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ア式蹴球部

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2021.01.05

【連載】#atarimaeni CUP 開幕直前特集 第6回 鍬先祐弥×加藤拓己(1/5)

  最終回を飾るのは、さらなる高みを目指し、新たなステージへと歩みを進めることに決めた2人。『The 1st』、競技サッカーにおいて『日本をリードする存在』へと突き進むプロ内定コンビに、チーム、同期、そして自身のこの先を語っていただいた。

※この取材は12月26日に行われたものです。

「このチームなら必ず日本一が取れる」(鍬先)

ハードワークでチームの中盤を支えた鍬先

――ここまでのチームのシーズンを振り返ってください

鍬先 シーズンの初めにリーグ(関東大学リーグ戦)制覇と日本一という目標を立てた中で、リーグ戦やアミノ(アミノバイタルカップ)もそうですがここ一番という大事な試合を落としてきたという現状があります。どちらも結果としては2位でそんなに悪くはないと思うんですが、目標は達成できていないので、選手は誰一人として満足していないと思うし、そういった意味で最後の全国大会にかける思いは強いです。

加藤 こういう世の中になって、世の中としても厳しい1年だったと思います。リーグ開幕が3カ月遅くなっても無事に終えることができたというのがまず一つ、早稲田としても大学サッカーとしても林(隆生、スポ3=東京・小石川中教校)含め学連の人などに感謝のシーズンだったと感じています。ただ、今年は自分たちが結果を追い求めてきた中で2位に終わってしまって、大事なところで勝ち切れずトップに立てなかったというのは課題でしかないです。特に自分が最前線にいて、チームでも素晴らしい番号を背負わせてもらっているにもかかわらず、チームを勝利に導けなかったのは不甲斐なさや責任感を感じています。自分自身も得点王という話をシーズン頭に出したにもかかわらず最終的に3位で終わってしまいました。このシーズン、チームは本当にたくさん勝利を積み重ねましたし、それと同時に多くの敗戦や引き分けなど苦しいものも味わってきましたが、自分が掲げた目標が実行できなかったことと、それによってチームを勝たせることができなかったという部分で、特に個人的には苦しいシーズンだったなと感じています。

――鍬先選手は個人のシーズンとしてはいかがでしたか

鍬先 昨年チームが勝てなくて、チームが勝てないと自分もなかなか個人で評価されにくいということを痛感しました。個人的には進路も決まっていないという状況もありましたが、やはり今年はまず早稲田が勝つことに全力で貢献することを意識していました。そのプロセスがあって初めてJのスカウトの方などいろんな方に評価していただけると思ってやっていたので、リーグ戦のゴールやアシストなどの数字にはこだわりたかったですが、個人として意識していたところはある程度表現できたかなという手応えはあります。

――お2人はシーズンを通して出場してきましたが、シーズン終盤に体力面での苦しさはありましたか

加藤 ぶっちゃけきつさしかないですね。こんなスパンで試合することもあまりなかったので、全体的にトレーニングを積むことができなくて、ほとんど毎日コンディショニング調整メインのメニューをやっていました。もちろん試合を重ねることで成長もしていきますが、やはり課題に向き合う時間が少なかったですし、もしかしたらそこがあれば今年は本当に強いチームになっていただろうと思います。やはり1週間かけて反省をして、それを踏まえてトレーニングをしてというスパンがあるからこそ成り立つリーグ戦だと思うし、今年は仕方ないですが、そういうことができなかったことを含めての精神的なきつさはありました。

鍬先 僕も加藤が言った通りだなと思います。

――そういった点では全国大会に向けて少し時間が空きますが、積み上げはできていますか

鍬先 トレーニングや練習試合などを通して、練習から強度なども全員で見つめ直しています。その中で個人としてどのように表現していけるのかというテーマがある中で、確実に上積みされているものは感じますし、そういった意味でこの準備期間は非常に大事ですね。まだまだ日本一に値するチームではまだないのかもしれないですが、試合がある期間でも試合を通して全員で課題と向き合ってトレーニングなどができれば、このチームなら必ず日本一が取れるかなと思っています。

