水泳部
2022.08.27
【連載】インカレ直前対談「101%」 第11回 浅羽栞女子主将×佐々木杏奈
女子部門の最後を飾るのは浅羽栞女子主将(スポ4=東京・八王子)と佐々木杏奈(スポ4=神奈川・日大藤沢)だ。今回のインカレを最後に、水泳競技から退く二人。そのために今回にかける思いは人一倍大きい。その思いについて、詳しく聞くことができた。
※この取材は8月24日に行われたものです。
過去の自分を超えるというのは最低条件(浅羽)
今期1年間女子主将としてチームをまとめた浅羽
――まずはそれぞれの他己紹介をお願いします
浅羽 私からやります。佐々木選手はもともと個人メドレーで活躍されていた選手なんですれけど、今年は新たな挑戦として短距離の自由形を行っているということで、なかなか競技でいろいろな種目に出ることって普通はできないんですけど、本当にマルチに泳げるのがすごい魅力だろうなという、そういうのが水泳の面で思うのと、人間的な部分では本当に些細なことであったり、周りのことを本当によく見て、それをじゃあ自分はどうしたらいいのかなって、自分は何ができるのかなってすごく考えて行動していたり、っていうのがすごく印象的なことであり、さらに本当に「女の子」っていうイメージです。本当にインスタとか、加工の仕方とかめちゃめちゃ詳しくて、皆さんに見てもらいたいくらい(笑)、そういうのが印象的な選手です。
佐々木 そうですね、さっき種目の紹介からしてもらったので。浅羽は平泳ぎをずっとやっている選手です。私が初めて会ったのは中学生くらいなんですけれど、その時から抜群のスタイルで、周りに注目されるような容姿の持ち主だなと、私もすごく憧れる点が沢山あります。でも水泳に対してもすごくストイックで、自分が達成した目標というのはすごくはっきりしていたり、その目標を達成するために誰よりも諦めずにすごく強い芯を持って取り組む、強い女の人だなという印象はずっと持っています。女子主将としてすごくチームを引っ張ってくれていて、さっきの話の中でもあったんですけど、人をすごく褒めるのが上手と言いますか、人を褒めたり、人とコミュニケーションをとるのがすごく上手で、誰とでも仲良く、誰とでも明るく話しているのが私にはできない点だなと思って、尊敬する点です。
――オフの時にしていることはありますか
浅羽 オフにしていることは、Netflixを見たり、ドラマを見たりすることです。本当に映像を見るのがすごく好きなんですけど、特にマツコデラックスさんがすごく好きで、出ている番組はほぼ毎週欠かさず見ています。本当に憧れがあるので、マツコデラックスさんの生き方とか発言している言葉とか本当に心に刺さることが多いので、すごいおすすめです。
佐々木 私は基本的に外に出ることが多くて、家の中でじっとしているのが苦手と言いますか、部屋の中で何か映画を見たりっていうのが、あまり集中力が続かなくて得意じゃないので、外に出て作業することがあれば、カフェに行って作業をしてみたり、一人で映画に行ったり、ドライブに行ったり、比較的アクティブな休日を過ごしているかなと思います。
――試合前に聞く音楽はありますか
浅羽 そうですね、私はあんまり基本聞かないんですけど、『グレテスト・ショーマン』の曲がすごく好きで、ディス・イズ・ミーもそうなんですけど、本当に自分の中で心を奮い立たせてくれるテンポであったり、映画が元々好きなのでよくその曲は聴いています。
佐々木 そうですね、これといって聞くものはないんですけれど、基本的に私はJ-POP、邦楽を聴くので、でも試合の時とかレース水着に着替えていたりとか、何か気持ちを高める時には、C&Kというアーティストのすごくリズミカルな曲を聴くようにしています。
――夏の練習を振り返っていかがですか
浅羽 そうですね、夏の練習を振り返ると、夏前まではコロナとかで長期的な泳げなかったりする機会がぶっ通しであったりっていうのが多かったんですけれど、夏は比較的2カ月ほど連続して練習を行うことができて、自分の中で本当に「ラスト」っていう言葉が本当に全てのことにつくくらい、最後死ぬ気で頑張ろうっていう気持ちで泳いできていました。調子もだいぶ上がってきたなと思っていて、特にスピードはついてきたのかなというのが、この期間の練習の状況です。
