野球部
2015.05.19
春季リーグ戦 5月18日 神宮球場
石井の本塁打でサヨナラ勝ち!優勝まであと1勝/明大3回戦
明大3回戦 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
明大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
早大 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1× | 2× |
(早)大竹、○吉野和—道端 ◇(本塁打)石井1号ソロ |
---|
ライトスタンドへ放物線を描いて打球が飛び込み、背番号『5』が歓声の中でガッツポーズをしながら悠々と本塁にかえってくる。1-1で迎えた9回。明大の猛烈な追い上げを受け、逆転負けを喫した1回戦と同様の展開になるかと思われた――まさにそのときだった。1死で打席が回ってきた
。ボールカウント3—2と追い込まれた最後の一球、真っすぐに狙いを絞る。「芯でとらえることができたので、良い打球になるという自信はあった」(石井)。サヨナラのホームを踏んだ瞬間、仲間が駆け寄ってくるとともに、試合終了のサイレンが鳴り響いた。
先発のマウンドを任されたのは、中1日での登板となった
。疲れの残る中でも、変化球をうまく使い打者を打ち取っていく。2回には1死一、三塁の窮地に立たされるも、動揺することはない。「ダブルプレーを打たせにいく配球でいって、狙い通りだった」(大竹)と語るように、制球が冴え併殺で切り抜けた。そのまま8回まで無失点。1点差のこう着した展開の中、相手打線を沈黙させた。9回には1死二塁と招き降板したため、完封勝利はならなかったものの、その底力を存分に発揮した。続く
も四死球で塁を埋めると、スクイズで同点に追い付かれてしまう。しかし、大きく乱れることはなく勝ち越しを防いだ。
この日も安定した投球を見せた大竹
0-0で進む試合。その均衡を先に破ったのは早大だった。3回裏、
が先頭で出塁する。続く
、
が連続で安打を放ち、先制点をもぎ取った。しかしその後は明大の先発・齊藤大将の前に抑え込まれ、緊迫した投手戦の中で回だけが進んでいく。このままいけば勝利目前という状態で9回、とうとう同点に追いつかれてしまう。しかしその裏、丸子が倒れ1死となった状況で、石井がサヨナラ本塁打を放つ。「バントミスや走塁ミスもあったので、チームのために取り返したいという思いで打席に臨んだ」(石井)。リーグ戦初となる本塁打で、チームの勝利を飾った。
石井のサヨナラ弾に歓喜する選手たち
今回の戦いで4つ目の勝ち点を奪取した早大。
も「勝ち越されそうになっても勝ち越されないところにいまのワセダの強さがある」とその粘り強さを評価した。2週間後に控えるは宿敵・慶大と雌雄を決する伝統の一戦。ここまで負けは1試合のみと好調の早大は、あと1勝すれば春の王者となる。しかし、優勝の可能性が残っているのは早大だけではない。3季連続、早慶戦にて優勝が決まるという熱い戦い。両者一歩も引けぬ戦いに向け、チーム一丸となって勝利を目指す。
(記事 伊能由佳、写真 豊田光司、三上雄大)
早大打者成績 | |||||||||||||||||
打順 | 守備 | 名前 | 打 | 安 | 点 | 率 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | (右) | 重信慎之介 | 4 | 0 | 0 | .268 | 中飛 | 中飛 | 一ゴ | 二ゴ | |||||||
2 | (二) | 河原右京 | 4 | 1 | 0 | .342 | 中飛 | 左安 | 中飛 | 投ゴ | |||||||
3 | (三) | 茂木栄五郎 | 4 | 2 | 0 | .424 | 左安 | 中安 | 空振 | 中飛 | |||||||
4 | (一) | 丸子達也 | 4 | 1 | 1 | .439 | 空振 | 右安 | 一ゴ | 見振 | |||||||
5 | (遊) | 石井一成 | 4 | 2 | 1 | .361 | 一ゴ | 空振 | 右安 | 右本 | |||||||
6 | (捕) | 道端俊輔 | 3 | 1 | 0 | .417 | 左安 | 遊併 | 二直 | ||||||||
7 | (中) | 中澤彰太 | 2 | 0 | 0 | .297 | 投ギ | 二ゴ | 右飛 | ||||||||
8 | (左) | 川原孝太 | 2 | 0 | 0 | .235 | 四球 | 空振 | 空振 | ||||||||
9 | (投) | 大竹耕太郎 | 3 | 1 | 0 | .294 | 左安 | 空振 | 中飛 | ||||||||
投 | 吉野和也 | 0 | 0 | 0 | .000 |
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コメント
髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)
――石井一成選手(スポ3=栃木・作新学院)が決めてくれました
