メニュー

競走部

« 特集に戻る

2021.12.23

【連載】箱根事前特集『実』 第6回 佐藤航希

 今季は全日本大学駅伝対校選手権(全日本)での悔しい走りがあったものの、5000メートル自己ベスト更新や、関東学生対校選手権(関カレ)ハーフマラソン日本人3位入賞を果たすなど好成績も収めた佐藤航希(スポ2=宮崎日大)。ケガに屈せず、地道な努力を続けてきた佐藤航に、初舞台となる東京箱根間往復大学駅伝(箱根)への思いを語ってもらった。

※この取材は12月12日に行われたものです。

ケガを乗り越えて

質問に答える佐藤航

――去年はケガに悩まされ、思うように練習できなかったとお聞きしました。どこをケガされていたのですか

 去年はハムストリングスを痛めていて、2試合しか走っていません。元々ハムストリングスを傷めやすい体で、大学の練習量の多さや質に自分の体が慣れていないこともあり、強く痛みが出て長引いたことがありました。結局試合に出ても、その後継続して練習できずにいました。

――ケガをしていた期間の練習はどのように行っていたのですか

 軽いジョギングやウォーキングで、ほとんど練習もできなかったです。

――その期間やはり不安はありましたか

 そうですね。やっぱり他の選手や同期は、順調にシーズンや練習をこなしていて、そういった選手を見ていると焦りというか、もっと頑張らないといけないなと思いました。

――その期間に支えてもらった人や感謝したい人はいますか

 挙げるときりがないのですが、1番パッと出てくるのは同期の濱本選手(寛人、スポ2=熊本・宇土)ですかね。よく話したりしてずっと声をかけてくれて、沈むところまで沈んだとしてもずっと寄り添ってくれました。それが自分の助けになったこともあって、今年結果を残せたのだと思います。

――では、ケガの治療に向けて取り組まれていたことはありましたか

 ほとんどストレッチとか治療とかしてこなかった人間だったので、自主的にストレッチして治療に積極的に通うようになりました。

――ストレッチをしてこなかったのはどうしてですか

 ちょっと面倒くさいと思っていたからですね(笑)。そこは競技者として甘いところではあったと思います。もともと面倒くさがりやな性格で、取り組まなかったというか、時間がたてば治るだろうという考えでした。

――部員日記で地道にコツコツがモットーと書かれていたのを拝見したのですが、これは競技面で普段は面倒くさがりやだと

 面倒くさがりやではあるのですが、やることはやります。小さい事でもいつかは大きな結果として返ってくると信じているので、練習で小さいことを積み重ねて継続しています。例えば、他の選手より多く走るとか。そういうことを地道にコツコツやっていくという考えが自分の中であります。

――ケガから復帰した今年はどんな思いで練習に励んでいらっしゃいましたか

 昨年はずっとBチームで過ごし、駒野さん(駒野亮太長距離コーチ、平20教卒=東京・早実)から指導してもらったのですが、「始まりが大事」だと言われていました。昨年良いかたちで終われなかったので、年が明けて再集合した時に良いかたちでスタートを切れたことは、自分の中で大きかったです。その期間で足づくりをしてシーズン良いかたちで入っていけたらと考えていました。

――ケガからの復帰後、自己ベスト更新や関カレ入賞など良いスタートを切れた要因は何だと考えますか

 昨年は結局ケガをして誰とも練習することなく、一人でケガと向き合う状態だったのですが、今年からは同期の菖蒲(敦司、スポ2=山口・西京)とよくトラックシーズンを一緒に過ごしました。僕にはスピードがまだまだ足りないので、トラックで結果を残している菖蒲とかに刺激をもらったりしました。あとはハーフを走る際に、河合さん(河合陽平、スポ4=愛知・時習館)や向井さん(向井悠介、スポ4=香川・小豆島中央)と切磋琢磨できたことが結果を残せた要因かと思います。

――スピードを上げる練習とはどんな工夫をされているのですか

 元々ラストのスプリントに自信があったのですが、大学に入って自分のレベルが通用せず、同期と比べても力がないと感じました。自信があったからこそもっと伸ばしたいという思いがありました。せっかく同期に強い選手がいるので、力を借りて走りたいなと思いましたし、練習の中で必死に食らいついていくというのを意識して練習していました。

