漕艇部
2022.04.15
【連載】早慶レガッタ直前特集『One WASEDA』第6回 中島湧心主将×菅原陸央副将×阿部光治副将
今年早大漕艇部を率いる、中島湧心主将(スポ4=富山・八尾)、阿部光治副将(スポ4=愛知・猿投農林)、菅原陸央副将(政経4=秋田・本荘)。昨シーズンはそれぞれ異なる過ごし方をしてきた。3人が最後の早慶戦に掛ける思いとは。
※この取材は3月31日に行われたものです。
「やっぱりレース楽しいな」(阿部)
――昨シーズンの振り返りをお願いします
阿部 昨シーズンは代表選考が3月にあってそこから始まったんですけど、その代表選考で代表になることができず、次に迎えた早慶戦でも負けてしまって…。あんまり気持ちの良いスタートは切れなかったんですけど、残りのインカレ(全日本大学選手権)に向けて頑張れましたね。でもコロナで延期とかも色々あって、途中気持ちが切れる部分もあったんですけど、インカレ迎えた時はやっぱりレース楽しいなって思って頑張れました。その思いが今シーズンもあって、早慶戦も代表選考も楽しみですね。
中島 僕は去年1年間怪我していて、早慶戦が終わってからずっと大会も練習も全然やってなかったんですけど、今回の早慶戦が復帰戦ということで絶対負けられないなって思ってます。
――どこを怪我されたんですか
中島 ケツなんですけど(笑)。ケツの付け根の部分がずっと痛くて、なかなか治んなくてって感じでした。
――今のコンディションは100%に近いですか
中島 まあ、今はほとんど100%に近い形で漕げるようになりましたね。
――練習や大会に参加されていない時は何をされていましたか
阿部 GPA向上だろ(笑)?
一同 (笑)
中島 まあ勉強やるしかないってのと(笑)、1年生で未経験で入ってきた子の指導とかを中心にしてましたね。トレーニングも全然できなかったのでそこが中心でした。
――菅原選手は昨シーズンを振り返っていかがでしたか
菅原 自分は昨年の早慶戦は腰を怪我してて出られなくて、その時期は新歓活動を中心にやってましたね。次インカレにむけて頑張ろうって練習したんですけど、コロナで延期になって。怪我から復帰してやる気出てきたところで延期っていう感じだったので、勝ちたいという意欲を継続させるのがなかなか難しいシーズンだったかなと思います。インカレ、全日本(全日本選手権)も自分達のクルー4人中3人が怪我持ちで。大会直前になってそれがまた悪化しちゃったりして、結果も残せなくて。同じ船に4年生も乗ってたんですけど、それで引退って形になってしまいました。本当に悔しいなっていう思いでシーズンを終えましたね。今回は自分にとって最初で最後の早慶戦になるんですけど、それで対校も乗せてもらえて、ここから良い流れ作っていきたいなって思ってます。今はその気持ちが強いです。
――昨年のインカレ2位という結果についてはどう思いますか
阿部 練習の時はメダル獲れないんじゃないかって思ってて。あんまり良い出来じゃなかったんですけど、レースしてみたらレースごとに良くなっていって、優勝はできなかったんですけど、成長を感じられたんで良かったと思います。
「より選手が主体のチームに」(中島)
――三役になった経緯を教えてください
中島 監督と上級生が決めたって感じですかね。
菅原 今の木目田監督じゃなくて内田前監督と、去年の主将と副将の先輩方が話し合って決めたって感じですね。
――三役に選ばれた時どう思われましたか
阿部 まあこんな感じなのかなって(笑)。
中島 うーん、正直僕はその時怪我してて全然漕いでなかったので、大丈夫かなとはずっと思ってました。
――今年はどんなチームにしていきたいですか
中島 僕が前から思ってるのは、強いチームっていうのはもちろん目指すところではあるんですけど、やっぱりそれと同時にいろんな選手がいろんな意見をし合えるようなチームにしたいと思っていて。いろんな選手からの意見って貴重だと思うので、意見しやすいようなチーム作りをしていきたいと思ってます。
