野球部
2014.10.21
秋季リーグ戦 10月20日 神宮球場
主将の意地!中村殊勲打で優勝戦線に残る/立大3回戦
立大3回戦 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 計 | |||
早大 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | |||
立大 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | |||
(早)大竹、○竹内-土屋 |
---|
鋭い打球が左前で弾み、背番号『10』が雄叫びを上げた。1−1で迎えた延長11回表、2死三塁。負ければ優勝の夢がついえてしまうこの試合。第3打席の好機では凡退した中村奨吾主将(スポ4=奈良・天理)は開き直っていた。「準備はしっかりしてきていたので、打てなかったら仕方ない」(中村)。1回戦同様、ワセダ打線の前に立ちはだかっていた立大のエース澤田圭佑の147球目に反応。結果が出ずもがき苦しんできた主将が甘く入った一球をはじき返し、スコアボードに試合を決める『1』を灯した。
11回表に勝ち越し打を放った中村
先発のマウンドに立ったのは前日と同じ大竹耕太郎(スポ1=熊本・済々黌)。だが、連投の疲れが投球に表れた。2回まで無失点ながら3連打を浴びるなど不安定な立ち上がりとなる。先制点を受けた直後の3回裏には大城滉二にソロ本塁打を被弾し、この回で降板。竹内諒(スポ2=三重・松阪)にマウンドを譲る。
1回戦と同様に抜群の安定感を誇り、マウンドに仁王立ちし続ける相手先発の澤田圭。しかし、このまま引き下がるわけにはいかない。負けじと好投を続けたのは同じ2年生の竹内。4回から登板すると、「自信を持って、いままでやってきたことを信じて投げた」(竹内)と語るように力のある球を次々と投げ込む。10回、1死一、二塁とサヨナラのピンチを迎えた場面でも動揺はない。「しっかり腕を振ってこい、(ボールを)置きにくるな」と捕手の土屋遼太副将(教4=東京・早実)
から指示を受けた竹内は、低めの球で注文通りの併殺に仕留めこのピンチをしのぐ。大学入学後最長の8イニング目となる11回裏も球威は衰えず。最後は136キロの直球で空振り三振を奪い、試合終了。チーム全員の思いを背負い、投げ切った竹内はその瞬間、大きなガッツポーズを見せた。
試合終了の瞬間、ガッツポーズをつくった2番手の竹内
これまで期待を受けながらも本来の力を出せずにいた中村、そして竹内。窮地に立たされたこの試合で二人は最大の輝きを放った。チーム一丸となりつかんだ価値ある一勝。次週の明立戦次第で優勝の行方は分からなくなるが、「自分たちは早慶戦に向けてしっかり準備するだけ」(中村)と狙いはただ一つに絞られている。春のリベンジ、そして悲願の逆転優勝へ――。来る大舞台に向け、ワセダ戦士は備える。
(記事 盛岡信太郎、写真 中澤佑輔)
★ことし初の延長戦を制し、優勝の行方は…?
