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2021.12.21

【連載】箱根事前特集『実』 第3回 石塚陽士

 高校時代に1500メートルで世代トップの成績を残した期待の新人が、大学でも大物ぶりを見せる。出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)では区間賞と鮮烈な駅伝デビューを果たし、全日本大学駅伝対校選手権(全日本)でも37秒差を逆転し首位に立つ好走を見せた石塚陽士(教1=東京・早実)。間近に迫った東京箱根間往復大学駅伝(箱根)に向け、意気込みを聞いた。

※この取材は12月12日に行われたものです。

登録メンバー唯一の『理系』 

質問に答える石塚

――大学に入学してからここまでの約8カ月間を振り返っていかがですか

 トラックシーズンに関してはあまり順調とは言えない結果でしたが、トータルでは大きなけがもせずしっかりと練習を積めて、出雲や全日本でいい結果が残せたので、全体を通して見れば悪くないのかなと思います。

――理系で教職課程も履修している石塚選手ですが、11月20日に行われた21・1キロのタイムトライアルの際はレポートがたまっているとのことでした

 それはしっかり片付けてようやく落ち着き始めたので、少しゆっくりできるかなという感じです(笑)。

――夏合宿のほうが楽だったというお話も伺いました

 授業がごっそりなくなるので、練習量も負荷も上がったとしても授業との両立より楽だったので、天国というか(笑)。走ることだけに集中できるのが、いい環境だったのかなと思います。

――忙しく、疲れている中で工夫した点、理系で良かったなと思う点は

 時間の使い方がうまくなったというか、タイムマネジメントが自分の中でうまくできるようになったと思います。他の選手と比べて時間は限られてくるので、朝練の使い方や午後練の組み方、そのあたりを工夫してできる力はついたのかなと思います。また、理系だったからというより本キャンだから良かったということがあって、集団走のいい側面ももちろんあるんですが、1人でポイント練習をすると単独走の力もついたり、集団走だとそこに合わせてしまって平均化される、自分の苦手に特化した練習がやりにくいんですが、1人で練習することでそこを集中的に攻略することができるので、そこは良かったと思います。

――疲れている時でも先延ばしにしないこと、メンタルコントロール的な部分も含めてレースに繋がる部分もあるのでしょうか

 ゴールに向けてコツコツやる、実験のレポートに関しては1日では終わらない量なので、そういう計画性というのは身につくのかなと思います(笑)。

――トラックシーズンの話を伺います。1500メートルで得られたことや見つかった課題は

 大学に入って体格も大きくなって、スピード感が違うと感じています。スタートからガンといくのは高校と変わらないと思いますが、スタートダッシュだけ頑張る人が少ないです。それぞれ力の差が小さくなっているので集団走になって、ラスト勝負になりやすくなったところで、自分はラストが伸ばしきれないので置いていかれるということが多かったのかなと思います。

――トラックから駅伝につながる部分は

 1500メートルをメインでやっていたので、集団で固まった状態から切り替える能力を間近で見ることができたのは、大学の厳しさを実感できた点でよかったと思います。またスピード感も経験できました。駅伝だとペースは落ちるので、速いペースに対する負担感が軽減されたのでよかったと思います。

大学駅伝で好走 単独走への不安がないことも強み

――駅伝の話に移りますが、8月はチーム2番目の距離を走るなどかなりの距離を踏んだと聞いています

 特に4月から7月の授業期間はかなり忙しくて。元々距離にこだわらないタイプではありますがあまり距離が踏めていなかったので、夏でしっかり積んで距離に対する不安をなくすきっかけにすることができました。それが出雲、全日本につながっていると思います。

――出雲では区間賞を獲得しましたが、早大の1年生で3大駅伝区間賞は2011年箱根の大迫傑氏(平26スポ卒)以来でした

 特に反響があったわけではないですが、区間賞というのは早稲田が取っていなかったので、そこは先輩から言われました。

――全日本でも逆転し首位という走りを見せました。元々長い距離は専門ではなかったと思いますが、10キロ以上の距離でも強い走りができている要因は

 今までポイント練習を1人でやったりしたので単独走への不安がなかったことが一つです。また元から気象条件に左右されることがないというか、出雲は顕著で暑くて風もあるという条件でしたがその中でもしっかり走りきれる能力が元からあった方だと思うので、そういうのが生きたのかなと思います。

