ヨット部

2014.09.10

2014年度全日本学生個人選手権  9月5日~7日 愛知・豊田自動織機 海陽ヨットハーバー

悲願の初優勝もクラスで明暗分かれる

 全日本学生選手権(全日本インカレ)前、唯一の全日本級に挑んだ早大ヨット部。全国各地から強豪が集結する今大会で470級ではエース艇が初優勝を飾り、全日本インカレへ弾みをつけた。しかし、スナイプ級は上位に食い込むことができず惨敗。4年ぶりの総合優勝へ向け不安が残る結果となってしまった。

(記事 近藤廉一郎)

★インカレへ向け、確かな手ごたえ(470級)

悲願の初優勝を果たした小泉(左)・江畑組

 11月に全日本学生選手権(全日本インカレ)を控える早大ヨット部が、前哨戦となる全国の舞台で『個』の強さを見せつけた。昨年も6位を果たした小泉颯作(スポ3=山口・光)・江畑陽太(法4=神奈川・浅野)組が、全8レース中1位を2回、2位には3回と圧倒的な力でその頂を手にした。さらに小泉は大会最優秀選手賞も獲得。また、岡田奎樹(スポ1=佐賀・唐津西)・原海志(創理3=東京・早実)組は7位、山口優副将(スポ4=佐賀・唐津西)・槌谷祥吾(商4=東京・早実)組は15位という結果となった。

 「スタートの時点で差がついていた」(山口)、大会2日目は風の振れにうまく対応できずベストな走りを見せられなかった早大。しかし最終日を迎えると、得意の強風で岡田・原組が4、4、2、4位と上位でフィニッシュし、エース艇だけではない層の厚さも感じさせた。

 「個人の結果にあぐらをかかない」(江畑)。個人戦である今大会では、それぞれの艇の順位に幅が出してしまったが、チームとしてはまとまりつつある。『王者ワセダ』復活へ――。4年越しの思いを胸に荒波を越え、学生最高峰の舞台をエンジに染める日が近づいている。

(記事 澤村拓洋、写真 細矢大帆)

★ミスを連発し、上位には遠く及ばず(スナイプ級)

ミスを連発し頭を抱える平川(左)

 全日本学生選手権(全日本インカレ)をに向けた大事なステップとなる今大会。早大からは2艇が出場した。結果は平川竜也(スポ2=神奈川・逗子開成)・花岡航(創理3=京都・洛北)組が34位、永松礼(スポ1=大分・別府青山)・清原駿(創理2=東京・早大学院)組が25位。エース島本拓哉(スポ3=千葉・磯辺)と櫛田佳佑主将(社4=東京・早大学院)を欠いた状態とはいえ、極めて厳しいものとなった。

 初日は風が吹かなかった影響でノーレースとなり、迎えた2日目。「もう悪夢みたいな1日でした」(平川)と、平川・花岡組は反則を犯すなどやってはいけないミスを連発。3日目に入っても調子は戻らず大きく順位を落としてしまう。永松礼・清原組も「すべてのところでまだ実力が足りていない」(永松礼)と上位入賞とはならなかった。

 470級チームに比べ、思うようなレースができなかったスナイプ級チーム。しかし、11月の全日本インカレで総合優勝するためにはスナイプ級の強化は不可欠だ。この悔しい思いを帆に受けて、さらに強く突き進むエンジのセーラーたちに期待したい。

(記事 進藤翔太、写真 近藤廉一郎)

集合写真

結果

▽470級

小泉・江畑組   18点(優勝)

岡田・原組    62点(7位)

山口・槌谷組  103点(15位)

▽スナイプ級

永松礼・清原組 124点(25位)

平川・花岡組  158点(34位)

コメント

470級スキッパー山口優副将(スポ4=佐賀・唐津西)

――今大会のレースの総括をお願いします

目標はシングルを取ることだったんですが、全体的にスタートが決まらず苦しい展開となって第1マークから順位を崩してしまい、そこから順位を上げなければならない状況が多かったです。逆に風が吹いたときのレースになると、上位を走ることができていました。夏の期間はずっと強風の練習があって、その風域での技術が向上しているっていうところでは、強風域でのトラッピーズがフルトラッピーズなるくらいでは手応えを感じることができました。

