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2022.08.16

【連載】『44の円陣』WEB版 第19回 拘束時間は裏切らない(髙田雅/馬術部✕中島湧心/漕艇部)

 高校までの競技人口が少なく、大学から競技を始める選手も多い馬術部と漕艇部。マイナースポーツで競技をできる場所が少ないからこそ部内の仲が良いという馬術部・髙田雅(人4=大阪女学院)と漕艇部・中島湧心主将(スポ4=富山・八尾)の両主将に、早大で体育各部に所属し、同じ目標を持つ仲間とともに日本一を目指すことについて話を伺った。
 ※この取材は6月7日に行われました。

――簡単に自己紹介をお願いします

髙田 馬術部主将を務めています、髙田雅と申します。お願いします。

中島 漕艇部の男子部主将の中島湧心と申します。本日はよろしくお願いいたします。

――お互いに面識はありますか

中島 ないです。はじめましてです。

――相手の競技を実際に見たことがありますか

髙田 新聞に写真が載っているのを見たことがあるくらいです。

中島 僕は見たことないです。すいません。

髙田 そうですよね。だいぶマイナーなんで。

――相手に競技を見に来てもらうとして、自分の競技の面白いところはどこだと思いますか

髙田 動物と一緒にやる唯一のスポーツで、年齢とか性別関係なく競い合えるというのが特徴かなと思います。

中島 ボート競技は1人乗りから8人乗りまであるのですが、1人でも頑張れるし、8人で息を合わせて漕ぐこともできるのでチーム戦にも個人戦にもなるところが面白いところかなと思います。

――馬術に団体戦はありますか

髙田 戦うのは個人スポーツですが、関東学生とかは団体成績がつくので個人の結果を集めて、障害だとバー落とした数が合計で少ないところが上位に来るような戦い方です。団体の方がプレッシャーはあります(笑)。

――相手の部にはどんなイメージを持っていますか

髙田 団体で結束力があるイメージだったので、ボートに個人があるというのを聞いて驚きました。

中島 始めやすい競技ではないと思うので、小さい頃からやっている方が多いのかなというイメージがあります。

髙田 早大の馬術部は大学から始める人多いです。私は中学生くらいからやっていたんですが大学からが大半です。乗馬クラブに通っていました。

――馬術部がある大学は多いのですか

髙田 意外とあります。六大学もできるくらいあります。馬術始めようと思ったら馬術部じゃないと始めにくいかなと思います。金銭的、時間的に大人になってから始めようと思ってもあまりに時間とお金がかかりすぎて、なかなか始めようとはならないと思うので。乗馬クラブには時間とお金に余裕がある年配の方が多いです。ダレノガレ明美とかも馬術始めたそうで、やっと若い人にも広まってきてる感じはします。

――寮はありますか

髙田 ずっと泊まるわけではないんですが、夜間とか馬のお世話をする当番が男子はあるので一応宿泊するような場所はあります。コロナ前はみんなでご飯作って食べたりしてました。

中島 男子は寮生活、女子は一人暮らしという体制です。

――寮(ない場合は練習場所)のおすすめポイントはどこですか

中島 学校で同じ授業を取っている人が多いので、学校の試験対策とかを簡単に聞けます。

髙田 ミーティングルームみたいなところがあって、みんなで仲良くおしゃべりしてます。

――部活の面白いところはありますか

髙田 馬術部は拘束時間が長くて3Kの部分があるので、大学から始めて続けている人は個性的で変な人が多いです。イジれるようになってきたら面白いです。

――拘束時間ってどのくらいですか

髙田 朝7時に集合して、練習自体は11時くらいに終わるようにしているのですが、午後の餌の当番があったり、試合はずっと泊りがけだったりとか。プライベートの時間がまったくないわけではないですが、なんだかんだ費やす時間が長いです。

中島 練習の話なんですが、「5時オン」という言葉がありまして。1,2年生は1限があるので7時半に寮を出なければならないので、間に合うために4時に起きて5時から練習を始めます。クルーのメンバーに1,2年生がいたら週に2回、「5時オン」しないといけないんですが、これが地獄みたいに苦しいです。

髙田 朝早いんですね! 

中島 午前中だけでも15キロとか18キロとか漕ぐので2時間位かかってしまうので早くなりますね。

髙田 馬術部が一番早いと思ってました。馬術部も夏は暑すぎて7時集合だと馬も人もバテてしまうので5時集合ですね。

――メンテナンスで心がけていることは何ですか

髙田 馬の体はしっかりメンテナンスしています。毎日絶対触って怪我していないかチェックしてから道具つけたりとかは習慣づけてます。自分の体は全くメンテナンスしていなくて。馬乗りの人って試合期間でも結構お酒飲む人が多いです。

中島 船は高いのだと1000万円くらいするので、一回壊してしまうとなかなか買い換えられるものではないので、道具は丁重に扱うようにしています。自分の体は朝と午後トレーニングするので夜にトレーニングルームでケアするとかそれぞれの部員が行っていますね。