佐々木 私は種目を変えた、短い距離になったというのもあって、今までずっと400メートルをやってきていたので、すごく泳ぎこむことが多かったんですけれど、1本1本で出すパワー発揮を高める練習をこの夏は初めてこんなにやってきたかなと思っています。今まではそういった1本短い距離で力を出すっていうのが苦手だった部分もあって400メートルをやっていたんですれけど、そういった苦手意識があった種目を自分の専門種目にするという面で、すごく伸び代もあり、成長も目に見えやすい、練習を積めたかなというふうには思っています。私自身が常に高いモチベーションを持って取り組めた夏になったかと言われると少し反省すべき点もあるんですけれど、常に新しい気持ちを持って挑戦する思いで取り組めたかなと思います。
――ここからは浅羽選手にお伺いします。(女子は)それぞれのクラブに分かれて活動されている選手が多い中で主将としてまとめるのが大変だったと思うのですが、そのあたりはいかがでしたか
浅羽 そうですね、なかなかコロナの影響もあって合同練習というのを月1回行っていたんですけれど、それが実施できない月があったりという面で、本当に難しかったなと思います。多くはLINE上であったり、会った時に、特に学外の選手と「今どういう状況なの? 」とか、「どういうふうに過ごしている? 」というのはこまめに聞いていたり、状況を把握できるようにするのは欠かさずやっていたかなと思います。それをチームとして一体化が生まれるように、それをどうやったらみんなに伝えていけるかなというのはかなり工夫したかなと思っています。
――浅羽選手の方から積極的にコミュニケーションをとってという感じでしょうか
浅羽 そうですね、やっぱり自分が今まで1、2、3年生だった時は仲がいい子と関わったりはもちろん多かったんですけれど、4年生になって最上級生として、1年生とかともすごく話をするようになって、そうしたらやっぱり気づけることとかってすくいいろいろありましたし、でもまだもっとできたんじゃないかなとか、壁が少しできてしまったかなというのはちょっと反省としてあるんですけど、コミュニケーションをそういう点でとれて良かったなというのは思います。
――女子主将に選ばれてから、目指してきた主将像はありますか
浅羽 前主将が牧野主将(紘子、令4教卒=現あいおいニッセイ)だったんですけれど、最後のインカレで個人としては多分本人が思っていた結果を出すことはできなかったとは思うんですけれど、最後の800メートルリレーで後輩を引っ張りながら最後2番という、早稲田の女子の中で快挙な順位なんですけど、それを達成したのが私の中ですごい、チームをまとめて引っ張る中でも競技として結果を残すってすごく大変なことだろうなっていうのを思いつつもそれを理想像としてやってきていました。なかなか牧野さんほどの競技力っていうのは生み出せなかったんですけれど、最後のインカレで後輩を引っ張る姿であったり、理想に近づけるように頑張りたいなというのは今思っています。
――前の対談で、女子の選手は自己ベストを更新している選手が多くいるというのをお聞きしたのですが、現在はどうでしょうか
浅羽 そうですね、今まで、前回の対談の時もベスト表みたいなものを女子の方で作成しているというお話だったと思うんですけど、それを本当に今も更新していましたし、8月もここにいる佐々木が自己ベストを出して、そこに名前が載ったり、本当にそういう女子の自己ベストというのはかなりいい方向に、例年よりいいんじゃないかなと思っています。
――男子の平河楓主将(スポ4=福岡・筑陽学園)とまとめる上で、やりとりとか難しいところなどはありますか
浅羽 そうですね、やはり男子主将と女子主将ということで、上に立つというか、まとめるというのをどうしたらいいかっていうのはよく話し合いました。まずは同期内でどういう方向性で進めていけばいいのかっていうのは、みんなで話し合う前にきちんと2人で話し合ってから、こういう方向性に進めていこうっていうのは決めていたり、それをチームにどう落とし込んでいったらいいのかっていう話し合いはよくしていたかなと思います。
