野球部
2015.06.12
第64回全日本大学選手権 6月11日 神宮球場
4番・丸子が決勝打!激闘を制し、ベスト4進出
TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |||||
専大 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 3 | |||||
早大 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | × | 4 | |||||
(早)小島、○吉野和-道端 ◇(三塁打)中澤、丸子 |
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全日本大学選手権も折り返し地点を過ぎ、準々決勝が行われた。前日、打線が爆発し圧勝した早大が対峙(たいじ)したのは、東都大学連盟を制した専大。64回目を数えるこの大会において、準々決勝で東京六大学連盟代表校と東都大学連盟代表校が対戦するのは初の出来事だ。東京を代表する強豪リーグ覇者としての意地のぶつかり合いは、両軍どちらも引かない死闘となる。早大は2点を先行するも中盤に追いつかれ、その後は同点のまま緊迫した展開が続く。双方あと一本が出ず苦しい中、迎えた8回。4番・丸子達也(スポ4=広島・広陵)が2点適時三塁打を放つと、これが決勝点に。粘り強く接戦をものにし、準決勝進出を決めた。
カクテル光線に包まれる球場に、快音が響く。待ち望んだ勝ち越しの適時三塁打。「打った瞬間に抜けると思った」。試合を決めたのは、今季大躍進を遂げた東京六大学リーグ首位打者の一振りだった。初回に2点を先制してするものの、尻上がりに調子を上げる専大先発の大野亨輔の前に沈黙させられていた打線。中盤には追い付かれ、流れは専大に傾きつつあった。しかし8回、投手陣の頑張りにようやく打線が応える。先頭の代打・渡辺琢也(教4=東京・早実)が四球で出塁すると、その後犠打や四球などで2死一、三塁という好機をつくる。この絶好の場面で、打席に向かうのは4番・丸子。2球目の直球を振り抜くと、打球は中堅手の頭上を越えていく。一塁走者の茂木栄五郎(文構4=神奈川・桐蔭学園)も一気に本塁を駆け抜け、2者が生還。2点の勝ち越しに成功した。春季リーグ戦でも何度も見せてきた、終盤の打線の粘り。その勝負強さは、全国に舞台を移しても変わることはなかった。
この日3打点と大暴れの丸子。勝ち越し打を放つと、雄たけびを上げた
投手陣は毎回走者を背負うも、ここぞの場面で失点を許さず、必死の粘投を続けた。大一番の先発を任されたのは、小島和哉(スポ1=埼玉・浦和学院)。初回から2点の援護を得るも、4回に同じくルーキーの秦匠太朗に同点の2点本塁打を浴びてしまう。その後も苦しい投球が続くが、髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)の一言が小島を奮い立たせた。「(お前に)任せる」。100球を超えた7回、1死一、二塁のピンチでも気持ちは折れなかった。バントを自ら処理し併殺に打ち取り、勝ち越しは許さない。土壇場で踏ん張り、8回からは吉野和也(社3=新潟・日本文理)へとバトンをつなぐ。その後、味方打線の活躍でリードをもらい、抑えれば勝利が決まるという9回。追いすがる専大に1点差に詰め寄られ、なおも一打同点の局面を迎える。しかし、相手の反撃もここまで。後続を断ち、辛くも逃げ切った。
8回から登板し、勝利投手となった吉野
「今季を象徴する勝ち方」と、髙橋監督は満足げにこの試合を振り返った。『1ー0』のスコアを守り切るという理想のゲーム。粘り強さで勝利を引き寄せるというリーグ戦での強さを、この試合でも体現することができた。選手たちが次戦への抱負を尋ねられたとき、口をそろえて述べるのは『一戦必勝』というモットー。決して変わることのない信念を胸に、準決勝の上武大との一戦も必ず勝ってみせる。
(記事 谷口武、写真 上田密華、谷田部友香)
早大打者成績 | |||||||||||||||||
打順 | 守備 | 名前 | 打 | 安 | 点 | 率 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | ||
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1 | (右) | 重信慎之介 | 2 | 1 | 0 | .200 | 四球 | 左安 | 三ゴ | 投ギ | |||||||
2 | (二) | 河原右京 | 4 | 1 | 0 | .286 | 中安 | 遊飛 | 投直 | 二ゴ | |||||||
3 | (三) | 茂木栄五郎 | 2 | 0 | 0 | .500 | 四球 | 空振 | 二ゴ | 四球 | |||||||
4 | (一) | 丸子達也 | 4 | 2 | 3 | .667 | 右安 | 一ゴ | 二ゴ | 中3 | |||||||
5 | (遊) | 石井一成 | 3 | 0 | 1 | .143 | 右犠 | 左飛 | 空振 | 遊直 | |||||||
6 | (捕) | 道端俊輔 | 3 | 0 | 0 | .167 | 遊併 | 二飛 | 左飛 | ||||||||
7 | (中) | 中澤彰太 | 3 | 1 | 0 | .167 | 遊ゴ | 中3 | 空振 | ||||||||
8 | (左) | 川原孝太 | 3 | 0 | 0 | .333 | 三ゴ | 二ゴ | 三ゴ | ||||||||
9 | (指) | 藤田恭輔 | 2 | 0 | 0 | .250 | 二ゴ | 二飛 | |||||||||
