競走部

2012.05.13

第91回関東学生対校選手権 5月12、13日 国立競技場

関カレ1、2日目

 男子1部総合優勝を果たし、67大会ぶりの王座奪還を成し遂げた昨年の関東学生対校選手権(関カレ)からはや1年。ことしも関カレの季節がやってきた。『黄金世代』が抜け厳しい戦いが予想された今大会。ワセダ勢最初の決勝種目となるやり投でディーン元気(スポ3=兵庫・市尼崎)が大会新記録での3連覇を成し遂げチームを勢いづけると、2日間で5つの自己新記録、2つの大会新記録が生まれた。中でも目立ったのは女子の活躍。紫村仁美(スポ4=福岡・筑紫女学園)は100メートル、100メートル障害の2冠でその実力を見せつけた。天児芽実(スポ4=新潟第一)も自己記録を塗り替え初めて表彰台に上るなど、素晴らしいすべり出し。女子1部対校得点も2日目終了時点で昨年の19点から大きく飛躍し、38点を獲得した。一方の男子1部対校得点は2日目を終え33点の4位。予選で好調ぶりを示した選手は多く、高得点が期待される競技もまだ残っている。総合2連覇の夢は第2週に託された。

二冠を達成した紫村

(記事 菅原理紗子、写真 浜雄介)

★貫禄見せつけ圧勝

ピースサインを見せるディーン

 今季すでに学生にしてロンドン五輪参加A標準記録を突破しているディーンが男子やり投決勝に出場。関カレでも圧倒的な強さを見せてこの種目3連覇を達成した。ディーンの試技順は1番。1投目から80メートルに近い力強い投てきを見せたが、本当のビッグスローは2投目に待っていた。2投目を投げると、やりが描く放物線の大きさに観客席がどよめく。電光掲示板は81メートル54を表示した。体調が良くなかったというディーンは3投目以降をパスし、2投のみで競技終了。しかし、今季何度も80メートルオーバーの記録を出し成長を感じさせるディーンに死角はない。来週行われる円盤投にも期待がかかる。

(記事 西脇敦史、写真 浜雄介)

★大幅に自己記録更新

自己ベストを大幅に更新した天児

 女子1万メートルには天児が出場した。1000メートルの通過が3分33秒とスローペースで始まったレース。天児は前半から確実に集団の前方につける。ペースが上がらず大きな集団はなかなかばらけなかったが、5000メートル付近からその集団は徐々に縦に伸びていく。その後10人ほどの先頭集団が飛び出しても、天児は落ち着いていた。1キロ3分20秒を切る速いペースに対応し、ラストの直線でスパート。自己記録を大幅に更新する34分12秒79の好タイムを出し、3位入賞を果たした。5000メートルにも出場予定の天児。積極的に前に出て、最後の関カレにふさわしいレースをしてほしい。

(記事、写真 手塚悠)

★蔭山が400メートルで3位入賞!

蔭山は自己記録に迫る好タイムで3位となった

 大会第1週目、蔭山愛(教4=神奈川・相洋)は女子100メートルと女子400メートルの2種目に出場した。今月初めに行われた静岡国際大会では400メートルで好タイムを出し、調子も上々の蔭山。勢いそのままに、女子400メートル決勝では積極的なレースを展開。自己ベストに大きく迫るタイムで見事3位入賞を果たした。一方の100メートル。波に乗った紫村仁美(スポ4=福岡・筑紫女学園)が優勝を果たす中、本来の実力を出し切れなかった蔭山は6位という不本意な結果に終わる。次週には200メートルを控えているが、同種目において2年時に4位、3年時に3位という結果を残しているだけに今回のレースにも大いに期待がかかる。最後の関カレの舞台で3年連続の入賞を成し遂げるのか、はたまた悲願の初優勝を掴みとるのか。次週の走りに注目だ。

(記事 野宮瑞希、写真 浜雄介)

★紫村が100メートル、100メートル障害の二冠!

専門種目の100メートル障害、紫村は圧巻の強さを見せた

 2週間前の織田幹雄記念国際大会で100メートル障害のロンドン五輪参加B標準記録を突破した紫村。勢いに乗る彼女は迎えた最後の関カレ、国立競技場の舞台でも躍動する。前半2日を終え、100メートルと100メートル障害で圧巻の2冠を達成した。100メートルでは予選、準決勝とも向かい風の中12秒1ケタの好タイムをマークすると、決勝では同じく向かい風を受けながらも、11秒94というタイムで自己記録を更新。100メートルが専門でないにもかかわらず、2位に0、1秒差をつける快勝だった。100メートル障害では準決勝、決勝と大会記録を塗り替える。こちらも他をよせつけない圧倒的な強さを見せた。13日は100メートルと100メートル障害合わせて3本を、ほぼ1、2時間おきに走るというハードスケジュールだったが、紫村の走りに疲れは全く見られない。安定した高レベルのパフォーマンスからは冬季練習の充実度がうかがえた。残すは来週の200メートル。23秒台を出し、優勝して締めくくりたいところだ。女子団体3位入賞を狙うとともに、紫村が三冠という偉業に挑む。