――浅羽選手個人として今シーズンここまでを振り返るといかがでしょうか
浅羽 そうですね、やはり4月から始まって、100メートルはかなり自己ベストに近いタイムを出せていたんですけれど、200メートルの方では自分の思い描いていたタイムまで出すことができなかったかなと一つ心残りではあるんですけど、やはり最後のインカレでは自分の自己ベスト、過去の自分を超えるというのは最低条件として自分の中で頑張りたいなと思っています。
――今シーズンここまででベストレースだなと思った試合はありますか
浅羽 3月になってしまうんですけれど、3月の代表選考会の200メートル平泳ぎは、自分の中で予選でかなり不安が残ってしまうレースだったんですけど、その中で決勝でどうやったら上げられるかなということであったり、今まで自分がやってきたことを無駄にしないようにどうやったら生かせるかなというのを本当にその時冷静になりながら、焦ることなくできたなというのがすごく印象的で、それが自分の分岐点になったなと、成長できた試合だなというのが印象的です。
小今ここまで水泳を続けることができたよ、本当にありがとう(佐々木)
佐々木は今年への思いを詳細に語ってくれた
――次に佐々木選手にお伺いします。2年ぶりのインカレになると思いますが、いかがですか
佐々木 去年はサポートとしてインカレに参加させていただいて、先ほどの800メートルのリレーの話もあったんですけれど、本当にみんなのレースを見て、涙でレースが見られなくなってしまうくらいに涙、涙のインカレだったなと思っています。そういったみんなの頑張る姿であったり、活躍する姿っていうのを見て、去年のインカレは私たちの学年は私以外の選手はみんな個人で競技をしていたので、みんなとまた同じ舞台に立ちたいという思いだったり、みんなと一緒に活躍したいという思いがあっての今年になるので、すごくレースをできることのうれしさだったり、幸せだったり、そういった気持ちも全部含めて今はすごく楽しみにしています。
――今シーズンここまでを振り返るといかがですか
佐々木 そうですね、私は泳げなかった時期を経ての今シーズンに入っていたので、とにかくどこまでできるか、自分がチームに対してどれくらいの力になれるかっていうのを、自分自身の可能性を信じながらやってきたシーズンだなと思います。スプリント、50と100の種目に変えるという決断をしたのも結構本当に最近のことで、4月末の日本選手権では400も泳いでいたので、いろいろなことを考えつつ、自分が一番力になれるのって何だろうなというのをすごく考えながら過ごしたシーズンだったかなと思います。
――日本選手権にも出場されたと思いますが、それは振り返っていかがですか
佐々木 そうですね、やはり400メートルに関しては、泳ぎ込んでいてもきつい種目、泳ぎ込んでいても記録に結びつかない難しさがあるという種目の中で、冬場の泳ぎ込みもせず、復帰して間もない時の400のレースだったので、記録に関してはあまり自分自身も期待していなかった部分はあったんですけれど、レースに対しての不安だったり、怖さに打ち勝ちながらレースに出場できたなという感想ですね。レース後に、ここにいる浅羽が「よく泳いだよ」っていう意味で感動したという連絡をくれたんですけれど、本当によく泳いだね、よく出たねって言ってくれる人がいたり、本当にお疲れ様というふうに伝えてくれる人が本当にたくさんいて、すごく心が温まる試合だったなと思っています。
――佐々木選手の今シーズンのベストレースはどのレースでしたか
佐々木 良かったレースとしては、今月の頭にあった関カレで自己ベストを更新できた50の自由形かなと思うんですけれど、自分の中ですごく印象深いレースになったなと思うのは日本選手権の400の個人メドレーかなと思います。
――ここからは再びお二人にお聞きしていきたいと思います。インカレでの出場種目と具体的な目標を教えてください
浅羽 100メートル平泳ぎと200メートル平泳ぎに出場します。具体的な目標は、100メートル平泳は自己ベストを更新すること、200メートル平泳ぎは入賞することを目標にしています。