約1年ぶりの延長試合を制し、優勝の可能性を残した。しかし依然としてその可能性は限られたものだ。次週の明立戦で明大が立大に2勝1敗が勝ち点を奪い、ワセダが早慶戦に連勝で勝ち点を奪った場合のみ、5季ぶりの優勝が訪れる。
早大打者成績 | |||||||||||||||||
打順 | 守備 | 名前 | 打 | 安 | 点 | 率 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | (左) | 重信慎之介 | 5 | 3 | 0 | .378 | 空振 | 右安 | 右安 | 左飛 | 二安 | ||||||
2 | (遊) | 河原右京 | 4 | 2 | 1 | .344 | 左安 | 左安 | 一犠 | 二ゴ | 一ゴ | ||||||
3 | (二) | 中村奨吾 | 5 | 1 | 1 | .278 | 右飛 | 遊ゴ | 中飛 | 左飛 | 左安 | ||||||
4 | (一) | 武藤風行 | 3 | 0 | 0 | .200 | 一ゴ | 遊ゴ | 三失 | 四球 | |||||||
5 | (右) | 小野田俊介 | 4 | 1 | 0 | .405 | 二直 | 遊安 | 二飛 | 遊併 | |||||||
6 | (三) | 茂木栄五郎 | 3 | 0 | 0 | .458 | 一ゴ | 投ゴ | 遊ゴ | ||||||||
三 | 木田大貴 | 1 | 0 | 0 | .000 | 見振 | |||||||||||
7 | (中) | 中澤彰太 | 4 | 0 | 0 | .100 | 二ゴ | 三邪 | 左飛 | 二ゴ | |||||||
8 | (捕) | 土屋遼太 | 4 | 0 | 0 | .212 | 三ゴ | 左飛 | 右飛 | 二ゴ | |||||||
9 | (投) | 大竹耕太郎 | 1 | 0 | 0 | .200 | 三ゴ | ||||||||||
投 | 竹内諒 | 3 | 0 | 0 | .000 | 三ゴ | 右飛 | 三飛 |
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コメント
岡村猛監督(昭53二文卒=佐賀西)
――粘りに粘っての勝利でした
第1試合で慶大が勝っていましたので、ぜひうちも遅れずに早慶戦へという思いがありました。ただ、立大が一歩先に行ってますので、何とか7週目の明大戦の結果を期待したいなと思います。他力本願だから力が入らないんだけども(笑)。
――大竹耕太郎投手(スポ1=熊本・済々黌)ははじめから3回までと決めていたのですか
いやいや、4回、5回持てばいいなと思っていたのですが、きのう投げてきょうまた先発なのでちょっと厳しかったですね。
――きのうに比べると芯を食われた打球が多いように見えました
まあ打たれていましたからね。3回までにヒット6本にホームラン1本だから、よく1点でしのいだなと思います。
――きのうは3点差以内に抑えていれば終盤に勝機があるとのことでしたが、6回に追加点が取れなかったことに関してはいかかがですか
防御率1点未満の投手ですからそんなに得点するのは難しいとは思っていました。案の定厳しい戦いになりましたけど、最後に中村(奨吾主将、スポ4=奈良・天理)がタイムリーを打ってくれて良かったなと思います。
――中村主将に対しては打席入る前にどのような言葉を
ヒーローになってあしたの見出しになれ、と話しました。
――有原航平投手(スポ4=広島・広陵)はきょうはずっとブルペンで待機していましたが
ピンチになったら登場する予定でしたが、竹内(諒、スポ2=三重・松阪)が粘り強くいいピッチングをしていましたので、なかなかスイッチするタイミングがなかったです。最後も竹内が落ち着いてよく投げてくれました。
――ピンチの場面でもガッツポーズが飛び出すなど気迫のこもった投球からは、第1戦での借りを返そうという気概が伝わってきました
コンディション、調子共に良かったので期待して投げさせました。
――10回の敬遠策も監督からの指示ですか
はい。
――きのう、きょうと茂木栄五郎選手(文構3=神奈川・桐蔭学園)は途中交代になりましたが
まだちょっと体の状態の方が良くないので無理させられないですし、本人からも(出場を続けるのは)難しいですと言ってきたので変えました。
――優勝に望みをつなぎ、残すは早慶戦のみとなりました
そうですね。7週目の結果次第ですが、また早慶戦に向けてしっかり準備していきたいと思います。
中村奨吾主将(スポ4=奈良・天理)
――チームを救う一打でしたが、狙っていたのですか
