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ラグビー部

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2020.06.24

【連載】新体制特集『BATTLE』第5回 相良南海夫監督

 2018年度より監督に就任し今年で3年目となる相良南海夫監督(平4政経卒=東京・早大学院)。昨年度、早大ラグビー蹴球部を11年ぶりの日本一に導いた指導者に、早大の現状と今季の意気込みを伺った。

※この取材は3月22日に行われたものです。

「ひとつひとつの積み重ねが、本当に最高のかたちであの舞台で出せた」

丁寧に質問に答えてくださる相良監督

――昨年度の結果を振り返っていかがですか

相良 (早大の全国大学選手権優勝が)11年ぶりということで、この上ない結果を得られたのでよかったですね、本当に。おととしの正月超え(準決勝進出)した経験が去年の優勝という結果につながったのだと思うので、去年学生が実際に優勝というステージを経験できたことが、今年につながる財産だと思っています。

――優勝できた要因は主にどこにあったと考えていますか

相良 関東大学対抗戦(対抗戦)で明治に完敗しましたが、それですべてが否定されたわけではなく、自分たちがやってきたことを出し切れなかったという事実と、明治との力の差を謙虚に受け止めることができました。よく40日の変化などと言われますが、やってきたことを継続しつつ、やってきたことをやり切るこだわりにチーム全員で気づくことができて、40日間取り組んだ結果だと思います。要因というのは40日だけの話ではなくて、2019年度のチームとして春からずっと取り組んできたことのひとつひとつの積み重ねが、本当に最高のかたちであの舞台で出せたのだと思います。

――監督ご自身も大学2年時に優勝を経験されていますが、指導者として経験する優勝はいかがでしたか

相良 僕が獲らせてあげたというよりも選手に獲ってもらった。本当にいい思いをさせてもらってありがとうという気持ちですね。

――新国立競技場はいかがでしたか

相良 僕も現役の時に何度も古い方でやっていますが、やはり少し雰囲気は違いましたね。今っぽいというか。全天候型で覆われている感じがあって、まさしくW杯の会場というか、そういうステージに立てたなという印象がありました。その中であれだけの観客に集まっていただいたのは、僕も幸せですが選手はもっと幸せだったと思います。

――監督に就任されて3年目となりますが、現在の心境はいかがですか

相良 あっという間ですね。もう3年目かという気持ちです。去年頂点に立ちましたが、学生なのでチームも変わりますし、だからこそ今年はやるべきことをまたひとつひとつ気を引き締めて謙虚にやっていきたいと思います。

――『学生主体』という部分は今年度も変わりませんか

相良 そうですね、そこがラグビー部に限らず早稲田の体育会の伝統だと思うので。

――『学生主体』である分個人差などが出てしまうのではないかと思いますが、志を同じ方向に向けるためにアドバイスをすることはありますか

相良 たしかに温度差というか、個人差はあります。だから上を伸ばすことも大事ですが、できない、まだ少し足りない部員、主体的になり切れないメンバーに対して声掛けをしたり、少し掘り下げて話をしたり、ボトムアップしていくことが必要だと思います。メンバーが変わるのも当然ありますが、求める主体性が大人だとすれば、みんなが大人になるのはなかなか難しいと思うし、まあ僕らだってある意味そうじゃないですか。ですからそこは百点満点というのはないのではないかと思いますね。

――昨季まで継続してきたことで今季につながるものは多いですか

相良 多いですね、はい。

――具体的にはどのような部分ですか

相良 僕が就任した時点でディフェンスを中心にチームを作りたいということで一貫してやってきて、そこは去年のみならず2年間積み上げてきたつもりです。あとは『より動き続ける』という部分。例えば明治とか帝京の選手に比べたら(早稲田は)タレント集団ではないから、そういう大学に勝つためには相手よりもたくさん動くことが大事だと、2018年に就任した時から言ってきました。ここは選手にも意識付けができつつあるので、よりよくしていきたいと思います。

