競走部

2012.06.10

第96回日本選手権 6月8〜10日 大阪・長居陸上競技場

日本選手権総括

 ロンドン五輪代表の最終選考会を兼ねた日本選手権が3日間にわたって行われ、日本一を決めるハイレベルな争いが繰り広げられた。ハイライトは男子やり投決勝。五輪参加A標準記録突破者が優勝すれば五輪代表に内定する今大会で、ディーン元気(スポ3=兵庫・市尼崎)が見事五輪代表の座を射止めた。1投目こそ緊張からか記録が伸びなかったものの、4投目には84メートル03と自身2度目となる五輪参加A標準記録を上回るビッグスローを披露。村上幸史(スズキ浜松AC)の大会13連覇を食い止め大会新で優勝したディーンは大会最優秀選手にも選出された。ディーンが代表に決定したことで、北京五輪に出場した竹澤健介(平21スポ卒=現エスビー食品)に続き、早大競走部から2大会連続での五輪出場者輩出となる。

ディーン(中央)は村上(左)の13連覇を阻止

 五輪選考の舞台で好記録をたたき出したのはディーンだけではない。今大会で野澤啓佑(スポ3=山梨・巨摩)、九鬼巧(スポ2=和歌山北)の2人が五輪参加B標準記録を突破した。以前からB標準を突破していた紫村仁美(スポ4=福岡・筑紫女学園)、大迫傑(スポ2=長野・佐久長聖)を含めれば合計4人のB標準突破者がワセダから誕生したことになる。その一方で、自らの実力を発揮しきれずにグラウンドを後にする者も。3年連続で日本選手権6位入賞を果たしていた浦野晃弘主将(スポ4=広島皆実)は決勝に駒を進めることができず、代表選考に絡むことができなかった。紫村や大迫も表彰台には上ったものの、代表決定を狙っていただけに悔いが残る。競走部のスローガンでもある『ワセダから世界へ』を具現化すべくひたむきに努力を続けてきた選手たち。五輪切符をかけた戦いはひとまず幕を閉じることとなるが、記録への挑戦は終わらない。次なる舞台でも好記録を期待したい。

(記事 菅原理紗子、写真 手塚悠)

★一伸び足りず、悔しい3位

決勝ではタイムに悔しさが残った蔭山

 前日に行われた女子400メートル予選で53秒83という早稲田新記録で自己ベストを更新した蔭山愛(教4=神奈川・相洋)。迎えた決勝レースは「大きくゆったり、それでもスピードは落とさず」と意識し、大きな走りで徐々に順位を上げていく。最終コーナーを回ったところで、先頭争いは蔭山、新宮美歩(東大阪大)、佐藤真有(東邦銀行)の三人に。しかし、そこからなおも加速する新宮と佐藤に着いて行けず、結果は惜しくも3位。昨年の8位からは大きく躍進し表彰台に上がったものの、「ことしはしっかり決勝で戦える力をつけてきた」と語る蔭山にとっては、やや物足りない結果となった。この悔しさをバネに、日本学生対校選手権(全カレ)での活躍を誓う。

(記事 松波葵、写真 浜雄介)

★惜しくも優勝逃す

優勝を逃し悔しさをあらわにする大迫

 ロンドン五輪出場を狙う大迫傑(スポ3=長野・佐久長聖)は男子1万メートルに出場した。五輪参加A標準記録突破者が複数いるため、B標準しかクリアしていない大迫はなんとしてでも優勝したい一戦だった。序盤から集団はなかなか崩れず、レースが進んでいく。大集団の5000メートルの通過は14分15秒前後。この時点で五輪参加A標準記録の突破は絶望的なペースとなった。その後は先頭が次々と交代し、各選手が積極的な走りを見せるが、大迫はまだ集団に息を潜める。残り1000メートルほどになるとスパートの掛け合いに。大迫はそれでも振り落とされずに先頭を伺える位置をキープする。残り1周で優勝候補は4人に絞られ、佐藤悠基(日清食品グループ)のバックストレート付近からのスパートに反応できたのは大迫だけだった。そのまま両者のデッドヒートになり、勝負はホームストレートまでもつれこむ。しかし、最後の最後で突き放されて2位。優勝を狙っていた大迫にとって、この結果は満足のいくものではなかっただろう。ロンドン五輪の道が遠のいた大迫はレース後、グラウンドにがっくりと倒れこみ悔しさをあらわにした。

(記事 西脇敦史、写真 大道瞳)