――入賞を果たした関カレのレースについてお伺いします。序盤に集団を引っ張ろうと判断したのは、やはり自分の調子に自信があったからですか

 それももちろんありますし、勝負しようと決めていたので。集団の後ろについていれば、もっと余力を残して良い結果でゴールできていたかもしれないとも思うのですが、自分としては初めてエンジを着る舞台でチャレンジしたい気持ちがありました。せっかく他大学の上級生と走れる機会だったので、今の自分の力がどれだけ通用するのかを身をもって確かめたかったです。

――関カレの試合を経て、その後のレースプランや調整に参考にした部分は何かありましたか

 前半から自分のペースを作りながら押していったというのもあって、最後は体力が持たずにペースを上げられず、維持することでいっぱいいっぱいでした。そこでもっと体力をつけなければいけないなと思いました。その後のハーフなどでは、経験を活かしてもっと粘り強く集団についていこうと心掛けました。最近の練習でももちろん集団から離れることはあるのですが、そこで離れて終わるのではなくて、最後はまとめて終わることを意識しています。

――入賞を果たした関カレはリラックスして望めていたと部員日記で拝見しました。一方、全日本では2週間ほど緊張感が張り詰めていたということです。佐藤航選手にとっては緊張感をもって走るより、リラックスした気持ちで走る方が結果を出しやすいのですか

 両方とも必要だと思っていますね。自分の中では半々ずつ大事という感じですかね。

リベンジへ「自分がチームを勝たせたい」

21・1キロタイムトライアルでは好走を見せた

――全日本レースの時のことについてお伺いします。大学駅伝デビューで6区を任された時、どのような気持ちでしたか

 主力メンバーが故障していて、走るのか走らないのかわからない中で、最終的に6区に起用していただきました。その話がミーティングで出たときは割と落ち着いてはいましたし、やってやるぞという気持ちはありました 。

――(全日本前の期間、)腹痛が続いていたということでした

 自分は最初内臓的な事かと思っていたのですが、レースが終わって精密検査とかもいろいろしてもらって、内臓的な事ではではないとわかりました。全日本の前は調子がかなり良くて、よく体が動いていました。僕の場合ひねる走りなのですが、調子が良かったが故に、動きも大きくなって筋肉を傷めてしまったということでした。それで、全然呼吸ができずに本番走ってしまったという背景がありました。

――万全な状態ではなかった中、走れると自分の中で決心した要因は何でしたか

 直前の練習ももちろん腹斜筋に痛みはあったのですが、それでもかなり調子は良く、練習も思うようにこなせていて僕もいけると思いましたし、監督もそういう様子を見て起用してくれたのかなと。

――その痛みが練習中に出ていても、走りは好調だったのですか

 これもまた、難しくて。軽いジョグの時は結構痛みが出ていたのですが、スピードが出てくると痛みが消えていったので、本番になればもしかしたらいけるかなというふうに僕は思っていました。しかし本番になって少しペースが落ちた途中の上り坂のところで一気に痛みが出ました。

――今後のレースでどうリベンジしていきたいですか

 この全日本で自分がチームを負けさせたという思いがあるので、今年のチームで挑める最後の試合になる箱根で、自分がチームを勝たせたいという気持ちがあります。また、個人としてもそこでリベンジしたいなというのは強く思っています。

――1年生から2年生になった今、選手として自分の成長を感じた部分はありますか

 1年生の時にできなかった練習が、2年生でできるようになってきました。昨年は11月の記録会で自己ベストに近いタイムを出せて、集中練習に入ったのですが、最初のポイント練習で集団から離れて練習ができなくなりすぐB(チーム)に戻されていました。しかし、今年はずっと集中練習に入っても練習をこなしてきましたし、プラスアルファの練習もできました。できない練習ができるようになったところで、手応えを感じ、成長したなと感じます。

――後輩ができたことで、何か気持ちの変化はありましたか

 早稲田には本当にトップレベルの選手が入ってきます。後輩の伊藤と石塚がずっとAチームで練習していますが、やっぱり僕にはないものを2人は持っていますし、練習でもすごく刺激になるというか、自分にはここが足りないっていうのが明確にわかるので意識していますね。ほかのB(チーム)の後輩に関しても、すごく見ていて刺激になる部分はあります。

