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アーチェリー部

2021.10.11

【特別企画】エリートアカデミー出身者特集 園田稚(アーチェリー)×佐藤琳(射撃)/前編

 日本オリンピック委員会が、将来を嘱望される選手を集め育成を行う組織、JOCエリートアカデミー。通称『エリアカ』は、東京五輪にて金メダルを獲得した須崎優衣(スポ4=千葉・安部学院)など、多数の有力選手を輩出してきた。しかし、その実情は謎に包まれる。今季、早大には2名の『エリアカ』出身選手が入学した。それぞれアーチェリー部、射撃部に所属する園田稚(スポ1=東京・足立新田)と佐藤琳(スポ1=東京・成立学園)だ。長年共に生活を送った2人に、『エリアカ』所属当時の話を聞いた。

※この取材は10月4日に行われたものです。

「(稚は)ナショナルチームに入ってから明るくなった」(佐藤)

対談は終始明るい雰囲気で進んだ。左から園田、佐藤

――性格や競技面について他己紹介をお願いします

園田 琳は、めっちゃ一生懸命な子で、すごく真面目です。抜かりがないというか。全てに対して完璧です。私は結構手を抜くタイプなんですが、琳は「もうちょっとこうした方がいいと思う」という感じで。でもギャップもあって。アニメとかも知っていてすごく楽しそうに話しますし、私服とかもおしゃれで、ギャップ萌えする子だなと思いますね。

――真面目というのは私生活の面ですか

園田 生活も真面目ですし、寮にいたときは、8時とかに部屋行ったら暗いんですよ。え、もう寝てる?! みたいな。

佐藤 4人部屋で。競技で大体固められていたので。

園田 部屋が明るくても寝てたりとか。朝もめっちゃ早くて、4時だったり5時だったり。それで朝練に行ってました。私だったら耐えられない生活を送っていて、すご! と思っていました。

佐藤 私も今では耐えられない(笑)。

――今はどういう生活を

佐藤 今は練習時間が昼に取れるので、朝と夜で詰めなくても十分練習時間が確保できるのでやってないですね。

――早くから親元を離れて、寂しくなかったですか

佐藤 どうなんですかね…。でも帰省したいというのはすごくありました。

園田 私は親に会いたいのもありますし。競技から離れたいというのも大きかったです。四六時中寮にいて、競技か、寮のメンバーといるか学校かだったので、早く家に帰って競技したくないというのはあって。

佐藤 でもアーチェリーは、帰省しても持って帰らないじゃん。競技の用具を。射撃は帰省中も持って帰って練習するので。

――帰るのはお盆やお正月くらいですか

佐藤 そうですね。

園田 アーチェリーはお盆がなくて。お正月はあって、国体予選の金土日で帰って終わりでした。

――ほぼずっと寮の仲間と生活するんですよね

園田 そうですね。顔が変わらなくて、同じメンバーでご飯を食べ、学校に行き、練習するので。しんどかったですね。

佐藤 アーチェリーはわりと団体みたいな感じだったので。常に一緒に行動! みたいな感じで、ご飯も一緒で、お風呂も一緒に行動してたしね。射撃は個々でばらばらで動いていたので、そこのきつさは、チームプレーやってないので、なかったですね。

