漕艇部
2022.02.12
【連載】『令和3年度卒業記念特集』第7回 船木豪太/漕艇
『人間万事塞翁が馬』
船木豪太主将(スポ4=静岡・浜松北)はインタビューの最後に大学の競技生活を表す言葉として「人間万事塞翁が馬」を挙げた。全日本大学選手権(インカレ)で2位の好成績を収めた男子エイトを率いた男子部主将に漕艇部での生活を振り返っていただいた。
高校からボートを始めた船木は、最後の高校総体で思うような結果が残せず、大学でもボートを続けることを決める。早大に進学し、はじめに驚いたのは整った環境だ。専任の監督や様々な分野のスペシャリストがチームに属していて手厚いサポートを受けられた。また、競技面でも優秀な選手たちが集まってきていて、チーム内での競争が激しい点も新鮮だったという。
船木は1、2年生の頃はほとんど結果を残せなかった。2年の全日本新人選手権で準優勝した以外は部内選考をパスすることができないことが多かった。中でも高校時代のエルゴの記録を更新することができないことに、悔しさや歯がゆさを感じていたという。「これが4年間続くのはきついなと思った」と振り返った。しかし、そんな船木に転機が訪れる。3年生の春に新型コロナウイルス流行で部活動が停止になったのだ。実家に戻り自主練習として体幹と基礎体力のトレーニングを行ったことで、コンスタントにいいパフォーマンスができるようになった。そのかいあって花形種目である対抗エイトに乗ることができるようになる。
A決勝進出に喜ぶ船木(右から2番目)
最後のシーズン。2年ぶりの開催となった早慶レガッタ。早慶戦スタッフが頑張って開催までこぎづけてくれたので不甲斐ない試合はできないと思ってはいたが、どこかにこのメンバーで負けるはずがないという慢心があった。対抗エイトで慶大に惜敗。インカレでこんな思いはもうしないと決意した。インカレでの目標はもちろん優勝。結果は2位で、目標は達成できなかったが悔しい思いよりもわいてきたのは「やり切った」という気持ちだった。4年間で初めて感じた感覚で、本当に4年間やってきてよかったと思った。 人間万事塞翁が馬の意味は不幸が来たからと言って落ち込んでばかりいることはない、今度はきっと幸福がやってくる。幸福が来たからと浮かれてばかりでもいけない、禍福は予測ができないものだという意味だ。早慶レガッタでの慢心のようなことや1、2年時の伸び悩みなど、何かを達成するためには一歩一歩進んでいくしかない、それを実感した漕艇部生活だった。
(記事 冷水睦実、写真 内海日和)