水泳部
2020.10.15
【連載】シーズン『超越』完結記念/インカレ事後特集第3回 竹内智哉×福岡清流×簑田圭太×田中大寛
インカレ事後特集、第3回目は竹内智哉(スポ4=神奈川・湘南工大付)、福岡清流(スポ4=大阪・桃山学院)、簑田圭太(スポ2=大阪・太成学院大高)、田中大寛(スポ1=大分・別府翔青)の男子800メートルフリーリレー(8継)に出場した4人。惜しくも表彰台とはなりませんでしたが、昨年の決勝落ちから優勝を狙えるほどのあざやかな復活を果たしたこの種目。この日本学生選手権(インカレ)が競技人生の集大成となった4年生2人と、目下急成長中の簑田と個人種目で優勝した田中大の次代を背負う2人にお話を伺いました。
※この取材は10月9日にリモートで行われたものです。
「もう少し上に上ってみたかったなというのは終わってみての感想としてはあります」(竹内)
――今年のインカレを振り返ってどんなに大会になりましたか
福岡 今年のインカレは引退試合だったので、これまで小さい頃からやってきた自分の水泳人生の集大成として、良い結果で終わりたいなというのを目標にしていました。チームとしては総合3番や天皇杯っていうのが目標としてあったんですけど、個人としては400メートル個人メドレーと200メートル個人メドレーに出場して400メートルで決勝に進むこと。あとこの800メートルのメンバーに入れるかは決まっていなかったんですけどそこに入って決勝を泳いで3番には入りたいなという目標を自分の中で立てていました。
個人としては2種目でベストが出て、A決勝に進めてすごく満足のいく結果が出ました。でも800メートルリレーは惜しくも3番に入れなかったので、すごく悔しい気持ちがあるんですけど、個人的には最後までしっかりやりきれた気持ちがあって。最終日までチームとして戦えたので、悔しいところはあるんですけど後悔などはしていないので、そこは良かったかなと思います。
竹内 まず個人の反省と振り返りとしては、結果から言うと悔しい結果だったかなと。個人の目標としていたのが特に200の方で表彰台に上がることだったんですけど、結果としては6番ということで悔しい結果かなと思っています。チームとしてもあわよくば総合優勝というのをやっぱり目標にしていたので、最低限の目標の3番というのは達成できて、そこに関しては一安心というか嬉しいなという気持ちもあるんですけど、もう少し上に上ってみたかったなというのは終わってみての感想としてはあります。8継も表彰台以上っていうことを目標にしていて、最後自分自身がアンカーで抜かされてしまったので悔しいなという感じで、全体的に悔しさが残る試合となりました。
過去に優勝経験もある竹内だが今年は表彰台を逃した
ただ悔しさが残るから納得してないかっていうとそうでもなくて、悔しさの中にも久しぶりの試合で4日間なかなか疲労があったり色んな考えがある中で泳ぎ切った、という達成感はあります。8継に関しては悔しかったんですけど後輩2人が良いタイムで泳いでくれたということで来年以降8継を託せるという風にも思えて、自分自身の役目は今年で終わりかなという風にも思いました。
簑田 今年のインカレの総括というか反省点といたしましては、去年僕が1年生だったときのインカレは全くと言って良いほど個人とリレーとともに全く通用しなかったので、今年は200メートルではしっかりインカレという舞台で自己ベストを出すことができて。結果は9番で予選落ちしたんですけれども、しっかり予選からベストを出すということができたのでそこは成長できているのではないかと思いました。
8継に関しては僕がずっと1泳を任されてきたので予選はとりあえずベストを出しに行くという気持ちでいったんですけど、そこはベストと同じくらいのタイムで泳げたので良かったかなと思っています。決勝はやっぱり智哉さんと清流さんが最後のレースということもあったので良い形でつなげていきたかったので、決勝でもしっかり自己ベストを出してつなぐという目標が達成できました。ただ、このインカレでは200メートル自由形に関して49秒台で泳ぐという目標を立てていたので、そこを最後の800メートルフリーリレーで出せなかったのは少し悔しかったかなという風に思います。
田中大 僕はコロナという難しい状況の中でインカレも行われるかすごく心配だったというのもありましたし、その中でインカレが行われたというのはすごく大きかったなと感じています。僕の中でインカレは初めての舞台でやっぱり1年生ですごく緊張はしたんですけれども、200に関しては目標の優勝も果たせましたが、100に関しては3番を目標にしていたんですけどなかなか良いタイムが出せず8番に終わってしまったので個人については100で悔しい結果に終わったなという風に思っています。
その100の日は8継もあって正直100よりもそちらに意識がいってしまっていて、8継では1年生1人だったんですけど心強い3人の先輩方がいたので1年生として3人の先輩方を支えるという気持ちでいました。僕は2泳で圭太さんから引き継いだんですけど、必ず1番で清流さんにつなぐと決めていた中で僕はそこで1番で来られましたし、4番で悔しい結果ではあるんですけど、すごく楽しいというか熱くなれたレースだったんじゃないかと思っています。来年また8継に勿論出るつもりでいるので智哉さんと清流さんの思いを引き継いで金メダルを取れるように頑張ろうと思います。
「優勝狙えるんじゃないかと」(簑田)
――8継のメンバーが決まったタイミングというのはいつでしたか
簑田 800メートルのリレーの予選が終わって、とりあえず予選の競技が終わるタイミングでリレーのオーダーを出すのでその前の段階くらいで決まったと思います。
――練習のときからなんとなくメンバーは決まっているんでしょうか
簑田 リザーブと言って何人かは決まっていた状態で、その中から何人かその日に調子の良い選手を選ぶという感じです。
――8継を泳ぐ前には皆さんでどのようなことを話しましたか
福岡 何番とろうとかはそんなに言ってないよね?
