ラグビー部
2022.09.16
【連載】対抗戦開幕対談『Challenger』第2回 佐藤健次×細矢聖樹×守屋大誠
第2回は、WTB細矢聖樹(スポ2=国学院栃木)、フッカー佐藤健次(スポ2=神奈川・桐蔭学園)、SO守屋大誠(政経2=東京・早実)による対談だ。プライベートも一緒にいるという3人。チームの代表として戦う彼らの思う今年の早稲田は――。お三方の仲良しエピソードや個人的なシーズンの振り返り、そして対抗戦への意気込みなどを伺いました。
※この取材は9月9日に行われたものです。
個性的な3人
左隣にいる守屋を紹介する佐藤
――左隣の人の紹介をお願いします
細矢 健次(佐藤)は普段は常にふざけているというか、おちゃらけたキャラですが、ラグビー面ではプレーでも声掛けの部分でもチームを引っ張る立場としていてくれるので、とても信頼できます。
佐藤 大誠(守屋)は結構やる気なさそうに見えますが、試合中になったら、ディフェンスもたぎりますし、すごく体を張る印象です。
守屋 聖樹(細矢)は普段は子どもっぽくて皆からもガキと言われていますが、ラグビーに対してはすごく真面目で、運動量も人一倍で献身的な選手だなと思います。
――個性的な面々ですが、学年として2年生の印象はいかがですか
細矢 おっしゃる通りに個性豊かでいろいろな人がいる印象です。
佐藤 ラグビーとそれ以外の時間でのオンオフのはっきりした人が多い印象です。オフではラグビーのことは何も考えなくて変な人が多いですが、ラグビーの時は全員真剣に取り組みますし、一つの目標に向かって皆が努力できる学年だなと思います。
守屋 僕も健次と同じで、私生活とラグビーの時のギャップが激しい学年かなと思います。
――学年としてラグビーに対して誇れる部分は何ですか
守屋 個人的な視点ですが、昨年から健次と亀山(昇太郎、スポ2=茨城・茗渓学園)と宮尾(昌典、スポ2=京都成章)が試合に出ていて、その三人が今年もチームの中心として引っ張ってくれていて、そこは同じ学年として安心感があるというか、彼らについていこうという気持ちで頑張れますね。
佐藤 僕たちの代は、特に試合前は、すれ違うだけの時ですらも応援の言葉をたくさんかけてくれたりします。早稲田の代表であり、2年生の代表として試合に出ることを自覚させてくれる部分があるので、いい雰囲気作りができるのが強みかなと思います。
細矢 めっちゃ難しいな(笑)。大誠が言ってくれましたが、試合に出ている選手が2年生は多いので、4年生になった時に楽しみでもある学年です。
――お互いの好きなところは何ですか
一同 うわ~(笑)。
細矢 (守屋は)クールぶっているイメージかもしれませんが、本当はふざけるのが大好きで一緒にふざけられるところが好きかなと思います(笑)。
佐藤 これもう面白いんですよ。部屋でも3人ずっと一緒にいるんですよ。その中でも聖樹はふざけるというか、なんかすごく楽です。もう全部好きです(笑)。
守屋 健次は仲間思いで、遊びに誘うと必ず来てくれます(笑)。
佐藤 (笑)。
――逆にこれやめてほしいなというところはありますか
佐藤 僕が元々予定入っているのにも関わらず、遊びに誘うのはやめてほしいです。本当にそっちに行きたくなっちゃうので(笑)。
細矢 僕らはスポ科なので、大誠は政経マウントを取ってくることがあります。
一同 (笑)。
守屋 ないない(笑)。
――守屋さんは何かありますか
守屋 健次はふざけた時のどつきが強くて、力加減がバグっているので普通に痛いです。昨日ふざけてヘッドキャップを着けて生活していたのですが、そこで聖樹と健次にドガっとどつかれたんですよ。そこは直してほしいですね(笑)。
佐藤 いや、あれはちょっと継続していきたいから(笑)。
一同 (笑)。
「自分たちのラグビーをする」(細矢)
SHからWTBにチャレンジする細矢
――春夏の個人的な振り返りをお願いします
細矢 春までずっとSHでしたが、夏の帝京大戦から急にWTBに転向して、春にやってきたことを今発揮できているかと言われたらそうじゃないですが、コンバートされた中でどうやって今のベストを出そうか考えているところです。
佐藤 今年からフッカーになって少しずつセットプレーを安定させる自信がついてきました。フィールドプレーについては昨年より大人しい感じがあるので、秋シーズンはセットプレーとフィールドプレーの両方の面でチームを引っ張っていければいいなと思います。
