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2007年度卒業記念特集
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卒業記念特集(27) 田中幸長
幸せな日々
「練習場と寮が離れてるんで、早く車を買わなきゃって感じですね(笑)」(田中幸長=スポ)。3月上旬。名古屋市街から1時間程離れた、2両編成の電車が近くを走る球場に、田中幸主将の姿はあった。
引退してから約4か月。野球をする環境、周囲からの注目度、感じる重圧。様々なものが、変化していた。「社会人野球を見て思うんですけど、ワセダの環境ってすごく良かったんだなって。今改めて考えると、そう思いますね」。
ワセダの4年間についてお話を伺うと、印象深い試合があるという。
昨秋の早慶戦。早大は第1戦を延長12回サヨナラ負けで落とし、後がなくなっていた。迎えた第2戦。「勝つしかない」と意気込んで臨んだ大切な試合だったが、接戦の中、田中幸は回ってきたチャンスをことごとく潰す4打数0安打。4番、そして主将としての責務を果たせない自分が情けなかった。「弱気になってしまっていました。自分が打てなくて本当に申し訳ない気持ちでいっぱいで…」。
そんな田中幸を救ってくれたのは、仲間の助けだった。松下建太(スポ3)が重圧のかかるマウンドで、9回を無四球完封。原寛信(文2)は、最終回に慶大・加藤幹典(現ヤクルトスワローズ)から、貴重な本塁打を放った。田中幸の後を打つ原は、試合後こう言った。「絶対に、4年生の最後の試合にしたくなかった」―。
試合後、「みんなのおかげでまだ野球ができる。まだずっとこのチームで野球がしたい」(田中幸)。そう思うと、涙があふれてきた。
翌日、同じく4年生の本田将章(スポ)の適時打などで、6−0で慶大を退けた早大は、3連覇を決めた。その後も明治神宮大会の決勝まで進み、最高の仲間とともに、大学野球の中で一番長く野球ができた。
「本当にみんなに感謝しています。谷間の世代って言われて、ベンチ入りの4年生も少なかったんですが、そこでバラバラにならずに団結できて、下の学年もついてきてくれたおかけだと思います。支えてくれた人すべてに感謝、感謝ですね」(田中幸)。苦しいことも楽しいこともともに乗り越えてきた仲間たち。決して一人の力では成しえなかった、最高のチームワークを作ることができた。
ワセダで、最高の仲間ともに過ごした幸せな日々。「ワセダは自分の中での原点。この先、苦しいことがあったときに、思い出す場所が自分にとってのワセダです」(田中幸)。
取材の最後に誇らしげにそう言った後、田中幸は、新春を告げるかのような暖かなグラウンドに、笑顔で飛び出して行った。
(水上大輔)
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