簑田 そうですね、みんなの中であったか分からないですけど、もしかしたら優勝できる…
福岡 ワンチャン優勝、3番入りたいなくらいって俺は思ってた
簑田 優勝狙えるんじゃないかと僕は思っていました
田中大 僕も思ってました
竹内 あんまり僕も口に出して言うタイプではないんですけど、あるかないかで言ったらあるかなっていうのは頭の片隅にはありましたね
――メンバーは異なるとはいえ、早慶対抗大会での敗北や昨年のインカレでのA決勝落ちなど僅かながら不安要素はあったのかなとも思っていたのですが、皆さんはその辺りどう考えていましたか
福岡 簑田、田中が個人からすごく頑張っていたので結構心強いなと思っていました。
――順位としてはすごく悪いというわけではなかったものの、やはり競り負けてしまったという側面もありました。たらればにはなってしまいますが、自分がもう少しタイムを上げてればという思いがある人はいますか
福岡 僕ですね、僕が去年よりタイム遅かったので、0秒3遅くて1位と0秒4ないくらいで泳いでいればまあ優勝…
簑田 いやまあ僕も49秒台を出すって泳ぐ前8継の前に言われていたので…僕もあと0秒4くらいで49秒台だったので49秒9で泳げていたらという風に思ってます。
竹内 僕も最後、タイム的な面で言ったら悪いわけではないんですけど、やっぱり競泳って競い合う競技で、競っているのが横で見えているのでその中で負けてしまったというのはなかなか。やっぱりそういうところで勝たないと対抗戦というのは勝てないものだなというのは改めて痛感しました。大寛は良いんだよ、言わなくて(笑)
福岡 大寛は頑張った、何も悪くない。
田中大 リレーは一部の人がどうっていうよりも4人の種目なので…
福岡 いやでも僕と竹内ですね…
竹内 どちらかというと僕ですね…
――女子は先行逃げ切りということで泳順を決めていましたが男子はどのように決めましたか
福岡 スタッフの方が決めるのでそこまでちゃんとした意図は分からないんですけど、どうなんだろう、でも圭太はもう1泳っていうキャラじゃないけど…(笑)
簑田 なんかもう僕が1泳っていう、それが決まってるみたいな。
福岡 それで大寛で前出てあとは4年生頑張れみたいな感じなのか…どういう意図があったか分からないですね。
「今後にもつながる大きなレースになった」(田中大)
――リレー以外でのチーム全体の雰囲気はいかがでしたか
福岡 ここ最近、僕らが4年目なんですけど、その中では良かったのかなと。
――チームの雰囲気を作っているのはどなたなんでしょうか
簑田 やっぱり流星さん(今井主将、スポ4=愛知・豊川)じゃないですかね。控え場所でもずっと、入れない時もあったんですけど、流星さんが控え場所に入れているときはみんなと話をして、たくさんコミュニケーションをとってくれていたので、そこまでインカレだぞっていうピリピリとした感じはなかったかなと思います。
――4年生のおふたりは今井主将についてどういう良い主将だったなという印象がありますか
福岡 インカレだけの話にはなってしまうんですけど、やっぱり過去の主将の方って結構選手の方が多かったと思うんです。でも今回流星は残念ながらサポートになってしまって、サポートになったからこそインカレの間、選手とは違って自分のレースとかないので、ずっと全体を見ることができたり自分のレースがないので、それに集中することなく全体に声かけであったり、そういう雰囲気作りができていたと思います。今までは多分そういう役の人が、ちゃんとサポートはいたんですけど、自分で声かけようみたいな人があんまりいなくて。主将が今回たまたまそういう立場になってしまって全体的に雰囲気が良くなるような、まあ潤滑油じゃないですけど、そういう役割に最後流星はなれたのかなと思います。
竹内 今まで前年の大芦さん(知央氏、令2スポ卒)、その前の井上さん(奨真氏、令1スポ卒)、阿久津さん(直希氏、平30スポ卒)も全員選手で、特に井上さんは決勝に残ってしっかり優勝して結果で、背中で語るような主将というような。流星もやっぱり奨真さんとずっとクラブから一緒で、そういう姿を1番目指していたのではないかと思うんですけど、今回こういう感じになって、全く違った声かけであったり、選手でなくても主将だからできることをすごくやってくれたんじゃないかなという風に実感しました。