(記事 松岡文、写真 浜雄介)

★自己新の早川、3位入賞も飽き足らず

3位入賞を果たした早川

 110メートル障害に出場した早川恭平(スポ3=長野吉田)は3位入賞を果たしたが、決して納得のできる結果ではなかった。予選で流れをつくり準決勝で記録を出すという狙い通りのかたちとなった12日は、準決勝で13秒93の自己新記録をマーク。調子はそこまで良くなかったと振り返るが、4日に行われた水戸招待陸上に続き、2週連続の自己記録更新となった。しかし13日の決勝では序盤から大室秀樹(筑波大)、矢澤航(法大)に先行を許し、14秒05でフィニッシュ。あくまで勝ちにこだわるスタンスで臨んだが、「勝負をさせてもらえなかった」と悔しさが残った。

(記事 辻安洋、写真 野宮瑞希)

★手が届きかけるも優勝ならず

念願の表彰台に上った九鬼

 持ち前の瞬発力で他を寄せ付けないスタートを切った九鬼巧(スポ2=和歌山北)だが、それだけで逃げ切れるほど表彰台の頂点は甘くなかった。男子100メートルでは、大本命と見られていた山縣亮太(慶大)が準決勝から棄権。一気に優勝の可能性が見えた周囲の選手たちはいきり立った。2位通過で決勝に挑んでいた九鬼も、スタート前の選手紹介時にガッツポーズを見せるなど気概は充分。しかしそれが裏目に出た。序盤からトップに立ち優勝を意識したのか、足が空回りしてしまい上手く中間疾走が伸びない。その結果、飯塚翔太(中大)に60メートル付近で捕えられ、前半の勢いのまま先頭でゴールテープを切るには至らなかった。10秒50での2位は昨年より順位、タイム共に良い結果だが、やはりここは悔しさが残るところ。来週、優勝が望まれる400メートルリレーで中大に借りを返したい。

(記事 深谷汐里、写真 浜雄介)

★平賀が6位入賞

6位入賞と上々の結果を残した平賀

 男子1万メートル決勝には平賀翔太(基理4=長野・佐久長聖)、志方文典(スポ3=兵庫・西脇工)、山本修平(スポ2=愛知・時習館)の3人が出場した。レースはスタートとともに日体大・服部翔太が飛び出し、その後ろを残りの選手が集団で追う展開に。早大の3人はそれぞれ集団の中ほどで様子をうかがうが、1000メートルあたり2分50秒前後で刻む速いペースに志方と山本は中盤までに脱落した。唯一、服部を捉えた先頭集団に残った平賀も6400メートル付近から徐々に仕掛ける他大の選手たちに置いていかれたが、崩れることはなく28分46秒16の好タイムで6位入賞。今シーズン完走した最初の1万メートルとしては上々の記録と言っていいだろう。山本も早い段階で先頭争いから脱落したが、その後は持ち味の粘りを見せて29分08秒23の11着でゴールし、2週間前の兵庫リレーカーニバルからは大きく持ち直してみせた。一昨季の大学駅伝三冠から一転、無冠に終わった昨季のリベンジへ、調子を上げていきたい。

(記事 浜雄介、写真 手塚悠)

★仲間とともにつかんだ切符

100メートルで自己ベストを更新し嬉しそうな表情を見せる石井

 石井祐人(スポ4=埼玉・武蔵越生)は男子混成十種競技に出場した。2日間で4つのトラック競技と6つのフィールド競技をこなし、その合計点を競う過酷な競技だ。各種目のバランスが大切になってくるこの競技だが、石井は10種目のうち実に6種目で自己新記録をマーク。最後の1500メートルでは、気迫のこもった走りを見せラスト1周で2位に立つ。総合順位を1つ上げて5位入賞、そして6825点の自己ベストで全カレの標準記録を突破した。「自分の力だけじゃない」と語った石井。今大会に出場できなかった同期の土井翔太(スポ4=香川・観音寺第一)の分まで、日本学生対校選手権(全カレ)の舞台でしっかり結果を出してくれるだろう。

(記事 手塚悠、写真 浜雄介)

結果

【男子】

▽100メートル

九鬼巧 10秒50(2位)

▽400メートル

牧野武 47秒45(4位)

▽1万メートル

平賀翔太 28分46秒16(6位)

山本修平 29分08秒23(11位)

志方文典 30分07秒10(27位)

▽110メートル障害

早川恭平 14秒05(3位)

▽1万メートル競歩

小林快 43分05秒19(12位)

▽やり投

ディーン元気 81メートル43(1位) 大会新記録

▽十種競技

石井祐人 6825点(5位) 自己新記録

  100メートル:10秒84(897点) 自己新記録

  走幅跳:6メートル49(695点) 自己新記録

  砲丸投:10メートル07(490点) 自己新記録

  走高跳:1メートル65(504点)

