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2020.06.07

東京五輪応援特集『To 2021』第5回 中田珠未/バスケットボール

『静かに待つとき』

 中田珠未(令2スポ卒=現JX-ENEOSサンフラワーズ)は東京五輪延期を前向きに受け止めている。昨年、学生で唯一バスケットボール女子日本代表に招集された。今後の日本代表を担う存在と期待されていたが、学生生活最後の全日本大学選手権(インカレ)で足を痛め、五輪を目指すのは困難かと思われた。しかし新型コロナウイルの感染拡大の影響で五輪延期が決定。気持ちを新たにし、再び五輪を目指す好機が訪れた。

早大女子バスケットボール部で活躍する中田

 早大在学時、中田は代表と早大バスケ部との両立で苦労してきた。大学と実業団のシーズンスケジュールが全く違うこと、大学と代表でプレースタイルを使い分ける必要があったことが要因だ。しかしトップレベルを経験できる喜びを力に乗り越えてきた。代表選手のプレー精度の高さに触れたことが、五輪を目指す励みにもなった。高校時代からアンダーカテゴリーの代表に選出され、東京五輪世代と見られていたが、当時は実感が湧かなかった。だが、その後B代表、A代表へとステップアップする中で五輪出場の「チャンスがあるなら目指したい」と思うようになった。以前は「(A代表の環境に)ついていかないといけなかった」と振り返るが、現在は「前と比べて、冷静に自分の足りていない部分を考えられるようになった」と自らの変化を語る。こうして中田は五輪へと着実にまい進していた。しかし、試練は突然やってくる。中田はインカレで足を痛めてしまったのだ。「もう(五輪出場は)難しいな」。今年1月に行われた代表合宿に参加できず、五輪を半ばあきらめかけていた。

ウエイトトレーニングに励む中田(写真提供:JX-ENEOSサンフラワーズ)

 五輪延期。それは中田が再び五輪に向けて進む好機となった。3月末には所属チームの練習に本格的に参加できるまで足の状態は回復。Wリーグ、代表合宿もない現在は、トレーニングに加え、「一からシュートフォームを教わる」など、プレーを見直している。自分のペースでコツコツと練習する日々だ。所属チームに同期はいないが、「代表選手がたくさんいますし、代表に入っていない選手も上手だし、年齢関係なく自分よりできる選手がたくさんいるので刺激をもらっています」と中田。新しい環境は再スタートの原動力になっている。五輪代表を勝ち取るためにも、今は目の前の課題に集中する。「最初の試合がいつ来るかわからないですし、そこに関しては(調整が)難しいところではありますが、まずはこのチームに少しでも早く慣れ、戦力として使われる選手になるのが一番かなと思います」。

自粛期間にウクレレを始めたという中田(写真提供:JX-ENEOSサンフラワーズ)

 

 コロナ禍で、今後の状況は依然として不透明だ。だが、来夏を目指す戦いは始まっている。自分のプレースタイルを再構築し、強みに磨きをかける。いずれ来る試合では、これまでとは違う中田のプレーが見られるだろう。そして一度諦めかけた舞台で躍動するときを、今はじっと待つ。

(記事 永田悠人)

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