バレーボール部
2022.09.30
【特集】アナリスト対談
バレーボールで勝つためには、相手の特徴を丸裸にするとともに対策を練り、戦術を組み立てることが必要だ。データを用いた「情報戦」を通して早稲田の一員として戦い、チームの「頭脳」となっているのがアナリストである。早稲田の強さを支えているアナリストの仕事とはどのようなものなのか。小室麻由(政経4=埼玉・早大本庄)、赤坂樹里(人3=東京・成蹊)、中澤彩恵(人2=埼玉・青学大浦和ルーテル学院)の3人に話を伺った。
※この取材は9月22日にオンラインで行われたものです。
お互いのこと
対談中のアナリストたち
――他己紹介をお願いします! まずは、小室さんが中澤さんの紹介をお願いします
小室 彩恵(中澤)は2年生からの入部ということで、部としては1年生としての仕事もやりつつ学年としては2年生という立場で難しいことが多いと思います。そういう中で1年生とも2年生とも上手くコミュニケーションを取っていて、入ったばかりなのにそこまで考えていてすごいなと思います。同期や1年生との関係性をすごく考えている子なので、周りをちゃんと見るということに長けていると思います。アナリストとしてはまだ始めたばかりで、正直今がしんどい時期なのかなとは思うのですが、いつもひたむきに頑張ってくれているので、これからに期待したいなと思っています。プライベートでは、良い意味で癖があって(笑)。自分をしっかり持っている子で、私はとても頼りにしています。
――次は赤坂さんが小室さんの紹介をお願いします
赤坂 私が入学してからずっと麻由さん(小室)と一緒にやってきて、1番付き合いが長い方です。去年から継続していることが、試合の映像で気になった本当にくだらない話を麻由さんとしています(笑)。麻由さんの方がそういう気になることを見つけるから(笑)。私もそれに影響されて気になるようになっちゃって。練習中とか映像の中での気になる動きを見て「(この動き)気にならない?」とか言って爆笑しています(笑)。
小室 (笑)。
赤坂 あとは昨年も言ったかもしれないのですが、自分の世界観があるというか(笑)。アナリストがそれぞれ違った世界観を持っているのかなって思います。
――ちなみにそれはどういった世界観ですか
赤坂 みんなマイペースだけど、違いますよね?(笑)。
小室 そうだね(笑)。樹里は、世界観が強いというよりかはむしろ…。
赤坂 フリーダムに幅広く人と関わることだったり、その時の気分で動くことだったりが逆にこだわりというか(笑)。
小室 樹里はそういった意味でいつもフラットですね。自分が強すぎなくて、周りに合わせられるタイプだけど、ただ自分のペースは守っているタイプです。多分、私が結構こだわりが強いタイプなんだと思います(笑)。
一同 (笑)。
小室 同じ部屋のときとかも、どこに何がなきゃ気がすまないだとか(笑)。スーツケースのどこにこれがないと心配になったりだとか、そういうのが強くて(赤坂)とはタイプが違うから、独自の世界観だと思われているのかなって(笑)。
赤坂 同じ部屋だったら邪魔しないってきめていて、麻由さんに「こここうしていい?」とか「ここにこれ置いてもいい?」って聞かれたら、「なんでもいいですよ(笑)」って感じです(笑)。
一同 (笑)。
――次は中澤さんが赤坂さんの紹介をお願いします
中澤 樹里さん(赤坂)は学部も部活も一緒で、部活以外でも授業のことや普段の生活の話をよく教えてくれます。(私が)2年生入部ということで、2年生とも同期だけど1年生とも実質同期という同期が2学年いるという感じで。どういう風に関わろうかなと思った時に、樹里さんがたくさんアドバイスをくれました。困った時になんでも話しやすい先輩です。でも、プライベートは結構面白くて(笑)。もちろん部活では真面目にやらなきゃいけないことがあるので、仕事やアナリストのことはちゃんと教えてくれるのですが、学部とかだったら楽な授業を教えてくださったり、おすすめのコンビニスイーツとかのことをよく話しています(笑)。真面目な話も面白いし、そういう親しみやすいところもあってすごく頼りになるありがたい先輩です。
――中澤さんにお伺いします。早稲田バレー部への入部を決めたきっかけや理由は