菅原 主将がこう言ってるので(笑)、その方針に従いつつ、個人的に思うのは、良い意味で頭のネジが飛んでる人もいますし、そういう人が案外頭切れてたりするし、面白い人たちが集まってるなって思うので、そういう人たちを部活の、自分たちの決めたルールで変に縛りたくないなって思いますね。そういった個性をみんなが発揮できるように、日本一という目標に向けてみんなの気持ちのベクトルを合わせていければ、結構強いチームになれるんじゃないかなって思ってます。そういう役割を自分達がやっていけたら面白いだろうし、部活自体も結果ちゃんと残せるのかなって考えてますね。
阿部 僕はチームの運営にあんまり携わってないのでまあアレなんですけど、選手としては去年怪我する人が多かったので、怪我なくみんなが笑顔で大会を終われるチームになれば良いかなって思ってます。
――今年、監督が変わられましたがその影響はありましたか
阿部 (寮の)壁が綺麗になりました(笑)。
中島 選手の意見がより汲み取られやすい環境になりましたね。より選手が主体のチームになったかなと。
菅原 うーん、それが一番大きいかなあ。結構監督は自分たちに決めて良いよって感じで言ってくださってるので、ちゃんと自分たちで考え持ってやれてれば、ちゃんと尊重してくれるし、逆に自分たちが何も考えてなければそれは部が何も動かないってことになっちゃうので。自分たちリーダー陣の責任感というか、考えなきゃいけないことは色々あるかなって思いました。
――キャプテン、副キャプテンとして意識していることはありますか
中島 僕は、後輩に何か言うときでもまずは自分ができているか確認するってことですかね。やっぱり自分ができてないと。うーん、そのくらいですかね(笑)。
阿部 僕は、あんまり生活態度とかが良い人ではないんで(笑)。そこで自分が後輩に示せるものと言ったら競技力なので、その面でこういう人もいるんだなっていうのをしめしていけたら良いですね。
菅原 自分は他の二人が結構個性的というか、クセがあるというか(笑)。良い意味で面白い人たちなので、自分がそういうのを上手くまとめるというか。自分は真面目な仕事とか部の方針とかをちゃんとしてくれるんじゃないかなっていうので監督に選ばれたと思うので、そこを意識してますね。毎週やってる作業であったりだとか、ちゃんと自分がやれる分はやってという感じで。自分がそうすることで、こういう一癖二癖あるような人たちに輝いて欲しいという思いがありますね(笑)。
――どう個性的なのですか
菅原 あー、まあ見た目から結構個性的ですけど(笑)。でも二人ともさっき言ったように競技力の面では高校時代からすごい選手ですし、自分とは比べ物にはならないくらいちゃんと繊細だし、パワーもあるし、上手だし、そういったところは他の選手と一線を画してる感じがします。あとは自分になくて二人にあるなって思うのは、生活とか練習とかに対して自分なりのこだわりを持っているところです。そういうところは良い刺激をもらってるなって思いながら、吸収したいところは自分も勝手に吸収させてもらって今まで過ごしてきてますね。そういったところは引退まであと数ヶ月、出していって欲しいです(笑)。
「まずは試乗会に来てほしい」(阿部)
――新歓に力を入れていると思うのですが、漕艇部の魅力を教えてください
阿部 漕艇部の魅力は寮費が掛からないことです(笑)!
中島 そんなとこかよ(笑)。
菅原 まあ確かにそれは魅力的だね(笑)。めちゃくちゃ安いよね。
菅原 魅力かあ。安いよね(笑)。
中島 いや、もっとあるでしょ(笑)。安いのもいいけど(笑)。
阿部 新歓向けで言うならさ、あれじゃない?一回辞めようか迷っても結局帰ってくる魅力じゃない?