★野澤、五輪の夢叶わず

野澤は歩数が合わず失速した

 ロンドン五輪出場を目指す野澤啓祐(スポ3=山梨・巨摩)が男子400メートル障害に出場した。野澤は「記録を狙って走った」という予選から快調な走りを見せる。ロンドン五輪参加B標準記録を突破するとともに早稲田記録を更新する49秒64という好タイムを出し、予選を全体の1位で通過する。400メートル障害での早稲田記録更新は実に30年ぶりの快挙だった。準決勝でも自己ベストをマークして迎えた決勝。勢いよく走り出した野澤は順調に障害を越えていく。だが、10台目の障害の直前で歩幅が合わなくなり失速。「悔しいというより言葉が出ない」と語った野澤はレース後、トラックにうつむいたまましばらく立ち上がれなかった。しかし、野澤は早くも次なる舞台を見据えている。「(世界選手権、ユニバーシアードで)自分がどういう走りができるか、自分がどれだけ成長できるかが重要」と語る野澤の目からはさらなる飛躍の予感が感じられた。

(記事 福地恒太、写真 浜雄介)

★紫村無念の3位、五輪参加A標準記録届かず

硬さが見られた紫村

 100メートル障害には紫村仁美(スポ4=福岡・筑紫女学園)が出場。五輪出場を目指す紫村の今大会の一番の目標は五輪参加A標準記録である12秒96を切ることだった。大会初日の予選では軽快な走りを見せ、準決勝及び決勝での好記録が期待される。2日目迎えた決勝、前半から先行したのは木村文子(エディオン)。徐々に後続との差は開くが紫村は差を詰めることができない。最後は熊谷史子(北海道ハイテクAC)にもかわされ3位でフィニッシュ。試合後は無念の表情を浮かべ、「走りのタイミングや重心の乗せ方がずれていた」と敗因を語った。今回敗れはしたが、紫村は確実に日本のトップを狙える位置まできている。「日本記録を出したい」という言葉が現実となる日も、すぐそこかもしれない。

(記事 松岡文、写真 大道瞳)

★ディーン、村上の連覇止めロンドンへの切符つかむ

スタンドに向かって叫ぶディーン

 男子やり投は大方の予想通り、ディーン元気(スポ3=兵庫・市尼崎)と大会12連覇中の村上幸史(スズキ浜松AC)の一騎討ちとなった。まず魅せたのは村上。1投目から80メートル近い投てきを披露し、2投目で82メートル93と記録を伸ばして大会記録を更新。試技順が村上より後だったディーンは、これを見て負けじと81メートル62を出して会場を沸かせる。しかし村上が更に意地を見せ、続く3投目は83メートル95。自己記録も更新し、第一人者としての威厳を存分に見せつけた。

 3回の試技を終えて1位が村上、2位ディーン。やり投で2人が80メートル以上を記録したのは長い日本選手権の歴史の中でも過去になく、史上最もハイレベルな戦いになっていた。 迎えた4回目、試技の際に手拍子を求める村上とは対象的に、ディーンは顔の前に指を出し「しーっ」のポーズ。静まりかえる観衆。集中力を高めて、特徴である身を投げ出しながらのフォームで放ったやりは大会記録を示す黄色いラインより遠くに突き刺さった。84メートル03、わずか8センチだけ村上の記録を上回った。村上は4回目以降の試技は全てファウル。ディーンの大会初優勝が決まった。

今季、ここまで二人の対戦成績はディーンの2戦2勝だったが、いずれも村上の状態が万全でなかった。今回は3度目にして初めての真っ向勝負で、村上が自己記録を出しながらもディーンがそれを上回る完勝。これでロンドン五輪代表に決定したディーンだが、13年ぶりに王者を表彰台の真ん中から引きずり下ろしたことに価値がある。「まだ二十歳ですし、世界一も夢ではない」(ディーン)と頼もしい。新たな歴史を作るため、ディーンがまた大きな一歩を踏み出した。

(記事 浜雄介、写真 西脇敦史)

★100メートル自己新記録樹立!