――2日目の最初の2レースはあまり風が吹かない状況でのスタートはいかがでしたか

上位で走ってくる選手はスタートからしっかりバウが出ていて、スタートの時点で全艇の前を切れていて、その点ですでに差がついているなと感じました。しかし、関東海域の選手たちとそんなに差がないと感じたので、スタートがまだうまくいかないのは自分自身の問題なのだと思います。

――課題であるスタートをどのように修正していきますか

有利エンドを自分なりに見極めて位置取りをしているんですけど、どうしてもそのエンドは艇が多く、混戦しているなかでバウを出していけない状況で、風がどちらでも振れて安定している場面であれば、空いているところからしっかり第一線でバウを出すようにスタートしたいと思います。そして、今回のレースを通して感じたのがスタート20秒前を切ってから下にいる艇が上に合わせてきていました。それに遅れて自分たちも寄せていってしまっていたことが多かったように思えます。そのときにはもう10秒前くらいになっていて、風が弱いときには走り出しが遅くなってしまって他の艇に上突破されることが多かったので、しっかり下の艇の動きを読むことや強い気持ちでけん制することをしなければならなかったです。また、相手の艇とバウを揃えておくことを意識していきたいです。自分たちは強風域ではスタートが成功することが多いので、微風でのスタートを残り少ない期間ですが意識して練習したいと思います。

――全日本学生選手権(全日本インカレ) の前哨戦でしたが、全国の舞台でしっかり戦えると思えたことはありますか

クルーがフルトラッピーズでスキッパーもメイントリムをするくらいの風速になってきたときに、早大3艇がある程度前に入れるというところでは風が吹いてきたときには他の大学ともいい戦いができるなと思います。

――今回の大会は櫛田佳佑主将(社4=東京・早大学院)
がアメリカ遠征で不在ということでしたがチームのまとまりはいかがでしたか

しっかりみんなで早大の力を見せつけたいというところがあったので、特に意識していたことはないんですけど、普段通りにしようと思ってやっていました。

――次の大会は全日本女子学生選手権ですが

470級で出るのは初めてになるのですが、最後の年でもあるのでしっかりクラスでも優勝を目指し、そして総合でも優勝できるように頑張りたいと思います。

――全日本インカレまでの残りの2ヶ月となりましたが

全日本インカレで総合優勝するためにはチームがまとまることが大事だと思うので、まずは小さな仕事でも自分から積極的にやり、誰かが何もしない時間ができていたときは部が効率良く動くように自分なりに先を読んで人を動かしたり、チームの雰囲気づくりの点で貢献していきたいです。海上では槌谷(祥吾、商4=東京・早実)と普段乗っているのですが、チームリーダーでもあるので、チームがまとまるように槌谷ができていない部分をサポートできるようにしつつ、自分はチーム足を引っ張らないように、技術面でも積極的に向上させたいです。

470級クルー槌谷祥吾(商4=東京・早実)

――レースの総括をお願いします

僕らは中風以上でクルーがフルトラッピーズになる風速だと走るんですけど、それ以外の風だと全然前を走れないということで、全日本インカレを見据えた3艇の計算ができない大会となってしまったのは反省しています。

――初日はノーレースとなりましたが気持ちの面はいかがでしたか

普段と気持ちの面では変わりはなかったんですけど、前日の計測の日と初日と2日目ヨットに乗っていないというところで、自分のなかでコンディションをつくっていけない部分がありました。

――2日目の1.2レース目はあまりいい順位を取れなかったと思いますがどのように修正を図りましたか

順位を取れなかった一番の理由はスタートで第一線に出れないというところでした。今大会ではそのスタートを直そうということが課題だったので、毎レースごとに悪かった部分を話して改善を図りました。

――槌谷選手自身個人戦では最後の全国の舞台でしたが

最後だからという気持ちはなかったんですが、昨年入賞してその後の取り組みに影響していた部分がありました。なので、今回の結果も全日本インカレにつながるという認識があったので結果を残したいという気持ちはありました。

――今回の結果を受けて自分たちに足りないことは何ですか

自分たちの艇としては、スタートで全然第一線で出ることができなかったことが課題です。チームとしては、全日本インカレを見据えた3艇での計算ができなかったです。颯作(小泉颯作、スポ3=山口・光)がこの海域を得意といていて、風へのアプローチができていたので、そこで3艇でしっかり共有を図れるような体制を取っていかなければならないと思います。

