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2021.12.26

【連載】箱根事前特集『実』 第12回 太田直希

 前回大会の東京箱根間往復大学駅伝(箱根)で、エース区間である2区を任されながら区間13位と苦戦した太田直希(スポ4=静岡・浜松日体)。今季はトラックシーズンを不完全燃焼で終え、全日本大学駅伝対校選手権(全日本)では初めて駅伝出走を逃した。それでも箱根に向け、徐々に調子を戻しつつある。そんな太田が、今季を振り返り、最後の箱根に対して思うこととは。

※この取材は12月12日に行われたものです。

「僕らがいたら優勝も見えてたかもしれないと思ったら、余計悔しさもあった」

質問に答える太田

――出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)から現在までの状況はいかがでしたか

 出雲で天候やレース展開などいろいろあって、出雲の後はかなり疲労感がありました。でも全日本に向けて距離を伸ばさないといけないので、距離を踏もうかなと思って1週間頑張って練習したら、ケガをしたという感じでした。

――出雲が終わって休む間もなく練習を再開したのですか

 そうですね。3日くらい休んでそのまま距離を踏み出したという感じだったので、ほとんど休む暇なくという感じで。期間も(全日本まで)1カ月だったので、自分の中でも焦りは多少なりともあったのかなと感じていますね。

――これまでチームで出ていた駅伝に出られなかったときは、どのような心境でしたか

 ケガをしてしまったことは仕方ないなと思ったんですが、当日に8区の山口(賢助、文4=鹿児島・鶴丸)の付き添いで。自分自身ずっと駅伝を走る立場で付き添いの立場が初めてだったので、不思議な感覚と言いますか。悔しさとか、情けないなというのは感じましたし、主力と言われているかつ最上級生というのもあって、そこでケガしてしまってはしょうがないなというのはありましたね。

――全日本では三重チームのリーダーをされていたと聞きましたが、どのようなことをされていたのですか

 大したことはしてないですが、僕は選手は試合に集中してもらいたいなと思ったので、ある程度声かけじゃないですけど、あれ準備しとけよとか、いろいろしようかなと思っていました。食事も自由だったので、選手に決めてもらうのが一番ですが、決められた所に行った方が時短なので、それを決めたりしていました。

――結果としては6位でした。どのような思いで見ていましたか

 僕と千明(龍之佑駅伝主将、スポ4=群馬・東農大二)がいない中で5区終了時点にトップで走っていたということは、僕自身も驚きましたし、意外とやれるんだなという感覚でしたね。意外と勝つチャンスがあるのかなと思いましたが、それ以降はうまくいってなかったのであの順位で。たらればを言えば、僕らがいたら優勝も見えてたかもしれないと思ったら余計悔しさもありましたし、逆に下級生に余計な負担をかけてしまったなと感じました。

――トップは驚きだったのですね

 そうですね。今年の駅伝を通してですが、出雲も途中までうまく走れたり、全日本も先頭を走ったりしていて。去年もトップを走っていましたが、僕らが2年くらいの時はトップを走るとか先頭争いするのがなく、あまりうまくいっていなかったことの方が多かったので。今年は崩れることもありましたが途中までうまくいくということがあったので、そこは結構驚きがありましたね。

――選手側からしたらトップで走っているのはすごいことだという認識なのですか

 僕だけかもしれないのですが、僕と千明抜きでもトップを走っているんだったら、このチームもしかしたら僕ら抜きでも優勝しちゃうかもねというのは山口と話していました。それで優勝されても困るなと思いましたけど(笑)。

「こういう年もあるよなという感覚」

早大記録会に出走する太田

――前半のトラックシーズンを改めて振り返っていかがでしたか

 全然満足はしていないですし、去年に比べたら苦しいレースになって自分自身も全然納得のいくトラックシーズンじゃなかったなと感じています。今思えば、4年生として結果を出さなきゃいけなかったりとか、自分の調子が上がらないという不安とか焦りが積もりに積もって、でもレースに出ないといけなくてという、そこがいまいちうまくいかなかったなと。うまくかみ合わなかったというか。1回どこかでリセットする時間は必要だったかなと思いますね。

――4年生になって、最上級生だからという思いは強くなったのですか

 そうですね。一番は学年が変わって、自分たちが3年生から4年生になって3冠という目標を掲げたときに、僕らの学年が重要になるということは分かっていたので、そこで引っ張っていかないとは考えていました。でも逆にそれが重荷になったというか。背負いすぎてしまった部分があったのかなと思っています。