――反対に、改善すべきところや新たに取り組むべきだと思うところはありますか

相良 改善というか『よりよくする』という意味では、ディフェンス面は誰がメンバーに入ってもチームとして遂行しなければいけないことなので、そこは誰でもできるようにさらに積み上げていきたいですし、相手より動くという部分もさらに積み上げていきたい。『さらによくする』という意味での改善ですね。新たに取り組むことは、監督やコーチがフィールドにいない場面での自己解決能力、問題解決能力を高めていければと思います。大学選手権の決勝は前半思い通りに行き過ぎました。武井(明大 武井日向)もコメントしていましたが、あの強い明治でも予期せぬ事態にパニックに陥ってしまう。大学選手権の決勝に限らず、対抗戦でもああいうクロスゲームとか予定通りにいかない場面は絶対に出てくる。そこをどうやって(高めていくのか)というのは難しいところではあるのですが、それが我々が勝った相手、明治や天理などから学んだところですね。

――現在はどのような練習をされていますか

相良 今はフィジカルにフォーカスして、体を大きくしたり強くしたり、そういう動き続けるベースのフィットネスのところがほとんどですね。あとは本当にベーシックな基本スキルを少しやるくらいです。

――新チームの印象はいかがですか

相良 大学選手権優勝という経験をしたことで、「またあの景色を見たい」となっていると思います。ただ、選手たちに去年優勝したからまた簡単に勝てるという意識はなく、いい思いをしたことが、いろいろな積み重ねの延長線上にあるということを去年経験したと思うので、いい意味でモチベーションは高いと思います。

――Aチームで活躍してきた選手が多く卒業されますがどのようにとらえていますか

相良 齋藤(齋藤直人、令2スポ卒=現サントリー)、岸岡(岸岡智樹、令2教卒=現クボタ)、中野(中野将伍、令2スポ卒=現サントリー)とか、1年生から活躍してきた4年生が今回卒業するので、当然また新しいメンバーになるし、これからどんな新入生が入ってくるのかわかりませんが、夏合宿くらいまではそういう選手の成長の場にしてもらいたいです。こっちが「こんなにこいつできるの?」とか「こいつぐっと伸びたね」と驚くような選手が1人でも多く出てくれるといいなと思います。そういう楽しみはありますね。

「『仕掛けと仕留め』がしっかりしているチームに」

今年度のチームについて語る相良監督

――どのようなチームにしていきたいか、理想はありますか

相良 明治とか帝京とか天理とか東海とかそういう、大きくて速くて強い相手にどう勝っていくかが重要になってくるので、やはりそういう相手に対してどんな時でも仕掛け続けるチーム。これまでも大事にしてきたのですが、そういうマインドやそういうプレーで自分たちに流れを持ってこられるということが(去年は)体感できました。新しくチームを作るというよりは、より仕掛けるマインドを持って、それこそ早明戦の決勝戦の前半のように、取れるところを取る、しっかり仕留める、ということを徹底していきたいです。ずっと僕は『仕掛けと仕留め』というのを言っているので、そこをよりチームの軸として、あらゆるプレーで意識してほしいと思います。『仕掛けと仕留め』がしっかりしているチームにしたいですね。

――では、新体制についてお聞きします。丸尾崇真主将(文構4=東京・早実)に期待していることはありますか

相良 早稲田に対する思いが強い男なので、すなわち『自分の代で優勝したい』という思いが一番強い男だと思うので、そのために足りないこと(を指摘したり)だとか、ちょっと気が抜けた時とかに常に部員を鼓舞してほしい。そういう期待をしています。そこをぶれずにやり切ってほしいと思います。

――副将が二人選出されました。下川甲嗣副将(スポ4=福岡・修猷館)と南徹哉副将(文4=福岡・修猷館)それぞれに期待することはありますか

相良 下川は、彼も熱い男だと思うのですが、丸尾がどちらかというと直情的でがーっと熱くなるタイプなので、下川がそういうところで一歩冷静になって部員に伝えたり、トランスレートしてくれたらと思っています。南については、BKリーダーが4年生になかなかいないというのもあったのですが、彼は当然レギュラーも狙う立場でもありますし、たたき上げじゃないけど、上の気持ちも下の気持ちも分かる人間だと思うので、どんな立場、どんな場所でもチームにとって必要なことを発信してくれるし、自分でも行動してくれるだろうという期待から彼にしました。