中澤 小学生のころにバレーボールをしていて、自分自身が身長に恵まれてないことや怪我が多かったこともあって、中学に進学してから「バレーをちょっともうやりたくないな」というネガティブな理由で(バレーボールを)辞めてしまいました。そこから中高6年間はバレーから離れていたのですが、3つ上の姉が中高6年間バレーを続けていて、お姉ちゃんが国体(国民体育大会)や全国で活躍しているのを見ていたので、(バレーから)離れているけどバレーが身近にあるという感じでした。バレー部に入部したいという理由で早稲田に入ったわけではないのですが、バレー部が強いということは耳に入っていて。入学式とか早稲田色を感じる場面に触れた時、大学4年間がスポーツに打ち込める最後の期間だなという考えになりました。お姉ちゃんの姿を見ていたこともあって、中高6年間第一線で続けてきた人はすごく努力していることを身近に知っている分、(バレーから)離れていた自分が大学から始めていいのかなという迷いもあったのですが、ここでやらなかったら後悔するだろうなと考えて入部したいと思いました。
――中澤さんから見て先輩アナリストのお2人のすごいところはどこですか
中澤 (小室と赤坂は)すごいところしかないです(笑)。2人ともバレーがとても好きで、早稲田の選手はもちろん他大学とかVの選手にも詳しくて。リーグ戦では他大学とたくさん対戦しますし、合宿とかではVリーグのチームと一緒に練習させていただくことが多くて、そういう時もデータを取ります。私はまだそれが全然できていなくて、特に他大学のチームやVリーグのチームだと背番号が追えなくなってしまうのですが、2人とも完璧に追えていて。むしろシルエットとフォルムだけで(選手を判断してデータを)打っていたと言っていることもあって(笑)。
小室・赤坂 (笑)。
中澤 シルエットとフォルムだけで人を判断できるくらい頭に入っているのかと思いました。あとは、「選手がこういう資料を求めているから」とか選手ファーストの考え方があります。実際の行動はもちろんですし、早稲田とかアナリストだけに留まらないようなバレー全体への知識、技術、能力で、全部まだまだ私に足りないところをたくさん持っていて尊敬しています。
小室 ありがとうございます(笑)。
一同 (笑)。
――小室さんは昨年度からアナリストのトップを務められて2年目となりました。最高学年となりましたが昨年度からの経験はやはり今に生きていますか
小室 昨年はどうしても4年生がいる中での3年生アナリストということで、自分としてもどこまで踏み入っていいのかというところで難しい部分がありました。4年生になってからのアナリストとしての活動の方が、自分としてはやりやすさは感じていて。もちろん昨年の経験がベースにあったので、1年間どういう動きをするかとか、ミーティングの時どうしたらいいかというところの前提としての経験を昨年積めていたというのも大きいです。自分自身4年生になり、やはり同期と一緒にチームを作っていくということになって、初めてチーム運営の大変さとか「こういうところまで考えているんだな」とか細かいところまで見えるようになって、今までとは違う角度から自分自身の役割をもう一度考えることができました。昨年の経験を踏まえてそれをベースにしつつ、かつ新しい視点で運営を考えるようになり、昨年よりはスムーズにできているかなと思います。
――赤坂さんは上級生となりましたが、成長したと感じた部分はありましたか
赤坂 アナリストとしての技術的な部分で、リアルタイムで試合を観ながら(データを打つというところで)去年より正確性が上がっているかなと思います。一つのデータを修正するスピードも自分的には上げているつもりで、そこは1つ成長した部分かなと思います。去年はどうしても自分の抱えている仕事に対して精一杯になってしまって、こなせるかこなせないかというところばかり気にしてしまいました。その反省があって「自分の持っている仕事をどういうふうに工夫すればチームのためになるのか」とか、「今この人が困っている気がするから自分がこういう風に助けた方がいいのかな」とか、周りを見る余裕が去年よりも今年の方があって、その部分で成長しているかなと思います。
アナリストとして
早稲田の試合をリアルタイムで打ちこむ小室
――アナリストの試合中の仕事について教えてください
小室 まず大前提として早稲田の試合のデータ入力があります。今は基本的に私が入力しているのですが、現地(コート)と通信を繋いでいて、私が打ったデータをリアルタイムで監督や選手が確認できるようにしています。早稲田の試合が終わったら、打ったデータを元にして資料を作って、選手たちがその日の試合を客観的に数値として振り返られるようにしています。あとはスパイク映像を編集することもできるので、選手個人の映像集のようなものを作って、選手が(試合の)振り返りできるように映像を送っています。早稲田の試合に関してはデータの入力、資料作成、映像抽出ということをやっていますね。その他の試合に関しては、リーグ戦期間は全試合のデータを取ります。最終的には全大学の全試合のトータルのデータを出しているので、そのために全試合のデータを取っています。リーグ戦だと毎週試合があるので、翌週の対戦相手について毎週ミーティングを行っていて、そのミーティングに向けた資料の作成や映像の準備を1週間行っています。