そうですね。丸子(達也、スポ4=広島・広陵)か石井が打たないかなとは思っていましたけどね(笑)。一方的な希望でしたけど、風も良い方向に吹いていてるし、狙ったりすると本塁打は打てなくて、きちっと打ったから結果が付いてきたとそういう点で石井はきちっと打ってくれたと思いますね。石井は意外性のある打者ですからね。
――勝負強さを見せてくれましたね
あの場面で、本塁打を希望していましたけど、とにかくひとり出てくれたらサヨナラになるのではないかという気持ちもありましたし、柳君も調子良ければ最初から来るので、延長になれば早大が有利という気持ちでいましたので、そんなに焦りはなかったです。
――相手先発を柳選手と予想されていた中、齊藤選手でしたが、チームでの攻撃面で変更点はありましたか
逆に言うと、柳君がそれだけベストではないということですよね。だから左投手が来ましたけど、良かったら柳君が先発で来るだろうから、最後はリリーフはしてきましたがね、そんなに万全ではない。前の試合では早大は打てていなかった訳ですから、嫌なイメージがあったんですけど、左投手でもうちの打線は対応しますからね。1点に抑えたのは相手の投手も良く投げていたと思います。
――大竹耕太郎投手(スポ2=熊本・済々黌)と相手投手との投げ合いになり、丸子選手が先制打を決めてくれました
上位で連打して、あそこで石井が送りバント失敗したのが、走者一、二塁ですから、あそこでもう1点取っていたら、9回取られても2-1で勝っているんですよね。(試合後のミーティングで)そのミスを石井は取り返したと言ったけれど、そんなにいつも取り返せるものではないから、それに相手は大事な場面でスクイズを決めて同点にしたわけですから、早大がバントできていないのは早慶戦に向けての反省点だなと話しました。
――大竹投手は中1日で両試合とも9回まで投げました
結構疲れていると思います。だから緩い球を投げられていたと思います。逆に緩い球を使うことで、打者はストレートを速く感じるので、そういう投球術がありますよね。それがやっぱりすごいと思います。
――9回には道端俊輔選手(スポ4=智弁和歌山)とマウンドに駆け寄りましたが、どのような気持ちでしたか
実際、菅野も左だし、坂本はきょうは打てていなかったんですよね。バントもしていてどちらかと言うと2番、3番の方があってたんですよね。でも、第1戦で三塁打を打たれて、坂本と勝負して勝ち越し打を打たれたので、あのとき私は吉野だったなという反省がありましたので、右対右で。実際成功していたと思いますが、死球で、しょうがないですよね。投手も打たれないところに必死で投げているわけですから。あの1点は責められないと思いますね。
――吉野和也投手(社3=新潟・日本文理)も1点で踏みとどめてくれました
あそこで2点目を取られないところが立大戦もそうですけど、勝ち越されそうになっても勝ち越されないところがいまの早大の強さがあると思います。
――その後第1試合で打てていなかった柳投手を相手に石井選手の本塁打が出ました
本塁打ですからね。きのうは3本叩き込んで、きょうも1本で、こんなプロ野球みたいになかなかいかないのですけど、やっぱり柳君は日本代表で投げる投手ですからね。そんな投手から長打が打てたのは大きいですね。
――1点差のロースコアゲームを制して、理想の野球が早慶戦前にできたのではないですか
そうですね。理想と言えば理想ですね。
――早慶戦前の弾みになる試合だったと思います
最高の試合じゃないですかね。1失点でなんとか1-0で勝てれば最高ですけど、2-1でも最高ですね。
――目標としているリーグ戦優勝が目の前に見えて、また早慶戦が近づいてきました。いまのチーム状況はどうですか
まあ2週間ありますからね。吉永(健太朗、スポ4=東京・日大三)も故障して、戦線離脱して回復するか微妙なところなので、となるとベストメンバーではないというようなところで。いま打線も好調ですから、その好調を維持できるように、2週間やっていきたいです。
石井一成(スポ3=栃木・作新学院)
――ご自身の打球で試合を決めました
バントミスや走塁ミスもあったので、チームのために取り返したいという思いで打席に臨みました。
――打った球は
ストレートのインコースです。
――狙っていた球ですか
まっすぐには狙いを絞っていました。
――ホームランという感触は
芯でとらえることができたので、良い打球になるという自信はありました。
――リーグ戦では初本塁打ということですが
新人戦と高校時代の2年の決勝以来のホームランでした。本来僕はホームランバッターではないので。
――お気持ちは
打てたことはうれしいですが、まだまだ詰めの甘い部分もあるのでそこは集中して修正していきたいです。
――詰めの甘い部分とは
チャンスで打てなかったり、バントであったりと。チームに徹することができていない部分があったので、チームのためにということを最優先に戦っていきたいです。
――きょうの試合では珍しくバントの失敗もありました。要因は
球が見えていなかったという部分もありますが、相手にのまれていたことがあると思います。
――一方で、きのうの試合では犠打3本の活躍を見せました。役割などが定着してきたのでしょうか
