空手部

2014.11.12

第72回早慶定期戦 11月9日 神奈川・慶応義塾高

伝統の早慶戦、10年ぶりの連覇はならず

 50年以上の長い歴史を持つ早慶定期戦。毎年交互に会場を提供するため、ことしは慶応義塾高校での開催となった。付属校の中高生、また大学の選手による形演武や約束組手も披露された今大会には、両校の応援部も駆けつけ、大きな盛り上がりを見せる。中でもひときわ注目を集めたのは、最後に行われた試合組手だ。前回大会では劇的な勝利を飾った早大だったが、薬師寺拓哉主将(商4=東福岡)が体調不良により欠場するというアクシデントにも見舞われ、慶大の勢いを止めることができない。僅差で敗れる悔しい試合が続き、4勝8敗1分で敗北。10年ぶりとなる連覇は、果たすことができなかった。

 早慶13名ずつの選手による変則的な団体戦。序盤から主導権を握りたい早大であったが、先鋒の末廣祥彦(スポ1=東京・世田谷学園)が試合開始直後に繰り出した突きが相手選手に接触し、反則負けとなってしまう。続く2試合でも敗戦が続く。そんな中、四鋒として登場したのは越間菜乃(教1=島根・石見智翠館)。「流れを止めたいと思っていた」。突き技で次々と得点を奪い、相手を圧倒。「ここ最近の自分の組手の中でもかなりいい試合」と本人も納得の勝利だった。

気迫あふれる組手を見せた越間

 続いて出場した大島翼副将(先理4=埼玉・早大本庄)も、粘りの空手を見せた。3点を先制されるが、焦らずに相手の反則を誘い、逆転勝利。その後は両校互いに譲らず、一進一退の攻防が続く。10試合を終え、3勝6敗1分。早慶戦制覇のためには、あと1敗も許されない状況となっていた。

 コートへ向かう平野和男(社4=東京・早実)は、気迫のこもった表情を浮かべていた。来週の全日本学生選手権(全日本)には出場しない平野にとって、早慶戦は現役最後の試合。この大会に懸ける強い思いがあった。試合開始直後から積極的に攻め続け、着実に得点を重ねていく。最後は相手の上段に鋭い突きを決め、6−1で白星をつかみ取った。優秀選手賞にも選ばれた平野。「悔しい思いも何度もしましたが、早稲田大学の空手部に入って良かった」。その大学競技生活に、笑顔で幕を閉じた。

優秀選手賞を受賞し、有終の美を飾った平野

 副将・永田達矢(商3=東京・早稲田)、大将・末廣哲彦(スポ2=東京・世田谷学園)が連敗を喫し、全体での勝利を飾ることはできなかった早大。しかし、この大会で4年生が見せた意地は、しっかりと下級生に受け継がれたはずだ。「来年こそは勝ちを取りに行きたい」(永田)。早慶戦の借りは、早慶戦でしか返せない。胸いっぱいの悔しさを糧に、早大空手部は修練に励む。

    (記事 芦沢仁美、写真 目良夕貴、加藤万理子)

    ★全日本に向け形を披露!

    ジオンを披露する女子団体形のメンバー

     早慶定期戦では両校から代表選手による形演武も行われた。早大からは女子個人形に小林暖乃(人3=神奈川・山手学院)、女子団体形に上杉ユミ(スポ4=東京・八雲学園)、小林、越間菜乃(教1=島根・石見智翠館)の三人が登場。個人形を任された小林は「とても緊張しました」と振り返るが、重圧に臆することなく実力を発揮した。続いて団体形は、ジオンを披露。三人の気迫に満ちた演武は、早慶定期戦に集った多くの観客を魅了した。来週行われる全日本大学選手権(全日本)に向けて、練習の成果を試す良い機会ともなった今回の形演武。「もう少し詰めて、試合では一番良い形を打てるように持っていきたい」(上杉)。最上級生としてこの1年チームをけん引してきた上杉は、ついに引退を迎える。残された期間でさらなる磨きをかけ、集大成となる全日本では最高の形を見せてほしい。

      (記事 加藤万理子、写真 目良夕貴)

      コメント

      大島翼(先理4=埼玉・早大本庄)

      ――まず最初に3連敗と苦しい状況でしたが

      やはりまずい流れだったなと思っていました。自分が勝たないといけないなというプレッシャーはすごくあったんですけど、自分の試合内容を見ても本当にそれが焦りとして表れてしまったなと思います。間合いも全然適当になってしまいましたし、とにかく下がらないようにとは意識していたんですけど、冷静さを欠いてしまった試合だったと思います。