  400メートル:48秒50(885点)

  110メートル障害:14秒89(863点) 自己新記録

  円盤投:31メートル71(498点)

  棒高跳:4メートル30(702点)

  やり投:46メートル54(538点) 自己新記録

  1500メートル:4分28秒78(753点) 自己新記録

【女子】

▽100メートル

紫村仁美 11秒94(1位) 自己新記録

蔭山愛 12秒19(6位)

▽400メートル

蔭山愛 54秒26(3位)

▽1万メートル

天児芽実 34分12秒79(3位) 自己新記録

▽100メートル障害

紫村仁美 13秒27(1位) 大会新記録

羽角彩恵 14秒11(8位)

▽男子1部対校得点(13日終了時点)

1位 筑波大:64点

2位 日大:57点

3位 順大:47点

4位 早大:33点

5位 東洋大:30点

▽女子1部対校得点(13日終了時点)

1位 筑波大:89点

2位 中大:46点

3位 早大:38点

4位 日体大:26点

5位 大東大:20点

コメント

石井祐人(スポ4=埼玉・武蔵越生)

――入賞おめでとうございます。きょうの結果はいかがでしたか

もう最高の結果です。表彰台に上れなかったのはやはり悔しかったですが、6820点の日本学生対校選手権(全カレ)参加標準記録をギリギリ切れたので。自分の力だけじゃないなということを本当に感じた2日間でした。周りの応援、サポート全て(があって)ですね。やはりチームでやっているんだなと思いました。

――多数の種目で自己ベストが出ていました

100メートル、走幅跳、砲丸投、110メートル障害、やり投、1500メートルですね。(全種目の)半分ぐらいです。例えば棒高跳なんかはどちらかというと得意な種目なのですがきょうは少し取りこぼしてしまったので、そこをしっかり全カレまでには修正して、取れるようにしたいですね。

――意識していた選手はいらっしゃいましたか

特にいないです。点を取って表彰台に上ること、そして全カレに行くことだけ考えていました。自分でも得点計算をして順位を見たりはしていませんでした。1500メートルで渡されるゼッケン番号が1500メートルの前の競技までの順位なのですが、それを見て自分は今6位なんだ、頑張ろうという感じでした。

――昨年一緒に混成競技に出ておられた土井翔太選手(スポ4=香川・観音寺第一)は今回出ていらっしゃいませんが

そうですね…。関カレ前の記録会で僕が関カレ男子1部の参加A標準記録(6500点)を切らないとあいつが出られないという状況で、そのときにあと13点足りなくてギリギリだめでした。彼には本当に申し訳ないことをしてしまったんですけれども、こうやって全カレ標準を切れて、これで恩返しできたかはわからないですが、また全カレでしっかりやりたいと思います。

――全カレに向けて意気込みをお願いします

まだ関カレでも5番でこのままだと絶対全カレでの入賞は無理なので、7000点を取ってしっかり戦えるようにします。

早川恭平(スポ3=長野吉田)

――レースを振り返って

昨日は予選できちっと良い流れをつくって、準決勝でしっかり走りたいなと思っていました。アップした時はそこまで動いている感じではなかったのですが、予選ではそれなりに走ることができたので、準決勝で勝負してある程度のタイムが出せました。決勝は勝負なので、タイムではなくて勝ちにこだわった勝負をしたいと思ったのですが、前の2人が速くて勝負をさせてもらえなかったというところが悔しいです。

――自己新記録が出たのはいつ以来ですか

昨年の全カレがベストでしたが、先週の金曜日に行われた水戸招待陸上という大会で一度ベストを出させていただいて、そこから1週間経った昨日にもう一度ベストを出させていただいたというかたちです。

――自己新記録をどうとらえていますか

1週間前の水戸招待陸上の時はそこまで出せるという予想をしておらず、ある意味タイムが出てしまったような感じでしたが、今回はきちんと狙ってタイムが出せたので、そこは良い点かなと思います。

――狙ってタイムを出せたということは、調子が良かったのですか

調子というとそこまで良くはありませんでしたが、動きや形を整えてレースに臨んだ上で記録を出したいなと思って試合に出ました。いつも決勝になるとタイムが悪くなってしまうので、準決勝はもちろん良かったのですが、どちらかというときょうの決勝でもう一段階レベルの高いタイムを出して上位で走りたかったなという気持ちがあり、今の自分の力の無さを痛感しています。

――調子のピークはどこに持っていこうと計画していますか

まずはこの大会に合わせるように調節してきましたが、その中であまり納得のできる結果が出せませんでした。今回の結果で日本選手権参加A標準記録を切ることができ、日本選手権に参加させていただくことになったので、そこにもう一度ピークを合わせていけるように練習していきたいと思います。

――日本選手権ではどういうレースをしたいですか

勝負をするには自分のタイムではまだまだで、勝負するためにタイムを出さなければならないと思っているので、とにかく自分の記録を向上するための練習をしていって、日本選手権で自分のベストを出して勝負していきたいなと思っています。