ア式蹴球部
2014.07.01
第65回早慶サッカー定期戦 7月2日 神奈川・等々力陸上競技場
早慶サッカー定期戦展望
ことしで節目の65回目を迎える早慶サッカー定期戦(早慶サッカー)。今回は国立競技場の改修のため、新天地・等々力陸上競技場(等々力)で開催される。3連覇を狙うワセダと、それを阻止したい慶大。互いのプライドを懸けて臨むこのビッグマッチは、ただの1試合以上の重みがある。等々力の空にホイッスルが鳴り響いた瞬間、歓喜に沸くのは果たしてどちらか――。
ボランチから攻撃を組み立てる近藤洋主将
素早いプレスからボールを奪取し、すぐさま攻撃につなげる。古賀聡監督(平4教卒=東京・早実)が徹底するこの堅守速攻のスタイルは就任して5年目を迎えても変わらず。だが今季のワセダは決して順風満帆とは言えない。関東大学リーグ戦(リーグ戦)では開幕2連勝を飾るなど前期を3位で終えるが、アミノバイタルカップ2014で7位に沈み総理大臣杯への出場を逃した。さらには天皇杯東京都予選で高校生相手にまさかの敗北を喫し初戦敗退。ここ数試合、決定力不足が否めないワセダ。そのような状況を打破するキーマンは冷静な状況判断と正確なパスが持ち味のMF近藤洋史主将(スポ4=名古屋グランパスU―18)と、リーグ戦で5ゴールの活躍を見せるMF近藤貴司(教4=三菱養和SCユース)か。特に近藤貴は快速ドリブラーとしての突破力だけでなく、DF新井純平(スポ2=浦和レッズユース)との右サイドのコンビネーションにも注目だ。また早慶戦通算4試合で3ゴールを決めてきた『早慶男』、FW上形洋介(スポ4=東京・早実)にも注目だ。一昨年前のMVPは果たして再びヒーローになれるか。
再びゴールで『MVP奪還なるか』
一方の慶大はリーグ戦前期を4位で折り返し、10位で終えた昨季から大きな躍進を見せている。それを支えるのはFW宮地元貴とMF増田湧介主将だ。宮地はFWに転向して1年目ながらリーグ戦で3得点をマーク。増田は1年次からスタメンの座を獲得し、4年目の今季は主将を務める。また全日本大学選抜にも選出されるなど実績も十分。左サイドから攻撃の起点をつくり、ワセダのゴールを脅かす存在だ。さらにリーグ戦最少失点を誇る強固な守備網にも要注意。ひとたびブロックを形成されれば崩すのは容易ではないだろう。リーグ戦第7節で対峙(たいじ)した際には、ワセダが2ゴールを挙げ完封勝利を収めたが油断は禁物。宿敵から白星を挙げるため荒鷲たちの士気は高い。
拮抗(きっこう)した戦力を持ち、守備力に定評がある両者。先行逃げ切り型を理想とする慶大が相手となれば、対するワセダは逆に先制し主導権を握りたいところ。すなわちこの試合、どちらが先制点を奪えるかが重要なポイントになってくる。また古賀監督が追求し続ける『個の強さ』を発揮できるかという点にも期待がかかる。選手たちが「全てが違う」と口をそろえるこの大舞台。まさに勝てば天国、負ければ地獄。勝利を渇望するイレブンたちの戦いが、いま始まろうとしている。
(記事 伊藤なつ実、写真 芦川葉子)