2位に入りガッツポーズの九鬼

 男子100メートルには九鬼巧(スポ2=和歌山北)が出場。予選は降りしきる雨の中で行われたが、「調子はすごく良かった」と語る九鬼は五輪参加B標準記録を突破する10秒23をたたき出す快走を見せた。決勝レースを前に、胸に手を当てて大きく深呼吸をした九鬼。勢いよく飛び出し、最高のスタートを切った。後半追い上げを図った江里口匡史(平23スポ卒=現大阪ガス)との競り合いに会場が沸く。九鬼は最後まで江里口に食らいつき、僅か0、01秒及ばなかったものの2位入賞を果たした。タイムに関しては「予選で10秒2台を出して、決勝でも追い風なしの10秒30だったので本当に大きな収穫がありました」と納得がいった様子。五輪参加A標準記録を突破しているライバル・山縣亮太(慶大)に直接対決で勝利を収めたこともうれしかったことだろう。己の実力を確かなものとして証明してみせる格好の場となった日本選手権。飛躍を遂げている九鬼の成長は今後もとどまるところを知らない。

(記事 野宮瑞希、写真 浜雄介)

★早川、初出場で健闘の5位!

早川は持ち味である後半の強さを発揮

 先月の関東学生対校選手権(関カレ)で自己記録を更新した早川恭平(スポ3=長野吉田)が男子110メートル障害に登場。初の大舞台ながらも決勝に進出し、5位に食い込んだ。前日行われた準決勝では、「思い通りのレースができた」と前半の粘りと自身の持ち味である後半のスピードを生かし、13秒87の自己新記録をマークした。しかし「準決勝と同じ走りをもう一度」と臨んだ決勝では中盤でスピードに乗りきれず、得意の後半で追い上げるも5位でフィニッシュした。

(記事 大道瞳、写真 野宮瑞希)

結果

▽男子100メートル

九鬼巧  予選:10秒23(3組2着)

     決勝:10秒30(2位)

北村拓也 予選:10秒82(3組5着)

▽男子400メートル

浦野晃弘主将 予選:46秒89(2組4着)

牧野武    予選:47秒44(2組5着)

▽男子800メートル

吉田貴洋 予選:1分53秒10(1組5着)

▽男子1万メートル決勝

大迫傑 28分18秒53(2位)

▽男子110メートル障害

秋山大輔 予選:14秒24(4組6着)

早川恭平 予選:13秒98(4組4着)

     準決勝:13秒87(2組4着)自己新記録

     決勝:13秒92(5位)

▽男子400メートル障害

野澤啓佑 予選:49秒64(3組1着)自己新記録 早稲田新記録

     準決勝:49秒53(2組4着)自己新記録 早稲田新記録

     決勝:49秒96(6位)

▽男子やり投決勝

ディーン元気 84メートル03(優勝)大会新記録

▽女子400メートル

蔭山愛 予選:53秒83(2組1着)自己新記録 早稲田新記録

    決勝:54秒27(3位)

▽女子100メートル障害

紫村仁美 予選:13秒42(2組1着)

     準決勝:13秒44(1組1着)

     決勝:13秒55(3位)

羽角彩恵 予選:13秒99(3組5着)

▽女子砲丸投決勝

神保恵理 13メートル94(6位)

コメント

蔭山愛(教4=神奈川・相洋)

――きょうの決勝レースを振り返って

決勝は大分力んでしまいました。前半は自分のペースでいこうと思ったのですが、周りに惑わされてしまって…それが後半伸びなかった原因だと思います。

――試合前はどのようなレースプランを考えていましたか

予選から飛ばしていったのですが、そのときはピッチで走ってしまったので、それがいけないなと思いました。なので、決勝では前半は大きくゆったり、それでもスピードは落とさず…という風に考えていたのですが、うまくできませんでしたね。

――タイムについてはいかがですか

全然良くないですね。順位はそれなりに良くても記録がついてこないというのは、やはり自分の弱さだと思うので、もう少し記録を伸ばせる走りをしていきたいです。

――予選では53秒83という自己ベストであり早稲田新記録となるタイムを出しました

予選はすごく走りやすくて自分でも集中できていたので、53秒台が出せて良かったです。

――日本のトップレベルの選手が集う日本選手権の決勝の舞台に残ったということについては

去年はギリギリで残れるかというところに自分がいて、そのときは「残れて良かった」という気持ちでした。でも、ことしはこの舞台でしっかり勝負できる力をつけてきたので、決勝に残ることは当然であって、さらに順位をどうしていくかということを見据えていました。

――今後の目標をお願いします

日本学生対校選手権(全カレ)が残っているので、学生としてワセダの勝利に貢献できるような走りをしていきたいと思います。

紫村仁美(スポ4=福岡・筑紫女学園)