――早慶戦前のアンケートで印象的な試合をお書きいただきましたが、鍬先選手はアミノ杯の立教戦、加藤選手は駒大に敗戦した後の筑波大戦を5-0で勝った試合を挙げていました。それらについて教えてください

加藤 駒大に負けてからチームとしても若干嫌な雰囲気で、アミノでもなかなか点数が入らなかったり、正直全員が迷っていたというか、立ち返る場所が分からなくなっていました。その中で外池さん(外池大亮監督、平9社卒=東京・早実)からその後口酸っぱく言われた、「ゴールに向かう姿勢」というのを全員が問われて迎えた初戦で、開始早々2点くらい取ったのがすごく印象的でした。外池さんに言われたことから改めて自分たちは攻撃するチームだなと再確認できましたし、またそこから波に乗れたので、その試合は印象的でした。チームにとってもう一度必要なものを見つけられた試合だったなと思います。

鍬先 アミノの立教戦は、天皇杯予選で中大にPKで負けていて、相手はもう引いて一発狙いというのは感じていて。でもPKの時に中大戦がフラッシュバックして、アミノの大会としてもここが山場だなと、勝てれば決勝にも行けるかなと思っていました。そういった意味でPK戦を乗り越えられたことと、アミノの決勝まで勝ち上がれる勢いをつけられたのは間違いなくあの試合だったかなと感じたので、今も印象に残っています。

――今シーズンは優勝こそ逃しましたが素晴らしい成績を残してきました。どこに要因があると考えますか

加藤 俺は本当に4年生としか言いようがないくらい4年生の存在が大きいです。ピッチで考えれば一番後ろに山田(晃士、社4=浦和レッズユース)、杉山(耕二主将、スポ4=三菱養和SCユース)がいて、左に阿部(隼人、社4=横浜F・マリノスユース)がいて、真ん中にクワ(鍬先)がいて。途中で賢柱(梁賢柱、スポ4=東京朝鮮高)が怪我しましたけど、やはり大事なポジションに4年生がいてくれたおかげで、自分も前で苦しい時にうるさいぐらいに後ろから声が聞こえて4年生の存在を強く感じました。それは見ている人にも、間違いなく3年生以下にも伝わった部分だと思います。今年はきれいな勝利は少なかったと思うけど、得点が多くて失点が少なくて。失点が少ないっていうのは、やはり後ろで体を張っている4年生だったなと思うし。今年は Bチームが運営含めて日頃の行いだとか、メンバーになかなか絡めない4年生でもトレーニングに100%で向かう姿勢とか、後輩たちへの見せ方、見え方を意識した振る舞いなどの部分が今年のチームを支えたと思います。この先も全国大会がありますが、自分たちがいかに力を出せるかには間違いなくその力が一番大きくかかってくるかなと思います。

鍬先 逆に僕が思うのは、下級生が4年生に本当によくついてきてくれているなと感じています。チームの運営や戦術の部分など自分たちが主体でやっている中で、すごくそれを尊重してついてきてくれますね。苦しい時に4年生がやってくれていると言ってくれましたが、加藤など下級生も試合になれば苦しいところで点を取ってくれたりとか、ディフェンスラインにも下級生がそろっていて。そういった選手たちがチームの先頭に立って、誰よりもハードワークしている姿を見てきたので、自分たち4年生ももっとやらなきゃいけないという覚悟や責任が生まれたと思います。

加藤 本当に?(笑)。言葉が詰まりながらなんでちょっと怪しいですよね (笑)。

――去年はなかなかうまくいきませんでしたが、今年は連敗をしないなど、好調を維持することができました。どんな部分が違うのでしょうか

加藤 やはり雰囲気は全然違いますね。勝てなかったかもしれないですが、こういった状況でも楽しめている4年生の姿はあると思います。よく話すのは、去年だったら入っているシュートが今年だったらディフェンスに当たるという。今年はなぜか監物(拓歩、スポ2=清水エスパルスユース)や杉山のところに当たって、山田のところに届かないというシーンが多いよねという話をしています。そこはわずかな差なんですが、何なんだろうって考えたらそこは4年生にしかわからないですね。