守屋 春夏共にケガの選手とかもあって、Aチームで出してもらう機会も増えたのですが、10番としてエリアマネジメントであったり、ゲームマネジメントに足りない部分があったので、チームとしてのクセにしてしまったところもありました。これから秋に向けてしっかり改善して、チームを勝たせられる選手になりたいと思います。
――夏合宿に取り組んだこと、こだわったことは何ですか
細矢 僕はWTBとして何を求められているかを考えて、僕の強みとしてキックカウンターの部分でランが強みでもあったので、そこを磨きつつ、いち早くポジションに慣れるように取り組みました。
守屋 僕はゲームを作る側の選手として、常に高いレベルで、高いスタンダードで自分がプレーし続けられるように、チームの調子に関わらず安定感のあるプレーができるように取り組みました。
佐藤 僕は、プレー面よりもフィジカル面を夏合宿に意識して取り組む部分が多かったです。春シーズンは少し抜けている部分もあったので、食事制限をするなどしてラグビーに対しての向き合い方を高めました。
――食事制限というのはポジションの変更も影響あるのですか
佐藤 春シーズン少し増えすぎちゃって。動けなかったというわけではないのですが、一段階レベルアップしたプレーヤーになるためには走り切れることが大事だなと思ったので、食べる量を減らしたり、一回の食事量を何回かに分けるなどをしました。
――現在それらの成果を実感していますか
細矢 今は完全にWTBになっていますが、その中でメンバーに入ることができているので結果は出せているのかなと思います。
佐藤 僕は食事制限をしたり、ラグビーとの向き合い方を変えてから走りやすいですし、昨年から言い続けていているチームを勝たせられる選手になれるように、ピンチとチャンスで仲間を鼓舞できる姿勢も身についてきているかと思います。
守屋 Aチームで何試合か出させてもらって強度の高い中で試合ができたのですが、対抗戦の異なるプレッシャーの中でプレーするためには、メンタル面でもプレー面でもまだまだ向上させなければいけない部分も多いように感じました。
――春夏を通して印象的な試合は何ですか
細矢 僕はやはり夏の帝京大A 戦です。21番のリザーブで入ったのですが、急にWTBとして出場することになりました。はじめはハーフとしてだめなのかと考えたりもしましたが、それ以降もAでWTBとして出させてもらったので、ハーフでだめだったというよりかはWTBでどれだけできるのか、今はそこで試されているのかなという考えにたどり着いたので、WTBでどれだけ勝負できるのかをこれからやっていきたいと思っています。
佐藤 同志社大戦です。帝京大に負けはしましたが、チームの内容的にいいところもあって、京産大はFWとBK共に良いゲームができました。でもその次の同志社大戦で浮かれていたわけではありませんが、内容の悪い試合をしてしまって、チームとしても勉強できる試合でターニングポイントだったと思います。
守屋 春の帝京大戦です。スコア的にも惨敗というか、大差で負けてしまって、個人としても、チームとしてもまだまだ足りないという自覚が芽生えた試合だったので、一番印象に残っていますね。
――今のチームの雰囲気はいかがですか
細矢 健次も言ったように同志社大戦で課題が多く見つかって、全員の意識というかチームの姿勢が変わったと思います。どんな相手でも自分たちのラグビーをすることを常に心がけ、それができるようになってきていると思います。対抗戦はこれからですが、もっと磨きをかけていく必要はあると思います。
佐藤 春夏は練習中の熱量の違いがあるとすごく感じていて、キャプテンは声を出しているのに、他は少し気が抜けているような場面も多かったこともありましたが、今は試合形式の練習では熱量が高く取り組めていると思います。
守屋 ADの練習ではまだまだ改善すべきところはありますが、雰囲気や強度が格段に上がっているように思います。
――佐藤選手にお伺いします。試合の円陣での声掛けが印象的ですが、心がけていることはありますか
佐藤 おそらく自分は上手くさぼっている分、周りが見えていて声掛けができているのだと思います。試合中は集中していてあまり覚えていませんが、そんな感じですね(笑)。