――総合3位という結果でしたがこの結果は満足して良いものだと思いますか
竹内 得点計算とかエントリーからすると僕が1番落としてしまったのかなというのが正直思ってはいて、まあでも2カ月の間、僕めちゃくちゃ諦めていて本当に泳いでいなかったので、まあそりゃ泳げないだろうなというのが蓋を開けてみての感想ではあります。たらればの話はあんまりしてもどうしようもないなと思っているんですが、でも確かに自分自身がコロナというのがなければ、もっと点数が確実にとれたのかなというのは少なからずやっぱり思ってはいますね。でもそれを含めて、やっぱりこういうコロナ禍でのチームっていうのはある意味、流星がいろいろやってくれたのも含め、結束できたのも濃い2カ月を過ごしたからこそで楽しかったですし、最後負けてしまって悔しかったのも仲間と過ごした月日があったからこそなんじゃないかなというのは感じていますね。
――田中さんは今年のインカレの男女通して唯一の個人種目優勝ということになりました
田中大 インカレは結構前から優勝というのを自分の中で目標に設定していて、吉田啓祐(日大)くんも欠場という形にはなったんですけど、結局はその人に勝たなきゃいけないじゃないですか。今年のインカレは吉田啓祐くんに勝って優勝というのを2月、3月ぐらいには決めていて、それでまあ啓祐くんが欠場というのは2フリの前日に知ったんですけど、いてもいなくても目標が優勝だったので。タイムとしては欲を言えば1分47秒台というのが頭の片隅にはあったんですけど、優勝できたのは本当に嬉しかったですし、1年生でしっかり優勝できたのは今後にもつながる大きなレースになったかなと思います。
――今回のレースで良かったところや課題はありますか
田中大 今回の映像を見返してみて細かい話にはなるんですけど、やっぱりターンとかそういう面では他の選手には劣っていますし、他の選手に比べると身体が小さいので、そういう細かな技術が本当に鍵になってくるので、そういった課題を今後克服していきたいなと思っています。
初のインカレ出場で優勝を果たした田中大
――そうおっしゃっていますが、先輩方から見た、田中さんのすごいところやこれから期待していることはありますか
竹内 まず練習の面からなんですけど、早稲田のチームは練習強い選手が多くてその中で切磋琢磨して練習できるのが良いところで、その中でも練習の強さっていうのはひとつ頭抜けているかなというのは、初めて練習やったときからの印象としてあって。強ければ良いというわけではないですけど、やっぱり練習が強いことによって試合、今回のインカレなんかでは複数本泳いだりするので。そういう中でのタフさだったり自信が身につくのがやっぱり練習の強さだなと思っているので、そこはかなり武器かなと思っています。
簑田 僕は結構隣で泳ぐことが多いんですけど、大寛の特徴としてはキックが強いです。キックがもうレベルが全然違う感じで速くて、彼は独自にプルブイを挟んだ状態でキックを打つというのもやっているんですけどすごいなと思いますね。あとは身体が他の選手に比べると小さいんですけど、ストローク長が大きくて、テンポも特別速いというわけではなく大きい泳ぎで、キックも強くて速いというどの選手でも理想の泳ぎだと思います。
福岡 キックが強すぎると思います、大寛の色紙にも書いたんです。僕と竹内とかすごくキック弱いのですごく羨ましいです。あとビデオ見たらターン後が遅いって言ってたと思うんですけど、大寛はターン後ドルフィン速いので、遅いって言っても…大寛は多分俺と泳いだことないけど、圭太と智哉は知ってると思うけど俺のターン後すごい遅いからね(笑)大寛と泳いだらものすごく離れてしまうんじゃないかっていうくらい、遅いから、多分そんなに遅くないよ、お前のターン後。
「頼もしい同期がいたからこそ、ここまで頑張ってこられた」(福岡)
――簑田さんと田中さんは今後の目標というのはどういうことを考えていますか
簑田 インカレ中の目標であった200メートル自由形の49秒台というのが達成できなかったので、 近い目標としては今年中に49秒台を出すということと。来年再来年はもう自由形は僕が上級生になっていくので、結果でしっかり後輩を引っ張っていけるように48秒台を個人で出していって、ゆくゆくは大寛と200メートル自由形でワンツーや表彰台に上るということを目標にしていきたいなと思います。