――エリートアカデミーで、練習でも私生活でも、一番きつかったところはどんなところでしたか

園田 私は練習かな。

佐藤 私は、いろいろありすぎて…。ふとしたときに、なんでこれやってるんだろうとなる時はありました。

――決まりごとが多いんですか

佐藤 ありますね。私生活でも。

園田 静かに寝たいのに、寮生活なので、きゃはははは! っていう声が聞こえたり。

佐藤 歌うたったりとかね。

園田 めっちゃ大きい声でね。トイレとかも四つしかなくて、あんまりないんですけどたまに行くと、全部埋まってたりして、絶望(笑)。

佐藤 そうそうそう! わかる(笑)。

――その生活がずっと続くんですもんね

佐藤 特にコロナ後の方が。(お手洗いの個室を)誰と誰と誰がどこを使う、みたいに決められていて。

園田 同じ競技って大体同じ時間帯に過ごしてるじゃないですか。帰って来て、トイレ行こうと思っても誰か使ってる、みたいな。

佐藤 なのに、競技ごとにトイレ固められていて。空いてんじゃん隣! というのはありました。

――お二人はとても仲が良さそうですが、どこで仲良くなったのですか

佐藤 部屋は一緒じゃなくて…。同期で入ってきた時期が一緒で、同じ中学校で。クラスは違うんですが。

園田 競技や寮の人ともめたりしたときに、相談するのは琳でした。

佐藤 違う競技だと、いい意味で競ってないじゃないですか。例えば稚と同期の麻央(渡邉麻央、日体大)っているんですが、その子は同じ競技の同じ種目で、一緒にやってきてるとどうしても言えないこともあって。

園田 それを聞いてもらって、客観的に見てくれるので、これはこうだよと言って。たしかに、となってました。

――もう出会って5年ですね

佐藤 稚は変わりましたよ。会った当初から変わりました。最初は、特にここという特徴があったわけじゃなくて、普通のいい子。競技も頑張ろうとしていて、アニメや漫画もちょっと好きで共通点もあって。という感じだったんですが、最初は悩んでいて。

園田 何悩んでたっけ?

佐藤 え…?(笑) もうトップレベルに上りつめて忘れたか…(笑)。稚は最初は、私もなんですが、始めたばかりで全然選手として練習してないときから入ったんですよ。そうすると、先輩とか同期は、成績が、もう世界チャンピオンです、という人や、日本一当たり前でしょ? という人がいて。そこから比べられてて、同じ競技でそういう子がたくさんいたのがアーチェリーだったので、すごくつらそうで悩んでました。ある時からぼーんと伸びて、ずっと頑張ってたんで成績伸びるのは当たり前なんですが。ナショナルチームに入って、そこから明るくなった(笑)。

園田 そんな暗かった?

佐藤 暗くはなかったけど、泣いてることが多かった。部屋行ったら泣いてんだけど、みたいな。

園田 え…。もう記憶ないんだけど(笑)。

佐藤 もう変わっちゃったから。

園田 過去のこと。でも競技で悩んだり、人間関係で悩んだり、学校でもいろいろあって。めっちゃいろいろありました。最初の1年は大変でした。アーチェリーは元々あった競技ではなくて、私たちが一番初めだったので、ルールとかもなくて。私たちが作るルールがルールだよと言われてたんですが、私も部活に入ったことがなかったので、うまくいかないことが多くて、もめたりすることがあって。それもつらかったです。

佐藤 つらそうだったね。

「(佐藤から)そうやってみようという励ましをもらえる」(園田)

真剣な表情で練習する園田

――遅くなりましたが、佐藤さんからも他己紹介をお願いします

佐藤 でも稚は、言った通りで。でも、1回試合に勝ってから、なんて言うんだろう、かわいくなったね(笑)。見た目もですし、競技に対する姿勢とかも変わったと思います。

――どの時期の試合ですか

園田 高1かも。ナショナルチーム入った時。

佐藤 1年くらいでしたね。

――園田選手からは、佐藤選手の変わったところはありますか

園田 最初は本当に…。真面目というか、こっちもアドバイスするじゃないですが、もうちょっとこうした方がいいよというふうに。でも、それは違う。って、何も言えなくて。あ、そっか…みたいな。でもだんだん打ち解けてきて、話ができるようになったというか、最初は頑固というか、決めたこと、これしか行かないという感じだったんですが、他の人も「琳ちゃんもっとこうした方がいいよ」と言ったら「たしかにそうですね」みたいな。柔らかくなったのかなと思います。話しやすくなりました。

