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競走部

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2021.05.19

【連載】『早稲田人たれ』第4回 長距離 千明龍之佑駅伝主将×半澤黎斗

 東京箱根間往復大学駅伝(箱根)以降、長距離ブロックをけん引してきた千明龍之佑駅伝主将(スポ4=群馬・東農大二)と、今季副将として支える半澤黎斗(スポ4=福島・学法石川)。二人はどんな思いを持ってチームを運営しているのか。そして、現在のチーム状況をどう捉えているのか。幅広くお話を伺った。

※この取材は5月12日に行われたものです。

チーム全体について

チームについて語る千明

――まず、お互いについて紹介をお願いします

千明 (半澤は)競技面でいうと真面目で、どんな時も練習に手を抜かずにやっている印象です。スピードが持ち味ということで、距離を踏んで駅伝に対応するという強い気持ちを感じます。4年生になって、僕がいない時に練習を引っ張ってくれているので頼もしいです。

――普段はいかがですか

千明 私生活では一緒にゲームしますし、半澤と直希(太田直希、スポ4=静岡・浜松日体)が同部屋なのですが、そこに遊びに行ってだらだらする感じです。時間もすごく守れる人間です。

半澤 千明は、普段はマイペースでおっとりしていてゆったりしています。これが、競技に変わったとたんに目つきが変わって、練習に対する姿勢は誰よりも熱いものがあって、今年の箱根以降それがさらに高まって結果につながっていると思います。主将としてだけではなく、一人の選手としてチームにいい影響を与えていると思います。

――4年生はどんな学年ですか

半澤 これまでの競走部もそうでしたが、学年内で仲良いことが多くて。横のつながりが強いです。球技を一緒にやったり旅行とかもしたりしていました。

千明 1年のころから誕生日をみんなでお祝いしていたり、最初から仲は良かったかなと思います。

――駅伝主将、副将という立場から見て、部全体の雰囲気はいかがですか

千明 長距離だけではなくて、短距離もかなり勢いがあって、お互いに相乗効果をもたらせているかなと。僕たちの代は強い選手が集まって、もう4年目になってしまったなかで、それぞれが得点をチームにもたらして、対校戦で優勝したいという目標に向かって部全体が力を入れています。

半澤 チームが始動する時に、今年は『早稲田人たれ』というスローガンを立てました。もちろん、競技面での成績も伸びてきていて勢いがありますが、一から部則を見直して、変えていったことも多くて。それぞれが自信を持って早稲田を背負えるようになろうとチームでやってきているので、競技面と並行してそういうところもできるようになっているかなと思います。

――ルールの見直しもされたのですね

半澤 学生幹部を中心にした話し合いをしたのですが、伝統も大事だけど、新しく道を作るのも大事だという意見があって。残していくべき伝統と自分たちが新たに残していくものも必要だろうと、幹部中心で主導しました。本当に必要な部則であるのか考えましたし、逆にこれがないと人としてどうなのというのもあるので。基本的なことを一つ一つ見直していきました。

千明 毎月のミーティングがあるのですが、コミュニケーションが偏っているという意見が後輩から出ていたので、ブロック関係ないグループを作って毎月ミーティングを行うようにしました。その中で、部全体に対する意見があれば言ってもらうということをしました。これからもルールに関しては、幹部や4年生を中心に見直していこうという感じです。

――それまではブロックごとに固まっていたのですか

千明 そうですね、それまではブロックごとに固まって、短距離は種目ごとにという感じでした。また長距離の下級生と短距離の女子が全く関わりなくて。同じ部として活動しているなかで、やはりコミュニケーションは必要ということで、そうした意見を実現する機会を僕らの代で取り入れました。実際、挨拶の声が小さかった後輩でも、より明るく挨拶してくれるようになりましたし、少し話す機会が増えたとは感じました。

 

千明「(チームは)関カレに向けてここ数年で一番いい状態」

――競技面でいうところのチームの状態は

千明 やはり春先から中谷(雄飛、スポ4=長野・佐久長聖)、直希、井川(龍人、スポ3=熊本・九州学院)が調子良くて。それにみんなが刺激を受けたのか、春の早大競技会だったり六大学(東京六大学対校)で調子良くレースをできていたので、関カレに向けてここ数年で一番いい状態になっているのかなと思います。

