さんがつないでくれて、なんとかしてつなごうという思いで打ちました。ヒットになったのは、チームのみんなと応援してくださるみなさんの思いがあの結果を生んだのだと思います。
――3安打と猛打賞の活躍で、非常に打撃が好調でしたね
悔しい場面もありましたが、先輩方もつないでくださって、チャンスをいただけた結果だと思います。
――ご自身の打撃が変わる大きなきっかけなどありましたか
沖縄キャンプですね。練習量が増えるところで、さらに人一倍練習したことがこのような結果に結びついたのかもしれません。チームで一番素振りをした自信はあります。
――今大会で成長した点は
まだ修正して改善していかなければいけない点はたくさんあります。ですが、大事な場面やつなぐ打撃をできたことは良かったです。
――来季はどのようなシーズンにしたいですか
今季出た課題を見直し、どうしたらより良い打撃ができるかを考えていきたいです。
大竹耕太郎(スポ2=熊本・済々黌)
――優勝されていまのお気持ちは
まだ実感がわかないです。高校時代に甲子園を決めた時もこうだったのですが、翌日くらいからじわじわとわいてくるのかなと。
――優勝を決めた瞬間のマウンドでは何を思われましたか
やっと終わったなという気持ちでした。
――高校時代には甲子園に出場されていますが、きょうの決勝は緊張しましたか
監督さんが『一戦必勝』というのを常に言っているんですが、決勝ということで周りから優勝という期待はあったんですけど、1試合に勝つということだけを考えて普段通りやりました。その結果、優勝した実感がわかないのかなと。1試合勝つということだけを続けてきたので、それは良い傾向かなと思います。
――調子が悪い中でどのようなことを考えて投げていましたか
しっかりと体を開かずにリリースの瞬間にキレよく回転できるようにということだけを考えていました。
――きょうはこういう組み立てでいこうというのはありましたか
相手の打線がとにかく良かったので、走者を出しても粘るということです。ちょっと合わせてパンと打つような打者が苦手だなというのが自分の中ではあって。そういう打者がずらりと並んでいたので投げにくかったんですが、最後に踏ん張れたので良かったです。監督さんにも腕がちぎれるまで投げろと言われていました。腕を振れなくなったら投手として終わりだと思うので、きつかったんですけど頑張りました。
――窮地でのリリーフ登板でした
一死の場面ではバットに当てさせないということを考えていて。三振を狙って取れたので狙い通りでした。
――登板は想定していたよりも早かったのでは
竹内さん(諒、スポ3=三重・松阪)を一回挟むのかなとは思っていたのですが、自分の体自体も案外きのうと変わらないくらい動けていたので、投手コーチなどに行けますということを伝えて。普段は控えめなのですが、きょうは自分から行けるということをアピールしていて、最終回も自分が投げ切れますということをアピールしました。
――7回には味方の逆転がありましたが、どうご覧になっていましたか
やはり点を取ってもらったので、試合に出させてもらっている以上はそのまま乗り切らなければならないなという気持ちでキャッチボールをしていました。もちろんリードをされていても、流れをこちらに持ってくるためにしっかり投げるということはあるんですけど、リードをしてもらったので抑えなければいけないなという使命感はありました。
――しかし直後に2点本塁打を許してしまいました
仮に1点リードの場面であればもっと慎重に攻めていましたが、結局四球を出してしまって。ある意味あそこでヒットで繋がれるよりは本塁打を打たれた方が切り替えしやすいという面で良かったのかなと思います。3点リードだったから言えることなのですが。
――今季を通じて得られたものはありますか
甲子園でもそうだったんですが、きょうの最後の打者のように4安打を打っているような好打者相手でも自分の持ち味を出せば抑えることができるんだなと感じました。逆に本塁打を打たれた場面なんかはストライクを取りに行ってしまって、いい打者でなければ見逃したりファウルにしたりする球だったんですけど、そこを逃さない打者もいるので、そういった甘さは今後もっと直さなければならないと感じました。
――今大会を通じて自信を得られたのでは
そうですね、この経験は絶対に今後生きてくると思うので。打たれてわかることもあると思っていて、それを積み重ねていって完成していくのかなと。今季は本塁打を打たれたりしているんですが、じゃあなんで打たれたのかということを考えています。あしたから来季が始まると思っているので、撮りためておいた映像を見返して研究します。
――リーグ戦と全日本大学選手権を終えましたが秋に向けて
まだ自分は2年生の春で大学生活が実質半分も終わっていないので、ここからが勝負なのかなと思います。決して自分では良い投手だとは思っていないので、何を伸ばしていけるかということをもう一度よく考え直して練習に取り組みたいです。1、2年生で良くても3、4年生でケガで投げられなくなる選手も多くいるので、自分はそうならないように、コンスタントに活躍できるようにケガにも常々気を付けていきたいです。いまから一時は投げることを控えてしっかりと筋力トレーニングであったり、そういうことに勤しみます。
――ここを磨きたいというところはありますか
いまは緩急で抑えることができているんですが、多少は力強さというものも必要になってくるのかなと思います。