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2022.08.26

【連載】インカレ直前対談「101% 」 第8回 田丸敬也×長牛太佑

 8回目に登場したのは個人メドレーを主戦場としている田丸圭也(スポ3=大阪・太成学院)と長牛太佑(スポ2=京都外大西)だ。前年はこれに高野大祐(令4教卒)を加えた3人で対談を行った。1年が経ち、どのように変化があったのか、二人に話を聞いた。

※この取材は8月23日に行われたものです。

前の自分よりも少し上に行けているんじゃないか(田丸)

田丸は個人メドレー2種目で決勝に挑む

――去年1年生、2年生だった田丸選手と長牛選手が1年経ってどのようになってきたのかから聞いていきたいと思います。まず長牛選手、去年と比べて  田丸選手に人としての変化はありますか

長牛 一つ学年が上がって、役割的にも選手以外での仕事も増えて、1年生を指導する立場になって、3年生の中心となってチームを引っ張ってくれているなと思います。

――それを聞いて田丸選手はどう思いましたか

田丸 上級生になって、自分だけではなくてチームのためにとかそういうことも考えていかなければならない年になったので、そう思われていたのならよかったです(笑)。

――田丸選手は2年生になった長牛選手をどのように思われていますか

田丸 去年は一番下だったので、新鮮さが見えたんですけど、今年は1年過ごしてある程度慣れてきて余裕が見えて、やってくれるだろうなというのがひしひしと伝わってきます。

――長牛選手はこれを受けていかがですか

長牛 やっぱり先輩からそう思われているのはすごく自信になりますし、インカレ一緒に頑張りたいなと思います。

――ありがとうございます。続いて、昨年の対談では、あまり上級生に話せないような話も1、2年生という関係もあって色んな話ができていると長牛選手がおっしゃっていたのですが、その関係に変化はありましたか

長牛 いや、変化はありませんね。同期の次におそらく4年間で関わっていくと思うので、年も近いということもあってなんでも話せる関係ではあると思います。

――では田丸選手は長牛選手に対して、練習の強さを本番でも発揮できるようにと言っていましたが、それは改善できたと思いますか

田丸 はい、できたと思います。去年のインカレでも出た種目でベストを出していて、しっかりと出すところでは出せるような人だと思います。

――ではここからまじめな話を。夏休みでインカレが近づく中、主にどのようなことに取り組みましたか

田丸 まず個人メドレーということで、基礎力の向上だったり、種目ごとの切り替えだったりとか、あとは上級生になったので周りを見る目を養うことにも力を入れました。

長牛 僕は初めてできた後輩にたくましい選手が多いので、そういう選手たちに負けないように練習から切磋琢磨して、自分の苦手な平泳ぎだとか、個人メドレーに必要な基礎体力、切り替えも練習で強化できるようにしました。

――今年もグループ練習をすると聞きましたが、田丸選手と長牛選手、それぞれどのグループに在籍していますか

田丸 僕は藤井監督の見ているSTチームで、長牛は奥野さんの見ているMDチームで、基本別々にはなっているんですけど、週一回の合同練習では一緒に練習をしています。

――それぞれ監督からどのようなことを教わってきましたか

田丸 藤井さんにはまず一種目一種目の泳ぎの再確認をしてもらっています。去年までは僕も奥野さんのチームで練習していて、今年から見てもらうようになったので、最初に種目ごとの課題を明確にして、一つ一つ確実にちょっとずつ直すっていうところからです。

――長牛選手はどうでしょうか

長牛 僕は奥野さんのチームで練習させていただいているんですけど、奥野さんからは種目ごとのテクニックとかを中心にご指導をいただくことが多いです。

――個人メドレーという競技では、おそらく色々な選手からアドバイスを受けることもあるかと思っているのですが、実際はどうですか

田丸 そうですね、個人メドレーは4種目あるので1つの種目が伸びると絶対個人メドレーがうまくいくようになるので、その分各種目特化している人にアドバイスをいただく機会は多くあります。かといって他の選手と比べて多いかと言われると、それは自分からどう動くのかというところにかかっていると思います。

長牛 僕も同じで自分から聞きに行くことの方が多いです。早稲田の水泳部に所属していると、それぞれの専門種目の方に全国トップレベルの人が多いので、より的確なアドバイスが選手からもコーチからもいただけると思います。

――具体的に誰にどのようなアドバイスを受けましたか

田丸 僕は同じチームで練習している平泳ぎ専門の平河楓(スポ4=福岡・筑陽学園)さんだったり、他チームで練習している同期のバックス泳ぎの米山君(米山毅スポ3=東京・早実)だったりに泳ぎを聞いたことがあります

長牛 僕も平泳ぎが苦手で、早稲田の平泳ぎ専門の方のレベルが高いので、男子主将の平河さんや女子主将の浅羽(浅羽栞スポ4=東京・八王子学園)さんに平泳ぎのことに関しては聞くことが多いです。

