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2020.07.24

東京五輪応援特集『To 2021』第9回 嘉村健士/バドミントン

目標に向かって一つ一つ

 『一つ一つ』。嘉村健士(平24スポ卒=現トナミ運輸)は取材中何度もこの言葉を口にした。一つ一つできることを増やしたい。一つ一つの試合を全力で臨みたい。目の前の目標へと努力し続ける嘉村の東京五輪への思い、そして今後のバドミントン界に対する思いを伺った。

 1年間かけて行われるバドミントンの五輪レースで存在感を見せるのは『ソノカム』という愛称で親しまれる嘉村・園田啓悟(トナミ運輸)ペア。そんな2人が組むきっかけとなったのは、中学生の時のことだ。八代東高での練習で初めて一緒に組むと高校生相手に勝利。同じ高校に進んだ2人はペアを組むこととなった。「バドミントン選手になって活躍したい」。高校に入ると嘉村はいつしかそう思うようになった。高校卒業後の進路は別々で、嘉村は教員免許を取得するため早稲田への進学を決めた。将来教員としてバドミントン以外でも働ける場を作ることで、バドミントンをより思いっきりできるようにするためだ。「早稲田は自分が頑張れば強くなれるし、やらないと決めれば練習しなくてもいい」。早稲田の自主性が求められる練習は、自分に合っていたと当時を振り返る。再結成は考えていなかった2人であったが、国民体育大会で再び組むこととなり当時の全日本社会人チャンピオンに勝利。その夜、普段あまり自分のことを話さないという園田が口にしたのは「嘉村と一緒にやりたい」という思いだった。それを聞いた嘉村はすぐに一緒に組むことを決意し、卒業後は園田も在籍するトナミ運輸に入社。2015年には全日本総合選手権で初めての優勝を経験し、日本のトップとしてダブルスをやる自覚、自信が身についたと当時のことを語った。

ソノカムでは前衛を務める嘉村(写真提供:嘉村選手)

 現在東京五輪を目指す2人であるが、4年前のリオデジャネイロ五輪の代表選考レースに敗れ、一時は引退を考えた。しかし、一つ一つの試合を全力でやる姿勢と負けたくないという気持ちが徐々に結果へと結びついていくと、五輪を目指す気持ちは再燃した。1年後に延期することとなった東京五輪であるが、嘉村は決して延期をマイナスに捉えていない。「もう1年バドミントンがやれる」と前向きな姿勢を見せた。「一つ一つできないことをできるようにして、それが楽しいと思えるようにしていきたい」と語るように、嘉村が大事にしていることは成長するとともにバドミントンを楽しむこと。来年31歳になるという年齢を不安視する声も上がるが、それは同時に多様な経験があることを意味する。嘉村の持つ経験知と向上心、そしてバドミントンを楽しむ姿勢は東京五輪という大舞台でも強みとなるに違いない。

 嘉村はバドミントンをする上である思いを持っていた。日本のバドミントン界を盛り上げたい——。バドミントンはメディアに取り上げられる機会も増えてきているが、目立っているのは競技そのものよりも個人名に対しての盛り上がりだ。「バドミントンが面白いから見てくれるファンの人たちをもっともっと増やしたい」。そんな思いから所属チームを超えて結成された『バド盛り上げ隊』など、バドミントンを盛り上げる取り組みを積極的に行っている。バドミントンならではの展開の速さ、試合の中での駆け引き、そういったプレーの面白さを多くの人に伝えていきたいと、バドミントンに対する思いを語った。

所属するトナミ運輸では後輩へのアドバイスも積極的に行う(写真提供:嘉村選手)

 1年後に行われることとなった東京五輪。日本での開催は多くの人々が注目する大会になるだろう。先行きが不透明な中であるが、嘉村は一つ一つ目の前の目標へと楽しみながら全力で取り組んでいく。東京五輪で最高のパフォーマンスをするため、そして日本のバドミントン界を盛り上げるために。

(記事 渡邉彩織)

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