メニュー

ラグビー部

2022.09.13

【特集】夏合宿特別コラム ロック江島航

憧れを追い続けて

 早稲田大学ラグビー蹴球部には100人を超える部員が在籍している。大きな組織であるが、皆が見据える先は『日本一』。そして誰しもが『赤黒』に袖を通すことを夢見て、早稲田ラグビーの門をくぐる。

 約10年前、体を張って戦う赤黒の戦士たちを国立競技場のスタンドから見た少年がいた。江島航(法4=早稲田渋谷シンガポール)だ。「かっこいい。このジャージが着たい」。当時はまだ小学生であった江島にとって、その場でみた選手たちの姿は深く心に刻まれた。「ラグビーで日本一を目指したい」「赤黒を着たい」。この思いに突き動かされ、江島は早稲田大学ラグビー蹴球部の一員としての日々をスタートさせた。

明大C戦で突破を図る江島

 入部当初はただただついていくことで精一杯。周りのレベルの高さに圧倒され、自分は通用しないと苦悩する日々を送る。また、一番身近にいる双子の弟が自分とは全く違う大学生活を送っているのを見て、「うらやましい」「辞めようかな」と赤黒への挑戦を断念することが頭をかすめたこともあったという。

 だがその年の全国大学選手権、早稲田大学ラグビー蹴球部は11年ぶりに大学の頂点へと登り詰める。国立競技場に響き渡る『荒ぶる』。江島は部の一員としてその喜びを分かち合った。

「(その時)本当にうれしくて、これを自分の代のときに獲ることができたら最高だなって」。

江島の心に漂っていたどんよりとした気持ちはもう消え去っていた。この瞬間を転機に、再び江島の赤黒への挑戦が幕を開ける。

慶大BC戦で初めてゲームキャプテンを務めた江島

 その転機を経てから、再出発した江島はひたむきに練習へと励む。練習の時間だけでなく、帰宅してから動画を見て自身のプレーを何度も見直した。練習後の時間にはコーチと積極的にコミュニケーションをとり、課題を洗いざらいに。またタックル練習をする仲間を見つけ、ひたすらタックルを磨き続けた。そして慶大BCとのジュニア春季オープン戦、江島は初めてキャプテンを任された。真摯にラグビーに向き合う姿勢が実を結んだ瞬間であった。「今までやってきたことがつながっているというか、頑張ってきてよかった」。

 以降は早大Cのカテゴリーでキャプテンを務めることとなる。4年生として、キャプテンとして、自分のことだけでなくチーム全体のことを考えてプレーするようになった。スクラムを押されたときには率先して声を出し味方を鼓舞すること、勝負どころで士気を上げること、きつい状況でも全力で走ることなど、最上級生としての姿勢を自ら示している。

  これまでの4年間、憧れだけを追い続けてきた。ぶれることのない決意をもって、江島は最後のシーズンを駆け抜ける。

「勝利したときに仲間と喜び合える瞬間が自分のやりがいですね」。

あの時の感動をもう一度、今度は自分が『赤黒』を身にまとって。かけてきた時間と努力は裏切らない。憧れをつかんだ先で、仲間たちとともに最高のフィナーレを飾るそのときまで。江島は憧れに向けて挑み続ける。

(記事 山田彩愛、写真 谷口花、山田彩愛)

◆江島 航(えじま・わたる)

2000(平12)年12月18日生まれ。178センチ。95キロ。早稲田渋谷シンガポール高出身。法学部4年。同期はとても仲が良いそう。SH清水一志(社4=東京・早実)選手とは、オフに一緒に遊びにいくほど仲良しだそうです。江島選手の体を張ったダイナミックなプレーに注目です!