――470級リーダーから見て、関東学生秋季選手権(関東インカレ)へ向けチームの修正点はどのようなところに

先ほどの話とつながるんですけど、結局1艇が走っても仕方ないのが関東インカレであり、3艇でしっかり走らなければいけないので、そこでしっかり情報共有を素早く、そして効率良くレース前にできるような形をとって、関東インカレで3艇ないしは6艇で前を走れるような体制をつくりたいと思っています。

――最後に全日本インカレへ向け抱負をお願いします

全日本インカレ総合優勝です!

470級クルー江畑陽太(法4=神奈川・浅野)

――今大会を振り返ると

上出来だなというのが正直な感想です。

――2日目の最終レースで大きく順位を落としてフィニッシュとなりました

実はスタート時の順位からゴールまでで10位くらい順位を上げることができ、うれしい気持ちもあったのですが、次の日のレースがあるか分からないうえ、2日目終了時点では1位ではない、と知っていたので焦りもありました。

――2日目から最終日に向けての修正点は

今大会まで不調が続いていて、2日目にもこんなに良い順位につけるとは思っていなかったので、普通に走れば良い順位につける、という最高の状態であることを理解して、できる限りリスクを負わない走りを意識するようにしました。

――早大としての結果については

とても課題の残るものだなというのが正直な感想です。やはり全体がいい順位で最終日を迎えていられたら、早大としてももっとテンションが上がっていたのでしょうが、今回僕たちだけが走ってしまった状況でしたし、早大としての目標は団体としての優勝なので、個人戦での優勝にあぐらをかいてはいけないなと思います。

――チームとして見直した点は

今大会は個人戦で各艇それぞれの順位が出るという事で、各々が好き勝手に走るというふうになってしまったのですが、やはり団体戦にも通じるものとして全員で良いことを共有し合い、悪い点を反省するという事を海上でもしっかりするようにしました。

――関東インカレに向けてさらに伸ばしていくべき点は

僕と小泉(颯作、スポ3=山口・光)は今まで話をすることも少なく、仲もあまりよくないという印象を周りからも持たれていたのですが、今回ペアになることで不調を脱することができたので、よりコミュニケーションを取るようにして、エース艇としての役割を果たすことだと思います。

――関東インカレ、全日本インカレへの抱負を

もちろん、総合優勝できるように頑張ります。

470級スキッパー小泉颯作(スポ3=山口・光)

——誕生日に花を添える優勝、おめでとうございます

ありがとうございます!

——いまのお気持ちは

全日本級の個人戦は今大会しかなくて、一つの目標にしていました。昨年も最終日に負けてしまって、ことしは優勝することができてとりあえず良かったなという感じです。

——今大会にはどのような気持ちで臨みましたか

唯一の全日本級の個人戦なので、僕と江畑さん(陽太、法4=神奈川・浅野)の春から個人戦優勝という大きな目標を立てていました。達成できてうれしいです。

——どのレースも序盤から上位をキープしていました

いままでスタートが課題だったのですが、夏と蒲郡に来てからの練習期間でスタートのみならずぎりぎり間に合わせることができたかなと思います。こちらでの練習がなかったら、優勝することはなかったかなと思いますね。夏以降の成果が出ました。

——イタリアでの経験は生かされましたか

スタートなども世界選手権の方がレベルが高かったです。スタートで出られてしまうケースも多々あって、そのような勉強もできて優勝につながるレースになったかなと思います。

——第4レースで得点をたたいてしまった理由は

スタートは出ることはできたのですが、風が読みと逆に吹いてしまったことですね。

——最終日はすべてシングルの順位で盤石のレース展開となりました

優勝が懸かっていたレースの中で、やはり昨年の経験が大きかったです。昨年1位で最終日を迎えたにも関わらず崩して順位を落としたことがあって、優勝争いをする中で戦うのが初めてではなかったので、落ち着いてレースを展開することができたと思います。