――では普段の練習中は何をされていますか
小室 学年ごとに役割というのが明確にあります。まず彩恵は新入生という立場なので、練習の運営がメインとなってきます。例えば球出しする人にボールを渡すとかボールを拾うだとか。あとは練習映像を録画しているのですが、その機材の準備などが仕事になってきます。私と樹里に関しては、データを打つ必要がある練習や、複合練習というスパイクを打つゲームに近い形式の練習の時に、選手が映像で自分のフォームなどを確認できるように、データの入力をしていきます。こういう作業が一通り終わったら、録画していた映像や、私と樹里が作ったデータをもとにした(選手)個別の映像を、練習後に選手に共有するというかたちです。
――土日に試合がある中で、その量の業務は土日で終わりそうにないと感じました
小室 終わらないですね(笑)。私たち(バレー部)は基本的に月曜日がオフになるのですが、月曜日の時間を使ってデータの修正をしたり、資料を作ったりしています。資料を作る前にそもそもリアルタイムで打っているデータには、どこかに間違いはあるじゃないですか。だから打ったデータを修正しているのですが、それが終わらないと次の資料作成の作業に移れないです。まずは土日の試合を打って、それを修正してそこから資料を作るという流れになります。どうしても土日だけだと回らないので、月曜火曜の時間を使って終わらせています。
――選手からも「データをもとにして対策を立てたことが勝利へとつながった」というお話を伺うことがあります。データがハマったことなどアナリストをしている中でのやりがいは何ですか
小室 どの対戦相手であってもデータは必ず出していて、それぞれの選手や特徴やチームとしての特徴は自分自身全て把握するようにしています。どの試合でも「これデータにはまっていいな」って思える瞬間は基本的にどの試合でもあります。1試合1試合で些細なことでも、データと同じようにできた部分があると自分自身としてもすごくやりがいにはなります。あとは、私は(バレーボールの)プレー経験がないからこそ、選手の癖や動きの部分に関してはわからないことも正直あります。だからこそ「なんとなくこうじゃないか」という傾向を資料として出すことに、私なりに付加価値があるのかなと思っていて、そこに力を入れています。「なんとなくこうかな」と思ったデータを実際に調べてみたら、その通りだったってなったときには、すごくやりがいを感じますね。(データでの)裏付けがあってはじめて戦術へと移せますし、やっとミーティングで根拠のあるデータとして出すことができるので、試合を見ていてなんとなく感じたことをちゃんとデータという形で落とし込めたということに、今1番やりがいを感じています。
赤坂 私は普段アナリストが出しているデータや資料だとか、なんでもいいのですがアナリストが関わっているものを、選手が活用してくれているとわかった瞬間にうれしいと感じます。
一同 うんうん(笑)。
赤坂 自分が出したものを選手が使ってくれるかというところで、私のアナリストとしての感情は揺さぶられることが多くて(笑)。極端な話をすれば、普段の練習動画を私たちが動画を撮って編集して選手に共有しているのですが、「もしかしたら、公式戦で上げたあのレシーブが、私たちが上げた練習動画のおかげかもしれない?」って思うとちょっとうれしいかなって(笑)。あとは、こちらが提供しているものを受け入れてくれるだけでもうれしいのですが、それ以上に選手側から「このデータが欲しい」だとか「これ(データ)出しといてくれない?」とか、選手側からアプローチがあったときには、より一層やりがいを感じます。それって普段私たちがやっていることを、多少なりとも選手が認めていないとお願いされることもないのかなって思うので、うれしいですね。
中澤 私は専門的な能力があるわけではないのですが、今の私の役割としては練習ができる環境づくりがあります。樹里さんと同じにはなってしまうのですが、普段の練習、試合の映像を電車移動の時とかに選手が見てくれているのを見るとうれしいです(笑)。純粋に私が撮影した映像や作成した資料を受け取ってもらえているのがうれしいですね。あとは同期から「上級生になるにつれてこういうことができるようになってほしい」とか「アナリストとして学年でこういう立場になってほしい」だとか、具体的に求めることを言ってもらえたときです。途中入部だということもあって、同期から「同期として認められているのかな」とか「実力的にも技術的にも人間的にも足りているのかな」とか不安に思っていたこともありました。最近は同期から具体的に役割を求めてもらえて、自分の役割だとか存在意義だとかを感じられるときもそうですし、純粋に「ありがとう」って言ってもらえたときがうれしいです。