――もちろん焦りもあったと思いますが、やはり今年は昨年に比べて試合がたくさんあったことも一因なのでしょうか

 そうですね。やっぱり4月の日体大(日本学連1万メートル記録会)、立川(日本学生ハーフマラソン選手権)もユニバーシアード(ワールドユニバーシティゲームズ)がかかっていましたし、その日体大が終わった後不完全燃焼でもう一試合出たり、関カレ(関東学生対校選手権)に出たりで溜めの時期がなかったというのは正直あります。やっぱり去年は自粛期間にじっくりできましたし、その後の記録会も早大競技会とかで、重要視されてるレースはなくて、そこでうまく力を溜めてというのはできたと思うので。やっぱり今年はどうしても狙わないといけないレースがあったので、そこに無理やり合わせようとした結果、体の仕上がり具合もずっと中途半端な状態が続いていたのかなと思います。

――すると今年の成長具合はどのように捉えているのでしょうか

 そんなにですかね。去年がうまくいきすぎてたっていうのもありますが、去年に比べたら伸びてはないなと思います。でも今振り返ればこういう年もあるよなという感覚なので。僕が大学2年生の時もだいぶスランプというか、全然ずっと結果が出なかった時期も経験してるので、こういう年もあるよなというふうには今では考えています。

――割り切れるようになったのはいつからですか

 トラックシーズンが終わって全部振り返ったときに、やっぱり焦りがあったと思って、うまくいかないときもあるよねと思って。逆に夏合宿は距離が踏めていたので、そこでうまく切り替えができたかなと思います。

「一番はいろんな人に応援されるチームになりたい」

――続いてチームについて伺います。『3冠』というのはいつから話していたのでしょうか

 僕らが1年生くらいから、中谷(雄飛、スポ4=長野・佐久長聖)とか千明とかは僕らの代で勝ちたいよねという話をしていて。僕はそんなに強くは考えてなかったのですが、そういう話をずっとしていて、3年生くらいになると上級生で僕らも結果も出始めて、それが現実味を帯びたではないですが。それで(学年が)もう一つ上がって3冠を、という思いですね。

――最初は3冠ではなかったのですか

 箱根限定ではないですが、1年生の時からどれかは勝ちたいよねという話をしていて。「どれかを勝ったら世界変わるんじゃないの」という話をしていました。

――4年生になってその思いは強くなりましたか

 やっぱり最上級生はチームを引っ張っていかないといけないと思いますし、チームの方向性決めるのも僕らだと思うので、僕らが3冠という目標を掲げてついてきてもらいたいなと感じたら、もっともっと3冠という目標を強く押し出さないといけないと思いました。でもそれがなかなかうまくいかなかったというか、その気持ちが薄れてきてしまったのかなとは、全日本くらいまでは感じて。相楽さん(相楽豊駅伝監督、平15人卒=福島・安積)にも「お前らそのままでいいのか」ということを言われたので、そこでやっぱり勝ちたい思いが薄れてきた結果が、両方6位なのかなと感じています。

――太田選手は最高学年として、チームの中でどのような立ち位置だったのですか

 僕は風紀を乱すやつを指導する係でした(笑)。風紀委員長です。もう嫌われてもいいなと思ったので。嫌われ役をやっていました。

――今年のチームをつくる上で意識していたのはそのあたりでしたか

 私生活とかが乱れていて練習だけよくやっていても、そのチームはあまり応援されないかなと思っていたので。やっぱり一番はいろんな人に応援されるチームになりたいなと僕の中では思っていたので、そういう細かいところから、と。あとは大学生を卒業したら社会人になるので、社会人になっても恥ずかしくないようにしようとそういうことをやりました。

――応援されるチームにというのはいつから思っていたのですか

 高校の時からですかね。顧問の先生から、謙虚に生きろじゃないですが、「応援されないとダメだぞ」と言われていて。(大学)1年か2年くらいの時に、色紙に「応援される選手に」というのを書きました。そこからやっぱり応援される選手にとか、応援されるチームになっていかないといけないなとずっと自分の中で思っているので。ずっと前からですね。

――高校時代の話は時折出てきますが、高校時代の経験は大きいのですか

 大きいですね。中学とかは結構自由に陸上をやっていましたが、高校に入って人間性の部分や考える力は一気に養われたというか。そこで社会人になっても恥じないような行動というのは心がけるようになりましたし。やっぱり謙虚に生きて、応援されるようにならないとなというのはそこですごく感じました。高校で経験したことは今に結構生きてるかなと思いますね。そういう人間性の部分は結構伸ばしてもらったなと思っています。