佐藤 たしかに、大学に入ってからも言われますね。

――最初に会った時は中学生くらいだったと思うんですが、その時からしっかり自分の意見を持っていたんですか

園田 グイグイでしたね。私は結構人見知りなタイプで、同期とも4回くらいしか会ったことなくて、ちょっとしゃべるようになって。それで初めてのテストみたいなので、「ここ分かんなかった~」とか話してたら、急に「私、山形県から来た佐藤琳! よろしく!」みたいな(笑)。

佐藤 そんなこと言ってない…(笑)。

園田 それでこっちは、あ、よろしく…みたいな(笑)。

佐藤 たしかに覚えていて。私としては、一緒に住むので、仲良くなるしかないでしょ! と思ってたんですよ。それで、話しかけるのにはちゅうちょしなかったですね。

園田 もうグイグイに来てました。最初怖くて、引いちゃって。

佐藤 1カ月後くらいに(怖かったと)言われました。

園田 でも話してみたら優しくて、この子なんかすごい! ってなってました。

佐藤 やばいやつだった? あったな、そんなことも…。

――今はどんな存在ですか。よく話されますか

佐藤 話しますね。

園田 何話してるんだろう。

佐藤 くだらない話だよね。でもある程度競技のことを知っててくれるので、競技の愚痴を分かってくれるというか。知り合いのメンバーも多いので、ああ、それね、と少し共感できたり。

園田 あとは何だろう…。授業の話とか。取ってる授業の話を。

佐藤 あんまり被らないよね。あとは漫画の話もするか。

園田 でも琳めっちゃ忙しくて。遊びに行こうと誘ってるのに、「いいよー」って言いながらめっちゃ忙しくて。

佐藤 バイト始めちゃったので。今はフィットネスジムのバイトしてます。ジムが使えるのでいいなと思って始めました。マシン案内したり、カウンセリングしたり、消毒したり、プールガードしたりしてます。

――自由時間もありそうですが、射撃の練習時間はどのような感じなのですか

佐藤 うちの競技は人によりますね。射撃は、まず行って、準備して、まず空撃ちと言って弾が出ない練習をして、そこから実射です。実射の中でも、技術練と、メンタルじゃないですがゲーム形式の練習があって、それをしますね。

――アーチェリーはいかがですか

園田 全体練は土日しかないんですが、平日はノルマ練といって、スプレッドシートに(本数を)登録します。平日3日以上、550本以上射つのが決まっています。

――射撃は、今日は何発撃つなど決まりはあるんですか

佐藤 ないです。でも最近は週3回、決められた時間に集まってやってます。

――アカデミーの時の練習は厳しかったんですか

佐藤 練習内容は厳しくなかったです。すごくメンタルの競技なので、叱っても駄目だし、という指導方針があったみたいで。

園田 自分でやる感じじゃない? アーチェリーは、コーチに言われたことをやったら終わるんですが。

佐藤 射撃は、スケジュールは監督が決めて、自分でメニュー考えてやってました。

――でもそれによって、大学では困らなかったのではないですか

佐藤 そうですね。何しよう、とはならないですね。大学は特に常にコーチがいるわけじゃないので。でもエリアカのコーチが今度早稲田のコーチになりました。

園田 あの時(エリートアカデミーのコーチが辞めた時)琳カリッカリで。琳は結構激しいんですよね、増減が。心の面が体重に出るタイプで、ストレス溜まったらガリガリになるタイプで。コロナで一度止まって、エリートも2カ月くらい地元に帰って、また集まったんですが、そしたらえ、琳? みたいになって(笑)。こっちも太った? って言えないから…。

佐藤 体重がめちゃくちゃ増えた。

園田 でも、「太ったんだよね~」って。そうだよね?! ってなりました(笑)。

佐藤 いろいろあったよね。でももう戻ったから。あれはやばかった。

園田 もう本当、死にそうなくらい。

――それぞれの競技でベストな体型はありますか

園田 アーチェリーは太ってる方がいいですね。痩せてるより。安定もしますし、体重があると、重い物が持ちやすい原理で、弓も重い物が持てるので。筋肉もありすぎると、上腕二頭筋がついたら、ありすぎると引き込めなくなっちゃって。トレーニングも、ゴリマッチョはアーチェリーには向いてないです。