狙ってはいませんでした。前の打席(3打席目)でも凡退していたので、あの打席は何も考えず打席へ向かいました。準備はしっかりしてきていたので、打てなかったら仕方ないという気持ちでした。
――打球が抜けた時の感覚は
久しぶりの感覚でした。気持ち良かったです。(いつぶりかは)分からないくらいでしたね(笑)。
――チャンスの場面でどのような気持ちで打席に向かっていましたか
あの場面で打てなかったらもう終わりだと思っていました。凡退していたら次の立大の攻撃がクリーンアップからだったので。
――この一年間、好機で凡退する場面が続いた中で一本出たお気持ちは
チーム的にも崖っぷちなので、ここで打てなかったらもう終わりだなという気持ちで打席に向かいました。
――打席に入る前には岡村監督と重信慎之介選手(教3=東京・早実)と言葉を交わされましたが、どのような言葉をかけられましたか
監督からは「打ったらあしたの一面だ」ということを言われて、重信とは大したことは話しませんでした。
――気持ちをほぐすような言葉だったのですね
そうでしたね。
――そういった中でうまく力が抜けていたのでしょうか
最後は考えても(結果は)一緒だと思っていたので、(打撃で)意識することだけ頭に置いていました。
――打った球はどのような球でしたか
もう覚えていないですね(笑)。自然に反応していたので。
――この結果で優勝戦線に残ることができましたが、早慶戦に向けての意気込みは
もう他力(本願)でしかないのですが、次週の結果がどうであれ、自分たちは早慶戦に向けてしっかり準備するだけなので、しっかり準備していきたいと思います。
河原右京(スポ3=大阪桐蔭)
――11回の裏、最後はどういった気持ちで守っていましたか
すごく気合いが入っていたので、絶対止めてやろう、何でも止めてやろうという気持ちで守っていました。
――チャンスで回ってきた2打席目、振り返っていかがですか
最低でも進塁打という気持ちで打席に入りました。ちょっと高めに浮いてきたので、いい具合にバットが出て逆方向に飛びました。結果が出てよかったです。
――1打席目はどのような気持ちで打席に立ちましたか
1打席目も追い込まれていたので、しぶとく、ボール投げさせようと思っていたのがちょっと甘く入ってきたので、きっちり捉えられました。
――澤田圭佑投手を攻略するにあたってチーム内で話し合ったことなどはありますか
チームで徹底していたことはないのですが、個人個人が狙い球を絞って。何でも打ちにいかずに狙い球を絞っていこうという話はしていました。
――河原選手自身はどういったことを意識していましたか
コントロールがいいので、四球も少ないですし、甘い球も少ないので、1打席で1球あるかないかの甘い球をミスショットしないようにというのは意識していました。
――高校時代からコントロールは良かったのですか
そうですね。高校のときからコントロールが良かったです。
――守備では3つの守備機会をしっかりさばきました。きのう1つエラーがあった中できょうは守備も安定していましたね
きょうみたいな緊迫した試合だとエラーしたら流れがいってしまうと思うので。そこはミスしてピッチャーに迷惑かけないようにというのは意識していました。
――救援した竹内投手が好投していましたが後ろから見ていていかがでしたか
久しぶりに投げたのですが、すごく球がいっていて。全然後ろから見ていても打たれる感じがしなかったです。
――11回の中村主将の一打は大きかったですね
中村さんが打てばチームが盛り上がるので。あそこの場面で打つのはさすがだなと思いました。
――11回に回ってきた打席ではどのようなことを考えて打席に入りましたか
ヒットが出ればそれはそれでよかったのですが、後ろに中村さんがいるので、最悪進塁打でという気持ちで打席に入りました。
――きょうも2安打ということで打撃の調子は上がってきていますか
はい。ボールは見えています。
――きょうの勝利で優勝の可能性はまだ残ったままですね
きょう負けて早慶戦を迎えるのと勝って迎えるのとでは全然違うので。きょうは何としてもチームで勝とうとしていたので勝てて良かったです。
――1週間空きますがどのような調整をしていきたいですか
自分たちはもう1敗もできないので。気持ちの部分も技術の部分も高めて、もっと成長して早慶戦を迎えたいです。
重信慎之介(教3=東京・早実)
――きょうの試合に勝ったことで優勝戦線に踏みとどまることができました。率直な感想を教えてください
疲れました(笑)。
――きょうの試合にはどのような気持ちで臨まれたのですか
