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2022.08.04
【連載】『44の円陣』WEB版 第4回 早稲田の射とは(中野勇斗・浦田大輔/アーチェリー部✕大澤暢・井上采香/弓道部)
弓を愛する4人が集まった。今回の対談に参加したのは洋の弓を操る男子アーチェリー部の主将、中野勇斗(商4=東京・早大学院)とその主将を高校の頃から知る浦田大輔選手(基理4=東京・早大学院)。そして和の弓を操る弓道男子部主将大澤暢(創理4=東京・早実)と、女子部主将井上采香(文構4=東京・吉祥女)。それぞれの用具の違いに驚きながら、弓を引くときのお互いの話に共感することも。予定時間を大幅に越えるほど盛り上がった対談の、一部始終をお伝えする。
※この取材は5月23日に行われました。
――それぞれの他己紹介をお願いします
井上 大澤暢くんです。中学から弓道を始めて弓道を始めて、今年で10年目です。元気がよくて、熱い男だなと思います。時々調子が良すぎて「おい大澤」と思う時もあります(笑)。熱くていいやつだなと思います。
大澤 女子部主将の井上采香さんです。1年生の時からの印象としては本当に真面目に弓道をやられているなという感じです。うちの代は男女仲良くやってるつもりなので、話すことも多いです。本当に一つ芯を持って4年間やられているので、まあ、本当に、すごく、何というか…。
一同 (笑)。
大澤 (笑)。後輩から見たら頼れる先輩なのかなと思いますし、そういう方と主将を務めるというのは僕としてもとても心強いです。
井上 「やられている」とか距離を感じるなあ(笑)。
一同 (笑)。
浦田 では僕からいきます。中野勇斗くんです。高校からアーチェリーを一緒に始めて、高校でも大学でも主将をやっています。オンオフの切り替えが上手です。また口が上手いので、人狼とかがすごい強いです(笑)。面白くて、いいやつで、あ、褒めちゃった(笑)。
中野 浦田大輔くんです。高校からずっと一緒なので大体考えていることは分かります。考えてそうで考えてなくて、考えてなさそうで考えているよく分からない人です(笑)。なぜかアーチェリーがめちゃくちゃ上手くて、今の男子でも一、二を争っています。そこは負けたくないなという風に思っています。
――皆さんは面識ありますか
一同 ないですね。
――相手の競技を見たことはありますか
大澤 オリンピックの時に見ました。
井上 そうですね、テレビ越しで。
中野 僕は1年の時に弓道を授業でやりました。
浦田 全然知らないです。弓が長いなってくらいです(笑)。
――高校では弓道部、アーチェリー部はありましたか
中野 弓道部はあったんですけど、あまり関わりはなかったですね。
井上 アーチェリー部はなかったですね。
大澤 僕のところも(なかった)ですね。
――先ほど中野選手は授業で弓道を行ったという話がありましたが、その際の印象はありますか
中野 アーチェリーの方が簡単だなと思いました。アーチェリーはサイト(照準器)があるんですけど、弓道にはそれがないのでどこを狙えばいいのかなって。
――お互いに自分の競技を見に来てもらう時に、自分の競技の魅力を説明するとしたらどういったところになりますか
浦田 アーチェリーは的まで70メートルあるので、的が見えないんですよね。見に来てもらう時はスコープを使って「あ、こんなに当たってるんだ」っていう楽しみ方になるんですかね(笑)。
井上 弓道は的は見えますね(笑)。
中野 当たった時は分かりやすいですよね。音が気持ちいいですよね。
浦田 やってみたいな(笑)。
大澤 弓道特有のものとしては、めちゃくちゃ試合会場が静かなところです。声援とかもないので、大きな大会になればなるほど静かです。的に当たった時に初めて「よし」という声が出るくらいの競技です。見に来てもらえた際は静寂と的に当たった時の音の気持ちよさを楽しんでもらいたいです。
井上 あとは所作ですかね。大会でチームでそろえて座ったり、弓を立てたりというのを練習しているので、「おー」と思ってもらえたらいいですね。
――お互いの部のイメージはありますか
中野 弓道の授業のTAの方が弓道部の方でした。僕が1年生の時の4年生で、学院(早大学院)の方だったのですが…。
大澤 摩嶋さん(摩嶋翼氏、令2創理卒)だ(笑)。