――出雲、全日本それぞれレース後に監督から言われたことで印象的なことがあれば

 「自分の力を出し切れたんじゃないの」という話は頂いて、もちろん課題はあるので、「中盤以降やっぱりペースが落ちてしまうところが課題だね」と言われたと思います。

――先程もありましたが、21・1キロのタイムトライアルでは15キロくらいから体が動かなかったとお話しされていました。箱根ではそこからプラス5、6キロを走り切る必要があります。その部分の強化について

 今までこういう長い距離に関しては夏合宿でやってきて、距離に対する不安はないですが、『速いペースで』となるとまだ不安が残っていて、その部分を解消しています。チーム内でしっかりできている分類になっていると思うので、27分台の方が3人いるチームの中でトップクラスの練習ができているのでそこはかなり自信を持っています。

――具体的にどのような練習を

 水曜日にスピード練習、土日に距離走とポイント練習のような感じでやっています。距離走で疲れた状態の中でスピード刺激を入れたりだとか、逆にスピード練習で疲労がたまっている中で距離走をしたりしています。これからもっと実践的になってくると思いますが、そこで生きてくるのかなと思います。

――21・1キロタイムトライアルの後は調子があまり良くなかったと話していたと思いますが、現在は

 ぼちぼちといったところですかね…(笑)。もともと大会前にならないと調子が上がってくることはないので、調子悪くはならないけど良くもならないという感じでずっと来ているので、調子の部分は今は考えても意味はないのかなと思います(笑)。

――特に不安な点などは

 練習で力をつけているとは言いつつも、20キロ以上のアップダウンのあるコースになるので、そこですかね。これまでは基本フラットかシンプルな下りでしたが、箱根はどのコースもアップダウンがあるので。アップダウンが不得意というわけではなく、アップダウンも得意だし長い距離も不安はないと思いますが、それが融合した時にどうなるか、というところに不安があります。

――そのアップダウンを含めた練習というのは

 例としては、朝練の時にキャンパス近くの坂を上る2・5キロのコースがあるんですが、そこを各自の練習中で走ったり、平地だけではなくて各自のジョグの中でも取り入れたりして解消を図っています。

――現在は集中練習と呼ばれる期間だと思います。授業などでの物理的な制約もあるかと思いますが、消化具合は

 今のところは100%できていて、順調なのかなと思っています。

――初めての集中練習だと思いますが、これまでとの違いは

 やっぱり距離の部分が増えていますが、いろいろな先輩方から「集中練習きついぞ」という話を聞いていたので、思ったよりは、という感じです(笑)。きついことはきついですけどね(笑)。

――その練習の中で特筆して工夫していること、新たにやっていることがあれば

 レポートがひと段落して、陸上に割く時間も増えてきたので、ウエイトに割ける時間が増えました。先週あたりに五味トレーナー(宏生氏、平19スポ卒)が来てくれて1時間くらい1対1でトレーニングをしました。ウエイトは毎日継続してやっています。

「最低でも区間3位以内」

 

21・1キロタイムトライアルに挑戦する石塚

――箱根に向けてのお話に移りたいと思います。残り3週間となる中で、現在の心境は

 まだ自分の区間がどこになるかわかっていなくて、どちらかというと固定されるよりはチーム状況を見ながら区間を変えてもらえる選手だと思うので、監督としては操りやすいというか使いやすいタイプだと思っています(笑)。どの区間かはわかりませんがどの区間でも区間3位以内には入れるように準備したいと思います。

――走りたい区間や適性のあると考える区間は

 走りたい区間は、景色がいいので3区で(笑)、チーム全体で見て結果の還元率が高いのは8区なのかなと考えています。上りが割と得意で単独走ができると考えたときに、8区が一番合っているのかなと思います。

――どちらも海沿いの区間で風も強くなることが予想されますが、先ほどあった気象条件への強さも含めて、というところでしょうか

 そうですね。

――距離はどの区間も長くなると思いますが、20キロ超の距離を走りきるためには

 起伏のある中でスピードを持って、というところだと思います。

――出雲、全日本を終えて、今年の最初の目標「大学駅伝3冠」を逃すことになりました。チームとしての目標に関してはどのように考えていますか

 終わってしまったことはしょうがないので、箱根にしっかり切り替えて、しっかり優勝を狙っていこうという話でチーム全体としてまとまっています。

――4年生が中心になってまとめていると思いますが、1年生の石塚選手から見て4年生はどのような存在でしょうか

 あまり多くを語ることはないですが、見えないところで努力している方が多くて、太田直希さん(スポ4=静岡・浜松日体)とかが特にそうですが、自分たちに努力している姿をあまり見せないです。が、自分で補強をしっかりやっていたりして、そういうところを見るとぐいぐい声を出して引っ張っていくというタイプではないですが、行動で、背中で引っ張っているというそういうところはあるのではないかなと思います。