――今年のスクラムの出来はいかがですか
佐藤 昨年はあまり上手くスクラムが組めていませんでしたが、今年から仲谷さん(仲谷聖史アシスタントコーチ)がフルタイムで入ってくれているので、8人全員のスクラムに対する意識が高くなっています。まだ、江良颯選手(帝京大)がいる状態の帝京大とスクラムを組んでいないので分からないですが、全チームと対等かそれ以上にしっかりと組めるように、これからもまた成長していきたいと思います。
――それでは守屋選手にお伺いします。春はBチームでしたがAチーム昇格もありました。どの部分が評価されていると感じますか
守屋 ディフェンス面を強みにしているので、その強度だったりベーシックな部分が評価されているように感じます。
――細矢選手にお伺いします。WTBとしての強みはいかがですか
細矢 ランとディフェンスの部分で、まだ体は小さいですが自信を持ってプレーしています。
――その中で憧れているプレーはありますか
細矢 特にはありませんが、キックカウンターでラインブレイクして目立っていきたいと思います。
――率直にSHとWTBのどちらで出場したいですか
細矢 やはりハーフ(SH)です。ハーフとして入ってきて、ハーフのスタメンをとることを目標に早稲田に来たのでその目標はブラさずに頑張っていきたいです。
終始仲良く話す3人
――合宿明けのオフは何をしましたか
守屋 僕は実家に帰ってゆっくりリフレッシュしていました。
細矢 僕は槇瑛人さん(スポ4=東京・国学院久我山)、小泉怜史さん(文構4=東京・早実)に釣りに連れて行ってもらいました。イワシとかを釣りました(笑)。
佐藤 なにしたかな。このガキ(細矢)と買い物に行ったり、合宿後はゆっくりしたかったので、寮で自炊するというオフの楽しみ方をしました。
――マイブームは何ですか
細矢 釣りですね。今年に入ってから瑛人くんと絡むようになって、瑛人くんが元々釣り好きで、それを見ていたのでやってみたいなと思って、そこから連れて行ってもらうようになりました。
守屋 最近は久しぶりにワンピースをまた最初から読み直していました(笑)。
佐藤 僕のマイブームは槇瑛人に絡むことですかね(笑)。
一同 (笑)。
佐藤 めっちゃ反応が面白くて、瑛人くんのベッドで寝て絡むのがすごく楽しいです!
『荒ぶる』に向けて
今季対抗戦初の赤黒となった守屋
――対抗戦に向けて緊張はありますか
一同 緊張はないですね(笑)。
――対抗戦に向けて個人としてどんな目標を持っていますか
細谷 (青学大戦は)リザーブなので出場時間は限られていますが、自分ができることを精一杯やりたいです。
佐藤 しっかり勝つことと、毎試合最終的な目標を持って自分のプレーができればいいかな。毎試合POMを取れたらいいなと思います。
守屋 早稲田の代表として試合に出る以上、勝ち切る気持ちを持って試合に臨みたいと思います。
――自身のコンディションはいかがですか
一同 いい感じです!
――心がけたいプレーはありますか
細矢 チームのためになることを常に探して、プレーをしていきたいです。
佐藤 セットプレーの安定と、理不尽な状況で力を発揮するプレーを磨いていきたいです。
守屋 アタックでもディフェンスでも自分がリードするポジションなので、自分のプレーの質が勝敗に直結すると思うので相手チームに負けないようにしていきたいです。
――今年はどんなシーズンにしていきたいですか
細矢 最終的な目標に『荒ぶる』があるので、それに向けて一戦一戦成長し続けるシーズンにしていきたいです。
佐藤 『荒ぶる』に向けて、相手の脅威になるプレーヤーになっていきたいです。昨年は対抗戦にポッと出て、1年生ということで注目を受けたと思いますが、今年は実力で相手の脅威になり続けるプレーヤーになりたいと思います。
守屋 日本一に向けて試合数はあるので、一試合に集中して、目の前の課題を潰して、勝利を重ねていけたらと思います。
――お三方の『1/1000のこだわり』は何ですか
細矢 「最低限のフィジカルをつける」ということを掲げました。
佐藤 自分のスタンダードを周りに応じて変えない、「大人になる」という目標です。
守屋 自分のプレーの質を常に高くする「一貫性」を掲げています。