菅原・中島 うーん(笑)。
阿部 選手で辞めようってなって辞めてく人あんまりいないですね。意外と戻ってきますね。やっぱりボートを漕ぐんだ!みたいな感じで(笑)。
菅原 なんか魅力はあるんだろうね、やっぱり。練習も本番もめちゃくちゃ辛いのを毎日やってるんで、どうしても気持ちが切れちゃうときもあると思うんですけど、でもいざ生活からなくなってみると刺激が無いなって思うんですよね。
阿部 辞めよう辞めようって言ってるやつはめっちゃいるんですけど、辞めたやついない、みたいな(笑)。
菅原 ボート嫌いって言いつつ、多分みんな大好きなんです(笑)。
阿部 癖になるというか、やっぱりやってみなきゃ分からないって感じなんですかね。だから、まずは来てほしいですね。試乗会に。言葉では伝わらないものがあると思うので。
「勝たないといけないというプレッシャー」(菅原)
――現在の対校エイトの完成度はいかがでしょうか
中島 完成度は高いです。例年に比べてクルーを結成してからの練習期間が短かったんですけど、その中でも一回一回の練習で技術的なところだったりを改善していけてるので、かなり完成度は上がってきているのかなと思いますね。
――隅田川での練習はどうでしたか。
菅原 うーん、まあコンディションは悪いですかね(笑)。
中島 独特の雰囲気はありますね。直線でもないですし、距離も普通のレースとは違いますし、特別なレースって感じです。
――早慶戦についてはどんな思いがありますか
阿部 ここのレースと違って慶應と早稲田しかレースしないってのと、直線じゃないってことと、予選とか準決勝とかがなく一発本番で相手がどんな戦略でくるかも分からないし、結構未知なレースで。言ってしまえばぶっつけ本番みたいな感覚でコンディションも悪いので、気がついたら大会が終わってるってことがあって、その中で一本を出し切るという集中力が求められるのかなって。絶対に負けないっていう気持ちも重要なのかなって思います。
――早慶戦の魅力は何ですか
阿部 観客席の応援は見てて面白いですね。戸田の大会とは盛り上がり方が違って、。初めて見た時はこんなに盛り上がるボートの大会が日本にあるんだってぐらい結構盛り上がってましたね。最近はコロナでちょっとあれですけど。
――有観客と無観客では気持ちの面でも変化がありますか
中島 去年はいないのかって、ちょっと残念でしたね。
菅原 寂しかったよね(笑)。
――お二人はいかがですか
菅原 勝つか負けるかしかないので、それが魅力でも残酷でもあるようなレースだと思うんですけど、やっぱりレースに関わっている人の思いが特別なので、勝った時の喜びだったり、負けた時の悔しさだったりが戸田でやるレースとは違うところが魅力なのかなって思いますね。それと同時に勝たないといけないというプレッシャーがありますね。</p
中島 やっぱり1対1なのでかける思いが違うというか、勝ちたいという気持ちが普通のレースよりも強いのが魅力かなと。絶対に負けられない戦いです。
――過去の早慶戦の思い出はありますか
中島 僕は去年1回しか出てないんですけど、去年は一番前で漕ぐ予定だったんですけど本番2週間くらい前に怪我が悪化してしまって。注射とか打った上で無理やり出て、これで勝てなかったら最悪だなと思ってたんですけど、それで本当に負けちゃって、また一年漕げなくなって。だから、今のところ早慶戦で良い思い出はないですね(笑)。なので、今年は絶対勝ちたいです。
阿部 1年生の時に、ほとんど話したことなかった3年生のマネジャーの人と一緒に桜橋で観戦していて、早稲田が勝ったあと、「やったー!」って抱き合ってて。終わった後、今の流れだったら全然知らない女性ともハグできんじゃないですかねとか話してたんですけど、結局誰ともしなかったです(笑)。
一同 (笑)
菅原 えー、思い出かー。2年生の時に自分は対校乗れたんですけど、その対校に乗るための枠を争う選考レースみたいなのがあって。正直自分は勝てると思ってなかったんですけど、そこで勝てて乗れたんですよね。「早慶戦で絶対勝ってやる!」って思ってたら中止になっちゃって、それで一気に気持ちが抜けちゃったことがあります。思い出って言っていいのか分からないですけど(笑)。その出来事は自分の中で結構印象深いですかね。せっかく乗れたのに大会無くなっちゃったっていうのがずっと心にありました。今はそのリベンジに燃えてます。
――早慶戦に向けて意気込みをお願いします
阿部 去年は僅差で負けたので、今年は去年の早稲田は何だったんだと言わせるくらい大差で勝ちたいです。
中島 僕はそうですね、死ぬ気で勝つってことだけ考えてます。
菅原 自分は負けてられないなって感じですね。ここで負けてチームが落ち込むのも嫌なので、良い流れを作るためにも慶應なんかに負けてられないぐらいの強気でいきたいです。
――ありがとうございました!
(取材・編集 宮下幸、冷水睦実)
「黄金時代」(菅原)、「死ぬ気で勝つ」(中島)、「背水の陣」(阿部)
◆阿部光治(あべ・こうじ)(※写真右)
愛知・猿投農林高出身。スポーツ科学部4年。副将。早慶レガッタに向けた練習と代表選考に向けた練習を両立しています!
◆中島湧心(なかじま・ゆうしん)(※写真中央)
富山・八尾高出身。スポーツ科学部4年。主将。怪我から復帰し、昨年の早慶戦以来、1年ぶりの出場となる中島主将。気合十分です!
◆菅原陸央(すがわら・りくお)(※写真左)
秋田・本荘高出身。政治経済学部4年。副将。昨年は怪我で苦しんだ菅原副将。ラストシーズンにかける思いは人一倍です。