中野 そうです、摩嶋さんと栗原さん(栗原健太氏、令2文構卒)に教えていただいて、そのお二人がとても面白かったので、その印象があります。
大澤 変わらないですね(笑)。僕たちは摩嶋さんたちが4年生の時の1年生なので、その空気を受け継いでいます。地下一階で閉鎖的なので、育つ空気は一緒です。弓を引いている時は真面目にやりますけど、練習が終わるとみんなフランクに、という感じです。
井上 個性強めだよね(笑)。
大澤 そうね(笑)。
――「自分の部活のここが面白い!」というところはありますか
大澤 プライベートがないですね。隠す人っていると思うんですよ。それこそ実は彼女がいたとか。でも僕たちにはそういうのなくて、部員同士でご飯とか行ったら次の日もうバレてるんですよ(笑)。部員間の距離が近いので何もかも筒抜けで(笑)。そこが面白くもあるし、怖い部分でもあります。
浦田 練習後は必ずご飯は行くよね。ラーメンばっかりなんですけど(笑)。
中野 そうね。仲は良いと思います。1学年あたりの人数も6、7人くらいで少ないので学年内の中は良いですし、学年を超えた仲も良いですね。あと変わった子が多いので(笑)。そこを先輩としていじれるのでそこは楽しいです(笑)。
――具体的に誰というのはありますか
中野 えー、言っていいのかな(笑)。でも山下(健友、スポ2=愛知・東海)とかは面白いですね。入った時からすごい変わってるなと思っていて、唐突にボディービルの話とかするんですよ。
浦田 急に語り出すから怖い(笑)。
中野 それをいじるのは楽しいですね(笑)。
――お互いの弓具を見てみていかがですか
井上 アーチェリーの弓具はめちゃくちゃかっこいいですね。
中野 弓道の弓具はシンプルでいいですね。
浦田 めちゃくちゃ長いですね。どれくらいあるんですか?
大澤 これだと2メートル20(センチ)ですね。身長が高い人になってくるとさらに2寸、3寸と長くなります。
浦田 持ち運び大変ですよね?
大澤 エレベーターとか気を抜いていたら天井にぶつけてしまうんですよ(笑)。(井上の方を見て)今日ぶつけてたもんね(笑)。
井上 今日は電車ですね(笑)。電車の高さと弓の長さがちょうど同じくらいなんですよ。だから電車にハマって取れなくなっちゃって。降り損ねそうになったんですけど頑張りました。
用具の違いについて話す選手たち
――アーチェリーの弓具は重そうですね
中野 組み立てと片付けが本当に大変で。それだけは嫌いです(笑)。
井上 すごいかっこいい…。
中野 本当に人によって全然違うんです。このハンドル使ってるのも僕だけなので。
井上 ハンドルの部分も全部違うんですね。
中野 そうなんです。形も色も全部バラバラなんですよね。
浦田 僕のはこんな感じで角張った形です。
――グリップも違うんですね
浦田 これも手の形とかによって変わりますね。
――弓道の弓具はそんなに変えられるところはないですよね
大澤 そうですね。(変えられるのは)ここのシリーズだけですね。直心にカーボンを使ったり、竹を使ったりというところですね。自分でカスタマイズするみたいなことはないです。
井上 あとは弦も人によって好みがあったりしますね。
大澤 弦は硬い弦と柔らかい弦があります。硬い弦だと、その分弾いた時に戻りが早いです。射の違いで弦の好みが分かれます。
浦田 やればやるほどそういうこだわりって出てきますよね。
大澤 気になってきますね。道具の材質一つ変えるだけでだいぶ違いますし、はまったらお金掛けてもそれを使おうってなりますね。
――矢の違いはいかがですか
中野・浦田 長い…。
井上 頭の後ろまで引くので、長さが必要なんですよね。短いと指に乗っからなくなってしまうんです。
中野 手に乗せてるんですね。
井上 そうなんですよ。
中野 痛そう…。
井上 すってる子もよくいますね。
――アーチェリーの矢の長さはいかがですか
中野 首から中指までの長さが目安になります。首に矢の根元を当てて、矢の先が中指の先から10センチ、15センチくらいの長さになります。
井上 (アーチェリーの矢先は)鋭いですね。当たったら痛そう…。
中野 当たったら死にますね(笑)。
浦田 これも人によって本当にバラバラですね。
中野 矢にも硬さがあります。強い弓を使っている人は硬い矢じゃないと真っ直ぐ飛んでいかないので、そこでも違いがありますね。
井上 羽の部分はプラスチックですか?