――両競技ともに大学から始める人も多いと思うのですが、新歓の際にはどのようにして新入生を勧誘して部に招き入れていますか

髙田 うちは単純で、体験に来たらとりあえず馬に乗せて、1回乗ったらはまる人が多いので、決断しちゃう人が多いです。

――どんなところにはまりますか

髙田 高いところに乗ることが日常であんまりないし、初心者でも指示を送ったらある程度動いてくれるので、乗ってしまえばはまると思います。

中島 「大学から初めて日本一」というのをキャッチコピーに新歓しています。試乗会ではなかなか普段できない体験をできるので、それを伝えられたらなと思っています。

――早慶戦にはどのような特徴がありますか

髙田 他の部活がどうかは分からないのですが、1年ごとの早慶で主催校を変えていて、開催場所も交互にしているところは特色だと思います。

――2日間にわたって開催されるのも特徴的ですよね

髙田 はい、馬術自体3種目あって、早慶戦で行うのは馬場馬術と障害馬術なのですが、全てを1日でやるとなると時間がタイトなので、2日間にわたっています。

――漕艇部の早慶レガッタには応援部の方々もいらっしゃいますよね

中島 ありがたいことに応援部さんともやり取りをさせていただいて、毎年応援に来て、盛り上げてくださっています。

――他に特徴に感じられている部分はありますか

中島 隅田川で行われるボートのレースは早慶レガッタしかなくて、他のレースは直線のボートコースでしか行われないのですが、早慶レガッタのみ隅田川で3750mという特殊な距離をこぐとということは特徴ですし、魅力でもあると思います。

――お互い聞いてみたいことはありますか

中島 動物と競技を行うのが特徴の一つだと思うのですが、そこで求められる能力や技術はどういったものがあるのですか。

髙田 私は技術があっても、最終的にはどれだけ馬が好きで、どれだけ馬をかわいがることができるかが決め手だとお思います。馬に乗っている時間以外で馬をケアしたり、ブラッシングしたりしてあげることもとても大事だと思います。なので女の子の方がうまく乗りこなせたりします。

髙田 漕艇はチームで行う競技というイメージが強いのですが、練習以外で団結力を深めるためにやっていることはありますか。

中島 特別これといったことはないのですが、寮生活のなかで衣食住を共にするので、自然と団結力は身についてくると思います。

――その部が「早稲田らしい」と表現される時、どんなプレーを指しますか

中島 よく8人乗りでレースに出場するのですが、そのメンバーがいろいろな経歴を持っていて、スポーツ科学部の人もいれば、理系の人もいれば、大学から競技を始めた人もいます。さまざまな経歴を持つ部員が一つの船を漕(こ)ぐというところが他大学から見ても特殊だと思います。

髙田 留学していた人や、帰国子女、大学院生であったり境遇がバラバラなので、そこはまず「早稲田らしい」ところだと思います。プレーとしては、馬術は感覚のスポーツではありますが、いかに頭を使って良い成績につながるように作戦を立てるところが特徴だと思います。

――プロスポーツではない、「大学スポーツ」にはどのような価値があると思いますか

中島 漕艇部でいう「大学スポーツ」の価値は、学生が主体的にいかに活動できるかだと思います。監督とコーチに任せきりで支持を受けることは簡単だと思うのですが、そうではなくてリーダーや他のメンバーと一緒に考えて一つの目標を目指していくことが、「大学スポーツ」ならではの価値だと思います。

髙田 「大学スポーツ」ならではかどうかは分かりませんが、馬術の全日本学生のレベルは、大学から始める人にとっては無茶なくらいハイレベルですが、無茶なことであろうが頑張ってみる、チャレンジしてみることはこの年でしかできないことだと思います。

――では、「早稲田スポーツ」ならではの良さとはどんなところでしょうか

中島 僕たちだけかは分かりませんが、OBやOGの方々とのつながりが他大学と比べても圧倒的に強いと感じています。今はコロナでできていないこともありますが、OBと関わることのできる会が開かれたり、OBの方々が僕たちの活動を支援してくださったりすることは「早稲田スポーツ」の良さだと感じています。

髙田 早稲田のスポーツフェスタがあると思うのですが、地域の方々にも早稲田と体育会の活動を知ってもらう機会があることは良いなと思っています。馬術部も引馬やニンジンのエサやり体験を通常時は行っているので、そのような催し物を開催できることは「早稲田スポーツ」の良さだと思います。

――馬術部もOBやOGの方々とのつながりはありますか

髙田 そうですね、コーチや監督もOBやOGの方が就いていて、早慶戦になると馬に会いに来たり、馬が年を取って早稲田から乗馬クラブに移ることが決まった時にはOBやOGの方に連絡すると、会いに来てくださったりします。

――指導者の方と頻繫にコミュニケーションは取られますか

髙田 平日は学生主体で活動を行っていますが、土日は監督やコーチ陣の方がいらしてくださった時には、他愛のない会話をしたり、ご飯に連れってもらったりしています。

――漕艇部は指導者の方とのつながりは深いですか

中島 スタッフの方は早大漕艇部のOBやOGの方で構成されています。平日は大学院1年生の学生コーチがメインで指導してくださるのですが、土日に監督や他のコーチの方がいらして指導してくださります。

――相手の部について、印象は変わりましたか

中島 元々馬術をやられていた方が大半なのかなと思っていましたが、ボートと同様で体験して魅力に気付いて入部される方も多いこということは新たな発見でした。

髙田 一番驚いたのは朝が早いことでした。あと、個人戦もあると聞いて、1つの競技だけではないということは新発見でした。

――ありがとうございました! 

(取材・写真・編集 冷水睦実、横山勝興)

◆中島湧心(なかじま・ゆうしん)
 富山・八尾高出身。スポーツ科学部4年。戸田で生活を共にする漕艇部を率いる中島主将。笑いを交えながら真剣に漕艇部について語っていただきました!

◆髙田雅(たかだ・みやび)(写真左)
 大阪女学院高出身。人間科学部4年。軽快なトークと笑顔で対談に応じてくださった髙田主将。選手として馬場馬術、障害馬術、総合馬術の3種目をこなし、主将としてチームのことを第一に考えるオールマイティーな方です!

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