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2020.09.02

東京五輪応援特集『To 2021』第16回 畠田瞳/体操

母と臨む「最後の五輪」

※この取材は7月31日にリモートで行われたものです。

 畠田瞳(スポ2=東京・日体大荏原)にとって、東京五輪は現役選手として「最後のオリンピック」になるかもしれない。2018年のNHK杯で個人総合3位をはじめとする数々の記録を挙げてきた。安定感のある演技を持ち味に、2019年ナポリで開催されたユニバーシアードでは、個人総合、団体総合、段違い平行棒、平均台で金メダルを獲得。今年3月のアメリカンカップでも3位を記録し、五輪出場を期待される実力選手だ。選手生活におけるオリンピックやその後のキャリア、体操について伺った。

部に所属せず、体操選手として活躍してきた(写真提供:畠田選手)

「リセット」されたオリンピック

 畠田にとって、今回のオリンピックにはいくつかの大きな意味があった。出身地東京で開催されることはもとより、「今年(2020年)は流れがきていた」。アスリートとしての勘で、出場の可能性を感じていた。だからこそ、「選ばれるはずだった」大会がなくなってしまった悔しさは大きい。昨年日本チームの団体出場権獲得に貢献し、個人枠に関しても選考試合の一つである3月のアメリカンカップで3位という好成績を残した。だが新型コロナウイルス感染症の影響で大会延期が決まり、全ての選手が「リセット」を余儀なくされる。東京オリンピック出場に向け快調を見せていた畠田にとっても、それは同じことだ。同時に、「東京オリンピックが自分の中で最後のオリンピックだと考えている」という。選手生命を考慮した上での判断から、畠田にとっての東京オリンピックの意味合いはさらに大きくなった。

コロナ禍での競技生活

  ナショナルトレーニングセンターが閉鎖された4月からは、所属するセントラルスポーツのトレーニングセンターで毎日3時間の練習をこなした。コーチである母と、3歳年下で同じく体操選手である畠田千愛選手(セントラルスポーツ)と3人で行う。畠田自身は母と相談し、オリンピックに向けて大会での構成の難易度を上げようと計画。自粛期間中には段違い平行棒の新たな技を練習中してきた。習得に半年ほどかかるといわれているほど技自体の難易度が高い上に、構成全体を変更する必要がある。構成を演技する際の体力面、技の向きや方向のバランスに整合性を持たせるためだ。
また練習以外に、競技の知名度向上への取り組みにも積極的に取り組んでいる。Google Cameosでファンからの質問に回答しているのは、「(選手として)注目してくれるのは今のうちだから、一人でも多くの人に(体操を)知ってほしい」から。体操の魅力は「個人での対戦競技だということもあって、個人個人の個性が見られる競技」で、パワフルさ、正確さ、ダイナミックさに注目できる点だという。畠田の選手としての特長は、競技の安定性である。技とメンタルを両面から安定的に保つことを心がける。そのためには「自信が大切」なので、十分な練習量をこなす。例えば「平均台では、緊張しても百発百中で成功する」という自信を持てるまで練習を積む。

体操選手として「不可能なことは言えない」

 畠田の父・畠田好章氏はオリンピックメダリスト、母・畠田友紀子氏は元体操日本代表選手である。競技に向かう真摯な姿勢は両親の影響を受けているという。畠田は「(選手として)不可能なことは言えない」。世界を舞台に闘う選手でありながら自分の実力や目標を冷静に見つめ、口にしてきた。東京オリンピックについて「出場するということは不可能ではない」とする一方で、「金メダルを取りたいとか、そういうことは言えない」とあくまでも謙虚な姿勢を見せる。

家族との一枚(写真提供:畠田選手)

指導者

 コーチである母から学んだ最大のことは、「質や完成度の大切さ」。小学3年生の時から体操を続け、中学2年生の時に母がコーチに付いたことがきっかけで、一気に成績を伸ばした。その後現在に至るまで、母とタッグを組んできた。技の難易度を追求するだけではなく、完成度を高めることで成績が向上する。ずっと大切にしてきた考え方だ。
選手引退後のキャリアとしては、指導者になりたい。大学卒業までは本格的に体操に取り組むが、その後も競技を続けるかはまだ決めていない。「母から学んだことを生かして選手の育成が出来ればいいな」。落ち着いた表情で将来を語った。

(取材、記事 馬塲貴子)

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