中野 そうですね。これも人によって違うんですけど、僕はプラスチックです。
――弓道のものは(本物の)羽ですか?
井上 羽ですね。
浦田 これってもげたりしないんですか?
井上 もげますね。矢も消耗品なので、羽がなくなっていくと替え時だなという感じです。
中野 羽の張り替えはないんですか?
大澤 お金を掛けたらできるんですけど、張り替えるくらいなら新しく買い替えた方が安いですね。
――アーチェリーの矢の替え時はいつですか
中野 結構頻繁ですね。試合で遠征に行ったら、1日目に練習して、ホテルでみんなで羽を張り替えますね。やっぱり新しい羽の方が当たるので。
浦田 刺さってる矢の羽にもう一本矢が当たったりして替えることもあります。
大澤 前日の練習と羽を張り替えて変わるということはないんですか?
中野 あるんですけど、僕らは気にしないタイプなので(笑)。次の日も本番の前に何回か射てるのでそこで調整します。気にする人は気にすると思います。
大澤 試合前日と同じ状態じゃないと…(笑)。
中野 (アーチェリーにも)そういう人はいます(笑)。
――弓道は「かけ」に特徴がありますよね
大澤 そうですね。手首まで固定してます。
井上 実際に使う時はこの下に汗を吸収してくれる布を1枚挟みます。かけは鹿の皮でできているので水分に弱いんです。
浦田 高いんですか?
井上 3万円くらいですね。
大澤 着けてみますか?
浦田 いいんですか? 緊張する(笑)。
大澤 中高で使っていたやつで今は使っていないものなので大丈夫ですよ(笑)。
「かけ」を着ける大澤(左)と浦田
浦田 うわっ、きれい。すごいなあ。
井上 弦にも掛けてみますか?
浦田 いいんですか? ありがとうございます。
(浦田、大澤の介助を受けながら「かけ」を装着し、弦に指をかける)
浦田 左手には何も着けないんですか?
大澤 左手は着けている人もいるんですけど、流派としては素手ということになってます。僕はテーピングを巻いています。何も着けないので矢の摩擦熱で焼けてしまいます(笑)。
中野 怖ぇ…(笑)。
大澤 矢が通る方だけ手が真っ黒になります(笑)。
浦田 痛くないんですか?
大澤 痛くないですね。毎日100本くらい飛ばしているので慣れちゃいましたね(笑)。
――アーチェリーも用具を着けていただいてもいいですか
浦田 大丈夫です!
(井上、の介助を受けながらアーチェリーの弓具をセットする)
中野 アーチェリーは3本指で掛けるんですよ。
大澤 弓道に使えそう?
井上 私もこうやって引こうかな(笑)。
大澤 俺もかけじゃなくてそっち(タブ、指先を保護する道具)を使おうかな(笑)。
一同 (笑)。
浦田 ぜひ引いてみてください。
井上 硬っ。
浦田 僕のは男子選手ではザ・普通の強さです。彼(中野)のものはもっと強いですよ。
大澤 俺も引けるのかな…。
浦田 でも筋肉すごいから…(笑)。
中野 弓道と使う筋肉は同じなので引けると思いますよ(笑)。
浦田 腕すごいですね。バキバキ(笑)。
一同 (笑)。
大澤 あっ、重い(笑)。
浦田 こっち(スタビライザー)の重さがあると思います。
――実際に器具に触れてみていかがでしたか
井上 持ち上げてみたら軽いのかなと思っていたのですが重いですね。支えるので精一杯です。
大澤 とてもメカニックでかっこいいですね。
浦田 めちゃくちゃ楽しいです(笑)。天井にぶつけないかだけ心配ですね(笑)。
――的の狙い方の違いについてはいかがですか
浦田 アーチェリーはサイトを使って狙います。サイトの中の赤い点を的に合わせます。
大澤 聞き方が申し訳ないんですけど、それで当たるんですか?