半澤 あとは、新しいトレーニングを取り入れました。また、集合の時に今までは上級生のみが今後の展望などを話していたのですが、それを全学年にして、一人一人がどういう目標を持っているか全員で共有できる場を設けました。お互いに何かあったら言い合える関係が、練習の時からできているのかなと思います。

――新入生たちの様子はいかがですか

千明 すごく仲が良さそうで、いい感じだなと思います。競技面も大志(伊藤大志、スポ1=長野・佐久長聖)、石塚(陽士、教1=東京・早実)に追いつこうと、伊福(陽太、政経1=京都・洛南)や和田(悠都、先理1=東京・早実)など14分台の子たちも頑張っていますし、15分台の子たちも真面目に、先輩たちについていこうとしています。真面目な子が多くて、安心してみていられる学年だなと思います。

半澤 本当に真面目な子しかいないです。積極的な学生が多くて、昨年から取り入れた新しい取り組みに対しても自分から進んで取り入れていますし、練習内容を聞きに行ったり。僕らの時は、4年生に聞きに行くことはありませんでしたが、結構話しかけてくれたりして接しやすいですし、自分たちがそういう環境にしていこうと決めていたので、それが浸透してきているかなと。やりやすい環境を作れているのかなと思います。

――最上級生から見て、各学年に対してどんな印象を持っていますか

千明 3年生は、お調子者ばかりで大変ですが、1、2年のころに比べたら少しは落ち着いてきている感じはします。もう少しチームのことも考えてもらいたいですが、頼もしくなってきているなと思います。

半澤 3年生は陸上選手として競技成績も出ているので、そこは本当に尊敬するところです。そこは僕も含めて見習わないといけないと感じていますし、勢いがいいので、競技も私生活も(笑)。チームに勢いをもたらしてくれる存在かなと思います。僕らは波に乗せてあげられるような関わり方をしていければと思います。

 2年生は真面目です。一番頭を使って動けるというか、学年の横のつながりも強いですし、先輩、後輩ともうまく関われているなと感じています。佐藤(航希、スポ2=宮崎日大)も今回ハーフにエントリーされていて、復活という意味で下からの突き上げもありますし、学年としてまとまりがいいなと思います。

千明 去年から戦力として戦ってくれていたので、2年目で、さらに一回り成長しているというか。特に菖蒲(敦司、スポ2=山口・西京)は、昨年と比べると安心して見ていられる感じがしています。全体的に競技面においても信頼しています。

 

駅伝主将と副将として

副将を務める半澤

――お二人が主将、副将になられた経緯を改めてお願いします

半澤 最初から千明が学年の中で推されていて。僕もチームが勝つことと自分の成長も求めて、駅伝主将をやりたいと言っていましたが、最終的には千明に決まったかたちです。そのあとに、千明が個人的に僕のところに来て、「一緒に支えてほしい」ということを言ってくれて。近年ではなかった副将という立場に就かせていただいていて、一緒にチーム作りをしています。

千明 やはり、1年のころから僕よりも周りが見えていて、僕が、練習の時などに思ったことをそのまま言ってしまった時も諫めてくれることがあって。あとは私生活でも半澤はしっかりしています。一歩引いた立場から全体を見て、何か意見を反映させてくれたらチームが良くなるのではないかと思いました。部全体の役職としてはなかったのですが、長距離の中では副キャプテンということで、僕が不在の時などにしっかり運営に協力してもらっています。

半澤  ありがとうございます(笑)。

――就任後、ご自身の中で何か変わったことはありますか

千明 やはり立場上責任が生まれましたし、以前は自分のためだけに動いていた部分も多少はありました。(今は)自分を犠牲にしてでも、できること、やらなければいけないことを考えるようになりました。まだできていないところもありますが、少しは変わったのかなと。

半澤 役職をもらったので、チームに対して言いやすくなったのと、思いが伝わりやすくなったかなと思います。あとはコミュニケーションが増えたかなと思います。短距離の後輩を含めて話す回数が圧倒的に増えたので、その意味では、チームの成長に対してもそうですが、みんなから自分自身の成長に対して必要なものも貰えているなと思います。