――きょうの結果についてはいかがでしたか

悔しいの一言だけです。

――ゴール後悔しそうな表情をされましたが、やはり優勝を狙っていらっしゃったのでしょうか

優勝というより記録も狙っていたので、それを出せなかったのが本当に悔しいです。

――記録とはロンドン五輪参加A標準記録でしょうか

はい、そうですね。

――調子はいかがでしたか

調子自体は悪くはないんですけど、走りのタイミングや重心の乗せ方がずれていたのでそこが良くなかったなと思います。予選では楽に走れたんですけど、きょうは固くなってしまったというのがあったので、それが敗因かなと思います。

――今後について

五輪参加A標準記録というか日本記録を出したいので、それを目指すとともに、全カレもあるので学生最後、必ずチャンピオンになって終えたいと思います。

野澤啓祐(スポ3=山梨・巨摩)

――きょうの決勝のレースを振り返っていかがですか

9台目のハードルまではうまくいったのですが、14歩でいっていたハードル間の歩幅を10台目でミスしてしまったのでそこが敗因ですね。14歩でいくと決めていて、それができたら決勝では記録も順位もしっかりついてくると思っていました。実際、いけると思ったのですが、10台目で歩幅が合わなくなって慌てた部分もあり、冷静さに欠けたかなと思います。

――レースプランはどのようなものでしたか

落ち着いて自分のリズムを刻んでいけば、良いレースはできるだろうと思っていました。前半はしっかりといけていたのですが、10台目だけ悔いが残りますね。結果的に6位で記録も良くもなく、悔しいというより言葉が出ないですね。

――レース後にうつむいていたのが印象的でした

ロンドン五輪を狙うにしても3位以内には入らなければいけないと思っていたのですが、ゴールした瞬間3位には入れていないと分かったので、自分の力の無さを感じました。

――予選のレースについてはいかがですか

予選は記録を狙って走ったので前半しっかりいって、7台目で少しミスをしてしまったのですが、改善余地のある中で自己ベストを出せたため自分の感覚と記録が合っていなくて少しびっくりする部分がありました。

――準決勝はのレースはいかがでしたか

準決勝も調子は悪くなかったので、着順を意識して焦らずできればいいなと思っていました。いざ走りだすと体が動かない感じがして後半スピードを上げることができなかったのでしっくりくるレースではなかったです。ただ、そのような中でも記録は出たのでこういうレースもあるのだなと思いました。

――今後の目標を教えてください

ことしで言うと悔しい思いをした分、全カレでしっかり納得できるレースができればいいなと思います。また来年には世界選手権、ユニバーシアードがあるので、そこで自分がどういう走りができるか、どのように成長できるかが重要だと思うので頑張っていきたいです。

早川恭平(スポ3=長野吉田)

――きょうのレースを振り返って

昨日の予選をタイムで通過できてきょうの準決勝は体の調子が良かったので、自分の持ち味である後半のために落ち着いて勝負ができればと思っていました。準決勝は自分の思い通りのレースができたのですが、決勝は中盤でスピードが乗り切らずに、後半に生かすことができませんでした。タイムとしても順位としても微妙なかたちで終わってしまったという印象です。

――準決勝は自己ベストでした

スタートが得意ではないですが、前半に置いていかれるとだめだとわかっていたので、前半はしっかりついていって後半は勝負しました。タイムよりも、自分が納得して走れてその上でタイムがついてきたので良かったと思います。

――初めての日本選手権、また決勝に残ったことについてはいかがですか

自分のしたい走りであったり、自分がしっかりレース展開を予想できたりした試合だったので、予想通りの試合をすれば決勝に行けるかどうかのところまで絡めると思っていました。初出場ということで失うものは何もないなと思っていたので、決勝にいけた段階でもう一度準決勝と同じ走りであったりタイムを出せたりすればいいなと考えていました。ですが、決勝は少しかたくなった部分があったのでベストを出した時と同じような走りができなくて、そこが悔やまれる点です。

――自己ベスト更新が続いています

冬季練習をうまくこなしてこれたので、その結果として出ているものかもしれないです。ハードルの技術的な面でも去年できていなかった部分が自分の中で体得できているのかなというように思います。ですが磯先生が自分に求めているものであったり、いつも指摘される点はまだまだ変わらないので、そこはしっかり習得できていないと感じます。