浦田・中野 いや、簡単なんですよ(笑)。
浦田 そこに合わせた状態でちゃんと射てたら当たるという感じです。
中野 弓道より全然簡単です(笑)。
大澤 これからそれを使って引きたい(笑)。
井上 アーチェリーは真ん中に行くほど点が高くなるけど弓道は当たれば点になるというところの違いは狙い方の違いかも知れませんね。
中野 確かにそうですね。弓道と同じくらいの距離の種目もあるのですが、どれだけ10点を外さないかという勝負になりますね。
――弓道はどのように狙うのですか?
井上 (アーチェリーのように照準器が)付いていないんですよね。弓を真ん中において両目で見ると的が透けて見えるんですよ。見える的の位置を覚えてそれを基に狙います。
浦田 (弓の矢摺藤(やずりどう)を見て)段差がいい感じのところにありますね。
井上 これで数えて狙う人もいます。私はだいたいこの辺というのはあるのですが、感覚です(笑)。
大澤 僕はめちゃくちゃ確認するタイプです(笑)。でもだいたいみんな狙いは一緒です。狙いの決め方はフィーリングで決める人もいれば、試合前日にここに的を合わせれば必ず当たるというのを決める人もいます。でもフィーリングでやっている人の方が多い印象があります。
井上 「ここだ!」ってなるんですよね(笑)。
大澤 当て勘っていうんですけど、その日ふとここなら当たる気がするというのがあるんですよね。
――それぞれ「早稲田の射型」というのはありますか
井上 弓を構えるまでは先に弓を持ち上げてから(弓を)開くのと下で(弓を)開いてから持ち上げる2通りがあるのですが、早稲田では後者でやっています。また、弓手(ゆんで)の方が強いのが「早稲田の射型」とOBの方々や指導者の方々に言われることが多いです。
大澤 (構える際に)最初に弓を持ち上げるのですが、その時に体の正面で持ち上げることを正面、体の斜め側で持ち上げることを斜面といいます。全国的には正面の方が多くて、東京では斜面で引いている高校は3校しかないんです。地域によるものなので、西の方では斜面で引くところが多いです。それ(斜面で引いていること)が早稲田の特色なのかなと思います。関東の大学では3校しかないので、珍しい流派で引いてると言えます。
中野 高校から始めたりとか中学から始めたりした人は大学で矯正するんですか?
井上 私は中学からやっているのですが、改流しました。
中野 感覚は違うんですか?
井上 結構違いますね。くせが抜けなかったりとか、結構ありますね。
大澤 僕は中学で正面で引いていて、高校で早実に入って斜面に変えたんですけど、使う筋肉が違うので、そこで苦労した記憶があります。
――アーチェリーはいかがですか
中野 早稲田の射型というよりかは人によって本当にばらばらなので…女子はきれいかな。
浦田 女子はちゃんと打ってちゃんと当てるタイプで、男子は試合になると当てたい欲が出てきてますね(笑)。
一同 (笑)。
――新人の指導はどうされているのですか
中野 技術指導という役職の人が一人いて、今は杉田君(杉田蒼月、教4=東京・麻布)がやってくれています。新人の未経験の子には基本的に技術指導の人が教えて、カリキュラムなどを作ってそれを基に監督、コーチ、他の先輩が教えに入るという感じですね。でも確かに未経験の子はその年の技術指導の人と射型が似てるかもしれないです。
大澤 技術指導ではないけれど、新入部員の子に教えてほしいと言われたら引き方の指導をすることはあるんですか?
中野 そうなんですけど、人によって結構言い方がばらばらなときに迷っちゃう子が多いので、取捨選択をしようというのは絶対最初に言っています。自分でやってみて全然はまらなかったら、いくら先輩から教えてもらっていても無視していいよと(笑)。
井上 一緒だね。
大澤 そういうものだよね。
一同 (笑)。
大澤 今、男女の違いみたいな話があったと思うんですが、女子はきれいに引いてきれいに当てるとかはめっちゃ一緒ですね。
一同 (笑)。
井上 私も思った(笑)。
大澤 うちも女子はやっぱりちゃんと体配がきれいで、それこそさっき弓道部の魅力で体配が出てこなかったんですが(笑)。
一同 (笑)。
井上 ね、男子ひどいよね(笑)。
大澤 指導に来てくださるOBの方たちに体配が汚いと、当たっていても美しくないとよく男子は怒られますね。
中野 全く同じです(笑)。
大澤 良かった、共通点があった。すごい今親近感が湧いてきて(笑)。
――早慶戦について伺いたいと思います
井上 女子は勝ちましたよ!