田中大 目標としましては、12月の日本選手権に4番以内に入るということを念頭に置いて、最終的には来年の五輪選考会が本当に本番になるので、そこでリレーの代表に入れるように練習を頑張っていこうと思います。
――4年生2人は集大成となるインカレを終えてどんな気持ちですか
福岡 大学生活は寮でみんなと楽しく過ごして、大学水泳としては1年の途中から400メートル個人メドレーと8継で決勝に出るというのを自分の中で目標にしていて、一応両方の目標を達成できたのは良かったかなと思います。インカレの2日目くらいに丸山(優稀、法4=埼玉・大宮)に言われたんですよ、「これでお前がA決勝残ったら4年生全員A決勝だな」ってすごいプレッシャーかけられて。でも実際に4年生全員が無事に進めて、そういう竹内であったり幌村であったり丸山であったりっていうそういう頼もしい同期がいたからこそ、ここまで頑張ってこられたし、特にここにいる竹内は同じ種目で1回も勝ったことないしすごいなって思ってたら最後勝てちゃったんですけど。智哉とかもずっと練習とかを一緒にしていたからこそ、ここまで、最後もA決勝残ることができたのではないかと。同期にはすごく感謝しています。
竹内 たしかに清流と同じような感じになってしまうんですけど、僕の代は1年生くらいの頃から、先輩から「仲が良いね」と言われることがなかなか多くて。そうやって仲良いって言われる中で、今回残念ながら流星だけレギュラーには入れなくて、流星自身が1番悔しいとは思うんですけど、僕たちも悔しいということを感じていて、そういう中で流星の分もというのを後輩たちもすごく頑張ってくれていましたし、僕たち同期の中でも流星を総合の順位が上の主将として立たせてあげようというのをずっと考えていました。でもやっぱりその中でなかなか目標を達成するのが難しかった、できなかったところもあって、悔しさの残る終わり方だったなというところもあるんですけど、この4年間で僕たち同期一丸となって最後までしっかり協力して1つの目標を目指してっていうことができたのは苦労もありましたけどやっぱり楽しかったですし、この同期だからこそここまで一緒にチームとして頑張ってこられたんだなというのを、特にこのインカレを過ごしてみて感じました。
やっぱりこの関わりは今後続いていったりすると思いますし、幌村なんかはこれからまだ選手を続けますし、僕や福岡なんかは違うステージで互いに頑張って連絡を取り合ったり、幌村の応援をみんなでしたりというのを続けていきたいなと思います。最後のインカレ、何度も言っていますが、悔しい結果ではあるんですけれども、やっぱり一致団結してみんなで1つのことに一生懸命取り組むというのは自分の中でも大きな財産だったかなというのは感じました。
――ありがとうございました!
(取材・編集 青柳香穂)
◆竹内智哉(たけうち・ともや)
神奈川・湘南工大付高出身。スポーツ科学部4年。2020年日本学生選手権では200メートル個人メドレーは2分0秒87で6位、400メートル個人メドレーは4分20秒86で9位。早大水泳部の主力として、最後の800メートルフリーリレーではアンカーを務めました。
◆福岡清流(ふくおか・せいりゅう)
大阪・桃山学院高出身。スポーツ科学部4年。2020年日本学生選手権では200メートル個人メドレーは2分3秒51で18位、400メートル個人メドレーは4分26秒24で8位。現役最後の大会で出場2種目の自己ベストを更新し、初のA決勝に進出。800メートルフリーリレーでは第3泳者を務めました。
◆簑田圭太(みのだ・けいた)
大阪・太成学院大高出身。スポーツ科学部2年。2020年日本学生選手権では200メートル自由形は1分50秒47で9位、400メートル自由形は4分1秒74で21位。800メートルフリーリレーでは第1泳者を務め、個人、リレーと2日連続で200メートル自由形の自己ベストを更新しました!
◆田中大寛(たなか・たいかん)
大分・別府翔青高出身。スポーツ科学部1年。2020年日本学生選手権では100メートル自由形は50秒20で8位、200メートル自由形は1分48秒20で1位。800メートルフリーリレーでは第2泳者を務めました。今大会早大で唯一の個人種目優勝を果たしており、今後の五輪代表を狙う戦いにも注目です!
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