――チームの話に戻りますが、千明主将はどのような主将でしたか

 トラックシーズンはいい結果を残していましたし、チームの中でそういう結果を残すとだいぶ影響力が出てくるので、結果で引っ張ってくれていたなと思います。トレーニングのこととかをいろいろ考えてくれていたり、練習中いつもチームの人に声かけたりとかもありましたが、いつもチームを考えてくれてたなと思いますね。

――千明選手が駅伝に出走できなかったときの様子はどうだったのですか

 僕らの前でもそういう(悔しい)表情とかはあまりしなかったです。でも出雲と全日本終わった後のミーティングを聞いてると、相当悔しかったんだなというのが見受けられました。

――それは雰囲気から感じたのですか

 菖蒲(敦司、スポ2=山口・西京)とかに、「本当に勝ちたいんですか、4年生の勝つ姿を見たいです」と言われたときに、「やっぱり一番走れなくて悔しいのは俺だったし、一番勝ちたいと思ってたのは俺だったし、この気持ちを誰よりも負けてるとは思ってない」という発言をしていたので。そこは結構響いてるのかなと思います。

「ケガせずに自信を持ってスタートラインに立てるように」

――改めて前回の箱根を振り返っていかがですか

  今思えば間違いなく準備期間が短かったなと思います。この前走行距離を見てみたのですが、12月の第1週、日本選手権があった週が1週間で80キロくらいしか走っていませんでした。全然その時点でダメだったかなと思いますし、12月のレースはきついなと思いました。

――やっぱり箱根、20キロに向けてはその前に1週間でも減ると大きいのですか

 そうですね。最低でも1カ月くらいは準備しないと、20キロはもたないと思うので。いくらいい記録を出してもその準備がうまくいっていないと走れないなと思いました。

――今の状態はいかがですか

 先週から走り込みを始めて、今週もある程度走れて足の状態もだいぶいいです。調子としてはまだまだですが、これからという感じですね。

――チームの雰囲気は

 集中練習も半ばに差し掛かってきて、だいぶ疲労感見えてるなという感じです。今が耐え時ですね。

――エントリーのメンバーで4年生は一般組が多いなと感じましたが、いかがですか

 この4年間一番走ってきたグループが今メンバーに入っている選手たちなので、頑張った成果じゃないですが、それが目に見える形で出てきたのがうれしいなと思います。4年生が一番多いのも素直にうれしいなと思います。

――太田選手も距離を踏んでいる印象ですが、もっと練習が継続できているメンバーなのですか

 そうですね、練習の継続もありますが、やっぱり僕以上に距離を走ってると思います。陽平(河合陽平、スポ4=愛知・時習館)とかはマラソンを走っていますし、室伏(祐吾、商4=東京・早実)とかは僕以上に走っています。山口も多分僕と同じくらいかそれ以上です。

――誰とタスキをつなぎたいという思いはありますか

 そうですね…半澤(黎斗、スポ4=福島・学法石川)とタスキつないだら泣きますね。結構ずっと仲良くしてたので、最後にタスキつなげたら泣きますね多分(笑)。

――箱根まであと3週間ですが、どのような心境ですか

 今はどんな準備ができているのか自分ではあまり分かっていないのですが、残り3週間しかないので。本当にやるべきことをコツコツと積み重ねて、一番はケガせずに自信を持ってスタートラインに立てるように、今の準備を大切にしたいです。

――改めて3冠についてどう思っていますか

 チャレンジして、結果取れなかったのですが、三度目の正直というかラストチャンスこそは勝ちたいなと考えています。

――出雲でも全日本でも悔しい思いをして、その分箱根への思いは強まりましたか

 そうですね、やっぱりエンジが着られるのが最後なので、という思いが強いです。

――エンジの存在はやはり大きいですか

 大きいですね。やっぱり一番成長できたというか。タイム的にも、というのはありますし、学生駅伝の一つの区切りみたいなのもあるので、最後はエンジが一番輝くように頑張ります。

――最後に、箱根に向けて目標と意気込みをお願いします

 チームとしては優勝を掲げていますし、やはりチームに貢献するのが一番なので、その結果区間賞がついてくればいいかなと思っています。あまり区間賞に固執せずに、とにかく箱根に調子を合わせて全力で走るというのが自分の今の目標です。

――ありがとうございました!

(取材・編集 朝岡里奈)

◆太田直希(おおた・なおき)

1999(平11)年10月13日生まれ。171センチ。静岡・浜松日体高出身。スポーツ科学部4年。5000メートル13分56秒48。1万メートル27分55秒59。勝負飯は『セブンイレブンの赤飯おにぎり』だという太田選手。ルーキー対談で伺った時と変わっていませんでした。これからも変えるつもりはないのだそうです!

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