佐藤 射撃は、ピストルは体が大きい方がいいと言われてます。メーカーによって違って。女子はスポーツピストルとエアピストルとあって、私は両方持ってます。エアピストルは圧縮空気で出すので反動があまりないですが、スポーツピストルは本当の火薬で18歳からしか持てなくて、撃ったときの衝撃があります。どちらかというとスポーツピストルの方は、がっしりしていた方が良かったりします。海外の選手も結構運動しているのか分からないくらいの方もいらっしゃいます。

――今はどちらをメインにしていますか

佐藤 両方やってます。今年の夏からスポーツピストルを本格的に始めて、夏休みに初めて撃ちました。

――感覚は違いますか

佐藤 全然違いますね。試合のやり方も違って、エアピストルは60発を撃つんですが、スポーツピストルは精密と速射30(発)、30で分かれていて。スポーツピストルだけ5発連続で撃つ種目があります。7秒待機して、ランプが光った瞬間に上げて3秒で撃つ、下げる、というのを繰り返します。

――一番好きな種目は何ですか

佐藤 始めたばかりですが、速射は楽しいです。

――狙いすまして打つというのはアーチェリーと射撃で似ていると思いますが、どんな能力が必要だと思いますか

佐藤 止まる能力ですかね。精神面とか。メンタルの強さ、外したときどうするか、(当たるのが)続いたときどうするか。こういう競技って、ずっといいと外すというか。

園田 うんうん。

佐藤 ずっといいと、一発スポーンと外してしまうことが多くて。その保ち方とか、うまく休憩を入れたりとか、そこは似てるかなと思いますね。崩れたときに持ち直したり、崩れたときにどこまで引っ張らず切れるかみたいな。

園田 アーチェリーは狙い射ちですかね。10点を狙って射つだけなんですが、難しいんですよね意外と。私の後輩でも、うまいんですが、よく話してみたら、あまりよく狙えてなかったり。ちゃんと10点を見て狙うのは難しいので、そこは才能もあるので、練習したり。

佐藤 ハンティングする人いる? 私の競技は、狙ってるんだけど、(腕が)安定してスポーンと撃って、そのまま残ってるのがいい感じなのね。ダメなのが、ここ! みたいに合わせて撃って、その時だけいい感じに撃つみたいな。

園田 全然いると思う。でもその場しのぎって感じ。

佐藤 当て勘で、ここ! みたいなのを繰り返してる人もいますけど、いつかできなくなるときが来ます。本来的を狙う競技は、ルーティンとかでこだわって、自分が組み立てて作っていって、毎回同じようにするというのが中心なので。

園田 うんうん。しかも琳が、こういうことを教えてくれるんですよ。やっぱり似てるじゃないですか競技が。それで私が悩んでると、「射撃はこうだから、こうしてみたら?」って言われて。たしかに理論は一緒だから、私もたしかにそうやってみようみたいな励ましをもらえます。琳は理論的に考えるタイプなので。私はぼーっとしてるので(笑)。

佐藤 ぼーっとはしてないよ(笑)。

園田 助けられています。

(取材・編集 朝岡里奈、橋口遼太郎)

後編の記事はこちら


関東学生選手権春季大会で的を狙う佐藤

◆園田稚(そのだ・わか)

2002(平14)年4月23日生まれ。169センチ。東京・足立新田高出身。スポーツ科学部1年。高3時に全日本ターゲット選手権3位、今年の世界ユース選手権女子団体優勝。漫画が好きだという園田選手。佐藤選手と、お互いに好きなものを紹介し合っているそうです!

◆佐藤琳(さとう・りん)

2002(平14)年8月27日生まれ。158センチ。東京・成立学園高出身。スポーツ科学部1年。高2時に全国射撃ピストル大会(U30)優勝、ジュニアW杯ズール大会団体9位。アニメや漫画が好きな佐藤選手。今は2・5次元にハマっているそうです!