大澤 男子はちょっと…負けましたね。
中野 うちも女子が勝って、男子が負けました。
――早慶戦の部の中での位置付けはどうですか
中野 僕らは相当重く捉えてます。
井上 一緒ですね。印象としては特に監督が、「慶応には絶対負けないから!」と熱がすごいのですが、学生の中でも慶応には負けられないという気持ちがあります。
中野 今、アーチェリーだと本当に実力が拮抗(きっこう)しているんですよ。慶応だからという理由よりは、点数が拮抗しているライバル校だからこそ重く捉えているところはあると思います。慶応が強すぎたり弱すぎたりしたらそんなに重く捉えないかもしれないです(笑)。女子部はあんまり重く捉えてないかもしれないです。
――早慶戦ならではの特色はありますか
大澤 形式とかはどことやるときも一緒だと思います。
中野 アーチェリー部も変わらないですね。今年は基本的に他大学との定期戦はショートハーフという50メートルと30メートルで行われるんですが、同志社と早慶戦だけは70メートルでやりました。でもそれも年によって違いますし。今はコロナ禍でできないですが、コロナ前はおじさんたちがいっぱい来る(笑)。
浦田 めちゃくちゃいらっしゃる(笑)。
――弓道部はそういったことはありますか
大澤 今年はコロナ禍でかつ相手校の弓道場で引いたので人数制限があったのですが、1年生の時に参加させていただいた早慶戦はOBの方たちがずらりと集まっていらっしゃいました。
井上 あとは試合の後に懇親会をやりますね。
中野 あー、それはあるかもしれない。
井上 そうですよね。他の大学だと明治とか関西の3校とか限られたところと、ですかね。慶応は試合中はバチバチで終わった瞬間にみんなで懇親会をしますね。
大澤 男子は無いんだよね。
井上 え、無いの?
大澤 男子は結構バチバチやった後、普通に「じゃあ」って帰る。
一同 (笑)。
大澤 写真とかはあるよ。一緒に並んで写真撮って、「じゃあ」って(笑)。バチバチに戦ってるからさ、終わった後すぐ「うぇーい」ってなれない(笑)。
一同 (笑)。
大澤 さっきの話題に戻るんですが結構実力も拮抗しているので、昨年もリーグ戦の入れ替え戦っていう大事な試合も早慶で戦いましたし。そういった意味で練習試合から勝って圧を掛けていく、苦手意識を持ったり、いつも練習試合で負けているから勝てないというメンタリティに陥らないように、ということは意識していますね。
大澤 まあ、仲はいいけどね(笑)。
井上 そうね。
――プロではなく大学でスポーツをやる意義はどんなところだと思いますか
大澤 弓道はプロはないですね。
井上 国体を目指したりとかそういうくらいかなと思います。
井上 大学そのものにいろいろな人がいると思うのですが、部活も一緒だなとすごく思います。中学高校からやってきた経験者の人もいますし、未経験で入った人もいますし、留学生の人とかもいたりして、バックグラウンドもそうなんですが考え方も全然違います。部内で運営方針とかもめたりすることもあるのですが、いろんな考えを持った人がいるからこそ、そういうふうに考える人もいるんだと発見があったりします。
大澤 難しいですよね(笑)。あの、アーチェリー部に入ろうか悩みましたか?