佐々木 私は50メートルと100メートルの自由形に出場します。具体的な目標は、個人両方の種目で必ず得点をとって、1点でも多く点数をとることが目標で、且つ自己ベストを更新することが目標です。
――4年生ということで、お二人とも最後のインカレになると思うのですが、チームごとで戦うインカレの魅力についてお聞かせください
浅羽 そうですね、インカレは3回経験しても本当に独特な試合だなというふうに思いますし、インカレだからこそ出せる力というのが本当にあるんじゃないかなというのは思っています。学校対抗なので、やはりその大学の雰囲気だったり、勢いというのは本当に個人の結果にもすごく結びついてくるなと思うので、3回経験している4年生、最上級生がその雰囲気、勝ちにいく雰囲気を作ることがすごく大切だなと思っています。
佐々木 私は高校の時もインターハイ等でチーム戦として戦うっていうことはやってきた身ではあるんですけれど、やはりそういったことを経験した身としても、やっぱりインカレは全く別のチームとしての戦いになるなというふうに思っています。話が少し重なってしまうんですけれど、インカレという舞台だから出せるパワーであったり、他の試合ではなかなか人と人の思いを伝え合うという機会がないかなと思うんですけど、4年生、最後だからということもあって、私たち4年生から後輩に素直な言葉を届けることができたりとか、後輩からそういった素直な言葉を受け取ることができる、そういった言葉のつながりで競技力が向上していったり、チーム力の結束感が強まっていったりというのをすごく体感できる試合がインカレだなというふうに思っています。自分自身も最後だからというわけではないんですけれど、とにかく自分の思いを言葉にすることであったり、思いを行動に移す中で、「みんなでよく戦ったね」って後で振り返った時に言えるような試合にできたらいいなと思っています。
――思いを伝えられるという部分でも特別な試合ということですね
佐々木 そうですね、はい。
――インカレに懸けてきた思いがあれば教えてください
浅羽 そうですね、やはり1年生の時に自分の中で絶対に優勝すると思っていて、でもなかなか思うようにいかなくて、その時に初めて挫折じゃないですけれど、「どうしたらいいのか分からない、でもチームのためにどうにかしたい」という思いがすごく空回りしちゃったなっていうのがずっと自分の中であって。それが4年生になってやはり後輩に、いろいろ経験して4年間も経験したらこれだけ成長できるよっていうのが伝えられたらすごくいいなと思いますし、それができるのがインカレだなと思っているので、そういう思いがあります。
佐々木 私は1年生の時からこのインカレという大事な試合で輝かしい結果を残すことはずっとできていなくて、悔しい思いをしていたんですけれど、ずっとみんなの力になりたい、チームの力になりたいっていう思いを抱きながらこれまでやってきたました。私はさっき個人の目標をお話ししたんですけれど、一番は400のフリーリレーでメダルをとるということにすごく熱い思いがあります。リレーでチームに貢献できるということのうれしさはもちろんそうなんですけれど、とにかく自分がチームに貢献したくて自由形1本に専門を変えたというのもあるので、リレーでしっかり専門を変えたくらい意味があるレース、それを発揮して、リレーでメダルをとりたいなと思っています。そこが一番強い思いです。
――これまでの4年間を振り返っていただきたいのですが、4年間の中で一番の思い出は何かありますか
浅羽 思い出ですか…。そうですね、ちょっとレースじゃなくなってしまうんですけれど、私の中で4年間の転機だったのがやはり大学で練習するようになったことです。1年生、2年生の間はクラブチームで練習していたんですけれど、その時は1人でずっと泳いでいたり、年の離れている中高生と泳ぐっていうことがメインだったので、本当に同じ志を持っている同世代のチームメイトと一緒に泳ぐというのが私の中ですごいきっかけで、思い出って言うんですかね(笑)、そこが転機になったなというのを4年間振り返って思いますし、そのラスト2年間は自分の水泳というものが変わったなと思っています。それまでは本当に速く泳ぐこと、どうやったら速く泳げるんだろうというのを毎日そればっかり考えていて、それしか考えていない練習だったんですけれど、大学に来てからチームメイトと競い合ったり、鼓舞しあったり、それに対して、主将としてもどうやったらチームを動かせるんだろうとか、水泳といういろいろな見方がすごくできたなと、自分としてもすごく成長できたなと思うのが、この大学にきて泳げたという経験が思い出として4年間振り返って強いなと思います。
