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2021.12.28

【連載】箱根事前特集『実』 第16回 室伏祐吾

 『エンジに白地のW』。このユニホームに憧れ、早大へ入学する選手は多い。室伏祐吾(商4=東京・早実)もその一人だ。今年は3月に虫垂炎を患って遅れるも、最後の東京箱根間往復大学駅伝(箱根)に向けて、調子を上げてきた。最後の箱根で出走を果たし、積年の夢を成就させることができるか。今季の振り返り、4年生全体のこと、そして早大で箱根を走ることへの思いについて伺った。

※この取材は12月12日に行われたものです。

「悔いなくやろう」

インタビューに応じる室伏

――16人のエントリーに入った現在の心境はいかがですか

 去年もそうですが、エントリーされることがゴールではなくてそこは通過点なので、チームを代表して選ばれたことには責任を持ちつつも、ここからどう調子を上げていくかを今は考えています。

――去年と今年でエントリーされたことについて、心境の違いを感じてらっしゃいますか

 今年は4年生で最後ということで、何としても走りたいと思いますし、チームとしても何としても優勝したいという思いが強くあります。

――エントリーメンバーには4年生が7人入っています。その中には、今夏共にBチームで練習をした選手が多く入っています

 4年生が多いことに関しては、「この代で3大駅伝を優勝しよう」と1年生の頃から言ってきたので、順当というかここまで来れたかなという思いがあります。陽平(河合陽平、スポ4=愛知・時習館)や山口(賢助、文4=鹿児島・鶴丸)といったBチームでやってきた人間が多いことについては、今は集中練習が始まってボリュームもあってきつい中で、一緒に声をかけて箱根に向けて頑張っていけているのかなと思います。

――11月20日に行われたハーフマラソンのタイムトライアルについて伺います。レース結果を振り返るとどのように感じていますか

 トータルのタイムとしては全く満足できるものではなかったです。内容的にも、最初は(レースが)ゆっくりで、動いたところのペース変化にうまく対応できずに足を使ってしまったところが、もったいなかったなと思います。

――レースのペースが上がったのはどのあたりでしたか

 7キロ、8キロくらいですね。

――先頭から離れてしまったのはどのあたりでしたか

 10キロ手前くらいでした。

――目標のタイムは決めていましたか

 タイムとしては箱根の復路を想定して、1キロ3分から3分1秒くらいのペースで押していければいいかなと思っていました。

――箱根の選考にも大きく関わってくるようなレースだったの思うのですが、レースに向けて意気込みのようなものは感じていましたか

 絶対に良い走りしたいなと思っていたので、(結果が悪くて)落ち込みはすごくありましたね。箱根に向けては外せないなという思いではずっといました。

――「外せないな」という気持ちは、20日のレースを経てより強まりましたか

 その後から集中練習に入って、集中練習がどのように進んでいくかも分かっていて、残りの日数が具体的に見えてくる中で「悔いなくやろう」と思って常に練習をしています。

ブランク乗り越え 最後の夏合宿で練習を積む

21.1キロタイムトライアルでは悔しい走りとなった

――今年の1年間をざっくり振り返っていただけますか

 とにかく前半シーズンはうまくいかなかったなと思います。逆に後半はうまく立て直せてはいるのですが、自分としては納得いかない結果だったかなと思います。

――昨年に比べると5000メートルや1万メートルのタイムが物足りない状態が続いていますが、その原因についてはどのように考えていますか

 去年は1年を通じて練習が積めて、特に自粛期間の4月~6月に練習を積めたことが特に大きかったなと思います。今年は3月末に盲腸になってしまって、その手術をして1カ月間走れませんでした。立ち上げも5月になってレースに出始めたのが6月になりました。その期間に練習を積めなかったことが大きかったなと思います。

――盲腸になってしまったことのブランクは、やはり感じましたか

 最初はすごく感じました。ただ、ケガとかよりは復帰はしやすかったなと思います。いつもケガ明けだと少し痛い状態から始めることもあるのですが、足に痛みとかはなくて、体がとにかくきついだけだったので、その辺でやりやすさはありました。