「1番熱を注ぐ期間にしたい」(赤坂)
他大学のデータを集める赤坂(右)と中澤
――以前、早慶定期戦アンケートで、「松本喜輝(慶大)選手をデータで攻略したい!」と赤坂さんが答えられていたのが印象的でした。各大学にデータで攻略したい選手などがいるのですか
一同 (笑)。
小室 各大学のカラーがあって、全員で戦ってくるところもあれば、一人のエースを軸に攻めてくるところもあります。ですが基本的にどこの大学でも「この選手を勢いづけちゃだめだな」という選手はいて、だからこそまずはどこに圧をかけて、そこが機能しなくなったらどうなるだろうだとかを考えます。慶應だと松本選手がやはりエースとして中心にはなってくるので、それを踏まえての「データで攻略したい!」だったのかなと(笑)。
赤坂 本当に慶應のエース松本選手をデータで攻略したいとは思っていたのですが(笑)。それ以上にそのアンケートで選手がふざけているという話を耳にして「私もふざけておこうかな」って思って書いちゃいました(笑)。各大学に松本選手のようにこの人をマークしたいだとか、この人を機能させたくないという選手がいる感じですね。
――大変なお仕事だと思いますが、原動力は何でしょうか
小室 まず選手をはじめとして周りの人に支えてもらっているというところが一番です。私たちが選手を支えなければいけない立場なのですが、実際のところ選手に支えてもらっているところは多くて。それこそ連戦が続いたときに「お疲れ様です」とメッセージ付きの差し入れをくれた後輩もいますし、(私が)プレー経験がなくて「チームに貢献できているのかな」と同期に相談したら「いろいろ考えてやってくれているだけでもチームにとってはプラスの存在」と言ってくれたりだとか。周りの人たちの温かさがあって、自分もそれを返したいなという気持ちがあります。今はチームの人に限った話をしましたが、それこそ周りの友達だとか他の大学のアナリストの方々とも仲良くさせていただいていて。同じような境遇ですごく頑張っている人を見るだけでも、刺激になりますし、「お互い頑張ろう」という話をするだけでも頑張ろうという気持ちになることができます。あとは、シンプルに私は大学バレーが好きですね(笑)。大学バレーは自分たちで集って、自分たちで作り上げていくもので、そういう環境がすごく好きです。それこそ学連の方々だとか、他の大学の選手、監督だとか本当にいろんな人の関わりがあって、成り立っている大学4年間という空間がすごく好きなので、そこに身を置ける期間は「やりきらなきゃな、楽しまなきゃな」と思っていますし、私の原動力になっています。
赤坂 私も周りの方がいるからというのが大きいです。先輩がいろいろ教えてくださったりだとか、後輩も気にかけてくれたりすることが多くて。そういう先輩後輩から受けてきたものを返したいという気持ちもそうですし、部員に限らず友達が応援してくれることがうれしくて頑張れています。その中でも一番の原動力となっているのが、同期です。私の中では同期が一番気にかけてくれていて、「最近寝れてる?」だとか「データ出してくれてありがとう」だとか言ってくれて。私としては選手と(スタッフ)は別枠と捉えてしまう部分はあったのですが、同期からそういう言葉をもらうと選手とかスタッフとか関係なく、自分のことを見てくれているということが伝わってきて。それは自分自身で一線を引いてしまっていたところがあった分、余計にうれしくて。やっぱり同期は入学した時から一緒にやってきているので、一番お世話になっているし今年から試合に出ている同期の数も増えたので、その姿を見て「私も頑張らなきゃ」と一番大きい原動力になっています。あともう一つが、部活していると正直楽しくない仕事の方が多くはなってしまいます。データを打っているときでも無心になってしまうことがあるのですが、たまに心が揺れ動くくらい盛り上がる瞬間があって。「この選手本当に止まらないな」だとかすごくワクワクする瞬間がたまにあります。高校生のときにそのワクワクした気持ちでバレーを見ていて大学に入ってきたので、自分の原点みたいなところに帰れたときがあるとやめられないな思います。
