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2022.08.13

【連載】『44の円陣』WEB版 第13回 高め合う存在(江連織圭/ハンドボール部✕矢原七海/アーチェリー部)

 対談以前からの友人であり、互いの写真を送り合うなどSNSでの交流もしていたという女子ハンドボール部の江連織圭主将※1(スポ4=千葉・昭和学院)とアーチェリー部女子の矢原七海主将(スポ4=福岡・柏陵)。終始笑顔の絶えなかった今回の対談では、久しぶりの再会に喜び合うとともに、互いのスポーツの魅力からお二人の関係性まで存分に語っていただいた。
 ※  この取材は6月15日に行われました。
 ※1 掲載時(8月13日)は代替わり後のため前主将

――お互いのユニホーム姿を見ていかがですか

矢原 かっこいいね(笑)。

江連 かっこいいですね(笑)。

矢原 ハンドって半袖短パンのイメージあったけどゴールキーパーは違うの? 

江連 そうそう。夏でも長袖長ズボンだから夏はすごく暑い。

矢原 そうなんだ…。

江連 これ(ユニホーム)は自分のものってこと? 

矢原 うん、みんな自分で買う。これ(ユニホーム)は私がデザインしたの。もっと格好良くしたかったんだけど、お金がなくてできなかった(笑)。

江連 似合うね。エンジが似合う。

矢原 (江連のユニホームは)紺だね。他の選手のユニホームはエンジ? 

江連 うん。白地にエンジの線が入ってる。

矢原 そんなに早稲田早稲田しているわけではないんだ。

江連 そうだね。でも早稲田の雰囲気はある。縦じまが伝統なのかな。男子もユニホームに縦じまが入ってる。

矢原 男子と女子で(ユニホーム)違うの? 

江連 全然違う。特にそろえる決まりはない。

――他己紹介をお願いします

矢原・江連 むずかし! (笑)。

矢原 2年ぶりだよ会うの!(笑)。2年ぶりだし好きな食べ物も知らないし(笑)。

江連 なな(矢原)はよくしゃべる(笑)。

矢原 自分(江連)もやん。

一同 (笑)。

江連 普段はよくしゃべるし、ふざけている感じだけど、実は頭も良いし、アーチェリーもなんだかんだで頑張っていて本当にすごく尊敬しています。

矢原 (笑)。江連織圭は、誰とでも仲良くできるし、裏表がないし、あまり言いたくないけどかわいいじゃないですか(笑)。可愛いけど、超さばさばしてるから、めちゃくちゃそういうところが好きで。でも本当に他人のことも考えているなと思うし、そういうところがあるから主将になったんだろうなって思う。あとはカラオケがめちゃくちゃ上手い(笑)。おはこは『津軽海峡』(笑)。

江連 (『津軽海峡』は)3年前くらいに歌いました(笑)。

矢原 良い人です。

江連 多分(お互いに)似ているところが多いよね。

矢原 私も思ってた! けど、そんなことないよ、って思われたくなくて言えなかった(笑)。

江連 多分同じようなタイプだと思います。

矢原 うれしい! 

笑顔で話す江連

――お互いがやっているスポーツに対する印象は

矢原 ハンドボールは本当に格好良いですよね。結構激しいし、選手同士でぶつかることもあるし、球技だけどめっちゃコンタクトがあるイメージ。織圭の印象とは全く違う(スポーツだ)し、織圭がそんなガツガツやっていると思わないからそのギャップもいいなと思う。

江連 私は、アーチェリーと弓道の違いもいまいち分からないので、アーチェリーに関しては未知なのですが、器具も今回初めて生で見て「こんなに大きいんだ」って思ったし、なながさっき70メートル飛ぶって言っていましたが、70メートルってどれくらい飛ぶのか見当もつきません(笑)。的って何センチ? 