――夏合宿について伺います。合宿を振り返って、どのようなところが良かったと感じていますか

 菅平合宿の最初の方で左の腸脛(ちょうけい)に痛みが出たのですが、大きな離脱なく最後までやり切れたのは良かったなと思います。

――4年生としてBチームを引っ張る立場だったと思うのですが、その時にどのようなことを意識されていましたか

 今年はBチームに半澤(黎斗、スポ4=福島・学法石川)がいたので、半澤が主導でやってくれました。自分は引っ張るというよりかは、半澤が言っていることに合わせて4年生全体としてやっていこうという意識でやっていました。

――半澤選手はどのようにBチームを引っ張っていたのですか

 例年Bチームの合宿だとミーティングを頻繁にやるのですが、内容が曖昧というかあやふやなところがありました。その中で半澤が主導となって、こういうことを話し合おうということを決めて、それを下に落とし込んでミーティングをやったので、例年に比べると有意義なものになったと思います。ミーティングをやるとモチベーションも含めて意識が変わるところもあるので、良かったなと思っています。

――ここからは4年生全体のことについて伺います。今年の4年生は推薦組の選手も一般組の選手も強く、人数も多い学年だと思います。室伏選手から見て、競技面、それ以外のところでどんな学年だと感じていますか

 競技面では、ずっと『黄金世代』と言われてきたようなメンバーが集まっている代だなと思いますし、早稲田って推薦が少ないと言われる中で、質量ともに近年一番優勝を狙える代だなと思います。競技面以外のところで言うと、人数は多いのですが、仲が良いというか、まとまりのある学年だなと思います。

――学年の中でリーダーシップを発揮されている選手は誰になりますか

 競技面だと千明(龍之佑駅伝主将、スポ4=群馬・東農大二)ですし、それ以外の面だと半澤だなと思います。

――千明選手と半澤選手が引っ張って、その他の選手がついていくというかたちだと思うのですが、最上級生になったことで変化を感じることはありましたか

 千明は主将になって、競技に対する意識がすごく変わったなと思っています。自分たちで主将を決める時にも、寝坊も多かったり、細かいところがちゃんとしていなかったりして、「ちゃんとできるのか」という声もあったのですが、(主将になってからは)ちゃんとするようになって、主将としての自覚を持ってくれているのかなと思います。半澤に関しては、もともと周りが見えて人をまとめるのがうまいタイプなので、1年生の頃から変わらずやってくれているのかなと思います。

――Bチームにおいては、4年生の中で誰がどのような役割を果たしていましたか

 今年の夏は半澤がいたことで、全体の引っ張りは半澤がやってくれたと思いますし、Bチームならではの距離を走るだとか泥臭くやるところは、河合陽平や山口といったように、4年生全体でできたのではないかなと思います。

最後の箱根は何としても優勝を

――続いて、駅伝シーズンのことについて伺います。全日本大学駅伝対校選手権(全日本)では13人の最終エントリーメンバーに残りながらも出走を逃しました

 13人のメンバーには入ったのですが、割と早い段階から20日の20キロに行くよ、合わせるよとは言われていました。出走メンバーと一緒に練習していていても、自分の状態確認ではないですが、自分がどれくらいできるのかなと自分を試すような感覚で練習をやっていました。

――出走メンバーと一緒に練習をされる中で、手応えを感じることはありましたか

 シーズン序盤は出遅れて自分としてうまくいかないなと思っていた中で、全日本前の強化期のあたりからやっと状態が上がってきたことを実感できた期間ではあったかなと思います。

――3冠を目標としていた中で、出雲、全日本ともに6位になったことについては率直にどう受け止めていますか

 3冠を掲げていた中で二つの大会で優勝にかすりもしなかったというのは悔しいなと思いますし、だからこそ最後の箱根は何としても取りたいなと思っています。

――『箱根駅伝2022完全ガイド』の「目標、憧れの箱根ランナー」のところで、駒野亮太長距離コーチ(平20教卒=東京・早実)の名前を挙げていましたが、どのような理由からですか