――ここからは個別の質問に入っていきます。まず田丸選手。前回のインカレはどうでしたか

田丸 前回は200メートル個人メドレーで自己ベストを更新して決勝に残れたんですけど、僕的にはそれまで400メートルに重きをおいてきたので、今のレベル的にも200メートルの方がまだ戦えるということが分かって、去年はとにかく200メートルが意外でした。

――前回の結果を受けて増やした練習はありますか

田丸 去年よりも少しスピード練習を増やしました。今のSTチームって僕以外は基本的に200メートルがマックスの選手が多いので、持久系のトレーニングよりかはスピード系のトレーニングの方の割合が少し増えたかなという感じです。

――3年生になってここまでシーズンを過ごしてきて、調子はどうですか

田丸 3年生になってからは右肩上がりで調子は上がってきていると思います。タイムはちょくちょく上がってきていて、安定性もみえるので、インカレに向けていい段階を踏めているのかなと思います。

――以前6月に藤井監督のインタビューをしたときに、田丸選手の名前を挙げて、もとの能力どおりの泳ぎが戻ってきたという言葉がありました。ご自身ではどう思いますか

田丸 僕もそのインタビューを読ませてもらったんですけど、まさか自分の名前が出てくると思わなくて驚きました。泳ぎが戻ってきたという部分は自分でもそうだと思っていて、なんなら前の自分よりも少し上に行けているんじゃないかなと感じています。

――では、今シーズンのベストレースを教えてください

田丸 5月の日本選手権です。あの200メートル個人メドレーで、2分1秒5というベストに今一番近いタイムで泳いだレースが個人的に一番いいレースです。トータルを見てもラップを見ても結構どこもいい感じに泳げていたので。

自分ができる役割を果たす(長牛)

長牛は200m個人メドレーの他、400m自由形にも出場する。

――続きまして長牛選手にお伺いします。前年のインカレの感想を教えてください

長牛 前年度は出た種目全部でベストを更新して、最終日の800メートルフリーリレーでも選手として出させていただいて、1年目にしては出来すぎたなと、1年生で背負うものも何もなかったので、同級生の勢いにそのまま乗っていった感じで楽しかったです。

――インカレを含めて、1年間を過ごされた感想をお願いします

長牛 1年目なので新しい環境で慣れないことがほとんどでしたが、優しい先輩方がうまくリードしてくださって、1年目はなんの苦労もなく、毎日楽しい練習をできていて、すごくよかったと思います。

――2年生のシーズンになって後輩が入ってくるなかで、練習態度を含め自分の中での変化はありましたか

長牛 練習に対する姿勢はあまり変わってないと思いますけど、新しく後輩が入ってきたので速い後輩たちに負けないように日々練習に励んでいます。

――ちなみに後輩のなかで一番印象に残っている選手は誰ですか

長牛 1年生の林大輝(スポ1=大阪・同志社香里)という選手です。もともと田丸選手も関西のスイマー出身で、林君も関西のスイマー出身なんですけど、今まで同じ練習をすることがあまりなかったので、実際練習してみて強いなという印象ですね。

――田丸選手は印象に残った選手は誰ですか

田丸 1年生で僕たちと一緒に練習しているのは松田藍青(スポ1=愛知)っていう子だけなんですけど、その子はインハイチャンピオンで、もともとの能力も高くて練習に対しても積極的で、同じチームの楓さんとかとよく勝負して、勝っている方が少ないと言えばあれなんですけど、そういうのがすごいいいなという印象です。早慶戦でもベストに近いタイムで泳いでいて、インカレも期待できるんじゃないかなと思っています。

――では話を戻して長牛選手。ここまでの調子はいかがでしょうか

長牛 今シーズンを通してはあまりいい結果は出せなかったんですけど、その中でもこのシーズンのなかでは最近は一番いい調子でこられていると思います。

――今年のベストレースはどれですか

長牛 厳しい目で言えば、ないという方が正しいですが、しいて言うなら京都の国際予選です。一日で6本泳ぐレースだったんですけどタフにいいタイムでこられたので、それはよかったかなと思います。

――ありがとうございます。ではここから再びお2人に質問に答えていただきたいと思います。インカレに向けてチームはどのような雰囲気になっていますか

田丸 インカレに向けてのチームの雰囲気は、一つの目標に向かって全員が同じ方向に進めているというのが第一印象です。今4年生の人数が多いんですけど、4年生一人一人も自分のことだけでなくちゃんと後輩に目を向けられているなという印象で、雰囲気としてはすごくいいと感じています。