矢原 的は全部で120センチくらいあるけど、真ん中の部分はCDくらい(の大きさ)。

江連 そんなに小さいの? そこに狙うっていうのがこっちからしたらできる気がしないから、そういうところはすごいなって思うし、ルールとかももっとちゃんと知りたいな、って思う。

――相手に競技を見に来てもらうとなった時、自分の競技の面白いところはどこだと思いますか

矢原 正直、アーチェリーって、ずっと同じことをするし、何も変わらないから、初めて見る人はそんなに面白くはないと思う。的に当たったら面白いかもしれないけど。でも、どこを見てほしいかといったら、団体戦です。アーチェリーは静かに打つイメージがあると思うのですが、団体戦はめちゃくちゃみんな声出して応援して、めっちゃ盛り上がりながら試合をします。そういう盛り上がった雰囲気の中で1対1、1本勝負、ってなった時の緊張感など、いろいろな空気感があるので、そういうことを楽しみつつ、的も見てほしいなと思います。

江連 ハンドは、ディフェンスとオフェンスがあって、攻守の展開が早いです。他の球技で例えばバスケとかはディフェンスとオフェンスが交代になった時に一回一回試合が止まりますが、ハンドはそれがないので、審判が(試合を)止めない限り流れがずっと続きます。しかも交代が何回でも何人でもできるので、攻守の展開が早いことと、波に乗った時に勝負がどっちに転ぶか最後まで分からない、というところが面白いところだと思います。私はキーパーなのでキーパーの目線で言うと、「(相手チームにディフェンスを)抜けられた!」ってなった時にキーパーが(シュートを)止めると、流れを断ち切ることができるところが面白いところかな、と思います。

矢原 ずっと走るんだ。試合を止めることがないってこと? 

江連 うん。ずっと走ってる。

矢原 きつ…。

――相手の部活に対してはどのようなイメージを持っていますか

矢原 あんまり考えることないよね。女子ハンドは、めっちゃ仲良いイメージ。優花ちゃん(佐藤優花副将、スポ4=東京・佼成学園女)と(江連選手が)仲良いし、ずっと一緒にいるイメージがある。後輩の桃虹ちゃん(山本桃虹、スポ2=東京・佼成学園女)と知り合いになったけど、織圭と雰囲気似てるな、って思う。(女子ハンドボール部は)明るくて誰とでも仲良くできるような人がたくさんいるイメージ。

江連 私のアーチェリー部への印象は、ハンドはザ・チームスポーツだから、練習をまとめたりとか、キャプテンのやることってありきたりだと思う。でもアーチェリーは個人スポーツでもあるし、団体スポーツでもあるから、どうやってチームをまとめてるんだろう、とか、キャプテンって一人一人のことも見ないといけないのかな、っていうところで、個人でもあるし、団体でもある競技のキャプテンってすごい大変なんじゃないかな、という印象があります。

矢原 いいこと言うね(笑)。

――自分の部活の面白いところはどのようなところだと思いますか

江連 まず、みんな仲が良いんですよ。普段から話しかけてくれるし、練習中も上下関係がないから、それは女子ハンドの良いところかなと思います。あとは本当に部員が少なくて…。他大とかはベンチに入れない選手もいるけど、私たちはベンチに座っている選手が2人くらいで。本当に人が少なくて今の練習も本来は6対6で試合の実践になるんだけど、3対3とかでしかできなくて。実践的な練習ができないのも特徴かな。歴代もそうなので「その中でどうやって上達できるようにやっていくか」っていうのは早稲田の女子ハンドの特性で、大変だけど面白いところかな、と思います。

矢原 アーチェリー部もみんな仲が良くて、めちゃくちゃ人数が少ないので、男女で一緒に練習するし、男女の壁なく仲良いです。例えば練習が朝8時くらい集合から16時解散とかの時もあるけど、

江連 長っ! (笑)。

矢原 そんなにずっと一緒にいるのに、その後5時間くらい一緒にお話ししてたり、夜ご飯食べに行ったりしてて、家に帰っても電話をつなげてみんなでマリカー(マリオカート)をしたりとか(笑)。

江連 めっちゃ仲良いじゃん。

矢原 ずっと一緒にいるくらい仲良いっていうのは特徴だと思います。あとは、部活全体の特徴を言うとしたら、競技のレベルがすごく幅広いです。初心者も大歓迎なので、大学から始めた人もたくさんいれば、世界制覇をした人もいます。競技力の差は埋めることはできませんが、雰囲気づくりだったり、モチベーションはみんなで統一していくべきところではあるのかなと思うので、そういうことをみんなで一生懸命考えています。「個人競技だけど、どうしたらみんなで雰囲気をつくれるか」というのは常に考えているところではあります。

女子ハンドボール部の話を聞く矢原

――二人が仲良くなったきっかけはなんですか

江連 私たち、ア女(ア式蹴球部女子)の子たちとも仲が良いんですよ。それぞれが別々にア女と仲良くなって、お昼ご飯を食べる時に一緒になって、ななと仲良くなったんじゃないかな。