 自分と同じで早実から早稲田という流れをたどった方で、最後の4年時に主将で山を上って区間賞を取って往路優勝ということで。陸上をやっていなくてもすごいことだとわかりますし、自分が4年間やってきて、上級生という立場的にも実力的に箱根に近づいていく中で、その偉大さをより感じるようになりました。

――駒野コーチから4年間指導を受けた中で、印象に残っている言葉などはありますか

 常に自分のことをよく見て、アドバイスをくれたかなと思います。入る前は、怖いコーチというイメージがあったのですが、4年間やってみると、もちろん理不尽に怒ることはないですし、的確に指示をくださったおかげでここまで成長できたのかなと思います。

「早稲田で箱根を走ることを目標に10年間やってきた」

――最後に箱根について伺っていきます。現在の調子はいかがですか

 (20日の)ハーフは良くなかったですが、集中練習に入ってからはかなり状態が良いです。去年は1年間通じて良かったのですが、この時期くらいから左足の大腿(だいたい)が痛くて(調子は)下降線をたどっていたと思うので、12月に入ってから調子を上げられているのいい点かなと思います。

――集中練習の消化状況はいかがですか

 昨日は少し良くなかったのですがそこまでは全部できているので、消化状況としてはいいかなと思います。

――箱根本番に向けて改善したい点はありますか

 ハーフで浮き彫りになった後半、特に15キロ以降のスタミナを克服していきたいというか、集中練習の序盤でそういう練習が入っていて、しっかりとできていたので、ある程度克服できているのではないかなと思います。

――昨年の対談の際に「10区を走りたい」とおっしゃっていましたが、今年も希望区間は10区ですか

 10区で去年のリベンジをしたいなという思いもありますし、復路であればどこでもいける準備をしていきたいなと思います。

――部員日記において「早稲田のユニホームを着て栄光をつかみ取ることの素晴らしさ」について書かれていましたが、早稲田で優勝することの素晴らしさはどのようなところから感じていますか

 早稲田の名前を背負って、競走部であれば『エンジ』、ラグビー部であれば『赤黒』を着れる人間は一握りですし、その中で栄光をつかみ取れるのはさらに一握りだと思います。自分はまだ成し遂げたことはないですが、「早稲田で箱根を走りたい」ということを目標に10年間やってきた中では、憧れや思いみたいなものはすごくあります。

――「早稲田で走りたい」と最初に思ったのはいつ頃ですか

  明確にここというのはないのですが、わりと物心ついたとき、小学校2、3、4年生くらいには思っていましたかね。

――駒野コーチの優勝を見た影響も少なからずあるのでしょうか

 ちょうど竹澤さん(健介氏、平21スポ卒)もいて、駒野さんが優勝した時期でもありましたし、一番は家族の影響が大きかったですね。父と祖父が早稲田出身で、父は3人兄弟なのですが3人とも早稲田(出身)で。もともと一家で正月に集まって箱根を見て応援するので、早稲田への憧れがあった中で、ちょうど強い時期と重なって。それが組み合わさって「早稲田で走りたい」と思うようになったかなと思います。

――最後の箱根に向けての意気込みをお願いします

 泣いても笑っても競技人生最後のレースになると思うので、全てを出し尽くして、最後みんなで大手町で笑顔で笑って終われたらいいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 杉﨑智哉)

◆室伏祐吾(むろふし・ゆうご)

1999(平11)年9月14日生まれ。169センチ。東京・早実高出身。商学部4年。5000メートル14分15秒75。1万メートル29分04秒18。ハーフマラソン1時間7分13秒。早大で箱根を走ることへの強い思いを語ってくれた室伏選手。支えてくれた多くの方に『恩返し』の走りを見せて、笑顔で競技生活を締めくくります!

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