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相撲部

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2021.02.15

【連載】『令和2年度卒業記念特集』第13回 長谷川聖記/相撲

『負けず嫌い』

 2020年、49年ぶりに全国学生選手権で団体ベスト8入りを果たした早大相撲部。そんな歴史的活躍をけん引したのは、紛れもなく、主将の長谷川聖記(スポ=愛知・愛工大名電)であった。入学以降、数々の苦悩を経験してきた男がいかにして、団体戦の大黒柱に、そして個人戦では全国大会の常連になったのか。その成長の原動力に迫る。

 はやくも物心つく前の保育園時代から相撲を始め、競技生活は17年にわたった。長谷川の相撲人生を語る上でのキーワードは『負けず嫌い』だ。長い相撲人生において、練習のつらさから辞めたいと思うことは何度かあったという。それでも相撲を続けてこれたのは「試合で負けたときの悔しさ」が体を突き動かしたからだった。

  早大入学後も、悔しい思いをバネに成長を続けた。まずは入学1年目。他大の同学年が入学直後から全国の舞台に出場する一方、長谷川は出場できなかった。「自分は何をやっているんだろう」「同学年の活躍を見ていて(自分が)情けないし、悔しい」そんな気持ちでいっぱいだった。それでも、そこで腐らないのが長谷川の真骨頂。自分に足りないものを稽古では常に考え、練習メニューではウエイトトレーニングを強化した。1年目で出場した大会では黒星が目立ったが、自分を見つめ直した結果、2年目には個人、団体で勝率6割越えを達成。以降は団体戦でも主力として期待されるようになった。

東日本学生体重別選手権準決勝、相手の攻めに耐える長谷川

 東日本学生体重別選手権135㌔未満級優勝──。長谷川は3年目にしてついに大学初タイトルを獲得する。その原動力になったのも、やはり悔しい経験からだった。2年生で出場していた同大会ではけがの影響もあり初戦敗退。3年生になって出場したそれまでの大会でも「正直思っていたよりも勝てなかった」と振り返る。また、この大会前には稽古で肘を故障し、決して万全ではない状態。それでも「気持ちの面で吹っ切れたのが良かった」といい、次々と強豪をなぎ倒していった。つらい思いを味わってきただけに、優勝の喜びはひとしお。大学4年間の思い出の一番にはこの大会をあげた。

 好成績をのこす長谷川には、プロ入りを期待する声も大きくなっていった。しかし、入学前からの「プロ入りはしないで、とにかくここで後悔なく終わろう」という決意に揺らぎはなかった。そのため、物心ついた時には始まっていたという長谷川の『相撲人生』もこれで幕引き。相撲に対してはもう未練はないかと尋ねると、充実感あふれる声で即答した。「それは全くないですね、相撲はもう十分やったんで!」

 数々の逆境を跳ね返し、成長し続けてきた長谷川の相撲人生。次なるステージにいかなる困難が待ち構えていようとも、恐れるものは何もない。

(記事、写真 大貫潤太)

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