矢原 たぶんそうだよね。そこで仲良くなったのは絶対ある。

――普段どのような話をされていますか

矢原 コロナで直接会うことはなかったので、インスタのDM(ダイレクトメッセージ)とかが中心です。お互い未読無視、既読無視をガンガンするので、会話になっているかというと…(笑)。

江連 お互い自分が言いたいことだけを言って、時間が経っちゃって「もういいや」っていう感じです(笑)。

矢原 この間は事故画を送り合いました(笑)。

江連 あんまり内容はなくて、くだらない話ばかりです(笑)。

矢原 こんなに深く話すのは今日が初めてだね(笑)。

江連 真面目な話はしたことないね(笑)。

――お互いの結果を確認したりはしますか

矢原 これ(対談)があるということで早稲田スポーツの記事を読んできました。予習しました(笑)。

江連 私はたまに見ます。「ななすごいんだなー」って思っています。

矢原 記事を読んだ時に織圭が主将っぽいことをコメントしているのを見てなんだかうれしくなっちゃいました。これからは読もうと思います(笑)。

江連 私ももうちょっと(確認)しようと思いました(笑)。

――主将になった経緯を教えてください。

矢原 自分の代の女子が二人だけでもう一人は初心者の子だったので、入部した時から(主将になるのは)自分かな、という感じはしていました。高校の頃も主将をしていたので、(主将に)なりたいなというふうにも思っていました。

江連 私もプレイヤーの同期がもう1人いて、あと1人(同期の)マネジャーがいて、学年が3人しかいなくて。優花か私かどっちか(が主将をやる)ってなったんだけど、優花がケガで離脱している時期が長かったのと、私が後輩と仲良くて、後輩も結構「協力します」って言ってくれたので、最終的には私がキャプテンになりました。

――主将として大切にしていること、心掛けていることを教えてください

矢原 競技力の差があるからこそ、みんなが「部活を頑張りたいな」と思えるような雰囲気づくりです。また、アーチェリーは個人競技なので、一人で悩みがちなのですが、一人では解決できないこともたくさんあります。そういったことに気付いて、自分の経験などからアドバイスできるように、(部員の)表情などをよく見て、困っている人にすぐに寄り添えるようにしてきたつもりです。

江連 人数が少ないのでコミュニケーションを大切にしているということと、せっかくやるんだったら楽しくやろう、という話はよくします。人数が少ないからこそ一人一人のコンビネーションなどを強めていく必要があるので、練習中もたくさん話して、最終的には言わなくても分かるまですり合わせて欲しいと思っています。また、ハンドボールを楽しむためにはやることをやらないといけないので、声掛けや試合を意識した練習というのができるようにみんなに声を掛けることを大切にしています。

――お互いの「主将論」を聞いていかがですか

矢原 お互い雰囲気とかコミュニケーション能力といった人間として必要なところを重視しているところが似ているなと思いました。

江連 チームスポーツだと一つのチームなので、いやでもお互いを気にしないといけないです。でもアーチェリーは個人競技だから抱え込んじゃうっていうのは本当にそうだなと思いました。周りを気にして声を掛けるというのは私も生かせると思いました。

――矢原選手がハンドボール選手、江連選手がアーチェリー選手になったらどのような選手になると思いますか。

江連 ななはムードメーカーになると思います。こんな感じなので、純粋にハンドを楽しむ盛り上げ役になると思います。

矢原 アーチェリーはみんなに見られながら射つめちゃくちゃ緊張する場面があります。(江連は)そういうのも楽しんで、緊張してるかも分からないくらいの感じでこなしそう。

江連 ななはシュート外してもヘラヘラしてそう(笑)。

矢原 それで家に帰ってから落ち込むやつね(笑)。

互いの道具を交換した矢原(左)と江連

――二人ともスポーツ科学部に所属していて、他の部活生との関わりも多いと思います。その中で良かったと思えることはありますか

矢原 スポ科(スポーツ科学部)には色んな競技のレベル高い人が集まっているという印象があります。競技は違えど、結果とかこういう試合に出るという報告はすごく刺激になりますし、自分も頑張ろう、と思えます。そういう面で体育各部のつながりがあってよかったなと思います。

江連 私も似ているのですが、他の競技を頑張っている人が多くて刺激になります。また、ななみたいな感じの飾っていない友達が多くて、仲良くしたいと思う友達ができたのはスポ科に入ってよかったと思います。

――それぞれの早慶戦の特色を教えてください

矢原 大事にしていて、(引退後の)4年生も出てみんなで最後に戦いましょうという感じです。早慶戦が近付いたら少しずつ意識しますね。

江連 ハンドは早慶戦で引退なんです。大学でハンドを辞める人も多く、最後の試合なので、4年生の思い入れは強いと思います。最後だけどいろいろなプレーを試そうということで、スカイプレーをやることもあります。面白みのある試合にして、いいかたちで締めくくろうというのがハンドの早慶戦です。

矢原 今年はどこでやるの? 