――他大学に意識する選手はいますか
佐藤 帝京の江良颯選手(帝京大)です。大学ナンバーワンのフッカーなので、江良選手に勝てれば大学ナンバーワンになれると思っているので、しっかり意識しながら、真似をするのではなく自分のスタイルを貫いていければいいと思っています。
――江良選手と交流はあるのですか
佐藤 オールスターで会う機会があって、スタメンが江良さん、リザーブが自分でした。以前から話す機会があったのですが、オールスターで交流してわかるすごさも感じていて、越えなければいけない壁だと感じています。
細矢 僕はあまりいなくて、自分自身に勝つことを目標にしています。
守屋 僕も自分自身とチームにフォーカスして取り組んでいきたいです。
――今年の注目選手はいかがですか
細矢 僕は1年生の粟飯原(謙、スポ1=神奈川・桐蔭学園)です。元々同期で、浪人で入ってきたのですが、1年生ながら(青学大戦の)スタメンも勝ち取り、チーム内で誰もできないことをやってくれる期待感とタフさを注目してほしいです。
守屋 僕は健次に注目してほしいです。ポジションは変わりましたが、NO・8並みの走力もあってセットプレーも先頭で引っ張ってくれるので注目して欲しいです。
佐藤 うわ~大誠と言おうと思っていたのに。変な感じになるからやめとこう(笑)。他には、岡﨑颯馬くん(スポ3=長崎北陽台)です。良いプレーヤーなのですが、僕が特に注目して欲しいのはチームマンのところで、FWがスクラムでペナルティを取ると一番初めに声を掛けてくれるBKの選手で、「健次ナイス」「FWナイス」というように気分よくやりやすい環境を作ってくれています。それは颯馬くんの人柄というか、大人っぽさが出ているのかなと思うので、FWがペナルティを取った後の岡﨑颯馬には注目です!
――それでは秋シーズンへの意気込みをお願いします
細矢 目の前の一戦に集中して、最終的な目標を見失わないで一戦一戦戦い抜いていきたいです。
佐藤 今年は個人がしっかり考えてラグビーをするスタイルなので、全員が一つになって個人としてもチームが勝つため、『荒ぶる』に向かって成長するために、チームに良い影響を与えられる選手になれるように頑張ります。
守屋 チームの勝利のためのそれぞれの役割があるので、それを全うしていきたいです。
――最後にファンへのメッセージをお願いします!
細矢 僕の出場時間は短いかもしれませんが、ラインブレイクなどの見せ場を見てほしいと思います!
佐藤 昨年は笑顔を褒めていただきましたが、今年は大人っぽさを重視して頑張っていきたいので、その点も推してほしいです!
守屋 今年は有観客の試合が多く、改めてたくさんの方々に見守ってもらえていることを実感しています。恩返しの意味もこめて一戦一戦勝利していくので、そこを見届けていただけるとうれしいです!
――ありがとうございました!
(取材・編集 有川隼翔、安齋健、谷口花)
秋シーズンの意気込みを書いていただきました!
◆細矢聖樹(ほそや・せな)(※写真中央)
2003(平15)年3月16日生まれ。162センチ。64キロ。国学院栃木高出身。スポーツ科学部2年。真剣な眼差しで、丁寧に質問に回答してくださった細矢選手。オフの日は、WTB槇選手とFB小泉選手と釣りに行くことがよくあるそう。今季チャレンジする新ポジションは自身の強みを発揮し、さらに高みを目指しながら、今シーズンを『自分らしく』駆け抜けます!
◆佐藤健次(さとう・けんじ)(※写真右)
2003(平15)年1月4日生まれ。177センチ。107キロ。神奈川・桐蔭学園高出身。スポーツ科学部2年。ビッグスマイルで雰囲気を明るくしてくださった佐藤選手。とにかく仲間が大好きな佐藤選手は、チームの中でもムードメーカー的存在。「今年は大人になる!」と意気込む佐藤選手のパワフルなプレーで、チームに勝利を引き寄せてくれることでしょう!
◆守屋大誠(もりや・たいせい)
2002(平14)年8月17日生まれ。175センチ。84キロ。東京・早実出身。政治経済学部2年。普段の試合とは違う一面があり、場を面白くしてくださった守屋選手。最近は『六本木クラス』を見ているそう。今季対抗戦初の赤黒に袖を通し、確実な成長を見せています。ライバルは自分自身。ディフェンス面で積極的に体を張り続ける姿には要注目です!