鍬先 俺?(笑)。すごいスルーパス来ましたね(笑)。

加藤 俺も本当に分からないんです(笑)。林どう?(笑)

林隆生(スポ3=東京・小石川中教校) そもそも早稲田って、他の大学と違って部員の入試形態もバラバラですし、全員が全員プロを目指しているわけでもないし、サッカーがすべての組織ではない分、一つの方向にまとまるのがすごく難しいんですよ。でもサッカーのベースがない分、逆に4年生の力というか、その代によって結果やチーム自体が変わってしまう特徴が早稲田にはあると思います。他大学の話を聞くと、「勝利」や「プロになる」という目標をまっすぐに追い求めるチームが多い印象ですが、逆に言えば盲目的になってしまっている印象が拭えないところもあります。そもそも目標やゴールが違いますね。早稲田のいいところでも悪いところでもあるのは、チームの共通認識、チームで与えられるものが意外となくて、だからこそ各学年で考えて表現するというサイクルを回す習慣にあると思っています。その濃さや精度によって学年のクオリティが全然違ってきて、それによってその代のサッカーの強さにも関係が出てくるのかなと。プロと違って選手の入れ替わりが激しい分、大学サッカーってそういうものなんですよね。僕はそんな感じがしています。

加藤  やっぱり林は学連でいろんなチームを見ているからね。

 去年の明治も4年生がすごかったと思います。技術じゃないんですよね、本当の強さは。もちろん技術に差はあるけどベースは大体一緒なので、そこから先のプラスアルファを見出すのと、それをまとめる4年生の力というか。心技体で言う心の部分を、チームをマネジメントする最上級生がいかに調整するか、引き出すかというところがあると思います。

加藤 そう考えるとやっぱり一つ一つの活動、例えば手洗い動画を出したいって言ったときに4年が、工藤(工藤泰平、スポ4=神奈川・日大藤沢)とかが先頭切ってやってくれたりして。そういう人がピッチにいるのは大きいと思いますね。風通しがすごいいいなというのは感じます。しっかり意見が通るし、意見に耳を傾けてくれる。かといって自分たちも信念をぶらすことはないし。特に今年はスギとか山田とか、熱い人間がいる。でもその言葉一つ一つに偽物はなくて。最初に山田が試合前に円陣を組みチームを鼓舞していて、最初は笑う人間もいたけど、時間がたっていくとあの熱量にみんながついていこうってなったからこそ、あの言葉は重要だし。4年生が一つにまとまっているから俺たちもついていきやすいですね。

鍬先 たしかに、どうしたら良くなるかというミーティングはほぼ毎日やっていて、そういった部分がそう感じてもらえるのかなと思いますね。

――加藤さんとしては、来季はどのようにチームを組みたてていきたいですか

加藤 個人としても難しいシーズンになるので、その中でどうするかというのは難しいですよね。来年の4年生は真面目な人が多いから。今年の4年生は変わった人も多いからよくまとまったなと思います。

鍬先 クセがすごいよね。逆に個性がはっきりしているぶん、周りを認める文化というか、認めないとまとまらないから。そういうのがあるからこそ後輩に寄り添えた部分はあると思います。

――阿部隼人選手(社4=横浜F・マリノスユース)が、下級生のときにぶつかったことが今のまとまりに一番つながっているとおっしゃっていました

鍬先 やっぱりキング(阿部選手)が一番変わったんじゃないかなと思います。ア式に来た当初は尖っていたイメージしかないけど、誰よりも早くア式の環境や基準に適応していたと思います。常に周りを見ていて、学年の緩みとかを指摘してくれたし、学年が上がっていくごとに周囲に対する振る舞いが大人になったというか、そのような印象です。

――杉山主将が、もっと下級生はぶつかった方がいいのではと言っていました。それについてどのように感じますか

鍬先 その言葉というのは、僕らが1年の時の4年生の新人監督に言われてきました。個性が強い分本当にバラバラでまとまりがなくて。「お前らはうわべだな、思っていることをちゃんと全部言うところから始めろよ」とずっと言われていて。その先輩のアドバイスを聞いて、自分たちもいろいろ重ねてきました。それがあったから今があると思っているので、杉山もそう思って下級生にはもっとぶつかってほしいという言葉を投げかけたんじゃないかなと思います。