――チームカラー、チームの雰囲気は

 秩序を保ちつつ自由な雰囲気、というところだと思います。

――箱根に向けて、意識する選手、大学は

 他大の同級生となると石田洸介(東洋大)ですかね。彼は出雲、全日本と区間賞を獲っていて、多少意識しますね。大学ではやっぱり駒澤大が気になると思うので、そこには負けないようにしたいという感じです。

――チーム内で意識する選手、ライバルだと感じている選手は

 やっぱり同学年の大志(伊藤、スポ1=長野・佐久長聖)は意識します。やっぱり同学年というのは大きいですし、5000メートル13分36秒で入ってきて、高3の持ちタイムも自分より上ですし、意識しています。自分と同じくらい練習も積めているので、お互い高めあって、という感じです。

――箱根に関しては、おそらく今までの競技人生で一番注目度の高い大会になるのではないかと思います。緊張やプレッシャーを感じることはあるのでしょうか

 緊張でがちがちになって走れなくなることはおそらくないのではないかと思っています。今までの大会も、日本選手権などに出させてもらいましたが、その中でもがちがちになって走れなかったことはなかったです。注目度が高いからと言って走れなくなることはないと思っています。

――レース前のルーティンはありますか

 一応、レース前に餃子を食べています(笑)。食べに行くなり自分で作るなりしていて、箱根でもやろうと思っています。

――多くの方に見られるレースになると思いますが、注目してほしいポイントなどは

 派手さはないと思うので、ごぼう抜きとかそういうことはないと思いますが、淡々とミスをせず走れるというのが特徴だと思います。じわじわと追い上げるなり、できれば2位との差を広げるというところを見ていただければな、と思います。

――初めての箱根になると思いますが、そこに対するあこがれは

 注目度も高い大会ですし、箱根の活躍で1年間言われることがあったりすると思いますので、そこに関してはいい評価で終わりたいと思います。

――早実高に入学する際からそこは意識していたのでしょうか

 早稲田でやりたいというよりは、理系の勉強をしっかりしながら競技を続けたいという思いがあったので、それができるところと考えたときに早稲田しかなくて。自主性を重んじる環境というのが今までやってきた中で合っていたので、早実を選んだという感じですね。

――箱根でのチームとしての目標、個人としての目標をそれぞれお願いします

 チームとしての目標はもちろん優勝なのでそこを目指して、個人に関しては優勝を狙っていくチームの中で一つでもミスができないというのが大きいと思います。最低でも区間3位以内。そして区間賞も狙っていきたいです。あとは見ている人にワクワクしてもらえるような走りができれば、と思います。テレビにもいい写り方ができればと思います(笑)。

――この世代には27分台が3人もいて優勝を狙える世代ですが、箱根がこのチームでの最後の大会になります

 持ちタイムはとてもよくて、27分台が3人もいるチームは初めてなので、そういう環境で練習ができるのもあと3週間です。一つ一つの練習をかみしめながら、一つでも27分台のイズムと言いますか、そういうものを受け取って自分も27分台を出せるようになっていきたいなと思います。

――最後になりますが、箱根に向けた意気込みをお願いします

 まずは失敗しない走り。チームの勢いをなくすような走りをしないことは絶対条件だと思います。最低でも区間3位以内で走って、できれば区間賞を獲って、チームを勢いづける走りができればな、と思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 山崎航平)

◆石塚陽士(いしづか・はると)

2002(平14)年4月22日生まれ。170センチ。東京・早実高出身。教育学部理学科生物学専修1年。1500メートル3分44秒62。5000メートル13分55秒39。1年生とは思えない落ち着きを感じさせてくれた石塚選手。論理的な話し口や、趣味がプログラミングということからも、理系らしさが伝わってきます。箱根でもチームを勢いづける走りで、究極の文武両道を体現してくれることでしょう!

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