中澤 麻由さんと樹里さんが話されていたように、部活内の先輩後輩同期からの声掛けはすごくありがたいなと思っています。私にとっては1年生と2年生、同期が2学年あるのですが、1年生と一緒にと片付けをしていても私が2年生だからと線を引いて接するのではなく、(1年生が)普通に接してくれて(笑)。苦楽をともにじゃないですけど、もちろん辛いこともありますが、うれしいことだとかを一緒に共有できて、信頼関係を気づいていく中でお互いにどういう人なのか知っていけることがうれしいです。また合宿中や早慶戦を通して感じたことなのですが、バレー部は外部の方々からたくさん支援をいただいています。そういう環境で選手たちが頑張っていることを見られることもうれしいのですが、そういったときに「アナリストの皆さんに」と差し入れをいただいたり、温かい言葉をかけてくださったりしてもらえて、そういう時に頑張ろうと思えるというか心が温かくなります。あと私はネガティブな理由で一度バレーから離れてしまっているので、当時のチームメイトや監督さんからは「彩恵はもうバレーをやらないのかと思ってた。やらないなんてもったいないよ」といわれました。辞めるのがもったいないと言ってくれる人がいて、今は選手じゃないかたちではあるのですが、バレーに関わっているところを応援してくださる方々がいることは、「つらいな、大変だな」と思っていても自分を奮い立たせてくれます。そういった一緒にバレーをやってきた人や当時の監督、友達や家族が背中を押してくれて、頑張ろうと思えているのかなと思います。
「選手にベストなパフォーマンスを発揮してもらいたい」(小室)
試合中にアナリストが出したデータを活用する選手たち
――早稲田バレーの魅力は何だと思いますか
小室 やっていることはすごくシンプルなのですが、シンプルなことを徹底していることが早稲田の強みだと思います。「どういう攻撃をしているのか」とか、「どういうブロックの付き方をしているのかな」だとか。そういう一つ一つを見ていただくだけでも、チームとして一つのことを徹底していることを感じていただけるのかなと思います。あとは個人技術が高い選手が集っているので、そういう迫力のあるプレーというのも魅力の一つなのかなと思います。
――アナリストの皆さんからみた今年のチームのみどころは
小室 私たちはまだまだ完成はしていないんですよ。夏合宿で頑張って(チームを)作り上げては来ましたが、まだまだ自分たちの課題がたくさんあります。リーグ戦でも「相手に対応する」ということは大切にしていましたが、それ以前に「自分たちはこういうところができていないよね」という状態で、それに向けて取り組んでいます。それもあって今はまだ「ここがみどころです!」という風にお伝えすることはできないのですが(笑)。ただこれから秋リーグ(秋季関東大学リーグ戦、秋季リーグ戦)後半戦、全カレ(全日本大学選手権、全日本インカレ)とまだまだ(早稲田のバレーの)幅は広がっていくのかなと思うので、今まで早稲田の試合を見ていた方々にその幅の広がりを感じていただければなと思います!
赤坂 一つ目は、今までは技術的に足りない部分や気持ち的に足りない部分があったのですが、そういう粗さのようなものがここからどんどん洗礼されていくと思います。これから「早稲田らしさ」というところは築いていけるのかなと思います。二つ目は、1、2年生下級生の一生懸命さに注目してほしいです。今の2年生は1年生のころから一生懸命仕事をやってくれて、2年生になってからも(チームのために)いろいろ考えてくれているのが伝わってきます。今の1年生も本当に一生懸命に仕事を頑張ってくれています。試合にももちろん注目してほしいのですが、試合前のアップのときに1、2年生がどうチームに貢献してくれていて、一生懸命取り組んでくれているのかは本当に見てほしいです!(笑)
中澤 同じにはなってしまいますが、私も一緒に練習ができる環境づくりをしていることもあって、同期と1年生がやっている仕事にも興味を持ってくれたらうれしいなと思います。声出しや床拭き、モップ掛けや審判に取り組んでいる姿に目を向けてほしいです。アナリストはある意味、データをやっているというところで支えているということが伝わりやすいのですが、1、2年生がやっている仕事は当たり前ではあるし、褒められるためにやっているわけではないので、注目されるわけではないしですし。ぜひ声を張り上げている姿や全速力でボールを追いかける姿、ラインジャッジをするところなど些細なところ見ていただければ、1年生もうれしいと思います。そういうところも含めて早稲田の魅力が多くの人に伝わればいいなと思います!(笑)
――最後にこのチームでの残り3カ月への意気込みや目標をお願いします!