江連 慶應。早稲田アリーナでやると入退場をやったりしてすごく盛り上がるんです。早稲田アリーナでできた年には4年生のポスターを貼っていました。

――この対談を通して相手の部への印象が変わったところはありましたか

矢原 織圭の性格的に明るくてみんなと仲良くして、そういうところを大事にしているとは思っていたので、そんなに印象が変わったということはありませんが、ハンドボールの速攻で攻めにいくとか面白いところをたくさん知れたので、そういうのに注目したいし、試合を見に行きたいなと思いました。

江連 私もアーチェリーの試合を見に行きたいなと思ったのと「レベルの差がこんなに大きいんだ」と思って、「初心者はまあいなくはないのかな」と思ったのですが、ここまで差があってそれをまとめるのは大変だろうなと思ったし、まあ予想通りでもあったけど、レベルの差がすごいなと(笑)。

矢原 2回言ったね(笑)。

江連 というのは思いました。今日の対談で。

――プロスポーツではない大学のスポーツにはどのような価値があると考えていますか

矢原 おー。格好良い質問。

江連 難しいね。

矢原 私は、学生スポーツは、もちろん成績出すとかもそういう記録に残るようなことを作るのも大事だと思うのですが、学生スポーツだからこそ人間的成長とかそういうのも大事だと思うので、学生でしかできないことだと思うので、だから個人スポーツではあるけど部としてどう動くか、とか、部の運営はどうするか、とか、試合に向けての準備をみんなでどうしていくか、とか、人間的なあり方をどうしていくか、とか、そういうことも部を通して学べる、学生スポーツだからこそ学べるのではないかなと思います。「勝ち」だけにこだわるのではないのが、学生スポーツ、というふうな考えです。

江連 学生スポーツの価値…。二つあると思って。

矢原 なんか良い話始め。就活っぽい(笑)。

江連 先にね一つ目を(笑)。まず一つ目は大学スポーツは自主性がすごい大事かなと思って、普段(の活動に)先生いる? 

矢原 監督が企業に勤めている方だから、土日の練習は来てくださるけどずっといるわけではない。

江連 ハンドもそんな感じで、自分たちでどうやっていくかというのを考えて行動していかないといけないし「チームを良くするためにどうするんだろうというのを考える」というのは、本当に良い経験になると思うし、コーチとかに言われたことをただやるだけじゃないというのは大学スポーツの価値だと思います。二つ目は、監督さんが言っていて、私も試合してて思うんだけど、学生スポーツってどっちに勝負が転ぶか分からないというところがあって。私たちもリーグで1回目やって負けたところに2回目は勝てたとか、みんなの調子がすごく良くて格上に勝てたとかもあったから、波に乗ったら勝敗が分からないというのも学生スポーツの良いところなのかなと思うので、勢いというのも学生スポーツの価値かなと思います。

――では、早稲田大学のスポーツの良さとはどのようなところだと思いますか

江連 レベルが高いとか。

矢原 そうだと思うわ。

江連 そうだよね。

矢原 なんかさ、みんなが成績出そうと頑張るから刺激受けるし、自然と目標が高くなるというか自分もってなってる気がする。

江連 分かる分かる。

矢原 あと、みんな自分のスポーツに誇りをちゃんと持ってる気がする。

江連 みんな頑張ってるからこっちも頑張ろう、という、競技は違うけど切磋琢磨(せっさたくま)してる感じはあるんじゃないかなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・写真 星野有哉、野中美結、栗本史歩)

◆矢原七海(やはら・ななみ)(写真左)
 福岡・柏陵高出身。スポーツ科学部4年。楽しみにしていたという今回の対談で江連主将へのあふれる愛を語ってくださった矢原主将。対談の希望相手を伺った際も真っ先に江連主将を挙げていました!

◆江連織圭(えづれ・おりか)
 千葉・昭和学院高出身。スポーツ科学部4年。部員から愛される、笑顔が素敵な江連主将。早スポの記事も「面白い」とよくチェックしているそうです!

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