打 | 渡辺琢也 | 0 | 0 | 0 | .— | 四球 | |||||||||||
走指 | 武居直宏 | 0 | 0 | 0 | .— |
コメント
髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)
――最後までわからない試合展開でした
実力の東都から来た専大ですから、1点の攻防と最初からわかっていました。ロースコアのゲームを想定していたので、1点、2点取れるかなという気持ちで入ってますから、初回に2点取って、勝てるかなと思いましたが(笑)、相手も全日本級の投手ですからね。ちゃんと抑えてきましたね。小島和哉(スポ1=埼玉・浦和学院)も2点で踏ん張ってくれたと思います。
――きのう5回コールドという中で、小島投手の先発でしたが
大竹(耕太郎、スポ2=熊本・済々黌)だと連投になりますしね。いくら4回とはいえ、やっぱり投げていますから。打線もきのうは打ちましたが、きょうは投手戦を予想して臨んでいますから、それぐらいの気持ちで臨んで、初回出来すぎのように点が取れましたが、やはり実力の東都ですよね。
――中盤には苦戦されていたかと思います
相手が左打線なので小島の左は良かったんですけど、中盤に点は取られてないけど(タイミングが)合ってきたと。ピンチも続いていましたが、そこを守り切れたから、丸子達也(スポ4=広島・広陵)の勝利打点につながったのではないかと思います。
――小島投手の100球の力投が勝利を生みましたか
野球はよく「ピンチのあとにチャンスあり」と言うけど、本当にその通り。ピンチを2回しのいで、めぐってきたチャンスを確実にものにできたと思いますね。
――終盤の粘り強さが発揮されましたね
今季の象徴ですね。春のリーグ戦の戦いと同じように序盤、中盤を我慢に我慢を重ねて8、9回で勝ち越すという本当に春のリーグ戦の延長だったと思いますね。
――きのう東京ドームでの試合とホームともいえる神宮球場ではやはり違いますか
やっぱり神宮が戦いやすいですよね。きのうはちょっと要領を得ませんでしたね。場所もわからないし(笑)。でもそれは東都も一緒ですから。他の連盟なら早大が絶対に有利ですが、お互い様かなという感じですね。
――9回ピンチの場面で吉野和也選手(社3=新潟・日本文理)に最後までマウンドを託しましたが
任せていますからね。竹内(諒、スポ2=三重・松阪)もいますが、走者を置いてではまだ。きのうも投げて、竹内も今大会でまた投げてもらわないといけない投手ですし。ただ、今回は吉野和で行きました。リーグ戦でもそういう戦い方をしてきているので、この全日本選手権もそこういう戦い方になると思います。
――中1日空いて上武大との試合になります
帰ってから考えます(笑)。
丸子達也(スポ4=広島・広陵)
――勝ち越し打を振り返って
大きいのを狙うというよりはセンターを越えるバッティングを心がけました。いいところに行ったのでよかったです。
――打った球は
真っすぐですね。打った瞬間に抜けると思ったので、そのまま三塁まで行こうと思いました。
――アンダースローの投手でしたが
アンダースローのピッチャーは落とす変化球を投げる人が多いと思うのですが、その球に泳がされないようにしようと思っています。きょうのピッチャーはきのうの試合を見ていると、結構真っすぐを投げていたので、その球が多いと思っていました。真っすぐを狙っていました。
――打球の方向は理想的でしたか
そうですね、センターを中心にそのままバッティングをしていくのが理想なので、きょうの打球はよかったかなと思います。
――次戦について
上武大も良いピッチャーがいるので、きょうみたいになかなか点を取ることはできないと思います。いかに点を取って、いかに1点を守っていくかですね。
――早いうちに東都大学リーグ代表と当たりましたが、チームの中で達成感などはありますか
それはないですね。あくまでも自分たちの目標は日本一なので、その中でたまたま東都と当たっただけなので、今後も一戦必勝で戦っていきたいです。
小島和哉(スポ1=埼玉・浦和学院)
――きょうの投球の自己評価はいかがですか
何もできていないですね。打って助けてもらったので。
――納得いかなかった部分は具体的にはどういったところでしょうか
やはりツーアウトを取ってからヒットを打たれたり、追い込んでからヒットを打たれているので、追い込んだ後の決め球が甘かったり、精神的にまだまだかなと思いました。
――本塁打を打たれた時の球はどのようなものでしたか
カウントを取りにいったカットボールでした。コース的には低めだったのですが、相手の秦くん(匠太朗)が一枚上手でした。
――高橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)が何度かマウンドに来ていましたが、どのような話をされたのでしょうか
「任せる」と言われました。
――その言葉を聞いてどう思いましたか
あそこでもう1点取られていたら流れを相手に持っていかれてしまっていたので、そこで抑えられたのは良かったと思うのですが、あまり納得はできないです。
――目指す「攻めの投球」はできましたか
変化球を打たれてしまったのですが、そこから真っ直ぐに切り替えるのが遅かったです。やはり自信のあるボールを生かすためには変化球の精度ももう少し上げないといけないなと思いました。
――次戦への抱負をお願いします
1点も取られないことを目標にしてやっているので、きょうはそれはできなかったです。でもまだ勝って次があるので、次に投げるときは1点も取られないようにきょうのピッチングを反省して、もう一度一から見つめ直したいと思います。