3、4番の出塁率が高いので、そういった機会を最大限に好機に変えることができるように、自分はバントで塁を進めることが重要だと思います。それがおのずと、良いバッターという結果に結びつくと思っています。
――また守備面でもきのうはショートへの打球も多くありました
ピッチャーも粘り強く制球良く投げてくれているので、守備としては援護して支えようとういう気持ちでした。
――明大1回戦でのリーグ戦初黒星がありました。チームとして何か変わった点はありますか
特にはありません。大竹は根気強く投げてくれていますし、あの負けはそういう意味では仕方ないと思います。勝ち続ける難しさを感じました。うまく切り替えができて良かったと思います。
――きょうも2安打と打率は上昇を続けており、打撃の好調さもうかがえます
ラッキーで良いところに転がったり、飛んでいる部分も多いので、自分のスイングをさせてくれない中で、うまく打球を運んでいければいいと思います。
――大竹選手が9回でマウンドを降りました。1点を返されて何か考えたりしたことはありますか
勝ち越されなかったことは大きいと思います。大竹もそこまで完璧なピッチングでしたし、続いた吉野もあの場面でよく投げてくれていたので、守備としては集中して臨むということをより意識しました。
――9回裏、丸子選手から始まる攻撃ということで、良い場面で回ってくることも想定されたと思いますが
必ずランナーがいる場面で回ってくるという意識で自分の打席を待っていました。自分の役割を確実に果たそうという気持ちでした。
――その中で打ったホームランはいかがでしたか
あとの選手も打てる選手が多いので、つなぐという気持ちで打ったのですが、うまくミートして、それが勝利に結びついて良かったです。
――中軸としての活躍も目立ってきました
3、4番がとても打てる打者なので、5番としても負けていられません。そういった気持ちも少なからずありました。
――早慶戦に懸ける思いはより一層強くなったと思いますが、まずは取り組んでおきたいことなどはありますか
特別なことはこれといってはありません。これまでにやってきたことを堅実に行って、それを試合で発揮するまでです。
――早慶戦への思いは
周りには「優勝だ」と騒ぎ立てられるのですが、相手(慶大)も優勝がかかっています。なので、一戦必勝を心掛けて目の前の相手を倒すことを意識していきたいです。
――最後に意気込みを教えてください
優勝はあまり意識せずに、一戦一戦、そして一球に集中して臨みたいです。
大竹耕太郎(スポ2=熊本・済々黌)
――2日前に敗れた相手との対戦でしたが、きょうはどのような意気込みで挑まれましたか
もちろん疲れもあったんですけど、できるだけ後ろまで投げようという意識で挑みました。
――惜しくも完封勝利とはなりませんでしたが、試合を終えての感想をお願いします
正直こんなにうまくいくとは思っていなかったので、きょうは力を抜きながらストライク先行で、ピッチングを遊ぶ余裕があったのでそこは良かったかなと思います。
――投球内容を振り返っていかがですか
力のあるボールは投げられないので、より緩急を意識して、そういう細かい部分で繊細に。本来の力を出せない分、そういうところを気を付けて丁寧にやっていました。
――1点差での投球が続きました
前回の試合もそうですけど、点を取れない時に抑えることができるのがエースだと思います。そういう意味でも相手優勢で(試合を)進めたくなかったので、最後は走者を出してしまったんですが、最後まで守れたかなと思います。
――対明大の特別な準備はありましたか
1戦目と3戦目を投げることはわかっていたので。明大の選手の名前とか出身校を見ると、とても怖い打線なんですけど、相手との勝負というよりはいかに低めに投げることができるかという自分との勝負という意識で挑みました。
――2回の窮地を併殺で切り抜けた場面を振り返って
あの場面もダブルプレーを打たせにいく配球でいって、狙い通りだったので、そういう風に走者を出しても慌てなかった部分で前回以上に落ち着いて投げられたなと思います。
――その裏には、好機を広げる左前安打を放たれました
甘い球が来たら振っていこうと思っていたので。左投手で引っ張るのが難しいと思ったので、バットに当ててレフト前に落とそうと思っていました。
――9回の1死二塁の場面で監督には何と声をかけられたのですか
ここは勝負せずに、次の坂本選手で勝負するからここは歩かせようという敬遠の指示でした。
――吉野和也投手(社3=新潟・日本文理)にマウンドを譲った際の気持ちは
明らかに相手打者の5番6番が自分にタイミングが合っていたので、監督の賢明な判断だなと。マウンドを降りる時もしっかりとげきを飛ばして代わりました。
――そのあとの試合の行方はどのように見守っていましたか
1点は取られたんですけど、その場面も三塁で走者を刺したりとか(吉野投手が)すごく落ち着かれていたので、安心して見ていられました。
――石井選手のサヨナラ本塁打はどうご覧になりましたか
きょうも打線が点を取ることができないなかで、今回は味方の本塁打だったんですけど、やはり一発の怖さというのを感じました。