加藤 自分たちもわりとぶつかっていますけどね。俺たちの学年は模範解答を出したがる風潮があるから、どっちかというと、誰かがミスをしたときに何ができたのかを考えるタイプの人間が多いかなと思います。もちろん本音で言い合う、一対一でぶつかることもあったけど、そういうタイプの人間が多かったし。それを望む人間が多かったから。クワは古賀早稲田を経験していて、俺たちは外池早稲田だったから。2年の時に古賀早稲田の風潮ってよく言われたけど、「いや分かんないよ」ってところから始まって。そこがちょっとつらかったかなと。やっぱり俺らは外池さんの1年目からで、外池さんのポジティブな考え方に向かって行くのと、クワたちが育った古賀さんのリアリティの方に向かうところ、そこは最初に俺らが受け入れて理解するのに時間はかかりました。でもやっぱり要所要所で言わなきゃいけないところもあったし、そこで学ぶことも多かったなと。やっぱりそれは上の学年で何やっているんですかって質問から始まったり。それは形式上じゃなくて、面と向かって言うのは重要だったなと思うし、それがたぶん来年俺らは多いのかなと思います。やっぱり4年生になって自覚が増えていく上でそういうことになっていくだろうし、下級生にも言わなきゃいけないことが増えていくと思うので、そのクワやスギの言葉が来年いつか困った時の助けになればいいと思うし、とにかくそれをできるだけ後輩たちにも引き継いでいけるような4年生になればいいなと思っています。ごめんね、もういなくなるみたいな言い方して。まだ1カ月あるのに(笑)。

「4年生がやってきたものを正解とするため優勝させなければ」(加藤)

前線で圧倒的な存在感を示す加藤

――お二人はめでたくプロが決まったということですが、気持ちの変化はありますか

鍬先 進路が決まっていない状況でも、プロになれると信じてその振る舞いをやってきたつもりです。なので、プロが決まったことで心境の変化はさほどありません。だけど、多くの応援してくれた方々に心配をかけてしまったところもあるので、無事進路が決まってホッとしているところは正直あります。僕の目標や夢は、プロになって終わりではないので、これからさらに気を引き締めて過ごしていきたいと考えています。

加藤 自分の中での決断も難しかったし、自分が決断したのは自分自身を苦しめるためでもあるし。やっぱり他の人と同じではいけないという自分なりの奮い立たせ方なので。1年早く、でもやっぱりクワより先にリリースしたくないという思いもあったし。特に今は移籍期間で、多くの選手が加入・退団していく中で、清水側からもそことの競争や大学との両立という部分を求められていると思います。正直不安とかはないし、でも満足もなくて。それは求められていることに対してこれから応えていかなきゃいけないっていう責任感とわくわく感が強いですね。まだ何も始まってないし、大学リーグで大きな結果を残したわけでもなくて、まだ何も残っていないので、全然満足いってないです。特にエスパルスへの内定を発表してから1点も取れてないのでだいぶ苦しいですが。でもそれは自分が求めた環境なので、どちらかというとそれは成長になるし、そういう意味では自分自身決まったことに対する喜びよりも、決まったことに対してこれから自分がどうしなきゃいけないかっていうのを考えていく。その1年が今のクワやキング、山田との違いかなと思いますね。

――そういった意味では今の慶應の橋本(健人)選手のようになる状況もありえるのでしょうか

加藤 そうですね、勿論そのような事も視野に入れながらの決断でした。プロでしか学べないこと、大学でしか学べないこと、その2つを学ぶことを求められていると思います。そういうことができる人間だという評価をいただけたことはすごくうれしかったですね。二足のわらじを履くことの難しさはありますが、それを決断したのは自分なので、決断に対してしっかり責任ある行動をできるようにしなきゃいけないなと。そこで世間から向けられるプレッシャーを楽しみながらやっていきたいなという気持ちはありますね。