      ――焦ってしまったとおっしゃっていたように序盤は突きで3点を取られてしまいましたが、そこからはどのように立ち直ろうとされましたか

      相手の反則で勝ったので、立ち直れたかというと分からないですけど。あんまり試合の流れを変えることができなかったので、そこは全日本(全日本大学選手権)に向けての反省点かなと思います。

      ――試合で良かった点はありましたか

      下がらなかったのは良かったかもしれないですけど、ちょっときょうはあまり自分のいつものことができなかったかなと思います。いいところ無しだったかなという感じでしたね。

      ――薬師寺拓哉主将(商4=東福岡)がインフルエンザで不在の中、4年生として、副将としてチームを引っ張る立場はどのようなものだったのでしょうか

      かなりの重圧でした。チームを盛り上げられるよう精いっぱいやったつもりですが、結果がこのような感じだったので、自信はないですけど。主将の代わりが務められたかは分からないですけど、精いっぱいは尽くしました。

      ――やはり最後の早慶戦という意地は試合でもあったのでしょうか

      はい、そうですね。絶対に負けたくなかったから前に行ったというのはあるんですけど、結果として冷静さがなくなってしまったのであまり良くなかったですね。

      ――チームは敗れてしまいましたが、改めて早慶戦を振り返っていかがでしたか

      やはり伝統の試合なのですごく盛り上がる試合だったんですけど。ワセダは自分個人としても、みんなも、もっと冷静にできればいいかなと思います。絶対にプレッシャーがある試合なんですけど、それでも自分の動きを見失わずにやっていくべきなのかなと思いますね。

      ――引退も間近となりましたが心境はいかがですか

      やはり有終の美を飾らなければいけないと思うので、最後の全日本ということで、この早慶戦の敗北を生かして、全力でやっていくしかないと思います。

      ――全日本での目標を教えてください

      東日本(東日本大学選手権)で前期に3位になっているので、ベスト4を目指していきたいと思います。

      平野和男(社4=東京・早実)

      ――「絶対に負けたくない」と仰っていた早慶戦でしたがいかがでしたか

      団体で負けてしまったので悔しいのですが、自分自身としては最後の試合で勝つことができたので良かったです。自分は試合がもうないので、最後に勝てたことは嬉しかったです。

      ――1敗もできない状況での試合でしたがプレッシャーはありましたか

      意外と気にしていませんでした。あと1敗したら負けるということはわかっていたのですが、目の前の相手としっかりとやろうと思っていたので、プレッシャーは感じていませんでした。

      ――主将である薬師寺選手の不在は大きかったですか

      そうですね。1年生も初めての早慶戦で不安もあった中で、主将が出場できない。2年生に大将をやらせてしまったというのは良くなかったなと感じています。

      ――やはり本来でしたら2年生に大将をやらせたくはなかった

      そうですね。厳しかったかなと思います。

      ――優秀選手に選ばれました

      素直に嬉しかったです。

      ――試合内容は満足のいくものだったのでしょうか

      もう少し派手に勝つことができれば、後ろも活気づくことができたと思うので、もう少し派手に勝つことができたら良かったなと思いました。

      ――4年間を振り返っていかがですか

      高校から始めたのですが、すごく弱かったので、悔しい思いも何度もしましたが早稲田大学空手部に入って良かったかなと思います。

      上杉ユミ(スポ4=東京・八雲学園)、小林暖乃(人3=神奈川・山手学院)

      ――小林選手はきょうの演武で個人形のバッサイダイを打ってみていかがでしたか

      小林 とても緊張しました。個人形を打つと言われた時から結構一人で練習していました。きょうも打つ直前まで本当に嫌だったんですけど、別に私の形がうまいことを誰も期待しているわけでもないし、失うものは何もないなと思って。ここの道場はすごく声が響くし、気持ちよく打とうと思って、打つことができました。

      ――上杉選手から見た小林選手の個人形はいかがでしたか

      上杉 糸東流から松濤館の形を打つのはやはり難しいと思うんですけど、ここ3年間やってきたので、らいねん何の形を打つのか分からないですけど、きょうはこれからの成長を期待して見守っていたという感じですかね。