――大学で練習するようになったきっかけは何かあるのですか
浅羽 私は、東京オリンピックの代表選考会の時に自分の中でうまくいかなくて、その時にじゃあどうしたらいいんだろうというのを考えて、環境を変えることというのは自分の中で大切かなと思ったので、そこは変えるきっかけとなって、そこで変えました。
――佐々木選手は4年間の中で一番の思い出は何でしょうか
佐々木 そうですね、私の一番のターニングポイントはやはり去年サポートとして、マネジャーを経験したことかなと思っています。私は大学に入ってから元専門だった個人メドレーで自己ベストを更新できない時間が長く続いていて、本当に何のためにやっているんだろうって考えたり、ここにいる意味は何だろうとすごく考える時間が長かったんですけれど、上に上がってみんなの頑張る姿を見たことであったり、泳ぐことができなくても、チームにここまで尽力したいと思える自分がいるんだという、そういった自分に出会うことができたり、すごく自分自身についても考えを深めることができましたし、より自分の今までの「みんなのために」という思いに説得力が増すと言いますか、もっとその思いを強くする出来事が本当にたくさんあって、それを実際に自分の目で見ることができたというのはこの3年半くらいを通した中でも自分が一番成長できた点だなと思います。一番の思い出はそれなんですけれど、私としては浅羽が学内に来てくれたことというのは、あんまり言ったことはないんですけれど、私にとってもすごく刺激になることが多くて、それまでは私は初め女子一人で学内にいて、その後一人来て、その後に浅羽が来たんですけれど、やっぱりずっと前から知っているトップの女子選手が一緒に練習できる環境にいるというのは、男子の中でもまれながら練習している中ではそのありがたさというのはなかなか気づけなかったんですけど、女子がもう一人増えたことで、すごく学ぶことが増えたなというのを実感していて、私としては浅羽が学内行くよというのが決まった時がすごくうれしかったなという記憶があります。
――浅羽選手は今のをお聞きしてどうですか
浅羽 めっちゃ恥ずかしいです(笑)。自分何も全然できてないんですけれど、そうやって人の心を動かせたのはすごくうれしいなって思います。
――同学年の選手との思い出で何か印象的なものはありますか
浅羽 そうですね、なんかもういろいろありすぎて、一つ選ぶのも難しいんですけれど、ちょっと抽象的になっちゃうんですけど、去年のインカレが終わって、そこからチームスローガンを何にしようっていうのをみんなで決めた時が一番印象的だなと思っています。佐々木が高校生の時にチーム競技として挑んだことがあるっておっしゃっていたと思うんですけど、私は高校の時そこまでそういうチームとして何かしようというのはあまり経験したことがなくて、いよいよ自分たちがチームを作っていくんだというのをスローガンを決める時にすごい実感したなと思いますし、みんなでこれがいいんじゃない、あれがいいんじゃないとか、今までとかぶらないようにしようよとか、数字だったらわかりやすいんじゃないとか、そういうのを決めたのが、自分たちの代がこれから始まっていくんだなというのはすごく印象的な出来事だったなと思っています。