――ここから全国大会が終わってキャンプインになります。オフがあればどう過ごしたいですか

加藤 俺はもうひとつしかないです。ゴルフがしたい、それだけです(笑)。休みたいですけどオフがないので…。オフは絶対ピッチに立ちたくない派です。

鍬先 詳しい日程とかも決まっていなくてこれから詰めていくところですが、俺もピッチには立ちたくないですね。それこそ旅行とか行きたかったんですが。でも特にないですね。ゆっくりしたいです。

――プロが決まって、いろいろな人から連絡が来たのではないですか

加藤 いっぱい来ました。知らない友人5人ぐらい来ました(笑)。でも本当に多くの人から連絡を頂けたのは嬉しかったですね。リリースの1週間前にはこれまで携わってくださった指導者の方に連絡を入れていたんですが、それ以外は全然言ってなかったので、けっこう連絡は来ました。

鍬先 僕も今までお世話になった指導者の方には事前に連絡を入れていたので。あとは仲いい友人とかですかね。

――ここでお二人それぞれの他己紹介をしていただけますか

鍬先 真面目なことを言うと、加藤は人一倍周りが見えていて、振る舞いとか実は考えていないようでめちゃくちゃ考えていますね。4年とか先輩に対してもすごく立ててくれるようなことをするので、そこにいつも驚くし感心させられます。一人の人間としてすごく尊敬できる部分があるので、いろんな人から慕われて頼りにされているのはそういうところにあるかなと感じていますね。あとは本当に顔がでかいくらいかな(笑)。

加藤 真面目にいくと、人一倍努力家ですね。自分が置かれている状況を鍬自身で考えることができるので、これこそプロが決まっていない時に誰よりも危機感を抱いていて、それをプレーで表現できていたと思います。あと優しいんですよすごく。だからすごく後輩に好かれています。この前の4年早慶戦で写真を撮ろうと思っても、いないんですよね、後輩から引っ張りだこで。それくらい慕われているし、ツーショット撮りたいのに周りが入ってきちゃうみたいな。それぐらい人間性としてできているんですよ。でもそういう優しさがある中でもピッチに入ると人が変わる。吠えるし。去年はあんまりそういう印象はなかったんですが、今年に入ってそうなりましたね。俺はそのタイミング知っていますけどね、完全にデンソーカップだと思うんですけど。デンソーで一緒だったんですが、本人としては関東A選抜に入れなかったのが相当悔しかったと思うんです。関東B・北信越選抜が関東A選抜と練習試合をやった時に、Bが勝ったんですよね。その時誰よりも戦っていたのはクワだったという印象が強いです。そこから鍬先の人格が変わったなって。ピッチの中では誰よりも熱いけど、ピッチの外では誰よりも優しい。あと誰よりも顔がでかい(笑)。話しやすいので相談もしやすいし、先輩だけど先輩じゃない、お兄ちゃんみたいな感じがある不思議な存在ですね。だから来年クワがいなくなるのはすごく心配だし、プレー面でも中盤が空いてすごく心配な部分もあるんですが、すごく不思議な存在です。

鍬先 それでまとめるんか(笑)。

――ピッチ外はとてもほのぼのとしているイメージですよね

加藤 そうなんですよ。ピッチ内ではやることをきっちりやると言うか。でもピッチ外では意外と忘れ物するみたいな。

鍬先 私生活での危機察知能力はゼロみたいなね。

加藤 西堂(久俊、スポ2=千葉・市立船橋)なんかもね。スギとかは逆に両方しっかりしているところはありますけど、クワはそこの差がすごくあります。オフは問題児です (笑)。

