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羽生が鎌田総長に五輪優勝を報告

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2014.04.25

 第22回冬季オリンピック大会(ソチ五輪)フィギュアスケート男子シングル金メダリスト・羽生結弦(人通=宮城・東北)が24日、初めて早大を訪れ、鎌田薫総長(昭45法卒)に五輪優勝を報告した。羽生は早大の人間科学部人間情報科学科通信教育課程(eスクール)に在籍し、競技と学業の両立に励んでいる。好きな科目について語る場面もあり、学生らしい一面をのぞかせた。

金メダルを手に総長と握手を交わす羽生

 カナダのトロントを拠点に練習しており、大学の講義はインターネットで受講している羽生。初めて早大を訪問し、「いままで写真でしか見ることができなかったが、素直に大きいと思った」と笑顔を見せた。羽生は早大を象徴する建物である大隈講堂や大隈庭園を見て歩いた後、大隈会館で鎌田総長と面会。鎌田総長は文武両道を体現している羽生を「しっかりしていて知的好奇心旺盛。早大生のかがみだ」と絶賛した。

 羽生が早大に入学したのは昨年4月。全日本選手権で優勝するなど当時すでにトップスケーターとしての道を歩んでいた羽生が早大への進学を決意した背景には、羽生と同郷の五輪金メダリスト・荒川静香(平16教卒=宮城・東北)の存在がある。「荒川さんが金メダルを取った時に、荒川さんが早大出身だと知って、僕もあのような素晴らしい人間性のあるスケーターになりたいと思った」。そんな羽生が大学の勉強に取り組むのは練習を終えた後。リンクから下りてスケート靴を脱ぐと、今度は一人の早大生としてパソコンに向かう。レポート課題は毎回試合の前日までに書き上げるなど、学習態度は非常に真面目だ。「僕が好きな科目は心理学。感覚情報工学という授業がすごく好きで、スケートに直接つながる学問」と話すように、大学で学んだ知識がスケートの技術や試合での感情のコントロールに生かされている。

ワセダベアーとハイタッチする羽生

 今回の早大訪問で、大学生としての新たな表情を見せた羽生。グランプリファイナル、ソチ五輪、世界選手権と三つの主要な国際大会を制し、目を見張るほどの成長を遂げた昨シーズン。厳しい練習の傍ら積み重ねた知識は、羽生の大きな武器となっていることだろう。「これからも一生懸命学びたい」。世界の頂点に立ってなお、その向上心が尽きることはない。

(記事 末永響子、写真 加藤万理子、芦川葉子)

コメント

羽生結弦(人通=宮城・東北)

――きょう初めてワセダに来られたということですが、感想をお願いします

素直にとても大きいなと思いました。ずっと写真でしか見ることができなかったので、サクラが咲いていなかったのは少し残念ですが、きれいなフジの花が見られて良かったなと思います。

――人間科学部人間情報科学科通信教育課程(eスクール)でどういった学習をしているのでしょうか

僕が好きな科目は心理学です。ことし初めて履修できるようになった感覚情報工学とかもすごく好きで、本当にスケートと直接つながる学問だなと思います。これからも一生懸命学びたいなと思います。

――ワセダに入学した動機は何ですか

荒川静香さん(平16教卒=宮城・東北)がトリノ五輪で金メダルを取った時に、荒川さんがワセダ出身だということを知りました。僕自身も荒川さんのような素晴らしい人間性のあるスケーターになりたいなというふうに思っていました。志望動機としては、自分自身やっているスケートに対して科学的にいろいろな視点から見られたらなと思いました。

――荒川さんとワセダについてお話ししたことはありますか

話したことはあると思いますが、そんなに大した話ではないと思います。ただ僕自身が持っている荒川さんのイメージとしては、普通アスリートになってしまうと、何か抜けていたり、社会を渡っていくにあたって言葉遣いなどが欠けてしまう方が多いのですが、荒川さんは知的で社会的な存在だと思います。そういうところが僕が一番憧れた要素です。荒川さんと一緒の学校に在籍することができて本当にうれしいなと思います。

――ワセダの学生としてやってみたいことがあれば教えてください

早稲田祭に出たいです。ただ純粋に出たいです。(早稲田祭が開催される11月は)シーズンに入ってしまうので参加は難しいのですが、現役を引退した後やスケートが落ち着いたらぜひ出させていただけたらなと思います。

――お忙しい日々を送られていると思いますが、競技と学業の両立をどのようにされているのでしょうか

eスクールの授業はいつでもどこでも受講することができる状態で、練習が終わってからすぐに勉強することができます。スポーツをやっている人にとって、例えば自分が練習をしてその後に授業を受けたとき、もしかしたら授業の内容がやっているスポーツに関連するかもしれません。つながって一緒になるのです。だからこそ僕はeスクールを選んで良かったと思います。

――よくインタビューで「強いスケーター」になりたいとおっしゃっていますが、強いスケーター像とはどのようなものでしょうか

特にないんですよね(笑)。具体的な目標というものはありません。例えば30センチの物差しがあったとしたら、一日過ぎた時に物差しが2センチ前に動くかもしれませんが、その長さというのは変わらなくて、ずっと目標が遠いところにあります。なので特に具体的な目標というのはありませんが、ただただ上を目指していきたいという思いがあります。

――フィギュアスケートという競技は勝負である一方で表現力も必要とされますが、どういった工夫をされていますか

僕たちはそれを共存させなければいけないので、それがとても難しい競技だと思います。また勝負に勝てば良いのかというとそうではなくて、見ている方々を魅了できるような演技をしなければいけません。それがフィギュアスケートの難しいところで、一番面白いところだなと思っています。ただそれを面白いと思えるか思えないかというのは、自分自身の探究心にあると思います。実際こうやってワセダで勉強させていただくことによって、もちろん表現力もそうですが、技術的なものが一番心の状態に響いてきます。そういうことを学習できる場、研究できる場があるというのはすごく良いことだなと思います。

――いざ勝負という時に切り替わるスイッチなどはありますか

スイッチはありますが、そのスイッチを押せないときもあります。そのスイッチを押せるとき、僕の場合は歌を歌うなどしています。そういうことを通してスイッチを押しつつも平常心を保ち、楽しいことをすることによって心の状態を良い方向に保つようにしています。

――メンタル面でトレーニングをされているということですが、大舞台で平常心を保つコツがあれば教えてください

僕は歌です。イヤホンをつけて周りからの音をシャットアウトして、好きな歌を口ずさむことによって、心の中から楽しいと思えるような行動をしています。実際に楽しいと思っているかは別として、それをすることによって集中できるきっかけのようなものにもなっています。だからこそ大事にしています。

――当会は4月の『早稲田スポーツ』新入生歓迎号で羽生選手を掲載させていただきました。最後に、ご覧になった感想を頂けたら幸いです

わざわざ僕を一面にしていただき、また同じワセダの方々に自分が金メダルを取ったということを知らせることができてうれしいです。ワセダで学んだからこそ金メダルが獲れたと思いますし、このような成績を残せたことが伝わればいいなと思います。

自身が掲載された早スポの紙面を眺める羽生

『早稲田スポーツ』新入生歓迎号(4月1日発行)