佐々木 そうですね、本当にいろいろあるんですけれど、チーム全体ではなくて誰か個人ってなった時には、私は簑田(圭太、スポ4=大阪・太成学院)の存在がすごく大きかったなというふうに思っています。ちょうど1年前くらいの時に、本当に練習中水泳に熱中できない自分が嫌と言いますか、すごく苦しい状況にあった時に、ほとんど毎日同じコースに入って、励ましの言葉であったり、とにかく私のネガティブな言葉というのを嫌な顔をせず受け入れてくれたり、箕田自身もあまり人に話さないようなことを相談してくれたりという面で、私にとってはその時に箕田の存在がなければ、すぐに「辞めよう」という決断をしていたかなと思うので、やっぱり、同期みんなと印象的な思い出というのはすごくあるんですけど、一番本当にギリギリのところにいた時に手を差し伸べてくれた、寄り添ってくれた箕田の存在はすごく大きかったなと思います。
――4年生のお二人から見て、今シーズン一番成長したなと思う選手はどなたでしょうか
浅羽 そうですね、ちょっと考えてもいいですか…(笑)。(少し考えて)学外の選手を上げさせていただくと、元々すごい競技力を持っていた松本(信歩、スポ2=東京・東学大付)がすごくこの1年で顔つきが変わったなと私の中で思っています。1年生の時に(インカレで)優勝したりすごく輝かしい成績を持っていた中でも、強さがすごい出たなと思っていて、やはり水泳というのはタイムというもので競技結果が表れると思うんですけど、それ以上にいろいろなことを踏まえて強くなったなと思っているので、今大会でもその強さが発揮されるんじゃないかなとすごい期待を込めていますし、これからも期待したいなという選手の一人です。
――その強さというのは精神的な部分などですか
浅羽 そうですね、ちょっと個人情報になっちゃうんですけど、代表選考会の前に泳げない時期があったのを聞いていたんですけど、泳げない期間があると不安だったり、無理じゃないかって思っちゃうところを、自己ベストに近いタイムで泳いでいて、それで結果ユニバーシアード(ワールドユニバーシティゲームズ)の代表に入っていたり、いろいろなトラブルだったりはもちろんあると思うんですけれど、それをマイナスに捉えるだけじゃなくて、今何ができるんだろうというのを考えた結果がそうやってつながっているんじゃないかなというのが強みとして表れていると思っています。
佐々木 今浅羽が話している間すごく考えていたんですけれど、私が一番変わったなと思うのは、白石(崇大、スポ4=広島・沼田)かなと思います。白石もずっと平泳ぎの選手をやっていたんですけれど、その中でも絶対メドレーやったら速いよと周りの人に言われてはいたんですけど、個人メドレーに足を踏み入れることもなくずっと平泳ぎをやっていて。今シーズンに入って、200の個人メドレーを彼がやるようになったんですけれど、今まで早稲田の平泳ぎは3人そろっているから、インカレの決勝も3枚残りというのを言われ続けていて、それを達成できない悔しさであったり、本人もすごく情けなさというものを感じていたようなんですけれど、そう言ったことを経験した上で、個人メドレーをやることになって、すごく生き生きとしていると言いますか、4年目になってすごく楽しそうに水泳をやっている姿というのを多く目にするようになったので、そうやって水泳に取り組めたからなのか、記録もどんどん向上していったり、個人メドレーの選手が焦ってしまうほどの好記録を出していたり、すごく変わったんじゃないかなと思っています。
――チーム内の注目選手は
浅羽 そうですね、さっき佐々木の話を聞いて、めちゃくちゃ白石の成長は私もすごく分かるなと思いますし、ここでベタ褒めしちゃうのはちょっと嫌なんですけど(笑)、白石を挙げさせていただきます。やはり本当にさっき佐々木が言っていたように、今まで以上に本人も楽しいんだろうなというのがすごく伝わってきますし、下級生だったり同級生に声をかけるようになったなというのもすごく思っていて、私はちょっと1、2年生の頃の練習は分からないなんですけど、多分そういうキャラじゃなかったと思うんですけど、4年生の最後にしてそうやってできるのは、やはり前向きに水泳に取り組めていて、それは絶対に結果としてタイムに表れるのが水泳なんじゃないかなというふうに思うので、新しい種目であったり、元々泳いでいた平泳ぎであったりというので結果を出してくれるというふうに、多分みんなが期待していると思うのでその期待を超えてきてくれるといいなと思っています。