小室 私はラストになるので、一戦一戦悔いがないようにしたいです。少しでも気になることがあったら、検証したりデータに落とし込んだりして、選手や監督がわかりやすいような下準備は徹底していきたいと思います。もう一つの目標は、自分自身がバレーの経験がないこともありますし、(選手の)バレーボールの技術的な部分には関与すべきではないと思っているので、そういうところではなく自分なりの付加価値を常に探し続けることを徹底したいと思っています。それは今まで自分が大事にしてきたことでもあります。資料を出すだとか、どういう映像を作るだとかミーティングの運営だとか、そういう細かいところは、バレーボールをやってこなかったとしても「どうやったらわかりやすかな」とかは私にもわかると思うので、誰でも見やすい資料を作るなど違った視点から自分なりの付加価値をつけていきたいです。私だからできるじゃないですけど(笑)そういったものを作り上げていきたいと思っています。試合結果や勝ち負けについては、勝ちたいとはもちろん思っていますが、そこにこだわるのではなく、選手が一戦一戦の試合に集中して臨めるような環境や、パッと思い出しやすいように簡潔に内容を伝えることなど、そういったところに尽力して、選手にベストなパフォーマンスを発揮してもらえれば私はそれで満足です!
赤坂 来年自分がアナリストのトップになりますし、学年としても自分たちの代となります。来年自分がトップとして経験の少ない後輩を引っ張れるだけの器になるということが一つ目の目標です。今までの歴代のアナリストの先輩を見てきても、自分のタイプには当てはまらないのですが、それを嘆くのではなく自分らしさや自分なりの理想のアナリスト像を見つけられる3カ月にしたいです。もう一つの目標は、ここからの秋リーグと全カレでみんな(選手)と同じ熱量で部活に対して没頭できればいいなと思います。今まで自分がやってきた部活の中で、1番熱を注いだ期間になればいいのかなと思います。
中澤 一つ目の目標は、途中入部でほかの2年生と比べて経験が足りないなと感じています。その中で3年生になるので、(上級生としての)自覚もそうですが、アナリストとしての基本的な技術をしっかりと高めていきたいです。樹里さんが来年トップになって、自分がサブになるのに基本的なことができていなかったらアナリストチーム運営ができないです。当たり前のことを当たり前にできるように、アナリストとしての仕事の精度をあげていきたいです。もう一つは、残りの3カ月で大きく変わることは、今の4年生の存在だと思っています。麻由さんももちろんですし、4年生は全員尊敬していて大好きな4年生方です。全日本インカレは負けてしまったらそこで終わってしまいます。1日でも長く先輩方がバレーをできる環境が続いてほしいですし、私自身としても1日でも長く一緒に部活をしていきたいと思っています。自分のことを頑張るのはもちろんですが、4年生が最高のかたちで悔いなく最後を迎えられるようなサポートを頑張っていきたいです。「4年生がすごかったから自分たちもそうなりたいよね」という原動力にしてきたいですし、今までもこういうサイクルを通じて、歴代の早稲田の先輩方から受け継いできたのかなと思います。残りの期間は、4年生に少しでも貢献できるような期間にしたいなと考えています。
――ありがとうございました!
(取材・編集 山田彩愛、荒井理沙)
◆小室麻由(こむろ・まゆ)
2000(平12)年9月24日生まれ。165センチ。埼玉・早大本庄学院高出身。政治経済部4年。アナリスト。3年時からアナリストのトップを務める小室さん。細かな気配りや仕事への徹底、自分なりの付加価値をつける工夫などでチームに貢献し続けています。残り3カ月となったラストイヤーを「徹底」した分析で後悔なく、楽しんで駆け抜けます!
◆赤坂樹里(あかさか・じゅり)
2001(平13)年11月23日生まれ。164センチ。東京・成蹊高出身。人間科学部3年。アナリスト。笑顔で和やかな雰囲気を作ってくださった赤坂さん。同期やチーム、バレーボールへの愛が感じられました。支えてくれる周りへの方々への感謝を原動力に、データで早稲田バレーを支え続けます!
◆中澤彩恵(なかざわ・さえ)
2002(平14)年8月2日生まれ。159センチ。埼玉・青学大浦和ルーテル学院高出身。人間科学部2年。アナリスト。ニコニコと話してくださる姿が印象的だった中澤さん。ひたむきに頑張る様子や先輩アナリストからの信頼が感じられました。4年生が最高の瞬間を迎えるために、今日も全力で仕事に取り組みます!