――半澤選手からみて、千明選手はどんな主将ですか

半澤 前の吉田さん(匠氏、令3スポ卒)や太田さん(智樹、令2スポ卒=現トヨタ自動車)は、口では語らずに背中で引っ張るタイプで、その前の清水さん(歓太、平31スポ卒=現スバル)はコミュニケーションをとるタイプだったのですが、どちらもうまくやっているなと。千明がこんなに話す人間だとは思ってなくて(笑)。主将に決まった瞬間から、自分から誘ってジョグに行くなど話す回数がとても増えたなと思います。

――それは意識的に行ってきたことですか

千明 先輩などに対しては話しかけにくいと思うので、自分から誘ったりだとか、故障している選手に声をかけてみたりとか。自分のことだけではなくて、他の人の調子などを気にするようにはしています。

――箱根後に、武士文哉前主務が「千明はまだパッションを出し切っていない」とおっしゃっていました

千明 そのインタビューは、4月ごろに見ましたが、そんなこと思っていたのかと(笑)。確かに下級生の時よりかは、チームに対して自分の思いは言ってないかなという感覚はありました。言われた側のことも考えて話すことを意識しているのですが、まあもう少しパッション出してもいいのかなと、それを見て思いました(笑)。これからちょっと出していきます。

――どんな方向性でチーム作りをしようと考えていますか

千明 部全体にも言えることですが、長距離のチームとしても、後輩からどんどん意見を出しやすく、全員でいい方向に持っていくためにはどうしたらよいかを話し合える環境を作りたいと考えていました。長距離でも月1でミーティングして、後輩の思いや現状を確かめるのを大切にしていこうと思っているので、開けたチームを作りたいなと思っています。

半澤 僕も同じ感じです。あとは、3冠という大きい目標を立てたので、そこに対してはぶれずに、部員全員ができることをやると決めています。

 

千明「世界のトップ選手の取り組みを、チームに還元できれば」

――先ほどからお話されている新しい取り組みについて教えてください

千明 トレーナーの五味さん(宏生氏、平19スポ卒)にお願いして、週2回のフィジカル面でのメニューを出してもらっています。希望者が集まって筋量をアップさせるという目的で始めました。あとは知野トレの知野さん(亨トレーナー)が、昨年よりも来てくださる回数が増えています。筋力強化と走りの効率性を高めるという意味の同時進行で、例年よりも強化しています。

――それは千明選手が提案したのですか

千明 昨年からたまに五味さんには来ていただいており、今年に入ってから本格的にメニューを出していただいて取り組みたいと、僕の方から相楽さん(豊駅伝監督、平15人卒=福島・安積)と五味さんに相談して、相楽さんもその意見をくみ取ってくれて、五味さんにトレーナーとして手伝っていただくことを本格的に始めました。

――その部分を強化したいと思ったきっかけはありますか

千明 走ることに重きを置きすぎていて、ケガの原因も走ることだけにしていたので、筋力がないから不具合が起こるという側面もみんなに理解してもらいたくて。あとやはり、僕と中谷が参加した大迫さん(傑、平26スポ卒=現ナイキ)の合宿で、走ることだけではなく、同時進行でフィジカル面の強化やウェイトトレーニングを取り入れていたのが印象的でした。世界のトップ選手の取り組みをチームに還元できれば、と思って始めました。

――半澤選手はその取り組みに関していかがですか

半澤 最初はめちゃめちゃきつくて。それをやった後3日間ぐらいは走るのもきついぐらい筋肉痛になりました。ですがだんだんみんな筋力がついてきて、それが走りに表れているのを実感しています。あと進化しているシューズを活用するためにはどんな走り方をすればいいのか、どこの筋力が必要なのかを考慮してメニューを組んでいただいているので、その部分ではチームとしてまとまってできているのはいいのかなと思います。

――チーム内で意見がぶつかることはありますか

半澤 学年内ではあまりないですが、チーム内では意見がぶつかるというか。やはり、やりたくないことがある選手もいますし、メニューに対して不満がある人もいます。ですが、ほかの大学と比べてスタッフと選手の距離が近くて、コミュニケーションを取りやすい環境にあるので、うまく対話で解決しているかなと思います。学生間で部全体に関わる問題が出た時は、幹部で話し合って、どうしていくかを決める流れになります。

千明 ぶつかり合うことはないですね。話し合いはよくあります。

半澤  それこそ、部則の見直しの時は本当にこれ必要なのか、などは議題になります。1年生の仕事に関してもはたから見れば必要ないのでは、ということもあるので。ぶつかるというよりは、話し合いをします。