――先輩という立場でどのような役割をされていますか

 やはり箱根に向けて練習の距離が伸びてきているのですが、まだ1年生は距離に対して不安がある選手が多いと感じています。その中で自分は2年生になってから前半シーズンでハーフに取り組み、距離も踏んでいます。やっぱり距離が伸びてきたときに自分の方が体力的には余裕があるので、後輩を引っ張っていく姿勢を見せるようにしています。きついときに引っ張っていくというのが後輩のために今、自分ができることですかね。

――先輩はどのような存在ですか

 27分台も3人いて、僕が高校1年生の時に見た総体とか国体で活躍されていた先輩と今、まさに同じ目標に向けて一緒に頑張っているので、常に本当に毎日刺激になっています。まだ自分にできない練習を先輩たちは普通にこなしていて、見ていてすごいなとか、もちろん憧れの目線で見ることもあります。ですがせっかく同じチームにいるわけですし、尊敬しているだけではもったいないと思うので、くらいついていきたいと思っています。

――駅伝主将である千明龍之佑選手(スポ4=群馬・東農大二)の尊敬する点などはありますか

 地道なことを続けられている姿をすごく見てきて尊敬しています。昨年とかも練習以外でトレーニングを継続している姿は見ていますし、やはり見ていないところで頑張っているからこそ、結果を残せるのかなと思います。そういった部分では、まだまだ自分に足りないところだと思うので、尊敬しています。

――箱根に出場するとしたら何区を走りたいですか

下り基調が僕の中で得意とするコースなので、そこですかね。

――どのようなレースプランを展開したいですか

 おそらく単独走になるかとは思いますが、自分でしっかり押していける走りができればいいかなと思っています。

――他大学の選手でライバルとする選手はいますか

 東洋大学の九嶋選手(九嶋恵舜)と中央大学の湯浅選手(湯浅仁)ですかね。二人とも宮崎県出身です。九嶋選手は小林高校出身で僕と高校は違う選手で、湯浅選手は僕と同期で同じ高校出身の選手です。今回もう箱根のエントリ―に入っているので、その二人を強く意識しています。

――箱根に向けてチームの士気は高まっていますか

 そうですね、まだ完全に箱根に向けて意識が統一されているかといえばまだそうじゃないのかなと感じますし、それは全員の調子がまだまちまちだからという要因があるからだと思います。箱根が近づくにつれてみんなの意識っていうのもまた、まとまりつつあると思うので。ですが、時間が解決してくれるというか、箱根が近くなったから勝手にみんなの意識が高まるか、といったらそうではないと思うので、もっと箱根に向けて一人一人が意識を高く持っていけば、士気は上がってくると思います。

――早稲田の勝利に向けてチームの中でどのように貢献していきたいと思っていますか

 どういった位置でタスキをもらうかはわからないのですが、『流れを作る、流れを変える』ということを意識して、その時の状況に応じた最善の選択をして、ベストな走りをすれば、結果としてチームに貢献できると思っています。

――箱根に向けた体の状態はどうですか

 悪くもなければ特別よくもないという感じでいつも通りです。調子は上がったり、下がったりしていますが、もちろんそれは許容範囲です。このままいつも通りというのを心掛けていきたいです。

――差し込みの原因となった筋肉の状態はもう大丈夫ですか

 はい。もう大丈夫です。

――箱根まで1カ月を切りました。残りの時間でどう調整していきますか

やっぱり、箱根が近づくにつれて周りからのチームの注目度というか、多くの情報が入ってくると思うのですが、そういうのに躍らされず自分のできる準備をして集中していきたいです。

――ありがとうございました!

(取材・編集 川上璃々)

◆佐藤航希(さとう・こうき)

2001(平13)年8月2日生まれ。169センチ。宮崎日大高出身。スポーツ科学部2年。5000メートル13分59秒96。1万メートル29分42秒98。実は、意気込みの色紙を二枚書いた佐藤航選手。一枚目に書いた言葉は『宮崎』。文字の細部まで気を配る姿に地元愛を感じました!

« 特集に戻る