球場に来る前にチームでミーティングをしたのですが、そこで「絶対に負けられない試合だから、チームで一つになって絶対勝ちにいこう」というのを話しいて、全員がそういう気持ちで試合に臨めたと思うので、勝てて優勝戦線に残って終われて良かったです。ミーティングでみんな一つになりました
――負けたら終わりという1戦で3安打猛打賞でした。ご自身の結果に関してはいかがですか
安打どうこうということよりも何とか塁に出ることが自分の仕事で、この試合は特に意識して臨みました。3出塁して2盗塁。よくやれたかなと自分の中では思います。
――東大戦からいい状態が続いていますが、手応えはいかがですか
すごく球が見えていていい感じです
――立大の澤田圭佑選手と相性が良い印象があるのですが
そうですね。自分もそういうイメージがあります。自分の中で相性がいい、得意という意識があるので打席の中でいい意味で余裕があるのかなと思います。特に何か対策を意識しているわけではないです。
――春から打ちたい打順と言われていた1番を立大戦から務めています。意識されていることなどはありますか
2番はつなぎ役ということで考えることも多いです。でも1番はとにかく塁に出るというのは仕事なので、甘い球は見逃ささず積極的に打っていこうというのは意識しています。
――1番の役割を果たせている印象があるのですが、ご自身の評価はいかがですか
まだまだ、全出塁できているわけではないのでそこを目指して頑張ります。
――河原選手ときのうから1、2番組まれていますが、どういったお話をされていますか
積極的に走るよ、というのは伝えてあります。きょうも最後、向こうは打つ気だったらしいのですが自分が走ったのを見て見逃してくれました。そこはうまくコンビネーション取れたかなと思います。
――その盗塁がきょうは得点につながりました
積極的に走っていこうというのが自分の中であるので、それがかたちにできて良かったです。
――11回の中村選手の適時打の前に声をかけられていましたが、何と言われたのですか
朝からやっているたわいもない絡みを、力を抜いて欲しいという意味を込めてやりました。かっこいい言葉とかではないですよ(笑)。
――最後に早慶戦への意気込みをお願いします
絶対優勝します。
竹内諒(スポ2=三重・松阪)
――きょうは早いイニングからの救援でした
試合前から、序盤からいくと言われていたので、そこでしっかり準備ができていたのが良かったと思います。4回からでしたが自分にとっては初回だと思って、有原さんも後ろにいたので全力で投げました。
――10回には1死一、二塁のピンチを迎えましたが岡村監督や土屋捕手(遼太副将、教4=東京・早実)からどのような声をかけられましたか
ここが勝負だからしっかり腕を振ってこい、(ボールを)置きにくるなということを言われました。
――結果的に併殺打でしのぎました
酒井田(照人)さんは前の打席にカットボールで内野ゴロを打たせていたので、同じようにしっかりコースに投げてゲッツーで終わらせようと思っていました。
――狙い通りの併殺打だったということですね
はい、そうですね。
――きょうはコントロールが良かったということですか
そうですね。法大戦で悔しいピッチングをしてしまってから、投球練習で低めにしっかり投げられるようにと投げ込んできたので、その成果が出たと思います。
――負けたら優勝がなくなるというのは考えていましたか
それを意識すると縮こまってしまうので、何も考えずいままでやってきたことを出そうと投げていました。
――中村選手が勝ち越し打を打ったときはどのような気持ちでしたか
すごくうれしかったです。
――後ろに有原投手が控えていましたが、勝ち越し後に交代することは考えていましたか
いえ、自分が投げてやろうと思っていました。
――8イニングというのは大学に入ってから初めてだったと思いますが疲れはありますか
そうですね。すごく疲れました。
――もともと長いイニングを投げる予定だったのですか
いけるところまでいけという感じでした。
――ずっと同点の状態が続きましたがプレッシャーは感じていましたか
プレッシャーは感じていなかったです。
――今季は先発の座を狙っていたと思いますが、それを逃している悔しさはありましたか
はい、ありました。
――あまり調子が上がらないという状態が続いていましたがどのような気持ちの持ちようで試合には臨んでいましたか
ここ最近調子が上がってきていたので、自信を持っていままでやってきたことを信じて投げていました。
――次は春に悔しい思いをした早慶戦となりますが意気込みをお願いします。
春は本当に悔しい思いをして、二度とああいう思いはしたくないので、自信を持って、しっかり腕を振って投げていきたいです。いままでやってきた通り、アウトローでストライクが取れるように準備していきたいと思います。