 

エンジでのラストイヤーへ

――箱根の後、トラックシーズンに向けてどんなテーマで練習してきましたか

千明 まずは、学生ハーフ(日本学生ハーフマラソン選手権)でユニバーシアードを決めることに向けて練習していましたが、出場権を逃してしまい悔しい思いをしました。そこからもう一度がんばろうと、トラックシーズンに向けてスピードを強化してきました。1500メートルと3000メートルを3月末に走ってとても調子が良くて、1500は自己ベストも出せたので、春先のスピード強化はうまくいったと思います。その結果が、六大学や法大記録会で表れたと思います。最終的には1万メートルで、直希と中谷と井川に追いつかないといけないと思っているので、今は27分台が目標です。

――半澤選手はいかがですか

半澤 僕は、箱根で当日変更になって、本当に悔しい思いをしたので、ラストシーズンに向けて強い思いでスタートしました。その後軽い故障や体調不良が続いてしまって、一番走り込みしたい1、2、3月でうまく練習を積めませんでした。なのでそこの埋め合わせをしつつ、関カレなどに向けて練習をしています。

 大学ラストなので、全種目自己ベストを目標にしているのですが、学生駅伝のレベルが上がっているなかで3冠という大きな目標を立てたので、最上級生としても副キャプテンとしても、貢献しなければいけないなと思っています。戦う力もこのトラックシーズンで強化できたらなと思います。

――六大学以降の練習状況はいかがですか

半澤 順調に練習を積めていて、自分の感覚とタイムが合ってきているので、関カレにしっかりとピークを合わせて、チームに点数をもたらせればと思っています。

――最近のチームメートの活躍はどうご覧になっていますか

千明 短距離の活躍をテレビで見ていて、すごく頼もしいと感じていますし、それに負けないように結果を残したいという思いはあります。

半澤 記録が伸びていて、トップレベルで戦う力がついてきているなと思います。チームメートとして素直に嬉しいです。ただ、学生のレベルが全体的に上がってきていて、六大学も優勝を目指したなかで、できなくて。関カレと全カレ(日本学生対校選手権)はトラック優勝を目標にしています。まだまだ突き詰められる部分はあると思うので、ほかの学生の評価も気にしながら、結果に対して満足するだけではなくて、さらに上を目指してやらなければと思っています。

――早稲田でのラストイヤーはどんな1年にしたいですか

千明 やはり駅伝すべてで勝ちたいという思いがあるので。それが一番です。

半澤 3冠に対してぶれずに取り組みたいと思います。個人としては、大学入学後、悔しい思いをたくさんしてきていて、高校までは陸上を楽しくやれていたのですが、それができていないので。個人としては楽しむということも忘れずにやっていきたいです。

――最後に関カレとその後のトラックシーズンに向けた意気込みをお願いします。

千明 (関カレは)5000メートルに出場するので、留学生に食らいついて、日本人選手には誰にも負けず、表彰台に上れるように、井川と大志と頑張りたいと思います。

半澤 例年1500メートルは予選が3組あるなかで、今回は2組になって、着順の取り方も変わってきます。戦術を相楽さんと相談しながら、3人で決勝に残りたいです。そしてチームとして優勝できるように、自分の種目だけではなく、ほかに出る選手に対しても最上級生としてできることをやっていきたいなと思っています。

――ありがとうございました!

 

(取材・編集 青山隼之介、朝岡里奈、布村果暖)

ラストイヤーへの意気込みは、共同制作になりました!

◆千明龍之佑(ちぎら・りゅうのすけ)(※写真左)

2000(平12)年3月3日生まれ。169センチ。群馬・東農大二高出身。スポーツ科学部4年。ルーキー伊藤選手が「憧れる」という体つきをしている千明選手。大学入学以来、継続してきたトレーニングの成果が出てきたそうで、「大志は今ひょろひょろなので、4年間かけて僕のようになってほしいです」と目を細めていました。

◆半澤黎斗(はんざわ・れいと)

1999(平11)年12月3日生まれ。165センチ。福島・学法石川高出身。スポーツ科学部4年。同期の選手とともによくインスタライブに参加される半澤選手。毎回、サッカーゲームで勝負を挑んでくる千明選手を「ボコボコにしている」そうです(笑)。それ以外ではもちろん、千明選手と力を合わせて長距離ブロックをまとめています!

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