      ――団体形ジオンを振り返って

      上杉 らいしゅうが全日本ということで、きょうは知らない人たちも見てくれているし良い機会だなと思って。見せることを意識してやろうねと、あんまり緊張せずに合わせていかないように、という話をしていたんですけど。動画を見たら、やはり少し合わせていっていたかなという感じは少しありました。あと1週間あるので、もう少し詰めて、もうちょっとより良い形が打てればいいなと思います。

      ――らいしゅうに向けて詰めていかないところを具体的に教えてください

      上杉 やはり気持ちの面では試合に向けてというのがまだできていないのと、もうちょっと思い切り打たないと打ち終わった後に後悔が残ると思うので、一人一人がもうちょっと思い切り打てるような、合わせにいかないような、一番良い形を試合で打てるように、持っていければなというところです。

      ――上杉選手にとっては学生最後の1週間となりますが、全日本に向けて意気込みをお願いします

      上杉 あと1週間なので、私のやりたいようにやろうかなと思っています。別に周りの目とか気にすることもないかなと。自分のやりたいようにやって、自分が悔いのないようにやる方が、暖乃とか(越間)菜乃(スポ1=島根・石見智翠館)とか周りも引っ張っていけると思いますし。変に意識してじゃなくて自分のやりたいようにやろうと思いました。

      ――小林選手にとっては先輩の上杉選手と一緒に組む最後の団体形となりますが思いを聞かせてください

      小林 私のわがままで組んでもらった団体形でもあるので、本当にユミ先輩と最後の1週間だから盗めるものは盗んで、感謝の気持ちを持って形を打ちたいと思います。

      永田達矢(商3=東京・早稲田)

      ――薬師寺主将が不在という中、チームの雰囲気は普段と違うところはありましたか

      主将不在という中でしたが、副将の大島先輩を筆頭に、ここで言い訳しても仕方がないからしっかりとやっていこうと思っていたので、そこはいつもと変わらずにできたと思います。

      ――応援団も駆けつけ、大歓声の中での試合となりました

      そうですね。1年生の頃から思っていましたが、早慶戦は普段の試合とは全く雰囲気が違って。間合いも半歩ぶんくらい近くなっていたり、後ろからの声がすごく感じられます。よりアドレナリンの出る試合ですね。

      ――負ければチーム全体の負けが決定する状況での試合となりましたが、どのような気持ちでコートに向かいましたか

      先輩方が勝って、自分があの場で勝たなければ引き分けの可能性すらもなくなってしまうという状況でした。絶対に勝ちに行くという気持ちのもと、引かずに戦って先輩方に勝ちを持ち帰りたいと思っていたのですが、少しうまくいきませんでした。

      ――序盤は積極的な攻めが目立ちましたが、隙を狙って攻撃していたのでしょうか

      相手の1本目が短かったり、相手を出させてそこを狙うというかたちを取っていたのですが。最初の方から相手の蹴りに対応しきれておらず、最後の最後に樹がふっと抜けたところに蹴りを入れられてしまいました。

      ――早慶戦全体を振り返って、チームとしていかがでしょうか

      いつもよりも動きがいい選手もいたのは良いことだと思っています。早慶戦では普段の試合に出場しない選手も出番があるので、頑張ってくれて。皆で勝ちを狙っていたのですが、足りなかったかなと思うので、来年こそは勝ちを取りに行きたいと思います。

      ――来年は4年生として迎える早慶戦ですが、リベンジへの気持ちは強いものがありますか

      はい。きょうのような場面で回ってきても絶対に勝てるように、1年間厳しい修練を積んでいきたいと思います。

      末廣哲彦(スポ2=東京・世田谷学園)

      ――薬師寺選手が欠場の中の早慶戦でしたがいかがでしたか

      薬師寺先輩の存在は大きいということを改めて感じました。また、その大学を任せてもらえたのに結果を出すことができなかったということが本当に悔しいです。

      ――大将戦はプレッシャーがありましたか

      きょねんは緊張したのですが、始まる前は、ことしは楽しいなと思えていました。でもやはり、自分の意識のないところで固い部分がまだあったのかなと。大将戦はきょねんと違う雰囲気を味わうことができたので、もう一度2年後、リベンジしたいなと思います。

      ――来年は

      来年は前の方で戦う予定なので、大将戦はお預けで。4年生になった時に大将戦は絶対に借りを返します。

      ――負けが決まった後の大将戦となってしまいました

      そうですね。自分の前で決着が着いてしまいましたが、やはり最後に勝って終わるか負けて終わるかで来週の全日本にも影響が出ると思いますし、そこで勢いづけることができなかったということは今回の反省点です。