——見つかった課題は

最後のレースで風が強くなってきて、最終レース1位の日経大の選手に離されてしまいました。風が吹いてきた中でのボートスピードがまだまだだなと感じました。

——470級チームの状態は

岡田(奎樹、スポ1=佐賀・唐津西)のところが艇のトラブルが今大会起こってしまいました。夏の時は結構自分も負けることが多いくらい速かったので、もっと走ることができたのに準備が不足していたことが反省点かなと感じます。これからチーム戦になっていくので、もっとチームとしてレースでないところでも負けないようにしていかなければいけないなと思います。

——関東インカレ、全日本インカレに向けて抱負を

どちらももちろん優勝を目指します。僕の場合は春の時はリコールを取ってしまったりしました。せっかく個人戦で多くのことを学んだので自分の走りに生かして、まず自分はレースを安定させていきたいです。チームのために少なくとも470級チームを引っ張っていくような感じでいきたいです。ここからはチームのことを考える割合も増えてくるので、頑張っていきたいと思います。

スナイプ級スキッパー平川竜也(スポ2=神奈川・逗子開成)

――この大会の結果についてどのように受け止めていますか

1年生の昨年が7位で、ことしまさかこんなことになるとは思っていませんでした。夏に江ノ島でやってきたことに対しての手応えはあったのですが、コンディションの弱さなど克服しきれていない課題や、やってはならない事を全部やってしまいました。いい経験ではないのですが、本番の全日本インカレ(全日本学生選手権)前にこのようなレースを経験できてよかったと思います。

――6月の関東学生個人選手権の際にスタートを課題として挙げられていましたが、今大会でも大きな課題として残ったのでしょうか

そうですね。そこの部分をレース前に練習できなかったということだったり、江ノ島でずっと強風での練習をしていました。今回の最終レースのように強風が吹いたら多分負けないのですが、無風や微風という自分が高校時代から苦手なコンディションで崩れてしまうということがあるなと思いました。

――2日目はBFD(※1)を犯すなど苦しんだように見えました

もう悪夢みたいな1日でした。やってはならない事を全部やってしまって…。違反を取られ、フライングも犯し、スタートを失敗し、コースをミスしてと、全て悪循環になってしまうという1日でした。

――3日目についてはいかがですか

(2位になった)最終レースだけは切り替えてというよりも吹っ切れて挑めましたし、風も吹いてきて得意なコンディションだったので前を走ることができました。ですが、正直強風になったら他の大学より速く、前を走ることができると以前から分かっていたので、中風や微風域の時のコンディションや、毎回悪いレースの出だしを1レース1レース切り替えながらやっていきたいです。

――関東学生秋季選手権(関東インカレ)に向けての意気込みを教えてください

今回やってはならない事を全部やったので、何が原因でこのような無様な結果になったのか振り返っていきたいです。関東インカレや全日本インカレでは反省とか言っている場合ではないので、しっかりまとめることができるように、短い時間ではありますが練習していこうと思います。

岡田奎樹(スポ1=佐賀・唐津西)

――3日間のレースを振り返って

きのうは艇の不備があって、その差が出てあまり良い順位が出ませんでした。きょうはその不備をなくしたので、その点でしっかりと実力を出すことができたと思います。全日本インカレに向けて、スタートの質を上げようという課題が見つかったので良い試合になったと思います。整備の不具合というのは全日本インカレではあり得ないことなので、次回からは絶対にないようにしたいです。

――アクシデントがあった中、どのように修正しようとしましたか

ガスケットが剥がれた時点でスタートですぐ負けてしまうのですが、きょうはその点がなかったのであとの展開が楽でスムーズにいけたかなと感じています。意識的に修正したというよりかは、自然に水の抵抗がなくなったおかげで前に進めたかなと思います。

――第7レースでは2位に食い込みましたが

良かったことはないですね。全体としてまだまだ上位を狙えたのに、惜しいところで逃したり、回航動作などで追いつけるところで追いつけずに逆に抜かれてしまったりして、取り切れない部分があったように思えます。

――夏休みの間、どのようなトレーニングをしてきましたか

毎日ヨットに乗り、ランニングと筋トレと睡眠の繰り返しでした。減量しなければいけなかったので、食事は適度にしていました。

――関東インカレに向けて意気込みをお願いします

チーム一丸となって戦えたらと思います。全日本インカレは出場して当然なので、絶対にミスしないようにしたいと思います。

(※1)規則30.3(Black Flag Rule)に対する違反のこと。そのレースは失格となる。