鍬先 問題児ではないです(笑)。結局どっちが顔でかいんやろな。

加藤 でも結局一番は西前(一輝、スポ4=FC町田ゼルビアユース)かな。

鍬先 チャンピオンは西前か。そういうことにしとこう。

――鍬先選手のア式日記で、後輩への熱い思いがつづられていました。率直にどんな思いでしたか

鍬先 なかなか正直細かいところまでは面と向かって言いづらいので。何を書こうかなと思ったときに、今年の後輩たちの活躍が本当にすごいなと思っていて。大学でもトップクラスの能力を持った選手がうちにはいると思っています。これからがすごく楽しみだなと感じていたので、だからこそもっと突き抜けてほしい、突き抜けていないといけないと思っているので、自分が一緒にプレーしていて感じることを素直に書いて、少しでも選手の成長のきっかけになればいいかなという。その思いでブログをつづりました。

――寮生活をされていたと思います。加藤選手は羽田拓矢マネージャー(人3=東京・駒場)と仲良しだそうですが、寮生活について教えていただけますか

加藤 俺は結構腐り人間なので、オフはずっと寝ています。高校生からずっと寮だったので、親に対する感謝は寮に入ってすごく湧きました。俺がいつか大人になったときに子供に教えられることを頑張って探しています。掃除の知恵とか。あと寮がいいと思うのは、近くに仲間はいるけど結局一人の時間もあって。悩んだときに絶対に仲間がそばにいてくれるので。今は羽田とは部屋が別になったんですが、毎日昼飯も夜飯も一緒に食べているし、朝起こしにくるし、早慶戦の仕事をしているときもあいつの部屋にお菓子を持って行って戯れたりしていたので。俺は暴れるのが大好きなんで寮で暴れていたよね。食堂でも騒いでいるし。今はコロナの期間だから「しゃべるんじゃない」って怒られたりして(笑)。部屋では何もしないです。寝るかゲームかどっちかです。だから俺の生活は本当につまらないですね。ライフハックだけです。

鍬先 俺も寝ていたし、基本バル(山﨑昂、スポ4=松本山雅FC U18と寝てました(笑)。同部屋の清水(駿、政経4=京都橘)がけっこう勉強しているんですよね。政治経済学部でレポートの量が多くて、テスト期間とか死にそうな顔してやっていて、僕はわりと楽なのであんまり迷惑かけちゃいけないなと思ってバルの部屋に入っていました。そこで寝るみたいな感じでしたね(笑)。あとは近くに仲間がいるので、悩みを聞いてもらったり。一人の時間もあったんですが、でも一人じゃないと言うか。寮はすごく良いところだったなと思います。

――一人暮らしはいかがですか

鍬先 生姜焼きを作りましたね、めっちゃ味濃かったです(笑)。面倒くさいことの方が多いですけど、楽しいですね。得意料理はないな(笑)。でもすぐ残った米を冷凍しているので、それを解凍して適当にチャーハンを作ったりしています。

加藤 知恵だねそれは。

鍬先 どっちみち来年からはそういう生活なので。

――コロナで寮を出た選手は多かったのですか

鍬先 4年は全員出ましたね。

加藤 3年は4人しかいないですね。今は物静かですよ。もう老後の生活みたいに静かです。騒ぐ必要がないから、俺が盛り上げる必要ないから(笑)。

――長崎や静岡など、チームの地元への思いをお聞かせください

鍬先 中学までずっと15年間長崎で生活してきて、小学校から中学校まで、いろんな指導者や地域の方々に接点があって自分が作られていったと思っていますし、そういった方に発表したときに自分のことのように喜んでくれたのが本当に嬉しかったですね。その方たちに自分がプロとしてサッカーをして、夢や元気を与えられる環境があるというのはすごく嬉しいと思うし、そういった意味で地元に恩返しというか、地元のために走って戦って、クラブの躍進に少しでも貢献できるようにやっていけたらと思います。チームの雰囲気は本当に明るいなと思ったのが第一印象で、そこから外国人選手たちもけっこういた中でもオンとオフのメリハリがすごくしっかりしていて、もちろん選手たちの能力もすごく高かったなという印象です。