――同学年のスポーツ推薦で入学した選手(ディーン選手や野澤選手など)の活躍はモチベーションにつながっていますか

長距離を除くと野澤とディーンと林(風汰、スポ3=三重・宇治山田商)がいて、林はこの日本選手権には出ていないのですが、関東学生対校選手権(関カレ)では自分が3位で林が2位ととても刺激になっています。ですが、その4人で頑張っていこうというのではなく、やるからにはこの学年全体で頑張りたいという気持ちがあります。長距離では大迫とかがいますし、ディーン、野澤、大迫という学年を引っ張ってくれる3人がいてそこに学年全体でついていこうという気持ちでやっているので、スポ推組だけで頑張るという意識だけではなく、抜きん出ている3人に離されないようにという意識です。なのでそんな環境にいることはとても刺激になるし、負けられないと思いますね。

九鬼巧(スポ2=和歌山北)

――10秒30で2位という結果はいかがですか

B標準を破って3番以内というのを目標に頑張ってきて、色々の方の支えや関西圏での開催ということが後押ししてくれた(ので2位になれた)のかなと思います。

――同世代でよく比較される山縣亮太選手(慶大)にも勝利しました

織田記念(織田幹雄記念国際大会)くらいから気付いたんですが、トップレベルの選手になると、周りの選手をライバルとしてバチバチに意識するというよりはまずは自分の走りをして、タイムを上げて日本代表のリレーチームのレベルを上げることを考えているんです。勝負は勝負なんですけど、その中で個々の力を上げていくという考えでみなさんやられていらっしゃるので、そういう考え方を僕も理解できるようになって、今回は色々と(山縣と比較され)注目されてもとりあえず自分の走りをして、B標準を切って3番以内というのが前提だったのでそんなに意識はしなかったです。

――1位に100分の1秒差。悔しさはありませんか

優勝できる力はまだありませんし、ここで優勝してしまうとこれから(目標を)どうしていけばいいのかというのもあったので、冷静に考えると優勝できなくてよかったのかなと思います。隣が江里口さん(匡史、平23スポ卒=現大阪ガス)で礒先生(繁雄監督、昭58教卒=栃木・大田原)からなるべく付いていって最後の勝負に持ち込めるようにと言われていて、その通りうまく並走していけたのでよかったです。最後は江里口さんには意地を見せられて抜かれてしまいましたが、調子は悪かったとはいえA標準を切っている山縣に勝って2位に入れたというのは五輪のメンバー選考でも一つの基準になるのではないかと思います。

――予選では10秒23を出し、調子は良かったといえますか

はい、調子はすごく良かったです。予選から動きが違って、雨とか風とか関係ないくらいで、B標準を切ることしか狙っていませんでした。予選でB標準を切れたことは決勝に向けて、自分にとってとてもプラスでしたね。決勝でB標準必ず切ることを狙いつつ、かつ順位も気にしながらというプレッシャーはかなりきついので。結果的に10秒30でしたが、予選のおかげで次はA標準を切れたら、という気持ちで臨めて目標通りの3番以内でしたし、自分にとって成長できた良いレースだったと思います。また、これまでの自己ベストが織田記念で出したものだったんですが、会場だったビッグアーチは好記録が出やすくて自分の記録もまぐれだとか言われることが多くて、実際に東京に戻ってから10秒4くらいしか出ていなくて、まぐれではないと証明したくて走ったレースでもありました。夜の開催でファンのみなさんがいい雰囲気を作ってくださったことはありがたかったです。予選で10秒2台を出して、決勝も勝負の中で追い風なしの10秒30だったので本当に大きな収穫がありました。

――五輪の選考については

200メートル決勝でA標準突破者が3人揃って、僕はB標準しか切っていないので厳しいとは思います。あとは僕は代表合宿に行っていないので…わからないですね。でも、最善を尽くして、A標準を切っている選手に勝ったという結果は陸連の方も評価してくださると思うので、明日の会議次第ですね。リレーは世界で16番以内に日本が入らないと国として出場できないので明日の会議で選ばれてもあくまで仮決定という形になります。まだなんとも言えないんですけど、また7月の初めにそれが決まるそうなのでそれを待つことになります。ここまで来たら、周りの人たちとか大学の仲間とかのためにも、五輪に出場できなくても現地に行って空気を味わってきたいというのはあります。選ばれたい気持ちは当然あります。

――今後の予定を教えてください

ここに全て懸けているつもりだったので個人選手権はエントリーしませんでしたし、代表に選ばれたら五輪に向けて、ですね。個人種目はもう全カレ(日本学生対校選手権)や国体と秋までないので、体づくりをしつつ疲れを抜いていくという感じでやっていきたいです。