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2020.06.03

東京五輪応援特集『To 2021』第3回 本間隆太/男子バレーボール

※この取材は5月9日にリモートで行われたものです。

『夢をつかむまで歩みは止めない』

 母国で開催される五輪は特別なものだ。どの選手も憧れの舞台で最高のパフォーマンスを発揮するため、照準を合わせて地道に練習に取り組んできた。だが新型コロナウイルスは無残にも五輪の先行きを不透明にした。アスリートはこれまで五輪に向けてどのような思いを持って努力してきたのか。そして延期をどのように受け止めているのだろうか。2020年度バレーボール男子日本代表チーム(龍神NIPPON)の登録メンバーに選出された、早大OBの本間隆太(平26スポ卒=現ジェイテクトSTINGS)がその胸中を語った。

 今でこそ日の丸を背負う選手であるが、元々五輪出場はおろか、バレーボール選手になるという夢すらも持っていなかったという。そんな本間のターニングポイントとなったのは大学3年生の頃。現監督の松井泰二氏(平3人卒=千葉・八千代)がコーチとして早大バレー部に赴任してきたときだった。これまでリザーブとしてセッターやウィングスパイカーとポジションを転々としていたが、松井氏からリベロへの変更を打診された。リベロへ転向してからすぐにレギュラーメンバーになった本間は、確かな手応えを感じ始める。松井氏の赴任は本間だけでなく、チームにもいい影響を及ぼした。本間の1、2年時、早大は関東大学リーグ戦では大抵2部の上位や1部の下位にいた。優勝争いとは縁遠かったが、3年時からは上位に食い込み徐々に実力を伸ばす。4年時の秋季リーグ戦と全日本大学選手権では優勝を果たし、自身は両大会でリベロ賞を受賞した。また実業団チームジェイテクトSTINGSからの誘いを受け入団を決意。リベロとしての手腕を認められるようになったこと、そしてプロの世界で生きていくという決断は、本間に東京五輪の出場を意識させた。

フランスリーグで活躍する本間(写真提供:本間選手)

 入団して1,2年はリザーブであることが多々あったものの、3年目からは正リベロに。4年目には龍神NIPPONの登録メンバーに選出された。「アンダーカテゴリーの大会に出場したことがない」と本間。これが初めての代表入りに。日の丸を背負う憧れを抱いていたためうれしさは感じていたものの、プレーに自信を持てず大きな不安があった。代表として試合に出場した際、世界と経験の差を感じた。「このままでは世界に通用しない」――。五輪で戦えるプレイヤーになるべく、フランスリーグへの挑戦を決意した。当時は社員契約だったため、レンタル移籍という形で2年間プレーした。パリを選んだのは、ハイレベルな環境ではあるが外国人枠の制限がなく比較的出場しやすいためだ。日本よりも高さやパワー、スピードの水準が高く圧倒されることもあったが、早々にレギュラーに定着。だがチームにリベロの控えはおらず交代は許されなかった。だからこそ安定して自分のパフォーマンスを出すことの大切さを学んだという。昨年からジェイテクトSTINGSに復帰。プロ契約を結びさらに主将を任された。「レベルの高い環境でプレーできたことや自分の代わりがいなかった経験が生きた」と振り返るように、昨シーズンはフル出場を果たしチームを優勝に導いた。

 

 迎えた2020年。正念場となるこの年に、日本代表の登録メンバーに選出された。「遂にここまで来たか」――。五輪で最高のコンディションでプレーするために努力を重ねてきた。準備は整っている。憧れの舞台に立つまであと一歩だったが、そんな期待もむなしく散った。五輪の延期を知らされ、なかなか現実を受け止めることはできなかった。「だが気持ちの整理がつかないのは世界中のどのアスリートも一緒。これでモチベーションが下がってダメになってしまうのであればそれまでの選手」と本間。延期を言い訳に、今まで追いかけてきた夢を諦めたくない。今年を鍛え直す年とし、さらに高いパフォーマンスを発揮すべくリスタートを切った。

ご自宅でのショット。日々トレーニングに励む(画像提供:本間選手)

 東京五輪での目標はずばりメダル獲得。バレーボールの注目度をより上げることが根底にあるという。五輪の延期によってメディアで注目されるのは野球やサッカーのようなメジャーなスポーツばかり。対してバレーボール選手のメディア出演は少なく、注目度の低さに危機感を覚えた。だからこそ結果を残すことが求められているのだ。だが東京五輪に重みを感じながらも、目指すものはさらにその先にあった。「パリ五輪に出場してから競技人生を終えたい」。2024年に開催される五輪に向け盛り上がりを見せるパリの街を見て、いつしかパリ五輪を見据えるようになった。一回り成長した姿でバレーボーラーとしての転機を迎えたパリに帰って来たい。本間にとって五輪はアップデートした自分を魅せる場所なのだ。来年そして4年後、自分はやりきったと胸を張って言えるように。夢をつかむまで歩みは止めない。

(記事 西山綾乃)

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