加藤 清水は言わずと知れた王国なので。温かいし。この前もホーム最終節に行った時に、強化部の方に食事でいろんな場所に連れて行ってもらった時に、やっぱり地域性、地域全体が清水エスパルスを応援してくれていると感じましたね。スタジアムのアクセスは良い方ではないけど素晴らしいスタジアムですし、地域の中にドリームプラザがあるように、街全体がオレンジ色なので、いろんなところで声をかけられますし、やっぱり清水は特別というか、熱量がすごいなと感じました。今までは鹿島出身でそこしか見てこなかったので。もちろん鹿島のすごさもありましたけど、鹿島がいわゆる常勝軍団とされるチームの雰囲気と、清水が持っているサッカー王国ならではの雰囲気というのは全然違って。スタジアム全体がやっぱり温かさしかない、その温かさはどこのクラブよりも強いんじゃないかというのは感じました。食事も海鮮とかハンバーグとかおいしい所が多いので、太らないようにだけ気をつけようかなと思います(笑)。外国人選手もすごく温かい選手が多くて、選手もみんな優しいですね。ベテランがベテランじゃないような、若手に対してあまりきつく言わず、みんなで盛り上げていこうという雰囲気はあるので、良くも悪くも居心地が悪い。居心地が良すぎると自分の成長にはつながらないので、でもチームとして一つになってやっていこうというのはあるので、そこは清水は素晴らしいし。あんな順位にいるクラブではないなというのは誰もが思っていることだと思うので、来年しっかりと躍進できるように頑張りたいなと思っています。

――今シーズンずっと龍ケ崎で試合をしてきましたが、地元としていかがですが

加藤 (龍ケ崎の)試合会場に行く時に、家の前を通るんですよね。通っている途中のコンビニで友達見かけたりとかして(笑)。不思議な感覚です、家から徒歩圏内のグランドで試合するっていうのは。でも誰よりもあの気候、夜の温度とか風とかには慣れているし、空気は全然違うので。だから龍ヶ崎で得点をたくさん取っているのかもしれないです。龍ケ崎は自分にとって特別な場所なので。特に何があるかっていうとコロッケくらいしかないんですが、流経のグランド行くたびに中野さん(中野雄二氏、流通経済大サッカー部監督)に「流経の方が近いのに遠くに行った」っていじられるのはちょっとあれでしたけど(笑)。でもやっぱり(勝ちが多い)龍ケ崎に感謝してほしいっていうのはあるな(笑)。そしたら市民の方々も喜ぶから。

――最後に、全国大会への思いをお聞かせください

鍬先 僕は本当に優勝すること、それだけですね。今まで全部2位で終わってきて、このままじゃ絶対に終われないですし、本当に優勝しか考えてないです。まずはそのために一つ一つ目の前の相手に100%で望むことが優勝につながっていくと思うので、そういったところを意識していきたいと思います。

加藤 自分としては、今年4年生がやってきたものを正解だったとするために優勝させなければいけないなと思っています。優勝したいという思いよりも、してほしいという思いが下級生は強いと思うので、そこに対してしっかり結果で応えられるような成果を残したいなと。それと同時に、今年4年生が達成できなかった、リーグやアミノの優勝などを来年自分たちが取っていけるように、今年の4年生が残してくれるものを基盤にしながら来年1年間やっていきたいなと思っています。

――ありがとうございました!

(取材、編集 朝岡里奈、橋口遼太郎 写真 新井万里奈、初見香菜子)

胸に浮かんだ思いを書いていただきました!

◆鍬先祐弥(くわさき・ゆうや)

1998(平10)年5月15日生まれ。176センチ。東福岡出身。スポーツ科学部4年。チームを勝たせられる選手になりたいと語る鍬先選手。メッシ選手(バルセロナ)が目標だそうです。中盤の守備職人として存在感を放ちますが、今季は得点に関わるプレーを意識し、リーグ戦で3得点をマークしました。プロの舞台でも攻守に渡る活躍を見せてくれることでしょう!

◆加藤拓己(かとう・たくみ)

1999(平11)年7月16日生まれ。180センチ。山梨学院出身。スポーツ科学部3年。目標としている鄭大世選手(チョン・テセ、現FC町田ゼルビア)の背中を追い続けた加藤選手。鄭大世選手と共にJリーグの舞台でプレーをすることは叶いませんでしたが、FC町田ゼルビア、鄭大世選手との対戦が実現する日が来ることが楽しみです!

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