中野 いや、全然ですね。
大澤 そうなんですよ。僕もいざ入学したら自然と弓道部に足を運んでいたので、大学で体育会の選択肢以外をあんまり考えたことがなかったから、大学でスポーツをやる意味を今改めて問われると(笑)。自然な選択だったなって思っちゃって。
井上 自然なんだ。
――自然ではなかったですか
井上 私はもともと弓道サークルに入ろうと思って見学に行ったんですが、雰囲気が全然合わなかったので弓道はもう高校で終わりだなと思っていたんです。サークル中心に探していて、それか相撲部のマネージャーになってちゃんこ鍋食べようかなとも思ってたんですが(笑)。
一同 (笑)。
井上 なんだかんだ紆余曲折(うよきょくせつ)あって入ったので、もともとは体育会に入るつもりは1ミリもなかったです。
浦田 僕の同期でもう1人入りそうなやつがいて入らなくて、僕は中野がいたから安心で大丈夫かなと思って入りました。王座っていう大学生がチームを組んで出る試合があるのですが、そこに入部前に見学に行ったんです。それがすごくかっこよくて、どの大学もみんな熱意をもって負けたら泣いてみたいな感じで、それがいいなと。
中野 熱量は大学スポーツならではなのかなと、高校でも同じかもしれないですが(笑)。僕らは高校時代はちゃらんぽらんにやっていたので(笑)。
一同 (笑)。
中野 大学は熱量がすごくあるなと思っています。付属校だったので流れでそのまま大学のアーチェリー部に入るんだろうなという感じで入ったんですが、入ってから初めて見た王座で先輩たちがすごい燃えてて、それがすごくかっこよくて。
浦田 あれはかっこいい。
中野 それは一つ特徴なのかなと思います。一つの大会に懸ける思いが、大学スポーツは大きい気がします。
大澤 どんなに優れている選手も4年しかやれないからこそ、お世話になった先輩たちもそうですし次に残す後輩たちのためにも、限られた期間だからこそ全員が熱量をもってやっているのが、今大学でスポーツをやっていて良かったなと思っていることですね。
――早稲田のスポーツの良さはどんなところだと思っていますか
中野 それこそアーチェリーなんかのマイナースポーツでも取り上げていただく機会が多いので、それは早稲田のスポーツだからこそかなと思います。早スポの方も結構遠くまで遠征にいらしてくれますし。
浦田 ほんとにありがたい。
中野 他の大学ではそんな取材陣とかは見ないのでそこはすごくありがたいですし、広めてくれようとしているんだなというのはすごく伝わってきて、自分のモチベーションにもなっています。
井上 直接の関わりがなくても早稲田の体育会というだけでやっぱり仲間意識を持ちますね。見に行ったことはないんですが、野球やラグビーの早慶戦のニュースが流れてくると「頑張れ」と思います。私、箱根駅伝が結構好きで、お正月ずっとこたつに入りながら見ているんですが、無意識のうちに早稲田を応援していたりします。早稲田はブランド力もあると思うので、同じ早稲田の体育会だと思うと親近感が湧きます。
――対談前後でお互いの部や競技について印象は変わりましたか
中野 楽しそうな部活だなと思いました(笑)。
一同 (笑)。
大澤 同じですね(笑)。
井上 割と似たところがあって、親近感が湧きました。
大澤 もっと違うイメージ、もっとなんかスマートにやっているのかなと思ったんですけど、泥くさい部分も見えてきて親近感が湧いたなって(笑)。
浦田 弓道って堅いイメージがあったんですが、すごいいい方たちで面白いなって思いました(笑)。部活も楽しそうで、いいですね。
一同 (笑)。
――ありがとうございました!
(取材・写真 新井沙奈、星野有哉)
◆井上采香(いのうえ・あやか)(写真左)
東京・吉祥女高出身。文化構想学部4年。弓道女子部の大黒柱。自分に厳しく常に高い目標をもって、誰よりも周りに目を配りながら部をまとめ上げる。この対談のために快く弓具を持ってきてくれるなどとても協力していただいています。部員の皆さんへの愛は確実に宇宙より大きい
◆大澤暢(おおさわ・みつる)(写真中央左)
東京・早実高出身。創造理工学部4年。弓道男子部のお兄さん的存在。たくさんの部員に積極的に声を掛けたり、コミュニケーションをとっています。試合で良い的中が出た選手には笑顔でグータッチ。今回の対談でアーチェリーの弓を見て理系の血が騒いだもよう
◆中野勇斗(なかの・ゆうと)(写真中央右)
東京・早大学院高出身。商学部4年。共闘は7年目となる浦田選手とは深い信頼関係で結ばれている中野主将。浦田選手の広い肩幅が高校時代からうらやましいそうです!
◆浦田大輔(うらた・だいすけ)
東京・早大学院高出身。基幹理工学部4年。両部から2人ずつの参加となった今回の対談。「中野主将の相方といえば浦田選手」という女子主将からの指名により浦田選手の参加が決まったそうです!