佐々木 私は、1年の村上汰晟(スポ1=兵庫・明石南)かなと思っています。彼の今シーズンの伸び代と言いますか、すごくタイムの向上というのが著しいなというのを感じていて、かつ2年、3年にもバックの選手はいるんですけれど、そういった2、3年生の先輩にもガツガツと挑戦していく姿であったり、実際に2年生、3年生のバックの選手は生き生きとした姿、勢いを見ておじけづいてしまうくらいに勢いのある選手だなと思っています。なので期待も込めて、すごく村上のレースは楽しみだなと思います。
――現在の調子はいかがですか
浅羽 そうですね、8月になって自分の中でかなり泳ぎがだいぶ安定してきたかなというふうに思いますし、狙ったタイムと泳ぎの感覚というのも合わせられてきているので、それを本当に本番1本にどれだけ合わせられるかっていうのが最後するべきことかなというふうに思っています。なので、期待していただいてそれに応えられるように頑張っていきます。
佐々木 種目が変わったので調子が良いのか悪いのかっていうのは判断がすごく難しい点ではあるんですけど、練習の記録も向上してきているので、自信を持って取り組めるくらいの完成度ではあるかなと思っています。ここであまり調子良くないんですよねという話をしてもあまり良い効果はないと思うので、良くも悪くも調子が良いなと思いながら残り過ごしていきたいなと思っています。
――ご自身の泳ぎの注目ポイントはどこですか
浅羽 100メートル平泳ぎは前半はあまり得意ではないんですけど、後半の伸びというのは見ていただけると、最後のタッチまで分からないような、最後追いつけるかというようなレースができるんじゃないかなと思うのでそこは見ていただきたいなと思います。200メートル平泳ぎは、50から100メートルと100メートルから150メートルまでの間の100メートルが私の中で得意な局面かなというふうに思っているので、そこでどれだけ周りと離すことができて、最後多分へばるレースになるかもしれないんですけれど、間の100メートルに注目していただけると期待できる、面白いレースができるかなと思います。
佐々木 私は、そうですね、個人メドレーだったら話ができたんですけど(笑)、自分がスプリンターとして優れている点というのは、少ないながらに、記録の浮き沈みなく安定感のあるレースができるというのは、レースの見どころではないんですけど、安心した気持ちで見ていただけるレースができるのが自分の強みかなと思います。強いていうのであれば、今までスプリンターをやっていなかった割には、最初の15メートル速いよねっていうのは言ってもらうことはあるので、そこはちょっと武器にしていきたいなと思います。
――では最後にインカレに向けた意気込みをお願いします
浅羽 人生最後の試合でもあるインカレなんですけれど、本当に今まで16年くらい続けてきた水泳の最後の幕を本当にいい形で終われるように精一杯頑張るので、応援していただけるとうれしいなと思っています。
佐々木 私が今まで受けてきた恩であったり、支えてくれた人たちに今ここまで水泳を続けることができたよ、本当にありがとうという思いを泳ぎで示していきたいなというふうに思います。水泳人生に終幕を迎えるので、今までもやり残したことというのはあんまりないんですけれど、最後に後悔が残らないような4日間にできたらいいなと思います。私だけではなくて、本当にみんなが後悔しないインカレ、みんなが楽しかったと言えるインカレにできたらいいなと思っています。
――ありがとうございました!
(取材 玉置理沙子・藤田珠江 編集 加藤志保)
◆浅羽栞(あさば・しおり)
2000(平12)年8月4日生まれ。169センチ。東京・八王子高出身。スポーツ科学部4年。専門は平泳ぎ。高校時代から輝かしい実績を残してきた浅羽選手。最後のレースでは、これまでの水泳人生の集大成に期待しましょう!
◆佐々木杏奈(ささき・あんな)
2001(平13)年1月29日生まれ。165センチ。神奈川・日大藤沢高出身。スポーツ科学部4年。専門は個人メドレー。対談を通じて、個人よりもチームのことを話してくれた佐々木選手。その姿勢が、チームに明るいものをもたらしたに違いありません!