長牛 今年のチームの雰囲気はいい意味で学年に壁がないというか。練習の勝負する場面でもそうですし、日常生活の場面でもそうですし、結構どの学年も仲がいい印象で、チームワークができているんじゃないかなという印象があります。

――では4年生との1番の思い出を教えてください

田丸 僕たちの代は4年生の代に1番お世話になっているといっても過言ではなくて、色々な所に連れて行ってもらったんですけど、意外と身近な温泉とか近場のご飯とかが1番印象に残っています。

長牛 僕は学年的に1年生の時に今の4年生に指導してもらうことが多くて、プール準備など、1年生がやる仕事に関しては大変お世話になりました。

――では今回のインカレでの注目選手をうかがいたいです

田丸 4年生の今野太介(スポ4=山形・羽黒学園)さんです。理由は去年50自由形で3番に入っているんですけど、今年は優勝するんじゃないかなと勝手に期待してて。タイムはもちろん、勝負強さが本当にすごくて僕の中ではピカイチなので、引退前最後の50メートルですごいタイムを出してくれるんじゃないかなと思っています。

長牛 僕も今野選手を上げようと思ったんですけど、言われちゃったので、僕は同期で自由形の長距離を専門としている金星洋将(スポ2=大阪・桃山学院)です。去年はケガでインカレには出られなかったんですけど、その分彼の全国での強さを見られるんじゃないかなと期待しています。

――他校で注目している選手はいますか

田丸 他校で言うと、木本憲大という高校の同期で近畿大学の選手です。この選手は高校までは自由形だったんですけど大学生になってから個人メドレーを始めて、一緒に泳ぐ機会が増えて。今はその選手の方がベストタイムは速いんですけどランキング的に多分一緒に泳ぐことになると思うので、その選手には勝ちたいですね。去年は予選で隣で泳いだんですよ。今年はどうか分からないですけど、いい勝負をしたいですね。

長牛 僕の他大の同期の学年には、学生の中でも上位にいる選手が多いので、その選手たちに負けないような泳ぎをしたいと思います。

――インカレの個人目標を教えてください

田丸 個人メドレー200メートルと400メートルの2種目に出るんですけど、2種目A決勝進出というのが第一の目標です。第二の目標で自己ベストを掲げています。まず最近の日本の個人メドレーはレベルが高いので、決勝に残るだけでも結構な難易度だと思うんですけど、しっかりそこに食い込んで、早稲田は個人メドレーも戦えるんだぞということを証明したいです。

長牛 僕も個人種目は2種目出るので、しっかりそこでベストを更新して決勝に残りたいです。あと、今年も多分最終日の100メートルフリーリレーに出させてもらうので、しっかりそこで決勝に残って、台に入れるように頑張りたいと思います。

――今最後の追い込みとしてやっていることは何ですか

田丸 今はもう僕的には追い込みというより「研ぎ澄ます」という方が多分正しいと思うんですけど、最後のスピード間であったりターン前後の動きであったり、感覚とタイムを一致させるということが僕の最後のやることかなと思っています。後は気を抜くっていうことですかね。

長牛 僕も追い込む時期は終わっているかなと思っているので、あとは自分の泳いだ感覚とタイムが一致してくればいい結果が出ると思います。

――早スポでは対面での対談の場合、文字を色紙に書いてもらうのですが、もし今色紙を渡したとしたら、どのような文字を書きますか

田丸 ちょっと中二病くさいのですが、「転生」で。今回の試合を最後に、僕が最上級生となってチームの運営をしていくので、今回の試合でこれまでの自分から転生して新しい自分になれたらいいかなと思っています。

長牛 不撓不屈という文字を書きます。理由としては今シーズンそんなにいい結果が出なかったので、結構苦しい場面も多かったんですけど、そういうのも全部乗り越えて1番の目標であるインカレでいい結果を出せるようにという意味で書きます。

――最後に意気込みをお願いします

田丸 まずはさっき言った目標の達成というのと、チームで目標として掲げている男子総合2位というところに焦点を当てて、1点でも点数を多く稼げるように頑張りたいと思います。

長牛 田丸選手からもあったように男子総合2位を目標に、自分ができる役割を果たして自己ベストをしっかり更新して、個々の目標が達成できればチームの目標も達成できると思うので頑張りたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材 芦沢拓海 編集 江口亜由美)

◆田丸敬也(たまる・けいや)

2001(平13)年11月14日生まれ。177センチ。大阪・太成学院高出身。スポーツ科学部2年。専門は個人メドレー。最近読んだ漫画はキングダムと話した田丸選手。練習以外のところでやる気が出るそうです!

◆長牛太佑(ながうし・だいすけ)

2003(平14)年4月30日生まれ。177センチ。京都外大西出身。スポーツ科学部2年。専門は個人メドレー。田丸選手と同様漫画にハマっている長牛選手。しかし東野圭吾などの小説も読んでいるそうです!

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