――委員には3年生が3人選出されていますが、委員に求めることは

相良 ひとつはポジションごとのポジションリーダー的な役割。それと、学生主体のチームですから、3年生をリーダーに入れてチーム運営を体感してもらうことが次の年に繋がっていくことにもなると思っています。下級生なりのしっかりした意見を出してもらいたいし、今年の丸尾主将以下の運営を良いところも悪いところも見て、悪いところは自分の代で(変えよう)というように、来年以降につなげてもらうことを期待しています。

――学年ごとに期待を寄せている選手がいらっしゃいましたらお願いします

相良 4年生はなかなか活躍の場が今得られていないロックの星谷(星谷俊輔、スポ4=東京・国学院久我山)かな。あいつにはああいうサイズもあるし絶対出てきてもらいたいと思っています。3年生は今けがをしているけど原(原朋輝、スポ3=神奈川・桐蔭学園)ですかね。去年のWURITでひざを大けがして悔しい思いをしていると思うので、もう少し時間はかかりますけど彼も今シーズン出てきたらいいなと思います。2年生は小西(小西泰聖、スポ2=神奈川・桐蔭学園)かな。2年生はけっこういるので、小西とか吉村(吉村紘、スポ2=東福岡)、槇(槇瑛人、スポ2=東京・国学院久我山)、松下(松下怜央、スポ2=神奈川・関東学院六浦)、この辺はBKのタレントが抜ける中でそれぞれの個性を生かして出てきてくれるといいなと思いますね。

――セットプレーでキーマンとなる選手はいますか

相良 これはもうどんどん競争してほしいです。久保(久保優、スポ4=福岡・筑紫)小林(小林賢太、スポ3=東福岡)とか言っている場合ではなく、FWの層の厚みも必要ですし、「こいつがけがをしていたから勝てなかった」ということがないように競争してほしいです。

「練習したことしか試合ではできない」

――昨年度優勝したという実体験は、今シーズンどのように生かされると思いますか

相良 そこに行くプロセス、道のりは簡単ではなかったと思います。特にFWは、本当は我々もしたくはないけど普段の練習にプラスアルファのことをしてきたので、相当な努力が必要であることは分かっていると思います。だからこそ練習しなければ勝てないということを知ったし、練習した結果が優勝につながるということを体験できました。必要がないことはやらないけれども、相手に対して劣る部分があるときは練習しなければ上回れない、ということを選手が知ってくれたと信じているし、そこは大きいと思います。

――去年までと違い追われる立場となりますが

相良 意識するなと言われれば難しいですが、そうやって周りが言うだけで僕自身はまったく意識するつもりもないので、選手には『今年のチームは今年のチーム』という意識付けをしていきたいと思います。

――昨シーズンを踏まえて、日本一になるために必要なものは何だと考えますか

相良 練習したことしか、試合ではできない。練習以上のことは、アドレナリンが出たり火事場の馬鹿力みたいのが一瞬出たりはするけど、やはり練習したことしかできないんですよ。だからとにかく練習のクオリティーを上げるということ。練習の中身はもちろん取り組む姿勢も含めて、朝から晩まで練習しているわけではないのでそういう(限られた)練習時間内での集中力やクオリティーをひたすら上げるだけです。

――今季の意気込みをお願いします

相良 今季も一戦一戦積み上げて、また最後に『荒ぶる』が歌えればと思います。

――ファンの方々へのメッセージをお願いします

相良 去年優勝したことで、自分たちが喜んだのはもちろんなのですが、早稲田の学生もそうですし、稲門というかOBの方もそうですし、学校に関係なくても古くからの早稲田ファンの方も含め、こんなにも多くの方が喜んでくれていることに驚きました。特に終わってからの1、2週間でいろいろな方に声をかけていただいてそれを実感しました。今年もまた喜びを分かち合えるように、早稲田らしいラグビーに一生懸命取り組む姿を見て、みなさんで一緒に戦ってほしいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 山口日奈子)

日々の積み重ねの大切さを語ってくださいました

◆相良南海夫(さがら・なみお)

1969(昭44)年8月14日生まれ。東京・早大学院高出身。平成4年政治経済学部卒業。先日日本ラグビー協会から発表された2019年度ジャパンラグビーコーチングアワードにて、最優秀賞を受賞された相良監督。色紙には「日々成長」と書いてくださいました。チームがさらなる成長を遂げた姿をグラウンドで見られる日を楽しみにしています!

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