      ――モチベーションは保つことができましたか

      思い切ってやろうと吹っ切れた部分もありました。ただでも、難しかったです。自分の中で落ち込んでいたところもあったので、複雑な気持ちでした。モチベーション的には多少は落ちてしまっていたと思います。

      ――試合内容は振り返っていかがですか

      最初に投げ技で3点を取って、リズムを作ってからいこうと思っていたのですが、思っていた以上に相手が投げに対して強くて。そこで少し焦った部分もありました。後半に蹴りを貰ったのも自分の蹴りが甘く、完全に見切られてしまっていたので、体が乗っていなかったのかなと思います。

      ――本来の力を出すことはできなかった

      動き自体は悪くないと言っていただけたのですが、結果が出ていないので。力が出る、出ない以前にまず勝たなければいけなかったなと思います。

      ――終わった後に泣いていたのが印象的でした

      4年生に2年間お世話になって、空いた穴も「お前に任せたぞ」と言ってもらって、すごく信頼してくれていたのにもかかわらず、その期待に応えることができなかったというのと、恩返しができなかったということが本当に悔しくて泣いてしまいました。

      ――やはりこの借りは2年後に返せるように

      そうですね。もう負けたくないですね。

      ――全日本に向けて

      2回戦に強いところと当たりますが、そういったことでなく、1回戦から決勝まで同じモチベーションで、必ず勝つ、それだけですね。しっかり1つ1つ勝ち上がっていきたいと思います。

      ――目標は優勝

      あくまで優勝です。

      今尾光(スポ1=大阪・浪速)

      −−初めての早慶戦でしたが、雰囲気は普段の試合とは違いましたか

      普段よりも緊張してしまった部分もあったので、これが独特な早慶戦の雰囲気なのかなあと。それを楽しむことができたので、それは良かったかなと思います。

      −−薬師寺主将を欠く中で、ひとりひとりへのプレッシャーは増したのではないでしょうか

      そうですね、不安要素のひとつではあったので、チームも皆不安だったと思うのですが。その中でも勝ちたいという気持ちが強くないと勝てないと思っていたので、一致団結して、慶大を撃破するために頑張りました。

      −−今尾選手の試合は6−0での圧勝でした

      蹴り技、突き技なども効果的に使えて。6点差で勝ってチームを勢いづけることをしたかったので、それは良かったかなと思います。

      −−ことしの早慶戦を総括していかがでしょう

      OBの先輩方からも指摘を受けましたが、勢いの面で劣っているところがあったので、来年こそ勝つつもりでやっていきます。

      越間菜乃(教1=島根・石見智翠館)

      ――初めての早慶戦でしたが、雰囲気は普段とは違いましたか

      全然違いました。特に初めの方は、とても緊張してしまって(笑)。

      ――大歓声の中での試合となりましたが、プレッシャーはありましたか

      そうですね。早慶戦は本当に、大学を背負って戦うものなので、もう、すごく緊張しました。

      ――関東学生選手権とは違った雰囲気の中で形を披露されましたが、着々と準備は進んでいますか

      来週に向けて場慣れ、大勢の人の前で形を打つ練習でもあったのですが。なかなか良い形が打てず、あと一週間きちんと練習していかないといけないと思いました。

      ――組手では早大が連敗している中での出場となりましたが、流れを切りたいという気持ちはありましたか

      連敗していたので、その流れを止めたいなと思っていて。そういう気持ちで試合に臨みました。

      ――気合のこもった様子で試合に臨んでいる様子でした

      自分から前に出ることができて、相手の動きもきちんと見えていたので。ここ最近の自分の組手の試合の中でも、かなりいい試合になったと思います。

      ――見事勝利し、流れを断ち切りました

      そこで一度切って、翼先輩(大島)につなぐことができたので、良い試合だったなと思います。

      ――早慶戦全体を振り返っていかがでしたか

      負けてしまいましたが、自分の学校を応援するワセダの雰囲気も初めて体験することができたので、それは良かったなと思います。

      ――来週の全日本学生選手権が4年生と一緒に戦える最後の機会となります

      4年生のユミ先輩(上杉)と戦える最後の試合なので、ユミ先輩に後悔させないように自分のできることをしっかりやるために、あと一週間練習していきたいと思います。